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57. 突撃そのへんの遺跡

ジャンル 作者
戦闘 rute.
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00 クリア

良かった点

  • 短くギミックバトルが遊べる作品でした
    • MPという概念が切り捨てられているおかげで、純粋に戦略性を楽しめます

気になった点

  • 特にありません

レビュー

お手軽ギミックバトル

突撃そのへんの遺跡は、サクッと遊べるギミックバトル中心のゲームです。
それぞれ特徴を持った中ボス4体、大ボス1体との戦闘が楽しめることでしょう。

各ボスが持っている特徴は独特で、強みでもあり弱点ともなり得ます。
攻略の際は、それぞれのギミック的な特徴を捉まえて、上手く対処していく必要があります。

一方で、このゲームにはレベルやMPといった概念はありません。そのため、各ボスを倒せるかどうかについては、純粋に戦略性が試されることになります。
相手のギミックを理解し、こちらのスキルを含めた手札を確認し、有効な戦略を練ってぶつけていきましょう。

敵をつぶさに観察し、ギミックを読み取り上手くさばいて勝利を目指してみませんか。

感想

お手軽にギミックバトルが楽しめる作品です。
今回のウディコン、ギミックバトルが多くて結構楽しかったですね。

ギミック自体は戦っていれば理解できる範囲なので、ちゃんと考えれば初見でも突破は可能です。ボスのHPも極端に高かったりはしないので、サクッと戦闘を楽しもうという程度で終わります。
かなり高度な戦略性とかスキルのシナジーとかはあんまりないので、本当に手軽に遊ぶ作品という印象でした。
敵のギミックを理解し、こちらの手立てで突き崩す、あるいは対処する手段を考えて、上手くはめられたら気持ちよく勝てるようになっています。

スキルにMP消費が無いのもかなり思い切った取捨選択だと思うんですが、それが良く働いていてシンプルに戦闘パズルを楽しめます。リソース管理をここに持ち込まないのが良い。
極論ずっとヒーリングしていても良いんですが、それだけでは上手く勝てないようにしっかりとバランスされています。

ラスボスだけはギミック以外でも普通に強くはありますが、それでも大ギミックをどうにかすると楽になるように設計されています。
そういう意味でも、徹頭徹尾考えて倒す作品です。RPGにおいての用意とか、そこに至るまでのリソース管理とか、その辺を引っこ抜いて、考えて倒すべき敵を抽出したみたいなゲーム。

よくあるJRPGだと、強敵が目の前にある場合、それを倒すためにはいくつかの手段がありえます。
レベルを上げて基礎力で倒す、仲間の入れ替えやスキルの習得で有効なものを覚えて倒す、など何らかの準備を行って手札を増やして挑むことが必要なパターンが間々あります。
このゲームは手札が固定化されているので、そういった時間のかかる行為が全く思考の埒外におかれて、純粋に今の戦闘についてのみ考えて戦えば良くなり、サクサクと楽しむことが可能でした。

物語もあってないような緩いものなので、本当に戦闘だけサクッと楽しむのに向いています。

58. Moonet

ジャンル 作者
RPG きもちへんな感じ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.03 クリア

良かった点

  • 世界観が良かったです
    • グラフィックも雰囲気にマッチしています
  • ねねねというキャラクターが良い立ち回りをしていました
  • 戦闘は良い具合に歯ごたえがあります

気になった点

  • たぬきから最高のアイテムを取得できるのかが気になっています

レビュー

不思議な世界の不思議なお話

Moonetは、不思議な世界観の中で紡がれるRPGです。

このゲームの魅力的な点は、可愛らしいグラフィックで彩られたふわふわした世界観になります。
そうした世界の中でRPGを遊びながら、個性豊かなキャラクターが織りなす物語を進めていくことになります。
一方で、進行するにつれて、それに留まらない魅力も感じることができるでしょう。

また、RPGとしても堅実な設計をしています。戦闘面ではそこそこ歯応えがある難易度となっており、ボス戦ともなれば苦戦するかもしれません。
レベルを上げて、アイテムを惜しまずに戦っていきましょう。

ストーリーを進めていき、この不思議な世界の秘密に迫っていきませんか。

感想

世界観のふわふわさに良い意味で似つかわしくない展開の連続で良かったです。
この世界観でやるから、こういうえぐさが際立つというところがあります。

グラフィックは可愛らしめで、キャラクターもそういう雰囲気ですし、中盤くらいまではそれっぽい展開に見えるんですが、中盤から終盤は怒涛の展開が待ち受けています。あるぱぅ、やってることが鬼畜の所業でしかない。
ロボ化の流れは単なるシリアスムードでお出しされるのとは、また違う嫌な感じがあります。一見ほのぼのした空気感の中で提出されるシリアスは、矛盾を脳が拒否するような、ある意味での嫌悪感を伴うような感覚を呼び起こします。良い嫌な感じですね。

ストーリー展開それ自体は結構特殊かつ飛び飛びの印象を受けるのでつかみにくくはあるんですが、芯は外していないのと、もともと不思議な世界観のおかげで受け入れながら進められます。
個人的には最後に集約する形式が好きなので、最後の方でああいった展開に持っていくのは良いですねという気持ちがあります。

