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47. 1/∞の奇跡

ジャンル 作者
ADV 囁ノ葉
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.0.2 全ENDクリア

良かった点

  • 色彩の表現が良かったです
  • 掌編のADVとして良く完成されていました

気になった点

  • 分岐前にそこそこの長さのイベントが走るので、エンド分岐の探索時は食傷気味になります

レビュー

奇跡の行方

1/∞の奇跡は、病室の少女とその担当ロボットの7日間を描いた短編アドベンチャーです。
ロボット技術が発展した近未来を舞台に、少女とロボットとの交流と、その少女にまつわる結末を描いた物語となっています。

基本的には探索アドベンチャーの形式をとっており、物語の比重が大きい作品となっています。
探索要素もそこそこに、少女に話しかけて選択肢を選んでいくことで、全部で五つのエンドへと分岐していきます。

探索アドベンチャーとしてはオーソドックスで、全体としてシンプルにまとまっていながらも、勘所では演出により強く感情が表現されていきます。
殊に要所で差し込まれることになる演出は、色による表現が美しく、病室という白い空間の中でより強く映え、それでいて示唆的に物語へと訴えかけてくるものとなっています。

いくつかのエンディングを経て、奇跡へと辿り着いてはみませんか。

感想

今ウディコンでは掌編ADVが少ない印象を受けていたので、ある意味では貴重な作品でした。
個人的にはこの手のゲームが好きなので無限に出てほしい気持ちがあります。

全体的な印象は色味による表現が美しくて示唆的で良いなあと言うものです。
徹底的に漂白された無機質な空間が、それ以外の色の意味も印象も際立たせています。白が基調であるから映えるというのもありますし、そもそもマップ自体が病室というロケーションであることを上手く活かして、白に類する色調に無機質さを上手く付加していて、印象に強く残りやすいです。
そして、それがゆえに青空の綺麗さが鮮明に印象に残ります。あのエンディングは決してこのゲームの終着点ではないのだろうと思いますが、それでも最も強く心に残ったシーンを挙げるのであれば、あのシーンを挙げたくなります。

加えて、グラフィックも好きで、演出も割と好きです。必要最小限にしか用意されていませんが、物語を構成するには必要十分になっています。
ただ、演出については別ENDのために周回していると大分食傷気味にはなりがちです。
分岐前にそこそこの長さのイベントが走るので、分岐チェックをしていると何度も見ることになります。とはいえ全体のプレイ時間の内10分程度だったような気がするので、かなり厳しいというほどではありません。

また、終わってみると分岐はかなりシンプルなんですが、誘導は少ないので難しめでした。
最初の分岐にあたる例の部屋に入ろうとはあんまり思っていなかった上、どう使用するかという点も謎でした。マップが狭いので総当たりで突破できる範囲ではありますが、その場合はロボットに無意味に話しかけることになります。
筆者の場合は、BAD2の分岐がしばらく分かっていなかったです。

物語というか世界観の話をすると、機械の三原則が硬いから人間側を合わせていこうという考え、なんというか実に日本らしいなという気持ちになりました。この既存の仕組みを抜本的に見直すんじゃなくて、小手先の解釈で誤魔化す感じがそれっぽい。
プログラマー的にも機械の三原則という抜本的な仕様を今更撤廃すると、どういうバグが出るか分かりませんよという気持ちになるので、案外現実的な落としどころっぽく見えるのも面白いですね。
こういった情報は、この掌編で描かれる世界観としてはちょうど良い規模でありながら、そういう歴史が知れるという意味で個人的には好みです。

しかし、この物語は何をもってして奇跡と表現しているんでしょうか。
もし機械が主体的判断をしたことが奇跡ならば、他のENDもTrueであるべきでしょうし。彼女の心が救われたことが奇跡なのでしょうか。ほぼ同等のことが起きていても、Trueにおいてはその結果というか意味合いが異なるので。
現象そのものはその後の行動や結果には強く影響しないけれど、バタフライエフェクト的に確かに何かに影響を与えたということそれ自体が奇跡なのかもしれません。

「奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない」とは楳図かずおさんの作品の言葉であり筆者の好きな作品で引用されている言葉なんですが、ある意味これもそうかもしません。
実際にこれはロボットに起きた奇跡であって、結末もまた劇的に完治したのでなく、当然そうあるべくして治ったというものであるので、これが奇跡とは作中人物には気づかれていなさそうです。

48. コック出現

ジャンル 作者
戦略SLG風わちゃわちゃ zabumaru
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.23 クリア+

良かった点

  • 技術的に凄いことをしていました
  • ストーリーはある種のシュールさがあります

気になった点

  • 設計上、総員攻撃か総員退却しかできず、あまり戦略性はありません
  • プレイヤー側総大将が最前線に立たされるのが辛いです

レビュー

わちゃわちゃ突進だ

コック出現は、クォータービュー上でわちゃわちゃ自動で戦うSLG風のゲームです。

マップ上で自動で戦うユニットたちについて、プレイヤーが干渉できることはたった一つ、全ての味方の移動目標点の指示のみとなります。
適宜指示を出すことはありますが、それ以外は戦闘を眺めていることになるでしょう。

ゲームルールとしては大将さえ倒せば勝ちとなります。うまく誘導して敵の本陣を叩けると効率的です。
その一方で、こちらの主人公がやられた場合は負けとなります。このため、主人公はなんとしても守り抜く必要があります。

そのように敵大将を上手く倒し、こちらの被害を抑えるためには戦略が求められます。
隊列を変更することはできないので、相手の特徴も鑑みて装備と指示によって効率の良い戦略を立てていきましょう。

そうして敵の大将を倒すことができれば、どんどんと仲間に加えていくことができます。
徐々に大所帯となっていく布陣で、様々なキャラクターが入り乱れたわちゃわちゃした戦闘を乗り越えていきましょう。

感想

技術的にはかなり凄いことをしていて、ウディタにおけるクォータービュー自動戦闘の技術デモみたいな印象を受けています。筆者がやったバージョンが良いのかもわかりませんが、プレイできないほどの処理落ちが発生せずにほぼ最後までクリアできました。
クォータービューのマップのクオリティも高いです。

一方で、ゲームとしては割と単純な設計です。
基本的に全てのキャラクターはマウス方向に動くので、総員攻撃か総員退却しかできません。また、戦い始めると、以後どちらかが倒れるまで戦うバーサーカーになるので、不利な戦いから逃げるのも難しいです。

右翼から回り込むか左翼から回り込むか、あるいは待つかくらいの戦略は取れるんですが、それでもあんまり完璧には戦えません。その場の雰囲気というか、味方のAIと指示が上手くはまると勝ちやすくなります。
負けた時の理由は分かりやすい時もありますが、勝てた時の理由が分からないことは往々にしてあります。何度も挑戦した強敵にあっさり勝ってしまったこともありました。

そして何より厳しいのは、自機であるコックが負けるとゲームオーバーになることです。
基本的にこのゲームの単騎は弱いので、逃げ回る必要があります。一方で、コックは自陣の最前線に立たされていて、かつ逃げ道もまた味方AIにふさがれるので、良い感じに後ろに構えられる布陣に再構成できるまで根気良くリトライする必要があります。
代わりに敵大将を倒せばクリアになるというシステムもあるんですが、大将は敵陣最後尾に鎮座しています。何という不平等。

そもそも、味方も主人公もカーソル位置に動く仕様上、主人公はほかの仲間と奪い合いをするので動きにくいのは当然です。また、この仕様があると主人公を後ろに下げようとすると自然に戦線が分断してしまうので後ろに下げづらいというのも厳しめです。

