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28. 神殺しの聖戦

ジャンル 作者
RPG shot.arrow
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 4.3 クリア

良かった点

  • リソース制約の中で緊張感をもってダンジョンに潜れました
  • ある程度早く魔王のもとにも辿り着けるような自由度のある世界でした

気になった点

  • レトロ風のためか、プレイヤーに不親切な仕様が散見されます
    • もちもの制約が通知されない、前触れなく宿屋で現金をスられる、などです
  • シナリオを自由に進められるため、重要イベントを十全な状態で受けられない可能性があります
    • 各イベントが簡素であることも寄与しているかもしれません

レビュー

レトロなオープンRPG

神殺しの聖戦は、レトロ風味なRPGです。
そのゲームの特徴として、かなり自由な順序で攻略できることが挙げられます。プレイヤーは始まりの村の周辺をうろつくでも、いきなり奥地に向かうでも、好きな形で冒険していくことができるでしょう。

ただし、奥まったエリアには相応にやや強めの敵が待ち構えています。
これらに対応するためには、装備とアイテム、そして魔法を整えていく準備が不可欠です。このゲームには基本的にレベルの概念がないため、それらの準備が勝敗を左右します。
装備は回数を消費して敵にダメージを与える消耗品であり、敵からのドロップや店の購入により補充できるものです。強力な装備は高価であったり入手困難なものが多いので、価格などのバランスを取りつつ揃えていきましょう。
また、奥地に向かうには雑魚との消耗戦を戦い抜くことになるので、回復アイテムも欠かすことはできません。アイテムは8個までしか持てないので、こちらもバランス良く揃えておく必要があるでしょう。

しかし、こうした消耗品に頼るだけではジリ貧になりかねません。これを打破するには、魔法の力を借りて活用するのがお勧めです。
魔法は各地で習得でき、MPを消費することで強力な攻撃を浴びせることができます。雑魚散らしにもボスへの痛打にも使えるため、事前に習得しておくと役に立ちます。

これらの準備を上手く整えることができれば、どこにでも行ける開けた世界を思いのままに冒険していくことができます。様々な場所を巡り、世界を旅して各地でイベントを進めていきましょう。
その中で記憶を失った主人公の正体と目的、そしてやるべきことが少しずつ明らかになっていきます。
やがて立ち向かうことになる強敵に消耗戦を乗り越えて挑むためにも、各地を巡って準備を万全にしていきましょう。

感想

この後で感想を書くダーゴラスとはまた違った方向性でレトロの空気感を醸成している作品です。
モンスターの性質もだいぶ違っていて、こちらはなんとなく洋ゲーの敵っぽい印象を受けるモンスターが多めでした。スライム、あの見た目だと強そうですね。実際D&Dでは強かったらしいです。このゲームではドラクエのスライムポジションではありますが。

個人的には、開始1時間で魔王のもとに辿り着けるような自由度のある世界が良くて、いきなりちょっと難しい砂漠越えにも気軽に挑めます。
というのも、このゲームは武器や魔法の概念はあれどレベルの概念が無いので、ある程度の武器と魔法が揃えばそれなりの相手でも戦えてしまうからです。あえて全体的な戦闘バランスをそこそこ均しておき、その分で自由度が確保されている印象でした。
それでも魔王を始めとして関門にはきちんと強敵を配しており、ある程度準備をしないと負けるようにもなっています。良いバランス。

戦闘バランスについてもう少し言及すると、武器より魔法の方がコスパが良い世界です。
武器は攻撃回数が決まっているので、何度か殴ると壊れる消費アイテムになります。一方で魔法はMPを消費すればアイテムの消費なしで行うことができ、HP回復ついでに宿屋に泊まればMPも回復します。さらに威力もおおむね魔法の方が優秀です。
具体的には、魔法はMP全快から11発撃てて、宿屋は20Gなので単価2G未満に対し、武器はグラディウスを最低限度に据えても40Gで15発です。しかも大体火力が二倍くらい違う。
魔法が通りにくいモンスターもいるにはいるんですが、そういう相手は殴ってもコスパが悪いので逃げるのが得策でした。ただ、逃げるのも絶対安全じゃないので、割とヒリつきます。特にリソースが厳しくなりやすい井戸は中々の緊張感がありました。

なお、ラスボスはある意味イベント戦なんですが、割と体力があります。裏ボスっぽいのを倒したおかげでHPが半減していたんですが、それでも結構時間がかかりました。ここだけは魔法より物理をどうにかした方が良かったかもしれない。

話を変えてシナリオについてですが、かなり情報量が少なく、淡々と進んでいくのがレトロっぽくて良いです。長いイベントなどほとんどなく、自由に歩き回っては思い通りにサクサクとイベントをこなしていけます。
その分、ストーリー性というかキャラクターへの記憶はだいぶ定着しておらず、仲間になるキャラに最初どこであったかしばらく思い出せないほどです。最初に会ったところに行こうと言われたんですが、本当に分からなくてだいぶ彷徨い歩いていました。

また、自由シナリオ的な動かし方ができる弊害で、ある程度重要なイベントを後ろ倒しにできてしまいます。これもあって、仲間キャラ加入が遅れ、即座に離脱イベントが始まったので覚悟を問われても感情が追い付いていませんでした。思い入れができるほどには、一緒に旅ができませんでした。残念。

後は、全体的に許容できるギリギリのラインの不親切さをしています。
例えば、もちものを8個まで持てるんですが、これは持てなくなるまで分かりません。今もちものがいっぱいであることは、ドロップや宝箱を開いて初めて分かります。
また、宿屋に泊まるとランダムで金をスられます。3Gで泊まれる明らかに劣悪な宿ならまだ分かるんですが、開始地点近くの宿屋ですら確率でスられます。せめて誰かその情報を伝えておいてほしい。
ほかにも、狭いとはいえキメラの翼もなく、ダッシュしてなおやや遅い行動速度を持ち、聞き逃すと致命傷になる重要な会話がそこそこあります。
この辺は良い意味でも悪い意味でもレトロっぽく感じました。

レトロな雰囲気を味わいつつ、そこそこシビアな戦闘とリソース管理もやれる良い作品でした。魔法を撃ち尽くして辛くも勝利するのが一番楽しいですからね。
しかし、性質が違うとはいえ近い印象のダーゴラスと並んでしまったのは奇跡的ですね。近い作品が出ることは間々ありますが、綺麗に連番で出てるのは中々見ません。