また、戦闘もそこそこ歯応えがあって、特にボス戦が意外と難しいです。ちゃんとレベル上げをしていても、アイテムをケチると負けます。
ただ、後半くらいは基本的にイベント戦闘なのであんまり関係はありません。そういう意味では、たぬきからもらった化けの皮はそこまで使えなかった。
ラスボスもそこそこ強いんですが、マニュアリストでTP回復してアタックアップを積めるのが強くて、それで押し切ることができます。アタックアップは表記上2段しか積めないんですが、1段と2段が別異常扱いなので実質3段積めていそうです。

また、その戦闘前にある生きた化石の存在は結構便利です。ここからボスという標識でもあるし、推奨レベルを話すのでとりあえず話しかけておくと良いです。
ボスの前にちゃんとランドマークがあるというのは、一つの区切りを感じさせるという意味でも割と有用な手法なのかなと感じています。

なお、ニケかダヨ、リセットしてみた感じ、外れるかどうかが一意に決まってるのかなと感じました。
たぬきから巻き上げるために稼ごうかとも思いましたが、さすがに桁が違いすぎたのでやめています。あれを取得できた人はいるんだろうか。

細かいところで言うと、ちゃんとはしごを車いすで通れない表現をするなどの細かすぎるポイントが好きです。それはそうなんですが、ちゃんとマップで表現されているというのが良かった。

しかし、イッツアトゥルーワールドのネタ、ウディコンで二度も被るとは思いませんでしたね。

ちなみに、恐らく第11回の filled with love の作者さんであり、スターシステムが使われているので一部キャラに見覚えがあったりします。ねねね博士は前作でも好きなキャラであって、今作でも好きなキャラです。ああいうテンションが好きというきらいがあります。

59. エムロード

ジャンル 作者
RPG Chike Chicken
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 7/22 クリア

良かった点

  • まっとうにRPGとして完成されています
  • パズルをするような場所でエンカウントしませんでした

気になった点

  • ただ歩いて戻るような箇所があって辛めでした
  • 細かく気になるところがあります
    • ワールドマップの水辺があまり凝られていないなどの致命でないレベルです

レビュー

王道RPG

エムロードは、ウディタデフォルトの仕組みで作られた真っ当なRPGです。
王道展開の物語の中、RPGをストレートに遊ぶことができる作品となっています。

ゲーム性はシンプルで、ダンジョンを攻略して進めることで、物語もまた進んでいく形式です。
時にはパズルもこなして、時には雑魚との戦いの消耗を気にして、時には強力なボスに挑んで、オーソドックスで明快なRPGを進めていきましょう。

奇をてらったところのないRPGを遊んではみませんか。

感想

ウディタデフォルトシステムでちゃんと作られたRPGという感じです。
若干戦闘バランスに思うところはあれど、おおむね堅実に作られています。

戦闘面で気になったところと言えば主人公のデフォ速度がコウモリに負けていて、0ダメージなのに麻痺付きの攻撃をかましてきて遅延行動をするくらいです。
それ以外では特別大きな不満もなく、堅実な進行をしていきます。

個人的に良かったのはパズル部屋でエンカウントしない設計で、パズル中はパズルに集中させてくれます。パズルやっているのに戦闘すると何をやっているのか忘れてしまうので助かります。

また、細かい話になるんですが、ボタンのかけらが初見では小さすぎて見逃しかけたんですが、最初に遭遇した部屋が暗号部屋だったので何かあるはずだという気持ちで発見できました。
最初にそれが見つけられる部屋が暗号部屋でなければ、恐らく見逃していました。良い配置ですね。

あとは、何も理由が無いのに歩いて戻らせるな教の信者なので、そういう場面が散見されたのは若干辛めでした。あの剣についても、わざわざ取りに戻るには大分遠いなあという気持ちになっています。
もしかしたらほかに戻る方法があったのかもしれませんが。

ワールドマップの水辺があまり凝られていないとか、後半の重要アイテムをくれる人がなぜかカメレオンの格好をしているとか、城の壁が分かりにくい時があるとか、微妙に気になるところはありますが、どれも致命的というほどではないので最後まで遊べます。
この最後まで遊べるというのはかなり大事な部分だなあと感じています。最後まで遊んでちゃんとクリアできるRPGを完成させるのはかなり難しいことだと思っているので。

ちなみに筆者は名前入力があると必ず空白を入力する人なんですが、この作品ではそのまま空白になりました。特にコテハンを持たない身としてはデフォルト名があるタイプが好きなんですが、空白チェックだけのパターンもあったりします。この辺はゲームによりますね。

60. うさぎパンチ

ジャンル 作者
連打 ごーぐる@ウディタ部の先輩
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.0.0 全ボス撃破

良かった点

  • 全てがミニゲーム然としていて良かったです
    • UI一つとっても遊び心がありました
  • 隠し要素の隠し方の塩梅がちょうど良いです

気になった点

  • レベル制があまり必要に思えませんでした
    • ステージごとのレベルカーブを作るためだとは思います

レビュー

キーボードと指を犠牲にハイスコアを目指そう

うさぎパンチは、キーボードを連打していくミニゲームです。
主人公であるうさぎが、遭遇する様々な相手を殴って打ち倒すために、とにかく連打していくゲームとなっています。