また、布陣というか編成をこちらで組むことができず、かなりバラバラな布陣で開始することになるのも厳しいです。
その上、相手はちゃんと前に壁、中段に遠距離、後方に大将の布陣で挑んできます。何というハンデ。
味方も敵もAIがポンコツ気味なので平気で魔法兵のリーチに入りますが、敵は布陣である程度カバーされているので、こちらが被害を被ることの方が多い印象でした。

システム面で言うと、戦闘のリトライがゲーム開始からで、装備の付け替えという戦略性が取りにくくなっているのも地味に辛いです。
加えて、もし装備まで戻すなら、装備をもらうところから始める必要があるのも面倒ポイントです。なぜならば、装備をもらうとセーブ箇所が消滅するので。

ストーリー面ではひたすら餌付けしてパクパクしていくシュールさが良いです。どれだけ敵対していてもパンを食わせれば皆仲間。
ただ、最後のエピローグだけ進行が遅く、クマが前に出ているせいで読みにくいのはありました。

平たく言うと、勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしと言ったゲームです。というか不思議の勝ちしかない。

筆者は何とかラスボスまでは倒せたんですが、メイドは無理でした。かんたんでメイドを突破するところまではそれでもいけるんですが、その次の将軍がどうあがいても無理。
しかし、クリア者がいるようなので、世界は広いなあと感じていました。どうやってるんだろう。

49. 悪役令嬢の断罪まであと3ターン

ジャンル 作者
ワンマップADV あきら
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00.03 全ENDクリア

良かった点

  • サクサクと遊びやすい設計になっています
    • クイックスタート、スキップあたりが便利です
  • 良いキャラクターでした
    • 常時高いテンションでコメディを楽しめるキャラクターです

気になった点

  • 特にありません

レビュー

残された時間は3ターンですわ~~!

悪役令嬢の断罪まであと3ターンは、3回の行動でエンディングが分岐していくアドベンチャーゲームです。
主人公の悪役令嬢を操作し、処刑の運命を変えていきましょう。

プレイヤーが取れる行動は、主に話しかけることと探索することになります。ゲーム上には一つのマップしかないため、それぞれの行動は簡単に行うことができるでしょう。
そうして話しかけることで1ターンを消費し、その取った行動いかんでエンディングは分岐していきます。

このゲームにおいて特筆すべき点は、何といってもスピーディーな展開とノリの良さです。
ゲームの性質上繰り返しプレイすることになりますが、快適に周回できるUIや、トントン拍子に進む会話劇によって、ストレスなくサクサクと遊ぶことができるでしょう。

加えて、そういったスピーディーな展開を支えているものの一つとして、個性豊かなキャラクターもまた挙げられます。
殊に主人公のノリはすこぶる軽快で、様々なキャラクター達と織りなす掛け合いをサクッと楽しめることでしょう。
そんな主人公の運命を変えるには、アイテムを拾ってみたり、何度か話しかけてみたりと、色々やってみることが必要になります。様々なことを試して、分岐していくエンディングや展開を見ていきましょう。

サクサクと悪役令嬢の物語を楽しんでいきましょう。

感想

世は大お嬢様時代なんだなあと思いました。
ちなみに、この作品のレビューをお嬢様言葉で書くか最後まで迷いましたが、お嬢様言葉に不慣れなもので結局普通の形にしました。不甲斐ないし、精進が足りないですね。
ジャイアントとかセレブとかゲーミングとか色々読んで出直します。

全体的にノリと勢いで構成されたゲームではあるんですが、遊びやすさでコーティングされているので、そのノリと勢いを不自由なく摂取できます。
ノリと勢いに任せる以上、途中でそれを阻害するようなゲーム的要因が発生すると十全に楽しめないことに繋がってしまうんですが、このゲームではそういったこととは無縁でした。
なので、掌編として最後まで一気に遊びやすい作品です。楽しく遊べるという点では他の追随を許さないレベルでした。掌編として美しく思います。