29. ダーゴラス

ジャンル 作者
RPG げむつくマン
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.10 全END

良かった点

  • レトロ風を保ちつつ、利便性の面が現代ナイズされています
  • モブも含めたキャラクターの台詞が良いです
  • 割とスリリングな戦闘を楽しめます

気になった点

  • 不運が重なると、ミスなしでも負ける戦闘バランスに感じました
    • ただし、リカバリーがノーリスクなのでストレスはそれほど感じません

レビュー

現代的レトロRPG

ダーゴラスは、ドット絵で描かれるオーソドックスなRPGです。
余り情報を開示することなく進行していくシナリオや、ゲーム全体に漂う空気感は往年のRPGを彷彿とさせます。

しかし、この作品は単にレトロなRPGを再現するにとどまるものではありません。
移動速度を速めて操作感を快適にし、重要な情報は常にメニューから参照でき、死亡に大きなペナルティもありません。ゲームをプレイしている時の感覚は、現代風の快適さでコーティングされています。

それでもレトロな空気感を崩さないのは、必要な情報を足で稼ぐ往年のスタイルを取るゲーム進行や、短いセンテンスでパンチを効かした様々な台詞回し、サシで殴り合う原始的な戦闘システム、といったようなコアな部分を崩していないためです。
核にレトロ風の要素を据え、その印象は確かに往年のものであれど、触ることで感じる遊び味はとにかく快適といった仕上がりとなっています。

レトロな空気に浸りながら、サクサクとプレイして楽しめるRPGです。
手に取ってさっぱりと遊びましょう。

感想

レトロっぽいゲームなんですが、だいぶ現代ナイズされたゲームでした。レトロ風ゲームは空気感を演出するためにあえて不便さを含めるところが多々あるところを、このゲームでは、ドット絵の風味やキャラクター数の少なさ、センテンスの短さで空気感を作り出し、システムはかなり現代風に作っています。
それでいて、許せる範囲ではレトロ風の理不尽さも内包しているような印象も受けました。この辺が摂取限界というあたりの見極めが上手いです。

理不尽さの大きなポイントとしては、戦闘における敵行動のばらつきを挙げたいところです。要素が少ない一対一構造であるがゆえに、敵の特殊攻撃のバリエーションは少なめで、単純に振られると辛い技が多めになっています。この行動が偏ると、こちら側が一気に瓦解していくバランスになっています。
一対一ゆえにリカバリーを利かせるのも難しく、強行動を引かれ続けないように、できるだけ早めに決着を付けに行くのが理想の展開となっています。

ただし、ゲームオーバーになっても大して問題はなく、ロスト無し、何なら何故かちょっとお金をもらって復帰できます。このため、ある程度ラッキーパンチで負けたとしても、そこまで苦ではありません。
むしろ、これくらいのリスクがあるバランスになっていないと、シンプルな戦闘なので刺激が少なめになりそうです。スリリングさを求めるためにはこの程度のバランスが必要で、その天秤がハードラックで変に傾いてしまったのであれば、そこはシステム側で救済しようという設計になっており、トータルではかなり良いバランスになっていると思っています。

特に個人的に良かったのは、回復ギリギリの状態でひりゅう戦前に到達し、抱えていたアメを2つ舐めて突撃したところ、残りMP8で薄氷の勝利を掴んだあたりです。このギリギリの戦いをしたという感覚が好き。
ラスボス周りもちゃんと強く、乱数行動でピンチに陥る前にボーボーヤで焼きにいく必要のあるスリリングな難易度でした。適当に殴っているとすぐに負けが近付きます。

また、救済措置なのかチーズバーガーで能力値を上げることもできるので、あんまりリスクを取りたくない場合はレベリングしていくことも可能だとは思います。筆者はチーズバーガーの存在にクリア後に気付きましたが、うろうろと探索している方は早々に見つかると思います。
ちなみに、実はかなり早く場所については見つけていたんですが、あれとチーズバーガーがすぐに結びつきませんでした。反省。

そして、レトロっぽさというかこの空気感を演出してる最大の要因は、短いセンテンスにパンチのある言葉を詰め込んでいるセンスだと思っています。
長々と説明もしないし、情報がやたら精細すぎたりもせず、しかし情報として不足しない程度に、かつユーモアを伴って構成されています。各々が短く、面白くもあるので、モブに積極的に話しかけに行く誘因ともなっていました。
原則プレイヤー側に通知してくれることは何もないので、自分から積極的に話しかけに行って足で稼ぎ、情報を手に入れてはそれを基に行動する、という古き時代のRPGの構造をなぞりつつ、きちんとその導線が引かれている作品となっています。

ちなみに、クリア時の状態は以下のようになりました。
いくつか盗めそうなものはありましたが、それらをできるだけ盗まなかったので、衛兵にお世話になることはありませんでした。次やるのなら悪人プレイをやるべきでしょうか。
敗北については、最序盤とラスボスの2回です。それ以外は割と安定していました。

クリア画面

30. 早咲飛立Presents ウルファールの短編集

ジャンル 作者
オムニバス 早咲飛立
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 8/15 全メダル

良かった点

  • サクッとミニゲームを色々と楽しめました
  • オムニバスを緩くつなぐ要素もあります

気になった点

  • 黒文字がやや読みにくさを覚えました
    • ただし、その分強調色の文字は読みやすかったです

レビュー

短編ゲームオムニバス

早咲飛立Presents ウルファールの短編集は、様々なミニゲームが遊べるオムニバス形式の作品です。
いずれも短い時間でさっと遊べるゲームが収録されています。

ゲームの種類は謎解きのようなものからアクション性を求められるものまで様々であり、色々なミニゲームを遊ぶことができるようになっています。
難易度はどれも抑えめなので、サクッと遊ぶことができるでしょう。
ただし、ノーミスでクリアすると得られるパーフェクトメダルを始めとした、裏ミッション的な要素を集める場合は一筋縄ではいきません。それらを達成したいプレイヤーは、断続的に配置された要素に目を光らせつつ、そこそこの緊張感のもとで挑むこともできます。

サクッと短いゲームを遊ぶも良し、パーフェクトにこだわって慎重に目ざとく進めるも良し、お好みのプレイスタイルで挑みましょう。

感想

サクサクとミニゲームがやれる作品です。オムニバスの中にオムニバスが入っているような入れ子構造をしていて、色々なネタが詰め込まれています。
一つ一つはシンプルなのでさっさと次に行けて、破綻も瑕疵もないのでサクッと遊ぶのにちょうど良い作品でした。清涼剤みたいな感じ。

