0%

17. 雲間からレグルス

ジャンル 作者
ADV/RPG SEPTET
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.02 クリア

良かった点

  • 良いシナリオであり、それをゲーム全てが下支えしていました
    • 殊に演出面は素晴らしいです
  • キャラクターは皆個性豊かでした
  • 雰囲気の良いドット絵のグラフィックでした

気になった点

  • レベルの上げ下げが高くなるとやや面倒でした
    • 一気に上げ下げしたい気持ちがあります

レビュー

ゲームで描かれる最高の物語

ゲームはしばしば総合芸術と呼ばれることがあります。その意味するところは個人によって様々でしょうが、筆者個人はあらゆる要素が総動員して体験を形作ることをもって総合的な作品であるのだと感じています。
雲間からレグルスは、その内包する全ての要素が最大限の力で完成させた美しい物語を体験できる作品となっています。

全ての種族がレベルによって管理された世界で、最低レベルに指定された人間は、掃きだめのような星、オールドヘイブンで生活を営んでいました。
しかし、その遺跡の奥で「星の子」と名乗る子供を見つけたことから、物語の歯車が動き出します。

プレイヤーは主人公の一人であるルグを操作し、「星の子」と名乗る子供、レオの力によって様々な星を巡ることになります。オールドヘイブンの個性豊かなキャラクターの一人一人と同行し、それぞれの星を進んでいくことで、それぞれの物語が紡がれていきます。

星々にはそれぞれ特色があり、それぞれが素晴らしいグラフィックで描かれ、独特な雰囲気が醸成されています。
そういった場所ごとの景観を堪能しつつ、アイテムを拾い集めながら探索していきましょう。そして、その最後の地点で待ち構えているのは、ボスとの戦闘です。

この戦闘においては、レベルが重要となってきます。敵の攻撃の成否が、このパラメータを基準に決まってくるからです。
レベルはセーブ地点で自由に上げ下げできるため、ボスの行動パターンを理解したらメタれるようにレベルを調整しましょう。基本的に戦闘はいつでも逃げられるので、対策ができていなければ撤退もアリです。

こうして星々を巡り、各々の物語を見届けていくことで、少しずつルグとレオの物語が進行していきます。
この最後の物語を彩るのは、個性豊かなキャラクターであり、そのキャラクター銘々の想いによる物語であり、抒情的なドット絵によるグラフィックであり、オールドヘイブンを始めとした世界の雰囲気であり、美しい演出であり、そして何よりこのゲームがレベル制によるRPGであることです。

この作品を最後まで進めた時、このゲームにおける全ての要素が収斂していき、極限にまで高められた、ただ一つの物語を体験することができるでしょう。
もはやこれを語る言葉は持ち合わせていないため俗な言い方をすれば、エモいゲームがやりたい方にお勧めです。

感想

ウディコンの早いうちから何があっても絶対やるリストの一つに入れていた作品の一つ、雲間からレグルス。
バケモノハイツの頃から好みの作品を作る方だなあと思っていたので、ウディフェスのぶーん。とかもやっていました。そういえば、らすぼす養成 はいすくーる やってないのを思い出したので後でやります。

閑話休題。というわけで、期待値のハードルがまあまあに高い状態で始めたんですが、ちゃんとハードルのはるか上を飛んで行ってくれたので満足です。

とりあえずまずは世界観の話をするんですが、設定と拠点の世界が好きです。
レベルという概念によってかなり強烈な格差社会が形成された世界という設定が秀逸で、終盤に明かされるレベルというものの役割もまた秀逸です。実際にそれが正確かどうかはともかく、レオのような存在を生み出しているあたり外してもいない感じはします。

その中で最下層のレベルが住まうオールドヘイブンの空気感は最高の一言に尽きます。
帰還後イベントが映画のワンカットのように見えることに、この空気感はかなり寄与していると思います。黄と緑からなる空気がこの空間のよどんだ雰囲気をうまく表現していて、他の星の美しさに対して徹底的に対比構造にありました。
それなのに最後までやると、どの星よりもオールドヘイブンが綺麗に見えますね。この辺の、澱んだようでいてただ汚いようには見えない空気作りがべらぼうに上手いです。

それ以外の星では、ニトアロ・ニードが好きです。崩壊した世界というかポストアポカリプスっぽいのが好み。傘をさす細かさも好きでした。まあ最後の惑星も当然好きなんですが。

レベルの話に戻すと、レベルが高いと野蛮ではないことにされている世界ではあるんですが、行ける範囲では最高と言っていいレベルの世界でいじめをお出ししてきます。
そもそも、この高レベルの種族と人間は理由不明ならが争っています。結局一種族の適当な指標であって、本質的には何ら変わらないのかもしれない。それでも若干いじめっ子側が素直な気もしますね。

次にキャラクターの話をするんですが、全員魅力的なキャラクターで良いんですよね。
後で物語の話もしますが、この物語が美しいのは間違いなくキャラクターが良いからに他ならないので。
加えて、各キャラクターの物語パートもあってちゃんと掘り下げられるのも良いです。

キャラクターとしては割と序盤からドミドゥカが好きだったので、終盤の展開はより情緒が揺さぶられました。締まらない顔している人の締まった格好、格好良い。
主人公組については言わずもがな好きなんですが、いろんな展開をもってルグが一番好き。レグルス、獅子の心臓ゆえにレオのコアなんですね。

さらに、各物語に出てくるサブキャラクター、かてて加えて各星にいるモブの方々に至るまで、良いキャラクターをしているというのもあります。
星の個性と住人の個性どちらも豊かな特色があって良い。ミッドルの方々が好き。

それでは物語の話をするんですが、まあとにかく良いですね。良すぎて言語化が難しくて、レビューの最初の言葉を「良い、とにかく良い」にしばらく置いてました。レビュー書き終わった冷静な時に挿げ替えるのが狙いです。
思い浮かんだのは奇跡的相性なんですが、ネタが分かりにくいのと単純に相性の話ではないなと思ったので無難な形に落ち着いています。