相手の体力を削り切るには、とにかくキーを連打してパンチを打ち込んでいく必要があります。キーボードを壊す勢いで打ち込んでいきましょう。
ただし、連打するだけで勝利とはいきません。相手もまた攻撃をしてくるため、これにはきちんとガードで対処する必要があるからです。相手の攻撃にも十分注意して連打していくことが重要です。
さらに、この攻撃に対してカウンターを合わせるということも可能になっています。タイミングよくカウンターを合わせるとより効率よく戦えるため、積極的に狙っていきたいところです。

また、戦う前の連打イベントをこなしていくと、コインが集まっていきます。
こうして集めたコインを使えば、自身を強化したり、要素を解放したり、ガチャを回したりといったことができます。コインを適宜使って、より強くなってきましょう。

相手との戦いで得た経験、そしてコインを稼いで得た強化があれば、並みいる強敵も連打で倒していくことができます。
時には強敵を探し当てつつも、様々な相手に挑戦して、連打を極めてはみませんか。

感想

指がぶっ壊れそうなレベルで連打するゲームです。キーボードも危ないかもしれない。

個人的にはUIが好きで、ミニゲーム然としていながらも、ゲームゲームしている遊び心のあるUIという感じで良かったです。
パンチベースの選択肢だったり、データ壊すにもパンチが必要だったり、ステージ選択の隠し要素だったり、色々なところにゲーム的に仕込まれていて楽しいUIでした。
UIが楽しいと見目が楽しくなるし、インゲームから離れても世界観が崩れていかないので結構重要な要素に感じています。

隠し要素についても功績に明示されているので探そうと思えば探すことができて良い印象でした。なお、筆者が最後に見つけたのは練習場でした。練習いらないなと感じていたので。
それ以外の要素も色々試していれば見つけられる程度なので、自分で見つけたという達成感との良いバランスを作っていたように思います。

ゲーム性としては単純に連打が楽しめるので、連打ゲーとして良かったです。シャドーを手に入れてからの別次元の火力によるテコ入れもあって、ただの連打ながら最後まで遊べました。
カウンターが入っているのが秀逸で、連打だけではなくて適度に頭というか反射神経を使う必要があります。漫然と連打しているだけでは上手くいかないので、その辺のバランス感覚が上手いです。

全体的にサクッと遊べるミニゲーム枠として高い完成度だなあと感じました。
ミニゲームをちゃんと遊びやすく、楽しく、一プレイを短く作られています。

なお、レベルの概念があるので、最初にあんまり時間を極める必要はありません。
レベルを上げてからでないと最速は出せないですし、何ならシャドー無しでは最速は出ません。シャドーはともかく、レベル制はあんまり必要ない気もしています。終盤の敵のHPバーを長くしたい気持ちはありそう。
また、レベル制と並んであんまり必要に思えなかったのは最初の謎の連打フェーズですが、あれはウォーミングアップになるんでしょうか。

ストーリーについては、何も語らずに拳でひたすらぶっ飛ばしていくうさぎのキャラが良かったです。ゲーム性に対してぴったりのキャラでした。プレイヤーは殴るしかないので、そのやることとマッチした主人公です。
やはり暴力は全てを解決しますね。

61. アビスエクスプローラ

ジャンル 作者
ノンフィールドリソース管理RPG 鏡読み
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.01 クリア

良かった点

  • カジュアルにノンフィールドRPGを楽しめます
  • 難易度のバランスがちょうど良いです
  • パッシブスキルの変化で遊び味を変えて楽しめました

気になった点

  • アイテムを良く拾うので、取捨選択の判断をするイベントが多めに感じました
    • アイテム欄を埋めると発生しなくなるので、制御可能ではあります

レビュー

歩んで戦うノンフィールドRPG

アビスエクスプローラは、拾ったアイテムを活用するノンフィールドRPGです。

プレイヤーはノンフィールドのステージを一歩一歩進んでいき、いくつか進むごとに敵と遭遇して戦うことになります。会敵した相手を倒すためには、その道中で拾ったアイテムが重要となります。

進む過程の時々で拾うことになるアイテムは、攻撃手段、防御手段、回復手段と様々です。加えて、それぞれの性能差や特徴も様々となっています。
そういったアイテムの中からどれを残してどれを捨てるか、あるいは敵に対して強いアイテムを切るか、弱いアイテムで騙し騙し戦うか、といった取捨選択が迫られることになります。

接近される前に倒すためにリーチの長い武器を集める、接近されても継戦するために回復薬を集めた上で威力の高い近接武器を集める、敵を見て柔軟に対応を変えるためにバリエーションを確保する、など自分に合った戦い方を模索していきましょう。

また、敵を倒すことで得られる魂性を一定数集めることでレベルアップも可能です。敵を倒した後に、必要であれば忘れず行っておきましょう。
一方で、魂性を消費して大きく回復することも可能です。強力な回復手段に乏しいこのゲームにおいては、状況に応じて使い分けていくことも重要になってきます。