それでいて、パーフェクトメダルがあるので程々にミスしたくない緊張感はありますし、隠れウルファールという遊び要素も入っています。
ちょっとだけ気を配る対象があると、本来繋がりのないオムニバスの合間も引き締まるので良い要素でした。意識の端に常にウルファールがいる。ただ、Aのウルファールは初見で見つけるのは困難な気がしています。あのウルファール以外は全部初見で見つけられましたが、アレだけはもっと気を配ってても無理筋っぽいです。

個人的に好きなミニゲームはニワトリ操作で、もう一つ二つギミック足せば一本できそうな良いアイデアでした。Aを遊んでいて時間制限タイプでも良さそうだなと感じていたらCで近いのが来たのも良くて、順序通りに遊ぶとちょうど基礎、応用の順序で遊べます。
また、念のため最終ステージについては大幅に割愛するんですが、個人的にはBが割と難しい印象でした。ギリギリ一発で通せた。

個人的に遊んでいて気になったのは文字がずっと黒文字なことなんですが、これはだいぶ人によるところなのかもしれません。
筆者だけの可能性もありますが、黒文字は白背景以外で読んでいると何故かめちゃめちゃ読みにくく感じます。何故。ただ、おかげで白寄りの強調色が目にものすごく入ってきやすいので、特に謎解きやギミックの作用としてはかなり良い効果を発揮していました。多分これは白字だと薄まりそうです。一長一短。
これを書きながらスクリーンショットを見て感じた印象としては、文字のドロップシャドウが黒いのかもしれません。それで滲んだ印象があるのかも。

何にせよ、色々やれて楽しかったです。

31. アルバトロス新聞社

ジャンル 作者
アドベンチャー みずゆ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
30分 8/6 終了

良かった点

  • 独特な世界観がシニカルに描かれています

気になった点

  • 特殊な用語を検索できますが、そこそこ対応していないものがあります

レビュー

ただ何もせずとも低きに流れる

アルバトロス新聞社は、記事編集を繰り返す日々を送るアドベンチャーです。
プレイヤーは記事を編集し、就寝するという一連の流れのみを行って日々を過ごすことになります。

記事の編集においては、ほとんどプレイヤーの意思が介在する余地はなく、ただそこにある悪意へと流れ続けていきます。
そうしてひたすらに流れていく日々と時々に起こる時事を眺めつつ、気になるものがあればちょっとだけ外の反応を伺ったり、検索することができたりするだけです。
無為の中の悪意に身を浴しつづける、奇妙な体験を得られることでしょう。

多くの時事ネタはどこかで見たようなものでもあり、それに対する反応もまたどこかで見たようなものとなっています。
どこかで見たようなその何かを、改めて眼前に晒してはみませんか。

感想

毎度のことながらこれはゲームなのかと思いながらプレイしています。やりたいことと胡乱な情報を詰めて、一定の法則で飛び出すようにした装置なんじゃないかという気すらしてきました。
飛び出してきたそれに意味を見出して物語を構成しても良いし、そのまま漫然と受け入れて咀嚼することなく飲み込んでも良いような作品です。筆者はこれを後者で解釈したので、追体験のようなゲームだと認識しています。

タイトルなどを見た印象はHEADLINERっぽいのかなと思ってはいたんですが、実態はだいぶ違っていて、時事を操作するというよりは時事を眺めるゲーム性をしています。時事ネタ盛り盛り。日本に住んでいれば分かる時事ネタだけで構成されている、と言っても過言ではないかもしれません。
一応チャンネルを変えることによるルート分岐などもありはしますが、おおむね単純に日々を消化し続けることになるゲームでした。選択肢はほぼなく、どっちのルートに入ろうとも、ほとんど分岐することなく進行していきます。
情報の空虚さや行為の無為性をもって表現された世界観という感じです。

時事の取り上げ方は皮肉っぽいというかシニカルな感じで、冷笑系に近い温度感が表現されています。これは何もゲームの主張そのものが冷笑系というわけではなく、ゲーム内でトレースする世界が冷笑系という話です。
そうした世界を鋭くえぐって批評するでも、声高に批判するでもなく、その行為やそれを行う人々をひたすらトレースし続けることで表現しているのかなという印象でした。有体に言えばTwitterの悪意の再現度が高い。

なお、ちょくちょく特殊な用語が出てくる上に、全部がちゃんと検索で出てくるわけではありません。イノチの木って何ですか。また、検索したら検索したで、知らない言葉を知らない言葉で説明されることもあります。Wikipediaの解説みたいですね。

32. チリガミの塔

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG Masaqq
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.2 NORMALクリア

良かった点

  • 緩く協力できるオンラインのシステムが機能しています
  • ボムを基点とした思考を回せる、独特な戦闘システムが楽しいです
  • 武器のサイクルが上手く回るデッキ構築型の仕組みが整備されていました

気になった点

  • 攻撃のアニメーションが冗長に感じました
  • UIの主にドラッグ周りがやや使いにくかったです
    • 現行バージョンでは改善されている可能性があります

レビュー

チリも積もれば何とやら

チリガミの塔は、独特なシステムで構築されたノンフィールドRPGです。
回数制限付きの武器を上手く運用しつつ戦闘を進め、一定階層ごとのボスを撃破していくことになります。

戦闘において雑魚からの被弾を抑え、ボスを効率よく攻略していくためには、その独特なシステムを理解して上手く立ち回る必要があります。

戦闘画面

戦闘は上記のようなヘックスのマスの中からターゲットがランダムに選ばれ、そのいずれかに手持ちの武器で攻撃することで進行していきます。
武器には攻撃力が設定されており、各マスにある数値をこれで削り切ると、その色に応じて敵にダメージが入ります。赤は5、青は3、灰は1ダメージとなっており、加えてそれぞれの色の弱点となる武器属性で攻撃するとより多くのダメージを与えることができます。
さらに武器には攻撃する範囲が設定されており、上記の斧であれば、縦一直線の範囲を攻撃できます。
これらの情報を踏まえ、相手の体力、マスの位置や色などを勘案し、手持ちの武器から適切なものを選択して、効率良くダメージを与えていきましょう。例えば、上記の例では攻撃力6の武器で縦に全てのマスを削り切ることで、17のダメージを与えられますが、相手のHPは5なのでオーバーキルであるとも考えられます。

かてて加えて、思考を複雑にするのはボムの存在です。
これに触れてしまうと敵の攻撃力が上がり、ゲームの難易度によっては追加でダメージを受けてしまいます。ボムを受け入れてでも相手へのダメージを優先するか、ボムを避けてリスクを防ぐべきかどうか、現在の状況と敵の性能を加味して適切な判断が求められるでしょう。