ソウテン鏡は物語それ自体が良いパターンなんですが、この作品は物語に対する演出によって物語の質を底上げしているパターンです。
個人的に、個別で各キャラクターに関連する物語を進行しつつ大枠を構成するのが好みなので、この物語は好みでした。
そういうこともあって、ソウテン鏡では小説を引き合いに出していますが、このゲームはそういった別媒体を引き合いに出していません。この物語はゲームでしか在り得ないので。

各キャラクターをちょっとだけ掘り下げて、あるいはちょっとだけ成長させる物語が良くて、何より最後にオールドヘイブンに戻ってきた後の一幕が好きです。
一息ついた決着感と、次につながる引きのどちらもが映画のような空気感の中で描かれていて、最高にお洒落です。一区切りつくからちゃんと終わった気になれるし、次への期待があるから続きをやりたくなる。

そういった演出のほかにも、この物語は徹頭徹尾RPGでなくては表現しえなかったというのも好きです。
RPGそのものの話は後でしますが、とにかく最後の展開を行うにはこれはRPGでなくてはいけなかった。そのことこそが美しい作りだと感じていました。最後の戦闘、心動かされませんか。

あらゆる要素が物語を下支えして、そのクオリティも意味合いも補助しているというのが、まさにゲームでのみ体験できる感覚だなあと覚えていました。ゲームとしての物語という意味ではバケモノハイツも好きだったんですが、演出面やら諸々でこっちはさらに好きです。

物語のついでにグラフィックなどの話もしますが、良いドット絵です。ホロロンのような精緻なドット絵とはまた違った魅力があります。
記憶ギャラリーにあるようなドット絵もその星の空気感を描いていて良いんですが、各キャラクターのモーションとか、戦闘時のグラフィックとか、表情とか、色々なところが豊かで好きです。
戦闘時にレベル技に失敗すると、ちゃんとリアクションがあるのとか良いですよね。

あと戦闘中のBGMも良いんですけど、若干音量大きい気もしました。
雰囲気にはあっていて、曲としても好きではあります。

長々と書いてきましたが最後にRPGとしての話をします。
レベルの上げ下げによるギミックバトルが主で、雑魚戦もないのでイベントとみなしても良いレベルかなと思います。
ただ、漫然とやっていると結構負けるので、ちゃんと戦ってギミックを理解して、対策を立てて倒すというのが楽しいタイプです。

一応最高レベルまで引き上げていれば、ある程度ごり押しでも行けるバランスには感じましたが、ちゃんとメタったほうが楽しいし楽なのでお勧めです。
ただ、レベルの上げ下げが特定箇所でしかできず、特に後半は一気に上げようとすると若干面倒ですが、数えるほどしかやらないのでそこまで気にはならないと思います。

とにかく物語というものをゲーム表現の中で描いていたという観点において、個人的に一番好きな作品です。
最初に出てくる、言葉が落ち、それに引きずられたような星が何かへとぶつかったその瞬間から、このゲームが好みそうな直感がありましたが、まさしくその通りとなりました。

最初の演出で大体分かるように、かなり間の取り方がアドベンチャーゲーム然としているので、ちょくちょく間がある印象は受けます。ただ、多くの演出においてはその間をもって完成されているような印象も受けます。
最初の方を少しやればどういうゲームか分かるので、とりあえずやってみましょう。ADV好きならいいゲームです。

ちなみに筆者はこのゲームをぶっ通しでやったので、レビューを書くために起動するまで気づかなかったんですが、タイトル画面が毎回変わる細かい演出も入っていました。タイトルに演出が入るゲームは良いゲーム。神話解体論とか。

ニアトロ・ニード が好きな理由の半分くらいはレオが傘を差しているからかもしれない

19. 星の心

ジャンル 作者
試行錯誤 こめ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.03 100

良かった点

  • 様々なアイデアが盛り込まれていました
  • 星の心を集めていく楽しさがあります

気になった点

  • 操作系統についてはかなりノーヒントに近いです
    • ここは良い所でもあるとは思います

レビュー

あらゆることを試していこう

星の心は、あらゆることを試して星の心を集めていくゲームです。

プレイヤーは宇宙をさまよう星を操作して、様々なことを行えます。そしてその行いの結果として、星の心が手に入るというゲームとなっています。
クリックしてみたら、動いてみたら、待ってみたら、色々なことが星の心を手に入れる条件となっています。

最初の内はいくつもの星の心をどんどん手に入れることができますが、次第にその発見難度は上がっていきます。
あらゆることを試し、ヒントを探し当て、時には観察眼を駆使して星の心を集めていきましょう。重要なのは、どんなことでもやってみるということです。

ちなみに、このゲームはいつでも終わらせることができます。
ブラックホールの中に飛び込み、その事象の地平面へとたどり着けば、今まで取得した星の心の数をもってリザルトとなります。
もう一度ゲームを遊べば星の心の数はそのままに再プレイできるので、気楽に終えても良いかもしれません。

星の心においては、何がそのヒントになるかは分かりません、思いつく限り全てのことを試していきましょう。
実績を埋めたくなる人には垂涎の作品となっています。

感想

実績コンプ中毒としては、意地で最後までやってしまった作品です。
最初の30分で7割くらい集めて、大体クリアと言ってよさそうだから次に行こうかなあとぼんやり考えながら、結局全部集めるまで寝ずにやったので。

割と適当に動くだけで50個集まるので、最初はガンガン実績を開けていくゲームだと思っていました。 Zup! みたいなイメージ。
ただ、7割くらいから停滞気味になってきて、これはブレークスルーを探し当てるゲームなんだなと理解しました。

ある操作に気づいたり、あるヒントに気づいたりすると芋づる式に色々な実績が分かってくるので、そういった時に気持ちよく実績が開いていきます。
惑星への理解が進んだり、流星の取り方が分かったり、ある操作を見つけたり、色々なブレークスルーを見つけて最後まで楽しめます。