残すアイテムをどれにするか、敵に消費するアイテムはどうするか、被弾を受け入れてでも消費をケチるべきか、魂性を使ってでも回復するべきか、このゲームにおいては様々な局面で取捨選択の意思判断が求められます。
それぞれ適切な選択を行い、アイテムや魂性を上手く活用して、歩みを止めずに最後まで辿り着いていきましょう。

感想

物凄くシンプルにノンフィールドRPGが楽しめる作品です。
ウディコンのシンプルノンフィールドRPGだと、第6回のロードライト・フェイスとかも好きなんですが、それよりはリソース管理がゆるく、よりカジュアルに楽しめるタイプです。

消費性のアイテムを拾いつつ、それらを上手く活用して敵を打ち倒しつつ進むゲームです。
武器によるリーチ差などを考慮したアイテムの取捨選択や、そもそも回復アイテムと武器をどの程度の配分で持つかなど、緩いリソース管理が楽しめます。
割とアイテムは拾える印象があるので、あまり詰め過ぎなくても何とかなると感じています。

逆に、道中良くアイテムを拾うので、500歩目指す時はやや面倒になってきます。
一枠空けておくとアイテムの取得が可能なんですが、その自由を捨ててもアイテム欄を埋めて、必要なタイミングで必要なものを補充していくスタイルのほうが、最終的には楽な気がしています。
この割り切りをした2周目はプレイ時間が半分くらいになったので。ただ、パッシブが強かったきらいもありそう。

筆者のプレイ履歴としては、コロリーヌで負けて、転生して矢と脳筋を引いた結果、矢の高火力と脳筋の武器無しでごり押しました。天は筆者が脳筋ごり押しが好きだということを知っているらしい。
このプレイングは剣のリソース管理を緩くすら考える必要が無いので楽です。

その後、コロリーヌで再度プレイして、今度はちゃんとリソースを余らせてクリアさせました。
初回挑戦時は回復手段を忘れていて単純に押し負けたので、魂性をきっちり維持しておくことも重要です。闇雲にレベルアップしないということもまた大事でした。

全体的には、アイテムをそこそこ多めに拾えることもあって、バランス的には平易めでありつつ、道中のボスをどう処理するかの難易度が残っている良い塩梅だなあと感じました。ラスボスは抜けて火力と体力があるのも厳しくて良いです。

UIについて言及すると、たまに意図しないアイテムを捨てることもありましたが、おおよそ操作ミスに類する行為でした。ここでいちいち確認をはさむと面倒になること疑いないので、この設計が正しそうに思います。
枠自体はちゃんと出ているので、普段なら対処できるんですが、適当に下のアイテムを捨てながら進めていると起きやすい印象でした。

また、何度もプレイするとパッシブスキルも変化して、それによって遊び味が色々変わるんだろうなあとも思っています。実際、最初のプレイ時と脳筋時ではかなり異なったプレイングが楽しめました。

とにかくゲームとして、ふっとやれるちょうどいいサイズのゲームという感じがします。これを書いている間にも確認がてら一週クリアしました。
敗北したのでパッシブ変更でもう一周ね、と言われても、じゃあやりましょうとなるレベルなので、かなりふらっと遊びやすいゲームなんだと思います。

62. Reversible Island

ジャンル 作者
リバーシパズル semicolon
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.0.0 救助

良かった点

  • 良い雰囲気のグラフィックとBGMでした
    • 長時間考えながら落ち着いてプレイできるゲームです
  • リバーシを援用したパズルというアイデアが面白いです
    • ゲームルールもシンプルにまとまっています

気になった点

  • ギミックの広がりがあまり無いので、15ステージ目くらいから飽きやすく思います
    • 性質上、妨害されるほど択が絞られて作業的になってしまいました
  • 一手戻しが欲しかったです
    • ゲーム性上かなり難しいとは思っています

レビュー

リバーシ・パズル

Reversible Islandは、リバーシをモチーフとしたパズルゲームです。ただし、ややアクション的な要素も入っています。
端的にゲームシステムを説明すると、道を作ってプレイヤーキャラクターをゴールに導くことを目標とするゲームとなっています。

このゲームの道を作っていく仕組みはリバーシの上に成り立っています。
プレイヤーは陸地と浅瀬を海の上に交互に置くことができます。それぞれはリバーシのように、挟むことで互い違いのものへと変質していきます。
プレイヤーキャラクターは陸地の上しか歩けないため、うまくリバーシを続けて陸地をつなげて道を作っていくことが肝要です。

とはいえ、陸地だけを作っていれば安全ではありません。あくまでもリバーシであり、交互に打つ必要がある以上、浅瀬が無くなってしまうと詰みになってしまいます。
適宜浅瀬を残しつつも、陸地を上手くつなげていくために頭を悩ませることでしょう。

さらに、ステージが進むにつれて、その難易度はますます上がっていきます。
進行も配置もできない岩山の存在や、アクション的に回避する必要のある周回する鳥、最初に置かれた陸地と浅瀬の状態など、様々な面で考えさせる配置となっています。
地形やアイテムの位置を総合的に判断しつつ、リバーシを継続してプレイヤーの導線を作っていきましょう。