こうした様々な情報が絡み合う複雑な戦闘システムとなっているため、ともすれば全てを把握できるか不安になるかもしれません。
しかし、使用したい武器の攻撃ボタンを右クリックすることで、その武器を使用した時に起こる結果の予測を、上記の画面に示されるような形で簡単に出すことができます。運用上は、こうして出た予測の中から適切な選択を見つけていくのが便利です。

そうしてこちらの攻撃を終えると、相手からの攻撃を受けることになります。この時、敵からのダメージを一番上に置いた武器の使用回数を消費して受けることもできます。
受け性能の高い武器を装備の中に含める、使う予定のない武器を上において消費する、あるいはあえて空にして攻撃を受けるなど、どうやって敵の攻撃を受けるかもまた戦略の一部となるでしょう。

これらのシステムを前提として、どんな武器を手に入れるか、どの武器を残して攻撃を選ぶか、プレイヤーはそういった時々に応じたリソース管理を重ねていくことになります。
このため、雑魚との戦闘であっても気を抜くことはできません。最後に待ち構えるボスを効率良く倒すためにも、道中の戦いにおける武器の選択は妥協せずに、リソース管理を徹底していきましょう。

また、このゲームにはオンラインによる緩い協力要素がいくつか存在します。
特に、ほかのプレイヤーがクリア時に持っていた強い武器をギフトとして受け取る仕組みは攻略の助けとなるでしょう。序盤から高い性能の武器を獲得できるため、上手く活用すれば戦闘を優位に進められます。
オンラインの連帯を上手く活用し、塔を登っていきましょう。

感想

オンライン要素が好きな作品です。この辺の緩い連帯感、ウディコンという場に上手く刺さっているように感じました。場に向けて設えられた仕組みとして美しいです。
その上で、ただそのシステムだけで勝負するのでなく、ゲーム本体も面白い独自の戦闘設計で構築されているのも良かったです。アイデアが二重に乗っていて、上手く噛み合わせて機能させています。

戦闘のシステム面で秀逸なのが、ボムの仕組みです。ゲームの設計上、ターゲットと火力は一番良いのを選べば一番強いということになりそうですが、ここにボムが入り込むことで判断を一段階深める設計になっています。
これにより、ボムのデメリットを受け入れてでも高い攻撃力を通すのか、相手の被弾を受け入れてボムを避けるのか、リソース管理の面での思考を必要とします。一番攻撃性能の高いパターンを選ぶ、一番ボムを食らわないパターンを選ぶ、許容可能な範囲でボムを受けるパターンを選ぶなど、複数のターゲットがあることに意味を与える良い設計だなあと感じながらプレイしていました。

また、ゲーム全体の設計はデッキ構築型ローグライク風ではあるんですが、相手の攻撃を武器で受ける、という設計もユニークに感じています。
使用回数がそのまま防御なので、何を防御に回すかの選択も考える必要が出てきます。回数の少なくなった武器を上に回して受けに使うのも良いですし、ちゃんと防御用のカードをデッキに組み込んで運用するのも良いですし、色々と戦略の幅があります。
加えて、この仕組みと使用回数の兼ね合いにより、頻繁に装備がリニューアルしていくのも良いところです。ゲーム後半になるにつれ武器が強くなるため、基本的にはサイクルを回した方がアドが取れるんですが、それをプレイヤーが意識せずとも行えるデザインになっています。
その上で、お気に入りの武器があれば合成である程度延命ができる仕組みもあり、ランダム性と新陳代謝のバランスが上手く取れている印象でした。

なお、初見だと武器の性能が分からないので選択が難しい面はあり、基本的には武器は拾ってぶっつけ本番でテストしてみるしかありません。
この影響で、特に終盤は新しい武器に手を出しにくいところはあります。少なくとも序盤のうちにある程度武器を触って、バリエーションを把握しておくのが重要っぽいです。もしくは二週目に頑張りましょう。極端に弱い装備は無さそうなので、とりあえず入れておけばなんとかなることもあります。

また、制度設計自体は以上にあるように高い完成度だなあと感じていたんですが、一方でUIの触り心地はちょっと慣れが必要でした。
特に武器順入れ替えがだいぶ直感的でなく、掴んだ位置がやや上にはみ出るくらいだと下の方を掴む挙動を示します。加えて、入れ替えのドラッグが交換の挙動になり、挿入ができません。並び順の変更として、交換というのが微妙に非直感的でした。
ただ、このあたりの使用感はプレイ後のバージョンでも改善が行われたようなので、現在はそんなに違和感があるほどではないかもしれません。

冒頭でも触れたオンライン要素についても言及しておくと、ギフトと共有ポイントという緩く協力できる仕組みであるというのが個人的に好きなところです。ウディコンにおけるオンラインの仕組みは、割とランキングという競争の仕組みに寄りがちなんですが、このゲームでは皆でチリを積らせてエンディングに届かせる連帯が感じ取れる設計になっています。
また、ギフトというゲームを初めてすぐに恩恵を感じられる仕組みと、最後にチリをもって分岐する遅れて分かる恩恵の二段構えになっていることで、初めにも終わりにもオンラインによる協力を感じられる設計であるのも良いところです。ちゃんと皆と緩く協力していたということが印象に残ります。

このあたりの基本的な仕組みのほかにも、オープニングで流れる3Dのアニメーションとか、寒いステージで画面に霜が出てきてドラッグで消せるとか、細かい遊びも個人的には好きなポイントです。
アイデアが惜しげもなく積み込まれた作品という感じがして良いゲームでした。

ちなみに、プレイデータは以下になります。
割とボディを満遍なく使ってますね。武器の新陳代謝が良くできていることがここからも見て取れます。

プレイデータ

33. 怨御霊 -URAMITAMA-

ジャンル 作者
探索ADV 餓鬼郎党
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.01 全END

良かった点

  • キャラクターのアクが強かったです
  • 程よく脅かしのあるホラーでした

気になった点

  • 渡り廊下の扉の演出がやや冗長に感じました

レビュー

本当に怖いのは

怨御霊 -URAMITAMA- は、ホラー要素を含む探索アドベンチャーです。
主人公は雨の中辿り着いた不気味な屋敷の中で、様々な現象に巻き込まれることになります。

