第17回ウディコン全作品レビュー - 夕五千兆

58_夕五千兆

ジャンル 作者
放置 秋月ねこ柳
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 +110時間 1.60a クリア / 15

良かった点

  • 手動干渉と自動放置のバランスが良かったです
    • 難易度曲線もちょうど良かったです
  • ウィンドウが非アクティブになると音がフェードするシステムは放置と相性が良かったです

気になった点

  • 装備の入れ替え時の操作がやや直感的ではありませんでした

レビュー

五千兆を目指して

夕五千兆は、自動で戦う夕一に緩く干渉しつつ基本的には放置して進めるRPGです。
徐々に難易度の上がっていくダンジョンに対し、様々な強化を放置で獲得しつつクリアを目指していくことになります。

最大3体の夕一を編成して挑むダンジョンは、戦闘、回復あるいはショップ、宝箱といったイベントがランダムで発生していくノンフィールド形式のものとなっています。
戦闘はシンプルなもので、通常攻撃と攻撃ごとに溜まるTPを使った2つのスキルを使うことができます。体力が減ってきた場合は傷薬を使って回復することもできますが、こちらは一回のダンジョン攻略内での使用制限があるため、ここぞという時に使いましょう。
こうしたコマンドを活用して敵を倒していくと階層が進み、最終階層のボスを倒すことでダンジョンのクリアとなり、ストーリーの開放と共に次のダンジョンが現れる、といった流れとなっています。

そして、このゲームにおいて特筆すべきは、これら一連の流れが実質的に自動で行えることにあります。
雑魚戦にはTPが溜まったらこの技を使い、傷薬はこの割合でHPが減った時に使い、宝箱はこの確率で開封し、といったような設定を付けて、自動で夕一をダンジョンに突入させて周回させることが可能となっています。
ダンジョンのレベルが上がって太刀打ちできなくなってきたら、この仕組みを使って過去のダンジョンに挑み、レベリングやリソースの確保を行うことをお勧めします。

また、夕一をレベルアップさせる以外にも、戦闘で得られたお金やある方法で取得できる夕一コイズを利用することで強化するという方法もあります。
商店でお金を使えば獲得経験値の倍化などのパッシブスキルが、夕一コイズを使えば装備のガチャがそれぞれ行えます。特に前者は飛躍的に様々な効率が向上するため、お金を稼いだら積極的に利用しましょう。

文字通り桁違いに強力になっていくダンジョンを攻略するには、自動で稼ぎ、手動で制御する成長システムを上手く活用することが肝心です。こちらも桁違いに強化を重ね、時には転生で更なる強さを獲得し、装備でそれらをさらに倍化させ、とにかく最強の夕一に育て上げていきましょう。
そのためにも、デスクトップの隅っこにでも置きつつ、適度に目をやりながら進めることをお勧めします。きっと頭の半分がニワトリに支配されること請け合いです。

感想

ありそうでなかったと思しき、完全放置がほぼ推奨されるウディタ製のゲームです。
放置ゲーっぽい作品としては第12回のわちゃわちゃダンジョンズが思い起こされますし、クリッカー系統なら第15回の一画面で成し遂げる地獄再興が挙げられるんですが、クリア後ひたすら放置で進めることが前提の設計になっているケースとなると初めて見たかもしれません。

個人的には手動システムと自動システムの塩梅が絶妙な印象があり、適度に手を加えつつ、適度に放置しておきたくなるような設計をしています。この手のゲームは、放置しつつもついつい意識にのぼって目をやってしまうくらいの塩梅が良いと思っているんですが、まさにそういったバランスで巧みに作られている作品となっていました。
ゲーム内に、放置しながらちょっと遊べるミニゲームが完備されているのも良く、ゲーム単体で見ても暇つぶしができるようになっています。ちゃんと嬉しいアイテムももらえる。

ゲーム全体のボリューム感というか難易度曲線もちょうど良く、クリアだけを目指すなら適度に干渉した方が伸びが良く、2時間もかからない程度でしっかり収束するバランスとなっています。その一方で、クリア後は放置前提の長さのダンジョンと、放置前提の成長曲線と向き合うことになります。
クリアだけなら転生すら必要ありませんが、クリア後のダンジョンを突き進むならほぼ必須となります。要求が指数関数的に増えていくアイテムやら合成に放置で辿り着き、より高効率にしてまた稼いでいく、拡大再生産の楽しみを長期スパンで感じることができました。
筆者はクッキークリッカーを手焼きで恒河沙までやった程度の経験しかないのであまり確かなことは言えませんが、こういった放置ゲーとしてのバランス感覚が優れているゲームだなという印象があります。

UI面では、サイクルを回す分にはおおむね快適に動作するため、プレイ中のおおよその時間は問題ありません。ただ、装備のUIに限っては地味な使いにくさを感じました。特に装備を入れ替えたい時の操作があまり直感的でないので、インベントリを整理したい時に若干複雑な操作をすることになります。例えば、ある装備を売却した後に続けて別の装備を売却しようとすると、売却済みのスロットとの入れ替えが実行されてしまいます。これを避けるには、いったん売却したスロットを再選択する必要があります。若干手間。

個人的に好きなシステムにも触れておくと、ウィンドウが非アクティブ状態になってゲームが裏側に回るとSEやBGMが小さくフェードアウトしていく仕組みが良いです。プレイヤーがよくやることに対して、求めることが先回りして用意されています。いちいちミキサーを触る必要が無くて楽ですね。
さらに細かい点としては、夕一コイズのネーミングが好きです。最初のうちは何の疑いも持たずにターコイズと読んでいました。

シナリオについては最小限ながらもちゃんと用意されていて、しれっと昔の作品への言及も含まれています。元にしている題材からある種明らかではあるんですが、明確にウディコンという場の内輪ネタに最適化されているような印象があります。作中でも言ってますが。
コックに恨みが向かうかと思いきや、さらに根幹に近い部分まで下っていく展開は個人的に好みでした。

総じて、適度に放置して適度に干渉する塩梅が良い放置ゲーでした。