特にクイックスタートが便利で、おかげで何のためらいもなく変な行動がとれます。Cスキップも相まって、色々とエンド分岐のために試すのが楽な構造になっています。
これらのおかげで、恐らくエンドに絡まないであろうイベントの葉っぱとかホラーも楽しんで読めます。やはり遊びやすいということは偉大。王様に話しかけ続けて分岐はないよと言われても笑って流せました。
もしスキップが大変であれば、こういったおまけイベントの一つ一つが煩わしいものに変わってしまうので、こういう快適性は冗長性の確保のためにも必要なんだなあという感想を抱きました。

また、3ターン、つまりは3回の会話で分岐するという設計も良くて、適度に試しつつバリエーションも確保された範囲の選択肢数に感じました。
加えて、そのシステムの上に選択肢以外の分岐要素も入れることにより、会話だけでなく若干探索っぽい要素も入っています。これが、ちょっとしたアクセントにもなっていました。
このあたりの短編のバランス感覚が物凄く良いので、気持ちよく遊べる作品です。

またキャラクターも良くて、特に主人公の造形が良いです。一番会話に絡むキャラクターなので、一番良いキャラクターであるべきなんですが、間違いなく一番良いキャラクターとなっていました。属性は盛れば盛るほど楽しいのかもしれません。
他のキャラクターも、短い会話ながらちゃんと文脈に基づいた個性が付与されているのが良いです。ある意味被害者は彼らなのではという気持ちにすらなります。

全体を通して、悪役令嬢ものの文脈をよく知らなくても割と楽しめる作品だったと思います。
筆者個人は、いくつか読んで途中で辞めた記憶だけはあって、今はティアムーン、ユミエラ、実況解説あたりを読んでいます。前者は微妙に違うかもしれない。とにかく、気持ちの良くない展開が続くと辟易してやめる傾向にあるので、このゲームの底抜けに明るい展開は好みでした。

なお、今ウディコンの明るいですわ担当になるかと思います。
熱いですわ、あるいはギャグのですわは他作品にいますね。

50. エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板

ジャンル 作者
探検RPG ゲーマーオサーン1号
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間30分 1.04 完全クリア+

良かった点

  • 色々な行動がとれるシミュレータ的な側面があります
  • 時間に絡んで人の動きが変わる丁寧な作りです

気になった点

  • 時間の調整をしにくいように思いました
    • 睡眠が代替することが多いですが、9時以降しか寝れない制限などもあり辛めです
  • 主人公以外文字送りできないので、物語を読みにくいです

レビュー

生活するRPG

エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板は、時間の制約により生活を意識させられるRPGです。

このゲームにおいては、プレイヤーのみならず、NPCも時間に縛られています。
休みの日や深夜は店をやっていませんし、NPCがからむようなイベントも進行しません。NPCの生活がゲームシステム上に息づいています。
イベントを進めるにしても、きちんと生活リズムに則って行動していきましょう。

また、主人公は様々なことを体験することができ、これも生活を強く感じさせる要因となっています。
狩猟をしたり、採集をしたり、釣りをしたり、バイトをしたり、各地の街を巡りながら生活に根差した行為をすることができます。
そうして色々なことを体験しながらも、イベントを進めていくことでストーリーは進行していきます。

物語の軸となるのは古代の謎です。古代文明の石板を巡り、その謎を少しずつ紐解いていくことになります。
それに付随して、主人公の両親の事件をベースとしたサスペンスめいた展開も複線的に進行していく、見ごたえのある物語となっています。

各地の街を巡り、生活しつつNPCと交流し、イベントを進めて古代文明の謎を解き明かしていきましょう。

感想

RPGかと思ったら生活系というかシミュレータっぽさのほうが強い作品でした。
戦いはむしろオマケと言ってすら良いかもしれません。

時間にからむところはかなり丁寧に作られていて、曜日や時間の概念で開いている店とかそこにいる人とかが変わってきます。
例えば、日曜日に店が閉まるところとか、宿屋の主人の入れ替わりとか、割と細かいところまで変化しています。Moonなんかを思い出しました。
これに加えて、それぞれのモブキャラの顔が逐一異なることもあって、それぞれのキャラクターの生活感みたいなものがでています。定型文しか喋らないように見える彼らにも生活があるんだなと思いを馳せていました。