館もののホラーとしてはオーソドックスな仕上がりであり、適度な脅かし要素やイベントを交えつつ進行していきます。探索要素もシンプルであり、適宜セーブを推奨するシステムの存在もあり、それほど詰まることなく進めていくことができるでしょう。
そうして屋敷の中を探索することで、シナリオは少しずつ進行していきます。その中でも特筆すべきはヒロインに位置していそうなキャラクターのアクの強さであり、そのキャラクターの強さでもってシナリオを終わりまで牽引するものとなっています。

彼女に振り回されつつも屋敷の探索を進め、その屋敷に隠された真相を突き止めていきましょう。

感想

よもや続編が出るとは思いませんでした。相も変わらずミサオのキャラクターが強いです。しかしミサオ、カメオ出演も含めると、ウディコンでの登場は3回を数えることになるんでしょうか。4回かも。

ホラーゲームあるいは探索アドベンチャーとしてはかなり真っ当な作りで、キャラクターの奇抜さに反してかなり堅実な設計によりできています。
中でもON/OFF可能なセーブ促し機能は割と助かるところで、探索していたら急にイベントなりに遭遇してセーブの機会を逃すというようなことはほぼありません。この作品の性質上、そういったこと自体があんまりないというのはあるかもしれませんが。
渡り廊下の扉の演出がややもっさりしているくらいで、探索やイベントのテンポ感も良く、マップサイズも短編規模としてかなりちょうど良いものとなっていました。この演出についても、なんとなく渡り廊下が一つの境界であることを示しているのかなと感じています。

どうでも良いですが、プレイ当初は普通の家なのにトイレが男女で分かれているものなのかなと思っていましたが、作中でも言及がある通り、鳥居の幻覚がむしろ正しい姿であるあたり、恐らく神社由来の設備だからという解釈で通りそうです。
神社に風呂があるかは定かではありませんが。ある設備を流用して、無い設備は作り上げているんでしょうか。神様の力は凄い。

シナリオ面はオチを用意しつつ、やはりというか二段のオチとしてミサオが活用される上手いものになっています。二段オチをやる上でミサオというキャラクターが強すぎる。神様をも利用しようとするの、普通に取り壊してリゾートホテル建てるより悪辣じゃないですか。Win-Winっぽいから良いんだろうか。
二回目になるんですけど、こういった行先を教えてくれる先輩はミサオの指金じゃないかと疑ってかかりたくなります。

また、ジャンプスケアがホラーサイドではかなり弱く、むしろミサオで強くやってくるあたりも面白いところです。神様は基本的に善性の存在なので、その脅かし方は雑というか手慣れていない感じがあります。神様よりよっぽどミサオの方が怖い。超常の存在にジャンプスケアで勝利を収めるヒロインだ。

しかし、ウディコンのバナーでウディコン規約上アウトなものを隠すネタはこのコンテストでしかできない味だと思うんですが、余所の媒体に投稿する時はどうするんでしょうか。そのサイトのバナーで隠すのかな。

34. 霧の街の迷宮譚

ジャンル 作者
3Dダンジョン系RPG abon
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 8/4 クリア+彫像

良かった点

  • シビアな難易度も、ある程度の無法を許す難易度も双方楽しめる作品でした
    • 一部武器の強さが光ります
    • 状態異常の優秀さもありました
  • 3Dダンジョンの中で上手くギミックを構成していました

気になった点

  • 霧システムが余り有効に機能していないように感じました
    • 弱い霧を引くまでステージに入り直すのが丸く思えます
  • 基礎的なシステムの説明も宿屋の会話に任せているため、プレイヤーによっては知るべき情報が手に入らないということが起こりそうです

レビュー

深い霧の中を歩む

霧の街の迷宮譚は、3Dダンジョンを進むRPGです。
いくつかのステージに分かれた3Dダンジョンを充分に探索してから、ボスのいるダンジョンへと向かうという流れとなっています。

3Dダンジョンを探索していく上で気を付けるべきなのは、特定の位置に触れることで発生する戦闘です。戦闘の外の回復手段が宿屋などに限られているため、上手く消耗を避けないとゲームオーバーが見えてきます。
その戦闘におけるシステムは、ターン開始時に充填されるSPを消費してスキルをいくつか発動していくものです。装備によって使えるスキルは変化していくため、消費SPの少ないスキルで行動回数を増やすか、消費SPは高くても性能の高いスキルで殴るか、バランスを取るかはプレイヤー次第となります。なお、良い装備であるほど良いスキルとなる傾向が強いため、戦闘に勝利するには良質な装備を集めておくのが重要となるでしょう。
また、戦闘中は基本的に敵の行動予測が見えるようになっているため、これを参考に使用するスキルを組み立てていくのも肝要です。

ただし、ダンジョン内には霧がかかっており、この霧の深さによって戦闘の難易度は大きく変わっていきます。
というのも、霧が深くかかるにつれて敵の行動が見えなくなったり、敵の種類が分からなくなったりといった不利な状況に陥るためです。敵が剣士なのか魔法使いなのか分からなければ、スキルで防御を上げるべきか魔法防御を上げるべきかが分かりません。霧が深い時は、余り戦わないようにするのが良いでしょう。

そうしてダンジョンを進んで出口に辿り着くと、それまでに探索した量に応じて探索度が上がります。この探索度を一定以上貯めることで、ボスのいるダンジョンに挑めるようになります。
各ステージのボスは、いずれも特殊な攻撃を使ってくる難敵揃いです。装備を適切に集め、相手の行動を観察してスキルを上手く運用していかなければ勝利は難しいでしょう。何度も挑戦して傾向をつかみ、装備に付随するスキルで上手く対処することが肝心です。

それらのボスを撃破し、さらにダンジョンを進むにつれて、主人公は霧の街という異変の正体に迫っていくことになります。
その謎を解き明かすためにも、何度もダンジョンに挑んでレベルを上げつつ装備を集めていき、立ちはだかるボスを倒していきましょう。

感想

個人的に色々と好きなところのある作品です。序盤は割とシビアなデザインとか、そうは言っても整ってきたら色々無法できる仕組みとか、大仰な言い回しとか、諸々です。
3Dダンジョン形式とマッピングの中で出来る限りギミックをやろうとしているステージ構成とかも好き。

一方で、全体の設計的に見ると、霧はあんまり機能していないような気がしていました。
プレイヤー側にとっては、霧4で探索するメリットは無く、基本的には霧1で探索するのが楽です。加えて、脱出にデメリットがない以上、ステージに入った時に霧が深いなら、リセマラして霧1を引くまで粘る方が後々楽になります。
こうなると、ステージ中で霧の変化が起きるまでは霧1ばかりになるため、あんまり霧がある意味がありませんでした。
なんとなくイベント周りに霧が絡むものがありそうではあったんですが、デメリットがそこそこ大きいので、安定する霧1を選びがちな側面があります。ネームド武器の売り出しが霧4だと多い、などがあればチャレンジする意味はあるかもしれません。