このように頭を使い、画面とにらめっこするゲームではありますが、プレイ中は淡いグラフィックと優しいBGMにより落ち着いた雰囲気が醸成されています。
パズルをするにはうってつけの雰囲気の中、よく考えてステージを攻略していき、進むにつれて複雑化していく地形を乗り越えてゴールを目指していきましょう。

感想

最初のタイトルというかゲームシーンからして雰囲気が良いので良いゲームです。最初の画面の印象値という意味では、今回のウディコンでも一番良いかもしれない。

パズルという性質上、画面をずっと見続けるし同じステージをかなり長い時間プレイすることになります。
その中で、このゲームの画面の色調の落ち着き方とか、ずっと聞いていられるBGMとか、そういうところが非常に心地よく感じます。Baba Is You が無限にやれるのと同じ理由です。
パズルゲームとして十分以上の落ち着いた雰囲気を醸成しています。

ゲーム性も面白くて、陸地をある程度作らないといけないし、地続きである必要がある、しかし浅瀬を減らしすぎるとオセロの都合上詰みが発生するという良い仕組みでした。
浅瀬というデメリットを拡張のためにある程度受け入れつつ、最終的な盤面を考えていくのは楽しいです。さすがに脳内では10手先くらいまで考えるのが関の山なので、形状によるパターンの構成とか、伏線というか置きとして残しておいた浅瀬と陸地の端のセットなんかに救われたりします。

一方で、オセロとしての盤面形成以外に大きなギミックがあんまりないので、5ステージから10ステージやる分には良いパズルなんですが、20ステージもやると大分食傷気味になってきます。
鳥はアクション性が付与されたのであってパズル性にはあんまり寄与していないのもあって、15ステージ目くらいから大分飽きがきはじめました。

地形の封鎖である程度パズル的な違いは出していて、16ステージの逆引きみたいな面白いパズルもあるんですが、妨害されればされるほど択が絞られる都合上、どうしても作業感が強くなってしまいます。
後半の折り返しパズルはその傾向がだいぶ強い印象でした。

ゲームルールがシンプルにまとまっているのはそれはそれで良いことだと思うので、このあたりは難しいところだと感じています。複雑な効果のあるマスを追加したら今度は分かりにくくなりそうなので。

なお、プレイ時間的には1時間で18ステージ、2時間で20ステージをクリアしているので、露骨に後半で時間を取られています。
とはいえ、何度も詰みに陥っては、その時に撮っていた動画を見返して検証していくのは、なんやかんや楽しかったです。動画を撮っておけば、あるタイミングまでの戻し作業がやりやすいのでお勧めです。

あとは、一手戻しがあれば助かった場面はあるので欲しい気持ちもあります。主にミスのリカバリーですが。
プレイヤーが動けてしまう以上、単純な一手戻しが設計できないので難しいとは思うんですが、回数制限付きならテクニックとして許容できる範囲に収まらないかなと感じています。

63. MoonCaliz -ムーンカリス-

ジャンル 作者
ADV/シューター 氷瀬るん
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間+2時間 1.03 全END(Another以外)

良かった点

  • グラフィックが美しかったです
    • 加えて、美麗なグラフィックをいかんなく活用した演出でした
  • 感情の描写密度の濃い物語でした

気になった点

  • シューターパートで処理落ちが目立ちました
    • 特にトリガー時に顕著です

レビュー

美しき青の世界で

MoonCaliz -ムーンカリス-は、シューターが楽しめるアドベンチャーゲームです。
謎の世界に迷い込んだ二人の少年が、過去のトラウマを模したようなエリアを進んでいくことになります。

この世界はいくつかの扉で隔たれたエリアに分かれており、それぞれのエリアをクリアしていくことで次の扉に入ることができるようになっています。
扉の中に入り、主人公の記憶に紐づいた小景の中、何者かと戦っていきましょう。

戦闘においては、シューターアクションをこなすことになります。
ひらひら舞い落ちてくる花びらを、マウスの場合は照準を合わせてトリガーし、キーボードの場合はタイミングよくキーを入力することで撃っていきましょう。そうして何回か撃つと弾切れになるため、適宜Cキーでリロードする必要もあります。
キーボードのが簡単に思えますが、マウスの場合はリロードと意識を分離できるという利点もあります。使いやすい方で挑戦していきましょう。

そうした戦いを乗り越えた先で、この世界における二人の物語は結末を迎えることになります。
その結末がどう分岐するかは、道中の行動がカギとなっています。探索をしたり、積極的にパートナーとかかわっていくことが彼らの運命を左右することでしょう。

そして、この耽美な物語を彩るのは圧倒的に美麗できめ細やかなグラフィックです。物語の中で顔をもたげる危うさが、繊細さを感じられるイラストにより存分に表現されています。
全体としては青を基調とした世界の中で、様々な演出も含めた圧倒的な表現能力をもって物語が彩られていきます。

この世界に閉じ込められた二人の物語を読んでいきましょう。

感想

画力が高いのはもはや言うまでもないことなんですが、演出というか表現能力も高いです。
個人的には最初のOPは何よりも良いと感じているかもしれません。演出面でも画力の面でも突き抜けて良かったです。