一方で、時間を動かすのは何らかの行動をとる以外ではアルバイトによる時間経過、宿屋に泊まる、といった行動しかできず、適度な時間操作はちょっと面倒です。
特に、何時間寝るみたいなコマンドもない上に、そもそも寝るのが9時以降にしかできないという問題もあって、好きに時間調整するのはそこそこ手間がかかります。基本的にはどこかに入っては出るを繰り返すのが良さそうです。

操作は全てマウスできるので、ある程度操作の使用感が良いんですが、システムの面ではやりにくいなと感じるものもあります。
例えば探索においては、連続で探索できず、何度もやろうとすると割としんどいです。また、どの店が開いているかは入ってみないとわからないので、その辺もやりにくくはあります。
他にも、移動中に放っておいたらエステラが時間を止めて喋りだしたりするのも薄っすら面倒に感じました。携帯食料を食べるのもそうです。下に非アクティブなメッセージとして出ているなどであれば、阻害しないのでフレーバーとして良さそうに思います。

また、食糧と主人公の状態はチェックしておきたい気持ちがありつつ、そこそこ遠いUIに存在しています。
ここが悪くても目に見えた変化はそんなにないので、実は気にすることではないのかもしれませんが、もし気にするのであれば常時表示でもいいかもしれません。

これも含めて、戦闘システムや自身のスキルレベルなど、特に上げなくても物語進行上ではさしたる問題が発生しないシステムが多い印象でした。
序盤はちゃんと上げようとしていたんですが、それによるリターンがあんまり感じられなかったので、中盤以降は上げることを意識せずストーリーを進めるという状態に落ち着いています。これもフレーバーなのかもしれません。

物語については思っていたよりもかなりしっかりとあって、石板の謎を解明していきつつ、迫る陰謀が見える構造は良かったです。
全体を通してそこそこシリアス目な世界観ではありますが、主人公と相棒のエステラが明るめの性格なので、総じてあまり暗いお話にはなっていません。

ただ、文字送りができるのが主人公の言葉だけで、ほかのキャラクターの会話が全て表示後に消えるという仕様なので、会話劇が若干楽しみにくくはありました。
クリックすると瞬間表示するんですが、その後早めに消えてしまうので、ちゃんと読もうと思うと難しいです。

なお、先述したようにキャラクターは結構色々いて、それぞれの容姿が異なっています。町にいるモブみたいなキャラクターでさえ、固有名とグラフィックが割り当てられていました。
若干主要キャラを把握しにくいきらいはあるんですが、本当の主要キャラはちゃんと登場回数も多いことで情報量が担保されているので、そのあたりは読んでいけば問題にはなりません。端役の将軍とかの立ち位置がうろ覚えになるくらいです。
個人的には、ポンカールの人たちのノリが好きでした。あとはリムシーが作劇的に意外と良い立ち回りをしている印象です。

一応見れるエンドは全て見たと思っているんですが、なんとなく道中の選択肢による分岐もありそうです。
特に、ポンカールは救わない道もありそうに思えました。その場合どうなるかは分かりませんが、それもエンド分岐につながるとすると、全部見ようとするとなかなかハードそうです。クリアまで大体4時間30分で、全部知っていてもそこそこ時間がかかりそうなので。

なお、最初は機械音声を聞くたびにぞわぞわしていてたんですが、ずっと聞き続けるうちにあんまり気にならなくなりました。恐らく慣れたんでしょうか。それもこれも、エステラがずっと話し続けてくれたおかげかもしれません。

51. 脳筋魔法使いは進学したい

ジャンル 作者
ノンフィールドデッキ構築ローグライト なす太郎
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分+α 1.05 NORMALクリア