また、カルマについてもデメリットが宿屋の会話を見るまで良く分からず、それを見てなお取得するデメリットが不明瞭であるがゆえに、わざわざやりにいくのは難しいように感じました。襲われるというのがどういうレベルで不便なのか分からないので。
なお、ここに限らず、作中のシステムの説明は、かなり思い切ったところまで宿屋の会話に集約しているので、初見だとシステムの把握はまあまあ難しめです。夜システムに関してはほぼ終盤にようやく理解しました。
手探りで進めている感じは霧の中というテーマにマッチしていて好きではあるものの、さすがに基礎的な判断に使う範囲は説明してほしくもあります。難しい。

ついでに言うと、泉の回数制限の存在意義も微妙なところで、序盤以外では戦闘中の回復手段で事足りるので活用することはありません。そして序盤においては、この泉をどれくらい使うか分からないので、おちおち使うこともままなりません。
この辺における、全体的なシステムのアンバランスさは気になるところが多かったです。

ただ、そういう細かい点は抜きにしても、全体を通したゲームデザイン自体は好みで、難易度のカーブも好きな作品でした。
序盤がだいぶギリギリの戦いで、HPの回復が間に合うかの瀬戸際くらいのヒリヒリした戦いになるんですが、ネームド武器が揃い、SPが増えてくると、かなり余裕が出てきます。
特にSPが増えてくると行動回数で無双するようになり、ほとんど雑魚敵には負けることが無くなってきます。

ネームド武器が思い切った強さなのも良くて、状態異常の圧倒的な性能でごり押せるレベルの性能をしています。氷柱の短剣がお気に入りで、初見のローレイネをほぼ完封する性能をしていました。強すぎる。
全身をネームドで固めた強さは絶大で、雑魚はともかく、ボスにすらかなりの有利を取って戦いができるバランスとなっていました。
ただ、マントだけはずっと粗末で、終盤にダンジョンに入り直し続けてなんとか揃えたという状態です。

これは裏ボスにも通じていて、裏ボス自体はきっちり強いんですが、こちらの武器も相当強いため、強力な技の応酬となります。
攻撃手段さえそろっていればローレイネ以外にはほぼ負けないんですが、ローレイネだけ氷が通りにくいっぽかったり、強力な魔法攻撃を打ち込んでくるので場合によっては相打ちにされたりと、一筋縄ではいきません。
専用の戦略として、紅蓮の弓に切り替え、魔法防御をちゃんと上げる方針にして撃破しました。ちゃんと裏ボスで一番強いのは良いですね。

なお、最終的な装備の構成は以下になりました。
霧裂きは全体攻撃として優秀で、前述の通りお気に入りの氷柱の短剣は最強の状態異常である凍傷を連続攻撃でカジュアルに与えられるので優秀でした。アイスガードで守りの方からも凍傷を与えられるので、上手くいくと一方的な戦いにできます。
前述の通り、ローレイネだけ紅蓮の弓を持ってきて対処しましたが、こっちはこっちで威力が高いので矢筒さえあれば充分に戦力になります。

装備

シナリオ面でも霧の町という世界観が上手く表現されていて良かったです。個人的にこういう言い回しが好きなのもあって、満足感は高めでした。それぞれのステージの空気感の違いも良い。
また、裏に入ると三女神のキャラが崩壊するという点についても面白いポイントでした。黒塗り、真の姿をさらけ出していないことを指していたんですね。

なお、想定プレイ時間については4から6時間とありますが、筆者は3時間で裏まで終えています。装備が上手いこと手に入ったのか、何か噛み合ったのか。
一つ一つのステージについても決して長くはないので、書かれてある印象よりはサクッと遊びやすい作品でもあるとは思います。

35. グッドバイ

ジャンル 作者
サウンドノベル 睦涼(むつみ りょう)
プレイ時間 プレイVer クリア状況
10分 1.02 クリア

良かった点

  • 不安感を掻き立てる良質なグラフィックとアニメーションでした
    • 短い中でも強く印象に残ります

気になった点

  • 特にありません

レビュー

グッドバイは、精神的ホラーに類する要素を含んだ短編のノベルゲームです。
ゲームはいくつかの会話とアニメーションで成り立っており、そのいずれも短い時間でプレイできるものとなっています。

しかし、短いからと言って流して見ることのできる作品ではありません。
むしろその短さがゆえに、描かれた表現は心を不安定にさせ、恐怖ともとれない居心地の悪い不安感を掻き立ててくれることでしょう。

ごく短い作品となっているため、多くのことを語る必要はありません。気になったら是非プレイしてみましょう。

感想

マトリョーシカみたいなゲームです。作中作の存在とその演出をもって、その作品自体のエンディングが定まっています。
短い間に感じた違和とか不気味さは凄まじく、この短い間にここまで不安感を掻き立てられるものなんだなとグッドバイを眺めながら感じ入っていました。

sessionを分けているのもこのマトリョーシカの感覚をより強くしていて、地続きと言っても良い会話をあえて分断することによって、作中作の外側がまた作品であることが分かりやすくなっています。
また、これはシステム面でもアニメーションを差し込むタイミングとしても上手く機能している上で、リセットボタンを押しやすい構造にもなっているのが良いところです。
このレベルで短いとはいえ、全部やり直すハードルは思いのほか高いので、明らかにそうだろうなと思っていても、本来は安易にF12キーは押しにくいところです。しかし、sessionを分けることでその負担をだいぶ抑えてくれているなという印象がありました。

また、アニメーションの不気味さが本当に絶妙なのも良いところです。ギリギリ教育番組に有るか無いかで言ったら無さそうなラインを突いてきます。コラージュなどを使うような、わざとらしいほどに不気味なものでないのが逆に不安感を覚える要因となっていました。
よりホラーっぽくするなら目のバランスなどを変えるといったこともしそうなものですが、そのようなあからさまなことは行わず、ただ白黒であることと、奇妙な間を作って強制的に見つめ合わせることで、なんとなく怖いという感情が引っ張り出されるようになっています。