ブレークスルーを見つけ出した時の快感は何にも勝るところがあるので、あらゆる操作説明がないことがこのゲームの良いところだとすら思っています。
スペース押してわけわからんものが出て、それが文献を読むうちに理解できる様とか、適当に惑星を行ったり来たりしていたら相互干渉の仕組みに気づいたりとか、気づきの楽しさがあります。

とにかくいろんな操作をすること、ちゃんと文献を読むことを徹底していれば、それほど理不尽な要素はありません。入力は英語そのままではなく英語の日本語入力ということに気を付ければ、それ以外でハマりそうなポイントはありませんでした。

そうは言ってもめちゃめちゃいろんなところに隠されているので、段々疑心暗鬼になってくるところも含めて楽しいです。
リザルトのクレジットにある☆を無心でクリックしていたり、最終的にはエンディングにたどり着いてすらそこの青い星をクリックしていました。もはや病気の類。

多分90から詰めるあたりが本番で、個人的には星の記憶を集めるあたりが難関でした。あんまりにもヒントが無いので、観察眼とメタ読みが要求される。
ただ、ここは多分人によって最難関が違ってくるんだろうなあという気持ちがあります。皆さんはどこで詰まりましたか。
ちなみに、筆者の最後は迷いでした。いつもゲームはウィンドウを閉じて終わっていたので、確かにそれは試してなかった。

とにかく、色々試して発見しての繰り返しが楽しい人は楽しいと思います。少なくとも自分は楽しい。

20. ベジダンッ!

ジャンル 作者
リソース管理RPG サカモトトマト
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間/1時間 1.0.0 ハード Sクリア

良かった点

  • サクサクと戦闘が進行していきました
  • 介入要素の強力さと、そのコストの高さが釣り合っていました

気になった点

  • ゲームオーバーからの再走時、実質最初から走り直す手間があります
    • せめて最初のチュートリアル文章は一回目だけでもよいかもしれません

レビュー

野菜を食わせれば全て解決

ベジダンッ!は野菜を食わせる自動戦闘リソース管理RPGです。
基本的には自動戦闘を行いつつ、遺跡の奥地へ進んでいくことになります。

まずはいくつかのキャラの中からメンバーを選び、自動戦闘をこなしていきましょう。
戦闘後はいつでも拠点に帰って回復できますが、敵との戦闘を継続して行うと連勝ボーナスとしてお金が得られます。お金はアイテムや装備に使えるためできるだけ欲しいところですが、連戦するほど消耗して負けやすくなります。上手くチキンレースに勝っていきましょう。

こうした自動戦闘の最中、プレイヤーが介入することのできる要素が一つだけあります。それが、アイテムである野菜を食わせるということです。

戦闘中においては、野菜は回復手段であったり、バフの手段であったりします。
1ターンにつき2つまでしか使えませんがその効果は強力で、うまく使えば格上の相手でも勝利することができます。
また、戦闘していない時は、敵がドロップした野菜をメンバーの誰かに食べさせることができます。これらの野菜の効能について最初は不明ですが、食べさせることで判明するでしょう。

こうした野菜をどこで誰に使うかが、このゲームの肝となります。
連勝ボーナスのために無理するのも良いですが、野菜もまたお金で買えるリソースです。無理して使いすぎては元も子もありません。節度ある野菜とお金の使い方が大事です。

なお、力及ばず敗北してしまっても、このゲームは即座にリトライができます。
その際は道中で倒した敵が復活しているため、これを倒して荒稼ぎすることも可能です。敗北回数を突き詰めるもよし、うまく敗北して効率よく戦うもよし、好きなやり方で攻略可能となっています。

効率的に野菜を使って、ダンジョンの奥深くまで潜っていきましょう。

感想

ある程度ランダム感は強く感じるんですが、なんやかんや野菜と装備でクリアできそうな知識対策ゲーム感があって良いです。
多分ノーミスまでやろうとすると若干なり運は絡みそうですが、3ミスや4ミス程度ならSランクをくれるのでそこまで突き詰めなくていいのも気が楽です。

自動戦闘かつ高速化できるので、非常にサクサク進みます。なので、多少戦闘数が多くてもあんまり気になりませんでした。そこそこ階層がありそうでしたが、42連戦くらいしても戻し作業は5分もかからなかったはず。
戦闘速度を高速にしていてもなんとなくダメージソースも分かるので、基本ずっと高速化していました。

とりあえず知識はだいぶ重要だと思っていて、凍結と炎症は対応しておくとアドが大きいです。特に凍結は割と大事な印象。炎症は最初の通しプレイ時に意識してなくても通せたので、対策しておくと楽くらいの印象です。
毒は序盤そっちにお金がさけないのと、中盤は凍結とのトレードオフなので諦めていました。

野菜はトマト、なす、レタスはシンプルに使いやすく、終盤はトウモロコシが丸いです。
ガーリックを持っておくと起死回生ができるので、1つ2つ持っておくと終盤の戦闘で安心できます。強敵相手なら、初手にんじんも強い。
道中手に入る範囲だとたまねぎの使いどころは割と大事で、うまく使うと戦いやすくなります。最初に超連撃を入れられると雑魚を一掃する可能性があったり、ヒールラを先手で打たせて回復アイテムを温存したり、色々と使い道があります。

装備の方針はやられる前にやれると強そうだったので、火力重視にしていました。お金に余裕がない限り、++はあんまり買っていません。
防御面では最大ダメージを抑えようと光の羽衣を採用していましたが、大体沈む時は連撃を食らっていたので、固定で減らせるほうが強いかもわかりません。

こうして色々考えて突き詰めるのも良いですし、何度負けてもチャレンジしていればいつかはクリアできるカジュアルなプレイでも良いですし、どちらでも楽しめます。
筆者個人は性質上連勝をどこまで伸ばせるかのチキンレースを楽しんでいましたが、多分どこかで打ち切ったほうがむしろ効率良い時もあります。トマト2個使っちゃったら80G以上の連勝ボーナスがないと意味がないですからね。