物語の話をすると、まずはステージ構成の話になるんですが、ROOM4だけやたら強いというか難しいのは、精神世界的な強度というかトラウマとしての力を表しているんでしょうか。レベルカーブ的には厳しいんですが、表現としては良いように感じました。

また、前作に比べて登場人物が少なく、かつ両方とも喋るおかげで、感情がより直截的に描写されるようになったと感じています。有体に言えば大きい感情の描写密度が上がっていました。
ただし、BADだけだと、感情の重々しさとかベクトルへの理解が不十分なまま終わってしまいます。
そのため、Normal か True を見ないと色々と物語に対して正しくない理解をしそうなんですが、これを見るにはそこそこ厳しい条件を満たす必要があるので若干ハードです。

ちなみに、筆者はプレイ時間2時間でBAD回収をして、残り2時間でNormal系のENDを回収しました。
全部見た印象としては、Trueまで見ないとクリアっぽくない感覚を覚えるので、ちゃんと物語を見たい人はTrueまで見ましょう。Anotherはウディコン版ではロックされているらしいので見えないですが。

なお、内容は軽度というか中度くらいのボーイズラブ要素を含んでいるので、その辺は理解して臨んだ方が良いかもしれません。
筆者は特にどこも気になりませんでしたが、そもそも全年齢向けくらいの緩さなら何でも抵抗なく読めるので、あんまり参考になりません。

ゲーム性としては、シューターあるいはリズムゲームです。感覚的にはリズムゲームが近いんですが、音ハメしているわけではないので、説明するならシューターが適切そうです。
花弁というノーツがひらひら落ちてきて、そのためにタイミングを取るのが難しいという面白いゲーム性をしているんですが、成功演出のせいなのかちょくちょく処理が重めになります。
こうなると、長押し判定が怪しくなったり、そのほかの判定も不安定になったりするので、やや厳しくはなります。ただし、それを入れてもクリアしやすいレベルのバランスはしているので、何ともならないということはありません。

なお、キーボードとマウスどちらでもできるんですが、キーボードでやるとよりリズムゲームっぽさが増して、マウスでやるとシューターっぽさが増します。
感覚的には2周目でやったマウス操作のほうが楽だったような気がしますが、慣れていたせいもありそうです。ただ、リロードを完全に別の感覚に逃がせるという点では強みがあると思っています。

グラフィックについてはどこを切り取っても美しくなっています。
特に基本は青く統一されたデザインだからこそ、途中のステージの異質な色合いが強く印象に残るようになっています。
また、ゲームパート中の背景ですら結構凝っています。惜しむらくは、ゲームパートは忙しくて満足に背景を見ている暇はないということです。何となくの印象しかありません。

また、主人公たちのグラフィックも綺麗に描かれていて、特に一枚絵はかなり綺麗です。
線が細いというか、微に入り細を穿ったというか、とにかくきめ細やかな印象を受けます。ホロロンの精緻さとはまた違う精緻さがあって、こちらはこちらで美しいものです。
会話中の口パクアニメーションのコマ割りが2つじゃないおかげで、ちゃんと喋っているように見えるみたいな細かさもあります。

そして演出的なイベントにおける画の表現能力はさらに突き放された感覚を覚えます。その情景や持つ意味が美しいと呼べるかはさておいても、印象としては綺麗を振り切れて美しいとすら感じた作品でした。

64. 家への帰り道

ジャンル 作者
探索 sio
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.1 クリア

良かった点

  • シンプルにまとまっています
  • 必要最小限の構成となっていました

気になった点

  • 家のBGMが無音でした

レビュー

おうちにかえろう

家への帰り道は、シンプルな探索アドベンチャーです。
家に帰る途中でトラブルに巻き込まれてしまいつつも、何とか帰ろうとする道筋を体験できます。

その身に降りかかったトラブルを解決するためにも、いろんなところを探索して解決の糸口を探し出していきましょう。
主なマップは一つに収まっており、ミニマムな探索を楽しむことができます。

主人公が果たして無事に家に帰れるのかは、プレイヤーの手腕にかかっています。調べるべくを調べ、お家に帰してあげましょう。

感想

シンプルな探索ADVという印象です。本当にシンプル。

とにかく必要最小限の探索要素という設計になっていて、ちゃんと探索していればおのずと正解に辿り着けるようになっています。
細かいイベントの積み重ねで小さな冒険を演出している印象です。
加えて、夕方に学校に行っても差分会話があったりと、細かい所にもちゃんと配慮されています。ミニマムながらも、ちょっとした細かい要素もケアされていました。

なお、最初の歩行速度が遅くなっていて、これで探索やると面倒そうだなあと思っていたんですが、ちゃんと狐になると移動速度が上がるので問題はありません。あの遅さはあくまで演出的なものなので、これは杞憂でした。
一応歩行速度が遅い区間は多少ありますが、演出として受け入れることができるレベルです。

個人的に気になる点を挙げるとすれば、家のBGMがないことくらいです。最初は無音のゲームかと思っていました。

ちなみに、細かい話になるんですが、このゲームはゲーム容量がかなり小さいです。恐らく、今回のウディコンの作品の中で一番Data.wolfが小さいのではないかと思っています。
実際のゲーム内容と即しているといえばそれまでかもしれませんが、これより少なくなりそうなゲームが多い中でちゃんと削減されているというのは良いなと感じました。