良かった点

  • 運と戦略性のバランスが良い塩梅でした
  • スキル選択などのランダム性から、リプレイ性が高いです
    • 遊ぶ度に戦い方が変わります
  • ストーリーやグラフィックの緩さが良かったです
  • 複雑な設計ながら、遊びやすく練られたUIでした
    • 機能性と安全性のトレードオフを上手くとっている印象です

気になった点

  • Very Hard はさすがに運要素が強い印象です
    • ただし、運が悪い時は大体早めにつぶれるのでリトライ性というか中毒性は高いです

レビュー

ダイス運を知恵と戦略で乗り越えろ

ダイスの結果というものは、人間の操作の及ぶところではない、覆すことのできない領域です。
しかし、リスクを最小化し、リターンを最大化する方略をとることは可能であり、それには正しい準備が必要となります。
デッキ構築系のローグライトである、脳筋魔法使いは進学したいを攻略するには、運に抗うことなく適切に乗りこなしていくアドリブ性と戦略性が求められることでしょう。

このゲームのベースはノンフィールドRPGとなっています。一歩一歩進んでいき、その一歩ごとに戦闘と様々なイベントがそれぞれ待ち構えています。
徐々に強くなる敵や、ダイス運に左右されるイベント、最後に待ち構える強敵、そういったものを乗り越えて、30歩を歩み切ることができればクリアとなります。

また、そういった戦闘やイベント以外にも、時間がクリアの障害として立ちふさがってきます。
イベントで消費されたり、HPの回復のために休憩したり、そういった行為の度に時間は消費され、24時間経過してしまうとゲームオーバーとなってしまいます。
時間の管理もまた重要になるでしょう。

ゲームのメインとなる戦闘においては、ダイス運がカギです。振ったダイスの出目によって、使用するスキルやその威力が決定づけられるため、敵を上手く倒し切れるかどうかはそこそこ運次第となります。
ただし、天運に全てを委ねるまでに、人事を尽くす余地は残されています。魔法で出目を操作したり、エクストラダイスと呼ばれるアイテムを使ってもう一つ出目を増やすなど、適宜戦略も発動できるためです。
出目に左右されにくいスキル構成を構築するというのも有効な手段です。

戦闘において運を乗り越えて勝利をつかむには、そのような事前の下準備が不可欠となってきます。
その一方で、このゲームではスキルの習得という下準備に対してもランダム性が司っています。戦闘で得た経験値をもとにスキルを習得する際は、ランダムで三枚提示されるスキルから一つを選ぶしかないためです。
現在のスキル構成も勘案して、その周回のベターな設計を心がけていきましょう。

このように、高いランダム性がゆえに周回ごとに異なる戦略を立てる必要があり、フレキシブルな立ち回りが求められるゲームとなっています。
イベントから戦闘まで、ダイス運とうまく付き合いながら難局を乗り切っていきましょう。危ない時は消費を惜しまない勇気も重要になってきます。必要なのは、知力体力時の運です。

このゲームは、周回ごとに得られるスキルが変わり、目指したい構成も変化していき、プレイする度に様々な楽しみ方ができる作品となっています。何度でもプレイしたくなる中毒性があることは疑いありません。
何度も遊べるローグライトが好きな方には、珠玉の作品と言えるでしょう。

感想

全部プレイしようとする人のトラップの一つです。ローグライトは沼ると無限にやれてしまうんですが、この作品は例に漏れず無限にやれるだけのポテンシャルがあります。
筆者は運を戦略と知識でねじ伏せる系のローグライトが大好きなので、このゲームはもちろん大好きです。

なお、ダイスによるローグライトだと最近ならDicey Dungeons あたりが思いつきますが、未プレイなので比較評価はできません。もしかしたら近い内容があるかもしれませんが、そこは流してください。