21. シヴァーラの塔

ジャンル 作者
RPG kaidenn
プレイ時間 プレイVer クリア状況
11時間 1.0相当 クリア

良かった点

  • キャラクターのカスタム性が高いです
  • 戦闘バランスがシビアで良かったです
  • シナリオは中編ファンタジーとして完成されていました

気になった点

  • ワールドマップをはじめ、鈍足表現が辛いです
  • 演出は若干間延びしている印象があります

レビュー

カスタム性の高い中編RPG

シヴァーラの塔は自由度の高いキャラクターカスタムができる中編RPGです。
自分なりのキャラクターを作成しつつ、強大な敵に挑んでいくことになります。

このゲームにおける戦闘メンバーは、全て人形兵です。この人形兵はプレイヤー自ら顔グラフィックからパラメータまで自由に決めることができます。
俊敏さを捨てて攻撃に全てを特化させた戦士を作るも、HPをひたすら鍛え上げたタンクを作るも、俊敏さで先手を取ってバフデバフを管理するエンハンサーを作るも、プレイヤーの裁量一つとなっています。
ただし、それぞれのパラメータ上昇などにはコストが生じ、メンバー全体で一定のコストに収める必要はあります。強力な一人を作り蹂躙するか、バランスよく六人揃えて立ち回るか、お好きなやり方で構成してみてください。

そうしたキャラクターのカスタム性の高さがありながらも、このゲームの戦闘バランスは良好なものとなっています。
連戦すれば消耗していく雑魚戦を抜け、強大な力を持つボスを下すためには、パーティ構成だけではなく戦闘中の立ち回りも重要になってきます。敵の行動を理解し、スキルで上手くいなしていきましょう。

また、ダークファンタジーめいた物語もこのゲームの魅力の一つです。
復活した強力な悪魔に立ち向かうべく各地を巡る主人公とその仲間による、王道な物語を楽しむことができるでしょう。
自分で作った編成を活かして強力なボスを倒しつつ、その物語を進めていきましょう。

感想

結構自由度が高い割には、最後までシビアな戦闘バランスを楽しめた作品でした。最後まで想定パーティに近いムーブをしていたのかもしれません。

最終編成は剣士3名、魔導師2名、詩人1名になっていて、Lv5が4名と、Lv10の剣士と魔導師がいます。編成自体はバランス型です。
詩人が色々バフをかけて、魔導師もデバフ/バフ/回復/ちょっとフレアで火力に従事し、二人の剣士が挑発してタゲをとりつつ、全てのバフを背負った剣士による狙う+5連攻撃で最大火力を叩き込むという流れで戦っていました。挑発が全体攻撃を拾えるのが偉すぎる。

能力のビルドはややピーキー気味で、火力に振ったLv10と、それ以外をある程度防御寄りに振ったLv5の構成でした。結構思い切って割り振っても装備である程度小回りが利くので、何ともならないということは無さそうです。

戦闘バランスの話に戻すと、雑魚でも結構火力が高く、それ以上にボスが強いまっとうに良いバランスです。
傷薬と毒消しが何かの間違いみたいな安さをしているので、序盤はいっぱい買ってちゃんと使わないと雑魚もきついかもしれません。
その分、宝箱から傷薬が出た時の嬉しさがだいぶ落ちてはいる印象です。

ボス戦が特にギリギリのバランスの印象で、最初の炎の巫女は手りゅう弾まで持ち出してようやく倒せました。
また、それぞれの悪魔ボスは割とギミック的で、最初のチャレンジで倒すのは若干厳しいレベルです。そういう意味では、マグモがノーセーブで結構戦った上でマヒと呪いのギミックボスなのはハードな印象です。
ラジンはさすがにギミックボスではないので、ちゃんと戦えば初見でも突破できます。良い緊張感のある連戦でした。

最後のボスラッシュあたりは良い復習戦闘でしたし、ラスボスまでくるとシンプルに強く、最後までちゃんと戦い抜ける楽しさがあります。

マップについては序盤から中盤にかけては、ちょうどいいサイズ感だと思っていました。
分岐路にお宝が用意されているのもあって、あんまり無駄足を踏んでいるという印象はありません。
また、いろんなロケーションのマップを作っている印象で、火山、雪山、砂地、といったように印象をちゃんと変えて構成されていたように思います。

ただ、その中でも海底ダンジョンはさすがに厳しいです。意味もなく遅く、セーブできず、20分くらい遅い海底をさまよい続けることになります。せめて最後は泳いで帰るのではなく、地上に戻してほしかった。
それ以外の終盤マップも若干戦闘が食傷気味になるレベルだと感じてはいましたが、消耗戦でヒリヒリするところもあるので難しいところです。ただやはり、同じ道を歩いて帰るのは面倒な印象があります。せめてキメラの翼が欲しかった。

あとは、ワールドマップを鈍足にするな教の信者なので、そこで少しずつストレスを感じていました。エリアを広大に見せる意図があるのは重々承知で、特別なギミックが無いなら省略してほしい気持ちがあります。めぐめぐのような、システムに絡む部分があるのであれば理解はできるんですが。

シナリオ面においては、割と容赦なく巫女が殺されていきます。なんとなくFF3を思い出していました。
まっとうにファンタジーをやっている感じで、死者がいっぱい出る世界観をうまく使って物語を作っている印象です。そして最後に死者の世界を持ってきているのが上手くて、そのおかげで色々な展開を再回収できていて良い物語になっていました。
キャラクターとしてはゴブリン一味が好きです。旅でちょくちょく出会うことになる、ああいう存在が良い。

一方で演出は若干間延びしている印象を受けています。
今何の時間だろうという疑問を多々感じました。ある程度絵による演出があれば間が持ちそうなんですが、そういう動きが無いので謎の間になってる印象です。
また最初のシーンの演出でいうと、無声劇をやるには解像度が低い気がします。そもそもオープニングについては、物語への解像度も低い状態なのでより顕著に感じます。