シナリオ的には結局意図は何だったんだという話ではあるんですが、あるいは作中で言われているようにそれ自体には意味が無いのかもしれません。
人々の記憶の中にはグッドバイのような子供の頃に朧気に見た記憶のある、何らかの恐怖を抱いた番組のワンシーンがあって、そういう原体験を呼び起こすためのグッドバイである、あたりの解釈をしています。筆者の例でいうとストレッチマンが該当しますね。
あるいは砂嵐の中に少しだけ映った番組、のような都市伝説の類型とも捉えられるかもしれません。

36. 翠玉郷のオリヴィエ

ジャンル 作者
アクション 秋月ねこ柳
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 2.01 クリア

良かった点

  • 移動が上昇を兼ねる独特なアクションを楽しめます
  • 序盤から中盤にかけて操作に慣れていくことのできる、ステージの段階的なレベルデザインがなされていました
  • ある程度平易でありつつ、玄人向けには最高難度が用意されています

気になった点

  • 終盤の難易度の上がり方がやや急に感じました

レビュー

水中操作を面白さに昇華したアクション

翠玉郷のオリヴィエは、水中を舞台とした独特な操作性を持つアクションゲームです。
移動に常に上昇がつきまとう操作を使いこなし、障害物に満ち満ちたステージをクリアしていくことになります。

各ステージを上手く攻略するためには、何よりもその特殊な操作性に習熟していくことが求められます。
そのアクションは水中挙動をベースとしており、左右どちらに移動しても必ず上昇を伴う設計となっています。このため、適当に動いているだけでは詰む状況に追い込まれかねません。例えば、左右に動かないと弾に被弾するけれど、上昇すると上端のトゲに当たるといったような、リカバリーが不可能なシチュエーションもあり得ます。こういった事態を避けるためにも、動きの先を見据えた操作が肝要になってきます。
ステージに挑んで動きを習得していきつつ、先まで見越した想像力と咄嗟のアドリブ力とを駆使して難関を乗り越えていきましょう。

ただし、スタンダードな難易度であれば、体力を活かしてゴリ押しで突破することも可能です。複雑な操作が要求される地帯を抜ける際に、たったの1ダメージで済ませられるならば安い時もあるでしょう。時と場合によっては、積極的に残り体力を活用していくことも大事になってきます。
また、それでは物足りない方に向けて難しい難易度も用意されています。腕に覚えのある玄人の方はこちらに挑まれるのがお勧めです。

良くレベルデザインされたステージを攻略しつつ独特な操作性に慣れていき、各所の難関やボスを打ち倒していくことで、徐々に難易度の高いステージに挑めるようになっていきます。それまでに得たスキルをフル活用し、最高の難易度を誇る最終ステージをクリアしていきましょう。

感想

通常難易度の範囲だと、ある程度苦戦しつつもクリアはできるちょうど良い感じのアクションでした。アリュイラよりはだいぶ簡単な印象です。
スタンダードではダメージ覚悟でゴリ押しの効くエリアがそこそこ多く、アクション能力が足りない分はHPを支払って突破できる程度に抑えられています。

ただし、だからと言って簡単すぎるということはなく、移動が必ず上昇を兼ねる操作性も相まって、アクション自体は歯応えを感じつつ楽しむことができます。
ちゃんと先を見て動かないと容易に詰みうるデザインになっているので、移動を闇雲にしているとミスしがちです。ちゃんと考えて動くことが求められる良い設計でした。
その上で、詰みやすいような配置は終盤に固めてあって、序盤のうちは敵の密度が低いので容易にリカバリーが効くようにもなっています。このため、操作に習熟できていない期間でも、それほどミスることは多くありません。かなり易しめです。

また、それでは物足りないアクション上級者には最高難易度が用意されており、裏ステージも含めればプレイヤーに牙を向く難易度も完備されていました。
最高難易度に関しては、筆者はクリアせずに冒頭だけ遊んだんですが、だいぶ難しいシステムだなと感じています。何なら部分的にはアリュイラのレベルを凌駕しそうです。どうりでボス戦の泡がやたら潤沢だなと思っていました。

なお、筆者の状態は謎解きとライツアウトを除いてクリアしたという形になります。
謎解きはそもそも何をすれば良かったのかよく分からないまま進めていて、ライツアウトは途中で心が折れました。もともとライツアウトを試行回数で解くタイプなので、今作の操作感でイライラ棒しつつ解くのが厳しかったです。いい加減型を覚える頃合いかもしれません。

シナリオ面で好きなのはタイトルの出オチ演出で、クリア後に別の意味も付与されるあたりが良いです。
基本的にシナリオは軽く進んでいくので、アクションの阻害をすることなく世界観を軽く紹介していく感じなのも好きなところでした。猫昆布という概念も好き。

後は、独特なアクション性と、ある程度それを学習させようとするレベルデザインのおかげで、慣れつつ最終面へと進んでいけるところも良いポイントでした。
最終面のレベルの上がり方だけは並大抵のものじゃない気もしますが、ここら辺は多分プレイヤーを信用しているんだと思います。ここまで来たからには、まあクリアできる能力は備わっているはずなので頑張りましょう。

37. エリスと悪魔の書

ジャンル 作者
RPG こうさか
プレイ時間 プレイVer クリア状況
6時間 1.06 クリア

良かった点

  • 戦闘メインながら、ノーマルな難易度では比較的緩く戦略性を楽しめます
  • ある程度相手の行動に対応する戦略性が求められます
  • 随所で誤操作を避ける配慮がなされていました

気になった点

  • UI操作がややトリッキーです
    • 慣れると使いやすそうな感覚はあります

レビュー

スキルを回して敵を討て

エリスと悪魔の書は、戦闘を主体としたRPGです。
ダンジョンによる探索要素が多少ありますが、基本的には戦闘を通してストーリーもゲームも進行していきます。

その戦闘で雑魚やボスと相対する際は、戦闘システムを十全に活用することが肝心です。
ベースはWTと呼ばれる待ち時間を基軸としたCTBに近い形式であり、それぞれのキャラクターごとのスキルを上手く使いこなすことが攻略の糸口となっていきます。
中でも特に重要になるのは、行動ごとに蓄積していくSPの使い所です。SPを消費して発動するスキルはどれも強力であるため、敵の行動パターンやこちらの状態を鑑みて、適切なタイミングで刺していけると良いでしょう。

また、勝利を目指す上では状態異常の運用も欠かせません。そのまま状態異常が通る雑魚戦はもちろんのこと、それが通らないボスであっても状態異常を狙う価値はあります。
何故なら、状態異常を継続して与え続けると対象がブレイクと呼ばれる状態になり、長大な待機時間と被ダメージ増加の効果を与えることができるためです。可能であれば積極的に狙っていき、戦闘を優位に進めていきましょう。