65. まな☆がん えくすとりーむ

ジャンル 作者
シューティング カッパ永久寺
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00 クリア

良かった点

  • だいぶ危ない方向に振り切れた物語でした
    • その上で伏線などはきちんとしています

気になった点

  • シューティング時に、連射できる時とそうでない時があるように感じました

レビュー

色々アブないシューティング

まな☆がん えくすとりーむは、危険な香りのするシューター系のゲームです。

ちょっと危ない物語が展開される中、マナゴンと呼ばれる怪物を撃っていくゲームとなっています。
様々な動きをするマナゴンに翻弄されないように、上手く狙って撃っていきましょう。なお、赤いマナゴンは撃ってはいけないため、注意が必要です。

そうして指示通りにマナゴンを撃っていくうち、物語は思わぬ方向へ急展開を迎えていきます。
マナゴンとは一体何なのかはプレイしてみると分かるでしょう。

感想

※この感想は筆者個人の感想であり、特定の団体などを代表するものではありません。また、特定の団体に対する誹謗中傷などの意図は一切ありません。
この作品の感想をちゃんと書こうとすると危ないことを書きそうなので、先に断っておきます。

風刺作品かと思っていたら、思った以上にそのまますぎるという印象です。もはや風刺の域かも分かりません。全方位に対して直接的にディスってるんですが大丈夫なんでしょうか。
なお、最初の内はタイリク国が中〇人民共和国かと思っていましたが、よく考えなくても名前からして〇シアですね。まあ同じ共産圏だし誤差ですね。

ストーリーは勢いである程度進行していくんですが、ちゃんと赤いマナゴンとか細かい伏線めいたものは張っています。ゲーム性に対してもちゃんと意味付けがされているのが面白いです。
また、ちゃんとやり直せないというところも良くて、どれだけ昔にさかのぼっても殺さないという選択肢はありません。このゲームにエンド分岐などないので、罪は罪としてそこにあるだけです。

ちなみに、これは野暮な話になるんですが、この手の作品を見ると毎回思うこととして、警察の初動があまりにも遅すぎて気になります。そこそこ時間が経過しているのに、一向に動きが無いので。
もしかしたら、タイリク国の工作員が警察組織内部にいて妨害しているのかもしれませんが。

ゲームとしては通常のシューターという感じです。
ちょくちょくギミックは出てきますが、基本的にはちゃんと打てばクリアです。一応全KILLはしたんですが、性質上あんまり喜ばしいものでもないですね。
また、連射できる時と連射できない時があるんですが、この違いの理由が良く分かっていません。何となくウェイトの間隔がまちまちな印象です。

時事が時事で、タイミングもあって大分ラインギリギリの作品という印象はあるんですが、主義主張の類がそれほど色濃く出ているわけではないので、恐らくラインの内側だろうなとは思っています。

66. 海賊黙示録

ジャンル 作者
航海 挟まり卿
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.03 クリア

良かった点

  • 潮流を読んで航海していく楽しさがあります
  • 熱い物語であり、良いキャラクターが描かれています
    • 殊にセリフ回しが最高に粋でした
  • 道中のイベントのバランスも良好でした

気になった点

  • 特にありません
    • チュートリアルはないんですが、それすらも世界観に寄与している印象です

レビュー

アウトローの生きる様

勧善懲悪は正義という行為を下すものであり、正しいことを行うという意志でもって物語が推進されていきます。これは、その意志に基づいた正しさというものが魅力となるがゆえに、翻ってダークヒーローと呼ばれる存在であってもヒーロー性としての正義を求められることに繋がります。
しかし、もしも強い意志に基づいた強い推進力こそが魅力であるのであれば、悪役の美学であるその信念を曲げない意志もまた貴いものであるでしょう。
海賊黙示録が描くキャラクターとその物語においては、徹底して正義としては描かれない悪者であっても、その曲げられない意志が示す生き様でもって、確かに心を動かしてきます。

このゲームは、広い海にポツンと放り出されるところから始まります。右も左も分からない中で船を進め、リソースを消費しつつ移動を重ねていき、広大な海を航海するゲームとなっています。

航海するには潮流を見極めることが肝要となります。
流れにうまく乗ると少ないリソースで渡っていくこともできる一方、逆らうと目的地に着くことさえ覚束なくなります。
流れを読み切って、効率的に航海を進めていきましょう。

一方で、動くたびに消費を重ねていく航海を円滑に進めるには、リソースの補給と強化が必要となってきます。
各地の陸地にある町に寄ることで、資源を消費して補給と強化を行うことができます。ただし、資源はその町を略奪し、補給も強化もできない更地にするしか入手することはできません。
どの町を残し、どの町から資源を奪い取るか、略奪すべき町を選定しつつ、限りあるリソースで大海原を渡っていきましょう。