ここまでつらつらと書きましたが、まっとうにRPGをある程度自由度高くやれるので、好きな作品です。11時間やらせるだけのゲーム性はちゃんとあるので、中編をやりたい方には勧められると思います。

22. 誘導 x パズル

ジャンル 作者
パズル風誘導アクション Nariya
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間 1.04 クリア

良かった点

  • 誘導して解くというパズル性の発想は良かったです

気になった点

  • 誘導の操作性が厳しめです
    • クリックを使うのあれば、クリック位置へきちんと曲がる処理であってほしいです
  • 同時にトロフィーを獲得できません
  • クリックベースでありながら、キーボードを併用する必要のあるUIでした

レビュー

誘導してパズルを解け

誘導 x パズル、は猪突猛進するウルファールを誘導して目的地を目指すパズルゲームです。

操作対象となるウルファールは、直進する、壁に当たったら曲がるか戻る、以外の行動をとりません。この猪のようなウルファールに対し、ちゃんと曲がる方向を指示していきましょう。

また、プレイヤーはウルファールが取得したアイテムをクリックで任意の場所に使うことができます。
壁の生成、壁の破壊、敵への攻撃など、そのアイテムの性質を上手く使ってゴールへの足掛かりとする必要があります。

ひたすら前に進むウルファールをなだめすかして指示を出し、様々な障害をクリックで取り除き、ゴールまで導いていきましょう。

感想

コンセプトは結構好きです。猪突猛進ウルファールを誘導してなんとかするというパズル形式も結構よいと感じています。
ただ操作がべらぼうにしくいのと、移動速度が遅すぎて待ちの時間が長すぎるのっもあって、かなり苦戦しました。

筆者はだいぶパズルが好きで、Baba Is YouとかInductionとかRecursedをやっては感動するタイプなんですが、そういう下手に好きな気持ちが働いていたせいで、このゲームは一度クリアを諦めかけました。
何とかクリアまではこぎつけていますが、そういう意味で実績回収まではしていません。

まず、誘導の仕組みが厳しいです。
右クリックで誘導するとのことなんですが、これがおそらく、最初に右クリックした地点と「その時のウルファールの位置」を基準にしています。
何が厳しいかと言えば、ここで曲がりたいなあと先行して曲がり角に右クリックして押しっぱなしにしておくと、その時はまだウルファールがはるか遠くにいるので、曲がる座標差分より距離差分のほうが大きくなってしまうので、結果ずっと直進することになります。
何で曲がらないの?という時は、大体これに引っかかっています。ここに気づけなければ、下手したら投げていたかもわかりません。

右クリック位置と「曲がったタイミングのウルファールの位置」で差分を取ってくれていれば、恐らく意図した曲がり方をしそうだなあと感じています。
というか、そもそもこの設計なら右クリックである必要がなく、アローキーで方向を渡したほうが分かりやすそうですね。
誘導点を置くデザインならクリックしていも頷けるんですが、単純に曲がる時の向きを決めたいならアローキーのほうが便利そうです。

この誘導アルゴリズムを理解するまでは、とにかく動かしにくいゲームでした。
そして理解したとしても、曲がりたい時ではなく今の位置に応じて右クリックを押しっぱなしにするという直感に反した動きをするので、細かい制御が難しくて辛いゲームでもありました。
ステージ3あたりでトロフィー回収を諦めてクリアを優先する判断をしたレベルです。

さらに、トロフィー回りもきつい仕様があります。
目的を複数達成しても、一つしか達成されません。のみならず、たとえ一度達成したとしても対象には残り続けるため、目的1をクリアするには、目的2の条件を満たさないでクリアする必要があります。
このため、同時達成できないどころか、「たどりつけ」と「ノーダメ」があったら、ダメージをあえて食らって辿り着かないと「たどりつけ」のクリア扱いになりません。
このあたりが、トロフィー回りの回収を諦めたゆえんです。

ついでに、UIも結構面倒です。
まず、ベースはクリックで遊べるようにしているんですが、選択肢の選択がホイールになっています。
また、ステージ中のUIを消すにはキーボードの力を借りる必要があります。結構見た目としては邪魔なので消したいんですが、毎回Cキーを押す必要があって面倒です。また、メニューを開くにもキーボードを使いますし、リザルト画面でもキーボードが必要です。
このように微妙にクリックだけで遊べるようになっていない印象を受けます。かゆいところに手が届かない。

コンセプトは好きだっただけに、あらゆる操作性の悪さが堪えた作品でした。

23. 廃館少女 - Replica -

ジャンル 作者
探索ADV 腐乱ぼわーず
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.1 全ENDクリア

良かった点

  • 雰囲気のあるグラフィックでした
  • 足元が安定しないような良い不安感のある物語でした

気になった点

  • QTE入力について、文字送り後は少し待ってもよいかもしれません

レビュー

薄暗い廃工場と彼女の嘘

廃館少女 - Replica -は、薄暗い雰囲気が漂う探索アドベンチャーです。
少女ローゼマリーが語る、誘拐事件の後に廃工場の一角で目が覚めてからの物語を体験することになります。

このゲームは、探索アドベンチャーとしては非常にオーソドックスな作りです。
古びた廃工場の中、主人公を操作して脱出を図ることが目的となっています。脱出のためには廃工場を周り、様々なギミックを乗り越え、出口を見つけ出す必要があるでしょう。

ただし、廃工場には主人公を害そうとする何者かが潜んでいます。何物かに捕まらないように、隠れたり、時にはQTEで対応したりと、うまく逃れていきましょう。
そうして危険を回避しつつも廃工場を探索していくことで、やがて少女の語る物語は一つの終わりを迎えることになります。

この作品においては、その暗い雰囲気が高品質なグラフィックによって存分に表現されています。加えてその雰囲気相応に、心が不安になるような演出の数々が探索中に襲ってくることでしょう。
しかし、何よりも不安に突き落とされるのは、少女の語る、あるいはプレイヤーが体験することになる物語そのものとなるかもしれません。