加えて、戦う前の準備もまた勝ち抜いていくには必要な要素です。
戦闘で使うスキルはレベルアップとともに強化することができます。よく使うスキルを強化しておいたり、パッシブスキルを習得したりと、自分の組み上げた戦闘プランに沿って、適切にポイントを割り振って戦力を増強していきましょう。
また、素材を利用した装備の強化も忘れてはいけません。特にメインメンバーの武器は常に最強の状態にしておけると戦いやすくなります。

そうしたインゲームの戦闘における戦術性と、アウトゲームの準備における大局的な戦略性とを掛け合わせていくことで、強力なボスを相手取ったとしても勝利をつかみ取ることができます。
準備とアドリブの力を駆使して並みいる強敵を倒していきましょう。

感想

難易度ノーマルでクリアしたんですが、多分それより高い難易度で挑んだ方が良かったかもなと思っている作品です。筆者はノーマルを見ると、それが作者推奨難易度なんですねの気持ちで選ぶ癖があるんですが、これが裏目に出た感じです。
恐らくもう少し高難度だと戦略にバリエーションが出ていそうな作品でした。

エクスキューズをこの辺にして戦闘における筆者の戦略感を述べておくと、おおむねスイーツパーティーを最強とした永遠に持久して戦うタイプのものに感じました。時間経過による火力上昇のようなものはないので、短期決戦を狙う旨みはあんまりありません。
相手の火力はゲーム終盤につれて上がるとはいえ、デコイをちゃんとしておけば流れはほぼ取られることなく完遂できます。ブレイクすら狙わなくてもなんとかなります。ラスボスの初弾を食らって初めて回復アイテムを切ったくらいには、危なげない戦闘に終始する印象でした。

また、SP100イベント以外では控えの起用も行なっておらず、初期メンバーのバフデバフがあれば最後まで戦えるバランスです。起用が推奨されるようなボスも体感ではいなかったので、結局性能を知ることもなしに最後まで進めてしまいました。
全キャラクターで勝てるバランスという意味では割と良いバランスな気もしますが、用意された駒を十全に活用する機会と必要がないバランスとも言えます。この辺は一長一短ですね。

また、料理システムもほぼ使っていませんでした。これから登場する敵にメタるためのような性能をしている一方で、そのメタが何か分からないので安易に切りにくかった印象です。
ただ、最初に10個もらえるあたり食い得のものにしたいんだろうなという意図は感じられて、かつそれがHP増強というどんな場面でも有効打になる料理である、という点はすごく良かったです。
なので、これは筆者のエリクサー症候群によるものというのが多分にあるのだとは思います。反省。言い訳をしておくと、直前にスイーツパーティしておくだけで全回復して挑めるので、回復手段としての価値というか導線は弱い印象を受けました。

このあたりを含めた全体の印象として、戦略性を問われるという形式の中でも、型ができたら安定化していくルーチンタイプの戦闘設計だなという感覚が最後まで終始していました。多くのボスには発狂もないので、一度安定したら後は流れ作業になることが多かったです。
とはいえ、固定ルーチンを構築し、押し付けるにしても相手の行動いかんで対応する必要がないわけではないので、戦略性はそこで担保されているという塩梅でした。手落ちを避けて持久を継続していく、というプレイ感です。
戦闘メインのこの系統には珍しく、かなり緩い難易度で仕上げているなあという雰囲気を感じました。

戦闘システムに触れておくと、ブレイクシステムについては積極的に使わず、プレイ中も大して発動はしませんでしたが、仕組みとしてはだいぶ好きでした。
状態異常スキルはボス戦、特に強力なボス相手にはどうしても死に技になりやすく、せいぜいなんらかの特殊条件付きで一部が通る程度になりがちなんですが、そこがシステム面で上手くカバーされていて、全て活躍の機会が巡ってくる可能性がありました。
この仕組みのおかげで、ボスごとの状態異常の通りやすさのバランスがかなりバリエーション豊かになっていて、その上で致命的なバランス破壊にも繋がっていません。状態異常技とボスの関係性に対する一つの回答となりうるシステムに感じました。

UI/UX系については、慣れると使いやすいんだろうなと思いつつ、最後まであんまり適応できなかった、くらいの感覚です。
特に攻撃/スキルの切り替えがCXであること、強化周りのZ/Cキー押しっぱなしによる選択処理など、割とトリッキーな設計をしている印象があります。
前者は一度慣れると固定された行動へのアクセスまでの操作数が少なくて便利なところはありそうですし、後者は欄が二列になっている以上やんぬるかなといった感じです。
個人的に面倒だったのは店のUIで、誤購入を極限まで防ぐことには特化していると思うんですが、ちょっとした買い物をするハードルは上がっているような気がします。
また、強化周りは誰に割り当てられているか分からないので、メインメンバーを強化しようと思った時に一回装備を確認するフェーズを挟む必要があるのも面倒でした。魔石の種類は少ないので覚えておけという話な気はします。

最初に選択肢が選択されていない選択肢であったり、先述の店のUIであったり、可能な限り誤った操作を防ごうとする親切なUX思想ではあるものの、それゆえにだいぶ回りくどい印象もセットで感じる、といった具合でした。この辺のトレードオフは難しいですね。
それに加えて、遷移する選択肢の数を減らすUI設計なのか、中間選択肢がかなり排除されている印象もあり、上述のように戦闘面では行動の大枠を決める選択肢の代わりに切り替えがあり、メニュー面でも同時押しを使うことで押し込んでいる設計です。ここは思考と行為をできるだけ直結させようとしているのかなと感じました。

ダンジョンについては、色々とギミックが仕込まれているのが面白いです。
各ステージごとに特色もあって、簡素ながら攻略している感じがします。その上で、戦闘メインを崩すほどにはガッツリしたものではない、というのも良く、適度に清涼剤となって機能してくれています。
そういう意味でも、2層にはギミックがないので結構寂しく感じていたのですが、緩急をつける意図があったのかなとぼんやり思っていました。暗闇はあるけど。

シナリオはずっと信頼できない語り手をやっているのかなと疑っていたのですが、ある程度素直に進行して終わりました。ルコの情報開示が遅れた理由は納得しにくいものではあって、明確に意味もなく疑われる羽目になってる印象はあるんですが、主人公の性格がそういう感じなのかもしれません。
どうでも良いですが、ゲーティアの半分がティアなら、もう半分はゲーということになるんでしょうか。