そうして航海を進め、目的地を渡っていくことで、この作品の圧巻となる熱い物語が展開されていきます。
ゲーム性としても略奪するような悪として描かれる海賊たちは、ひょんなことから世界を救おうとする若者を乗せることになります。
一見すれば正義と悪の矛盾したような取り合わせが、進めていくうちにあるいは同質のもののようにすら思えてくることでしょう。そうした彼らの旅路の果てで、海賊たちの生き様が描かれていきます。

海賊たちの向かう先、そして世界の趨勢を見届けるためにも、後悔せずに航海していきましょう。
熱い物語を体験したい方にお勧めです。

感想

ウディコンを良く知っているとサムネとかコメントで分かる所があるんですが、今回は実質的な匿名が三名いらっしゃったので、一目の判断は難しかったかもしれません。
ゲーム性とかコメントの性質とかで、それでも分かる人は分かるとは思いますが。

ゲームとしては全体を俯瞰するとリソース管理ゲームっぽさもありますが、基本的には航海ゲームです。潮流を読んで上手く航海して、貴重な資源をやりくりしていくことになります。
潮流を見ることが肝心というのが航海っぽくて良く、流れに乗れば高速移動できるし、そうでなくても通れるポイントの見極めなどに使えます。ルートを見定める楽しさがあります。

全体としては有限の資源のやりくりが主で、町でリソースを消費して補給が可能となっています。その一方で、一定まで行くと略奪しないと補給できなくなってしまいます。略奪するとその町からは補給できなくなるので、一方通行のリソース管理が成立していました。
とはいえ、町はそこかしこにあるので、ちゃんと水と機体を拡張し、ある程度節約して動いていればそれほど苦労しないバランスになっていると思います。大分緩いリソース管理な印象です。
念のため、補給点を略奪する時は位置関係を気にしておくと、ちょっと楽になる程度だと感じました。

このあたりの緩めのリソース管理でほどほどの緊張感を持ちつつ、流れを見て大胆に航海していくのが楽しいゲームです。全体的な難易度は、この作者さんのゲームの中では低めな気がしていました。アヴァロンが特異点的に難しいというのはありそうですが。

むしろ、中盤くらいにあるRPG的な戦闘のほうが難度が高い印象で、最後のあれは実質初見殺しだと思っています。そうでなくてもSPリソース管理ゲームなので、ちゃんと戦略的にスキルを使っていく必要があります。
最後のアイツを倒し切るには1000ダメージ必須なので、それまでにリソースを残しつつ、とはいえ相手の火力がかなり高いので被害を抑えるためのリソースは惜しみなく使わなくてはならないという良いバランスです。
このようなイベント的である局所的な戦闘バランスにおいても優れていました。

航海としては最後の目標点が最難関ではあるんですが、これはどちらかというと道筋を見つけることが主眼なのだろうと思っています。何度も沈んではルートを開拓していけば、それほどアクション性は求められずにクリアは可能です。
そういう意味でも、やはり正しくルートを見極めていくことが肝要なゲームなのだと思います。
ちなみに、筆者は左回りの航路を通ったんですが、右回り航路は突破可能なんでしょうか。あの砲台群も厳しいながら、そもそも航路全体が長い印象があるんですが。

なお、最難関たる最終目標点以外についても中ボスレベルの難易度の目標点はあるので、序盤以外は目標点を周ることが簡単すぎる、といったことはありませんでした。
常に潮流を見てルートを考えて乗り切るという面白さは担保されていた印象です。

そして、このゲームを語る上で欠かせないのは、やはりストーリーでしょう。
それぞれの会話は決して多くありませんが、その短いやり取りの中でもキャラクターを好きになれるレベルの密度を持っています。はみ出し者を描きつつ、SFっぽい風味を足すのがべらぼうに上手いです。

基本的に主人公めいた存在は若者たちではあるんですが、はみ出し者のおっさん達がサブを越えてメインとして物語の主軸を担っているからこそ出せる渋さが良いです。各々の発言が逐一良い。マグパイを好きにならない人は多分いないと思っています。
信念を持っている存在は悪役でも脇役でも主人公でも格好よく見えますからね。

物語としての構成についても完成度が高く、上手くけん引する展開も裏切るような展開も入れつつ、ゲームにおいて過不足のないボリュームに収まっています。必要十分な物語という印象です。
加えてその上に、個々の個性や生き方を存分に描くことで、物語そのものの魅力が大きく増強されています。先を読みたくなる理由の半分くらいはキャラクター性に依存していたように感じました。

そうして彼らの物語の行く末が常に気になるからこそ、それが次の町に行くモチベーションになって、どんどんと航海を進めてしまいます。
航海そのものの楽しさもさることながら、次の目的地を目指す上での明確なモチベーションがあるというのもゲーム的には大きな強みになっているように思います。
物語が持つ強い牽引力というか、導線としての力強さがいかんなく発揮された作品です。

かてて加えて、台詞回しだけで物語が高いレベルで構成されたと言って良い完成度をしているので、会話劇の応酬が好みな人には刺さると思います。少なくとも筆者には刺さりました。
あの短い応酬の中で、物語としての熱さもキャラクターとしての生き様もありありと描写できているということが素晴らしいです。

しかしまあ、何も説明せずに大海原に放り出されるの良いですよね。チュートリアルなんかもありません。
この世界観における、全てに対する放念めいた感覚をすら覚えます。