足元のおぼつかないような不安を、素晴らしい雰囲気の中で味わってみませんか。

感想

雰囲気のいい館ものです。館じゃないけど。
廃工場舞台だけど廃館少女だし、だいぶ館ものっぽい構成なので館もの扱いします。

一応前作からの続きものっぽいタイトルですが、恐らく前作知らなくても楽しめます。そもそも続きというよりはスピンオフで、知っておくとより楽しいかもくらい。知っている身としては、結構補完してくれたので楽しめました。

探索物としてはかなりオーソドックスなスタイルで、おおよその場面では行ける場所が限定されているので、総当たりめいたことは必要ありません。
謎解きもそこまで複雑なものは要求されないので、遊びやすいレベルに収まっていると思います。

謎解きに関しては、スイッチが黒塗りじゃないほうを動かす必要があったり、金庫はその数だけ回すのではなくてその数字まで回すのだったり、微妙にトラップがあるんですが、やっていればカバーできる範囲でした。
QTEのほうが難易度普通だとそこそこシビアで、特に文字送りの後はZキー連打しているのでミスりがちです。ちょっと余裕があっても良いかもしれない。

そして物語というか全体の雰囲気作りに間違いなく寄与しているであろう、マップのグラフィックが良いです。前作もそうだったんですが、境界線が直線でなくてぐねぐねしているのが、絶妙に不気味さを煽ってきます。
役割的には鉄扉だけマップシンボルとして木製に見えるので、鉄扉っぽくあってほしかった気持ちはあります。

また、時折出てくる一枚絵も迫力があって、ちょくちょくこれがホラーであることを思い知らせてきます。ただ、植木鉢は別の意味でぞわっとしてしまった。苦手な人には無理になりそう。
BADというかゲームオーバーの演出もいろいろあって凝っていました。

そういう雰囲気の中で描かれている物語も、虚構癖をベースにいろいろと考察できる内容で良いです。
前作が前作だったのでミモザ説はだいぶ早い段階で考えてはいて、クマのぬいぐるみがお姉ちゃんであろうことは終盤あたりからある程度推測できるかもしれませんが、そうであっても何が本当か分からない感覚は抜け落ちません。
信頼できない語り手を上手く使って不安のあるストーリーラインを構成しています。Draugenとかの類の良さ。

しかし刑事さん、なんだかんだ有能がゆえに、いらん事態に巻き込まれた感じが否めませんね。
もっともどこまでが真実なのかは分からないんですが。

全体的にホラー風味探索としての作りが至極まっとうで、ちゃんと不安にさせる要素もあるあたり、フリーゲームのこういう探索ものに求めるものが余すところなく入っている印象です。ラーメン頼んだらラーメンが出てくる感じ。

24. ウルファールの冒険

ジャンル 作者
メタバグ発見ADV くさだんご
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.1.2 真ED+

良かった点

  • 良いゲームでした
  • シンプルながらテンポの良い演出が周回前提の仕組みとマッチしています
  • ウディコンという場において素晴らしい物語でした

気になった点

  • パズル面では戦闘が不要に思います
    • 戦闘自体が突っ込み終わったら用済みかもしれません

レビュー

デバッグの先にあるものは

ウルファールの冒険とは、ウディタにデフォルトで付属されているサンプルゲームの皮をかぶった、バグ発見ゲームです。
ウルファールの冒険といういかにもなタイトル、サンプルゲームそのままのサムネ、そして作者コメントに至るまで徹底的に偽装された作品となります。

このゲームの目的は、遊んでいるゲームに存在しているバグに対して、突っ込みを入れて修正していくことです。何か異常なことが起きたらすかさずTキーを入力して突っ込むことで、そのバグを是正できます。
バグの種別は多様であり、隅から隅まで探索し、変なところを見つけ出す嗅覚が要求されます。
サンプルゲームのような空間に隠された様々なバグを見つけ出し、どんどん突っ込みを入れていきましょう。

しかし、このゲームはただバグを見つけてそこで終わりのゲームではありません。
全てのバグを見つけ、その先に辿り着くことができれば、この作品というものを知ることができます。

ウルファールの冒険は、ゲーム製作に携わったことがある方であればお勧めの作品です。
是非とも全てのバグに突っ込みを入れて、ウルファールの冒険を堪能してください。

感想

ネタバレを避けたくて大したコメントを残さなかったのですが、割と皆さん明け透けに書いていて、そこまで気を遣う必要はないかなと感じてきたので、レビューではデバッグすることには触れて、それ以上はここに書きます。

ウディコン、たまに緑帯とかで通して遊べないのもあるのは分かります。ただ、最近はそんなに見なくなった気がします。レベルが上がっているのか敷居が上がっているのか。
ともかくこのゲームは、ある種そういったゲームに擬態しているタイプなので、このコンテストでしかありえないゲーム性をしています。ウディコンという場だからこそ手に取られうる物語でもあるのかもしれません。おめえ、ノンポリか?というゲームが3位に輝くコンテストなので。

類似のゲームにはバグダスがありますが、このゲームはバグに対して突っ込みを入れるという形式を取っているので、よりゲームっぽい印象を受けます。
そちら同様に、それバグじゃなくて余計に作ってるじゃんというタイプも散見されるんですが、そこも突っ込みを入れることでうまくバランスを取っている印象です。

演出面もシンプルながら、ズームと地震を駆使したテンポの良いやり取りでゲーム性にマッチしている印象を受けました。大文字で叫ぶ勢いのある突込みと相性が良いです。
そもそもある種周回前提なので、これくらいのテンポ感がちょうど良かったりします。

また、周回に対してちゃんとシステム面でも補助が入っていて、レベル上げとか鍵の取得とか移動速度の向上とか、色々と楽になっています。ちゃんと立ち回れば、全回収は10分程度で終わるレベルです。
もう一つの要素はオマケなのでまあまあに面倒ではありますが、こちらはオマケなのでそういうデザインなんだろうなと感じています。

そして、物語がこのコンテストの中で描かれているがゆえに美しい構造をしていて、クリアした際には良いゲームだったなあという気持ちが支配的になりました。
ゲーム製作に携わっている身としては、こういうゲームをやると心の栄養になりますね。アトペスをやった時と近い感情が出てきます。
デバッグに自分の名前が載るという演出が好きでした。

ちなみに、あの倉庫番は30分くらい頭をひねっていました。
一回ギブアップが頭をよぎってTwitterで軽く調べたら問題が変わっていそうだったので、あきらめて自力で解いています。上の2時間のうち4分の1を占めるので、ただクリアするだけならたぶん1時間で行けそうです。

25. メイドインザフィアー

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG Karukus
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.05 シャリ―でしっかりクリア

良かった点

  • そこそこシビアなリソース管理が要求されます
  • 着替えにリアクションがあるなど細かいところも作られています

気になった点

  • 「しっかり」から緩いセーブ制限があっても良いかもしれません

レビュー

ノンフィールドRPGを緊張感とともに

メイドインザフィアーは、そこそこシビアなリソース管理型ノンフィールドRPGです。
二人のメイドさんから一人を選び、ゾンビが跋扈する館から脱出を目指します。

館からの脱出は薄暗い地下から始まります。
基本はシンプルなノンフィールドRPGであり、先に進むか寄り道して部屋に入るかを選びながら進行しつつ、一定以上進んだら、その階層がクリアとなります。
しかし、ゾンビがはびこる館の中では、そう易々とは進ませてくれません。

進行のたびに起こるイベントの中では、ゾンビとの戦闘に巻き込まれることもあります。
ゾンビは手ごわく、何度も戦っていては体力が持ちません。これらを上手くさばいていくには、適度に回復したり、よい武具やアイテムを持っておく必要があります。そのためには、進行する前に部屋に寄り道をして、アイテムを集めておく必要があるでしょう。
ただし、部屋の中にはゾンビが待ち構えていることもあります。リスクを理解しつつ、リターンとの天秤にかけていきましょう。

また、こうした行為をサポートするのがSPと呼ばれる満腹度のような概念です。
これを消費することで、部屋の中に敵がいるかを確認したり、アイテムを余分に取得したり、戦闘中に強力なスキルを発動したりと、様々な利益を得られます。
ただし、SPは食べられるアイテムによって回復可能とはいえ限りがあります。この消費型のリソースをどう使っていくかが、館を脱出するポイントとなっていくでしょう。

リソースをうまく管理していきつつ、緊張感のある戦闘を楽しんでいきましょう。

感想

緊張感のあるノンフィールドRPGという感じです。
リソース管理が結構シビアで、立ち回りが悪いと戦闘でごりっと削れます。

序盤はSP回復手段に乏しく、どこまでリスクを取ってどこまで戦いを求めるかのバランスが楽しめます。見敵必殺も良いんですが、あんまりやりすぎるとお祈り運ゲーになってしまいます。
ちゃんと退くという選択肢を持っておくことも大事で、リスク管理が求められるゲームになっています。

また、SPの回復手段に乏しいからとケチるとろくな目に遭わないので、スクラップを集めて装備を強くしておいた方がトータルコストは抑えられます。
見敵必殺についてはリスクもありますが、リターンもかなり大きいので、余裕があるなら常に狙っていきたいレベルです。

個人的な戦略は見敵必殺重視で、釘バット+ステーキナイフによる火力重視スタイルでした。服を馬鹿には見えない服にして回避を優先し、クリティカルでさっさと倒す作戦です。
部屋は常に聞き耳を立て、先制と高火力でダメージをもらう前に倒し切ろうとしています。おおよそ上手くいくんですが、運が悪いと最悪ゲームオーバーも見えるハイリスク型でした。
闇なんとかゾンビみたいなやつが結構強いので、あいつを見た瞬間に逃げたくなる。

地味に着替え要素に対してキャラクターたちが反応してくれる要素もあるので、その反応目当てに周回しても良いかもしれません。
筆者は馬鹿には見えない服を着ていったのでそういう展開になりました。反省はしている。

システム的には、セーブ無制限はありがたいんですが、しっかりでもセーブ制限があっても良いのかなあとは思っています。
極論毎回セーブすればリスクが消えるので、部屋に入る前にセーブなどの手法がとれてしまいます。それだと悲しいので、毎回その階層に入った時しかセーブしていませんでしたが。
そういう人は歴戦をやればいいというバランスなのかもしれません。

見敵必殺のリザルト

26. てんすく’22

ジャンル 作者
ノベル/RPG Phuru Sukune(メイぷるゼリー)
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.01 幻海END

良かった点

  • 色々とストーリーが描かれています

気になった点

  • 中間の選択肢系UIが使いにくく感じました
  • 戦闘バランスがだいぶ大味でした

レビュー

カオス

てんすく’22 は、独特なシステムを持つRPGないしはアドベンチャーゲームです。

ゲーム全体としては、学校で巻き起こる様々な物語の比重がやや高くなっています。
基本的には一方向に進行する物語ですが、オプションとして閑話や単話を読んでいくこともできます。後述の通り、これらの物語を読むこともクリアには必要となってくるでしょう。

その一方、RPGパートでは特定のマップを攻略する形式をとっており、ベースとなる戦闘システムは一般的なものとなっています。ただし、能力値の取り扱いに特徴があります。
このゲームにおいては、戦闘することで上がる通常の能力値と、学校のノベルパートで上げられる能力値の二つが存在します。どちらも欠かさず上げておきましょう。

最後に待ち受けるものはそれなりに強大なので、戦いもアドベンチャーパートも適宜行ってそれぞれの能力値を鍛え、戦い抜いていきましょう。

感想

全体的にはカオスというか、着地点が分からない物語を延々と読んでいる感じのゲームです。
電波って言えばわかりやすい気もしつつ、電波って程筋が通ってないわけでもない感じ。
語弊を招くことを恐れないで説明するのであれば、 陰キャの物語陰謀論を添えて、みたいな印象です。

物語的には、陰キャが己の境遇を他責にして逃げていく様をまじまじと描写していました。それでいて、初対面の人達のそこそこディープな話題を聞けるあたりの無遠慮さも兼ね備えています。家庭内の事情と聞いて目を輝かせるな。
全体的に陰キャの解像度が高いですね。

物語の内容で言うと、おおよそ話は暗めでありつつ、本線の物語に絡むのはそんなにないイメージです。
他キャラクターには暗いバックグラウンドこそありつつ、それが何かに影響を与えている印象はありません。加えて、それ単体である程度完成されているのは、エピックストーリーにしてオチがつけられたスクネぷるくらいかなという印象です。
後は、色々思想があるんだろうなあという気がします。実家が太いとか、チー牛とか、界隈とか、言葉の端々からそういう印象があります。割と誇張表現めいているあたりも解像度が高い。

また、全体を通して陰謀論めいているところもあって、かつ登場キャラクターの口調が「だよね」とか「~ね」とかいう語尾なので、ずっと脳内で関が喋っているようでした。全部イルミナティのせい。
久しくTVを見ていないので、関と形容してどれだけ通じるか分からないのですが。

個別の話をすると、ギャンブラーのような人間、どういう人間なんだろうと思っています。
何となくカイジとかそちら側のギャンブラーを想像していそうで、筆者が直近で読んだギャンブラーがジャンケットバンクだったので、大分イメージが違います。一口にギャンブラーと言ってもフィクションにおいては、色々種別がありますね。

戦闘面で言うと大味なバランスではありますが、まあまあ敵が強いです。
いわゆる経験値でレベルアップする能力値と、物語を読むと強くなるらしい能力値があるんですが、前者は回復陣の上で実質無限に回復できるので、成長自体はやりやすいほうです。上限が決まっている後者の成長形態のほうが頭打ちが早い。

最初のプレイ時はお遊びだけずっとやっていたら最後に蹂躙されてしまったので、ちゃんとクリアしたいなら適度に成長させておく必要があります。
基本大体のボスはレベル上げだけで何とかなりますが、ラスボスだけはHPがやたらめったら高いので厳しいです。お勧めはスピリタスをひたすら飲ませることです。毒は正義。後は、全能力値ダウンのアイテムを投げておくと楽です。

なお、実質的にほぼノベルっぽいアドベンチャーで、オマケで戦闘要素があるイメージなんですが、合間合間の選択肢が非常に使いにくいです。
セーブ制約の良く分からなさもあるんですが、選択肢が下にはみ出ているのは常に気になっていました。なんで中央に揃えないんだろう。また、このタイプの選択肢系UIは、大体位置保存がなされないので微妙に使いにくく感じました。

27. 選択肢がなでるとなめるしかないゲェム

ジャンル 作者
ノベル かにわーるど
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.0 全END

良かった点

  • 色々なBADエンドがあります
    • 短い中で笑える作品でした

気になった点

  • BADを回収しようとすると、スキップがない点や、セーブがDay単位である点がやや厳しいです

レビュー

選択肢がなでるとなめるしかないゲーム

選択肢がなでるとなめるしかないゲェムは、選択肢がなでるとなめるしかないゲームです。有り体に言えば、ノベルやアドベンチャーといったジャンルのゲームになります。

この作品は、突如選択肢が「なでる」と「なめる」しか現れなくなった主人公が、様々な災難に対して立ち向かっていく物語となっています。
どんな奇想天外な現象が起きても、主人公が取れる選択肢は「なでる」か「なめる」のいずれかしかありません。その時々の状況をもとに、判断を下していきましょう。
ゲーム中はどんな時でも油断してはなりません。選択を誤るとバッドエンドが待ち構えています。

ただし、それぞれの選択に用意された奇妙奇天烈なバッドエンドを色々と見るのもまた一興です。
好奇心のもと、あえてバッドエンドを狙って選択肢を選んでみるのも良いかもしれません。

三日間の間に降りかかる脅威を、なでたりなめたりして乗り切っていきましょう。

感想

タイトルが全てを物語っているというか、タイトルでオチている作品というか、そんな感じです。
タイトル通りのことしか起こらないし、大きなどんでん返しもないんですが、この作品を手に取る時点でそんなものは求めてはいないのでちょうど良いです。

基本的に選択肢はBAD直行か進行かの二択であって、理性的な判断が意味を成すのは序盤くらいです。後半は裏をかかないとBAD直行は防げません。誰か、BADに一度も行かずにクリアできた人いるのかな。
筆者はできるだけBAD回収できる選択肢を選ぶ方針で進めましたが、それでもいくつか引っかかりました。そこでなめるとは思わないじゃないですか。

時にはかなり突拍子もない展開に振れることもあって、そういった選択肢からの意外性はだいぶ担保されているのが良かったです。最初は割と想像通りに事が運びつつ、終わりの方では良い感じに選択肢が裏切ってくるのが面白いです。
ずっと安全選択肢だったものが豹変したり、明らかに正しそうな選択肢が間違っていたり、短い中でもちゃんと緩急がついています。

また、短編としてはちゃんと絵もついていて、一つ一つのBADエンドがきっちりとあって、短い中で笑える作品でもありました。
一番好きなBADは事案発生演出のあるロリコン罪です。見えている地雷でも踏まずにはいられない。

なお、BADがSound of Dropを思い出すレベルでいっぱいあるにもかかわらず、スキップがしにくいゲームなので、BAD回収はしにくめでした。
お勧めはキャンセルキー連打で、選択肢までは脳死で押せます。選択肢までスキップか、そこでセーブ機能は欲しかったかもしれません。一応、Day単位ではセーブできるので、めちゃめちゃ戻されるようなことはありません。