ダイスというのは本来的に運の要素が強く出るので、ローグライトのランダム性と上手く噛み合った要素だと思います。
これに加えて、この作品ではそのダイスをもとに何をやるか、またその「何をやるか」の手札についてもどれを選択するかによって、メタ的に運を制御できます。
例えば、低い出目が出てもカバーできるように裏拳を採用したり、そもそも低い出目を出さないように魔法でコントロールしたりと、運に対して制御可能な塩梅がちょうど良いです。

しかも、その手札選択の行為自体にさえランダム性が有るので、プレイごとにプレイ体験が違うのも良いです。
狙ったスキルが手に入らなかった場合は持っている手札でしか戦えないので、そこで思わぬ発見を得られることもあります。
そうなると、次はスキルの組み合わせやら何やらが頭に浮かびだして、それを実現するためにまた潜ることになります。この永久機構に取り込まれると抜け出せなくなります。怖い。

このあたりの、運によって当意即妙な立ち回りは要求されるけれど、極端な運ゲーにはならないバランス調整は良く完成されていると感じています。
どれほど戦略的に立ち回っていてもダイス運が腐っているとろくな目に遭わないところも含めて、運に振り回されながらも地に足付けた戦略が求められる良い塩梅です。
運によるリプレイ性の高さを享受しつつ、戦略による楽しさを担保しています。

とはいえ、ダイスベースではあるので、どうにもならない不運が起きたりはします。
ダイス運という絶対的支配者に屈することは往々にしてあるので、エクストラダイスを3つ振って全て1が出てもめげないのが大事です。新幹線カードをもらえたりはしないので。
特に高難度を選んだ場合は運によってかなりきつくなることもありますが、大体そういう時は序盤で崩れるのであまり気にはなりませんでした。

攻略の話になりますが、筆者はVery Hardのラストで敗北しているのであんまり参考にはならないです。
とにかくHPが大事なリソースなので、毒はめちゃめちゃきついです。麻痺、混乱も地味にダメージではありますが、毒の直接的な厳しさには及びません。
免疫をつけても完全対処にはならないので、とにかく早めに倒すことを心がけるしかないのかなと思っています。

Normalクリア時の編成はガチ脳筋、深呼吸によるバフかけた腕と足の4サイコロ攻撃によるごり押しでした。
ローキック、裏拳をちゃんと用意できていれば、事故らない限り最初のターンで一人狩れる布陣です。ここに先見と半身による加速、一本背負いと掌底、足払いによるスタンも入れておくことで、一方的に殴れるマシーンにしていました。

Very Hard で一番惜しいところまで行った時は、ガチ脳筋、アドレナリン、深呼吸のバフによるごり押しでした。変化がない。
とにかく先手でごり押せればよかったんですが、腕に攻撃があまり用意できなかったこともあって、火力不足で惜しくも敗れました。ダイスが腐ったのもあるんですが、腕の防御のどれかを犠牲にして攻撃重視で挑めばよかったなと反省はしています。
ただ、ガチ脳筋のデメリットである魔法を使いにくいというところを、逆張り、集中による一時回復で一回だけ使えるようにしていた構成はうまく機能していた気がします。

ストーリーはあってないようなものではあるんですが、適当な名前付けが好きです。そもそもテキトゥーナ魔法学校なので。敵のグラフィックも含めて緩い感じが好みでした。
周回するべき要素にはストーリーを入れずフレーバーで済ましているのも良いところです。何度プレイしても、物語を気にするのはOPとEDを能動的に見たタイミングだけになります。
ただ少なくとも球団を作る話ではない。

UIの面で言うと、割と複雑な設計のゲームですが、かなり遊びやすいレベルに落とし込まれていると思います。
アイコンの多用でうまいこと面積を抑えつつ、右クリックで常時説明表記可能になっているので意味もとりやすいです。
頭 -> 体 -> 腕 -> 足 の順でスキルを使わないといけない、そのたびにダイスがふられて選択しないといけない、かつそのダイスをどれに対応させるか決めないといけない、という制約をある程度使いやすくまとめていたように思います。

若干誤操作の起きやすい設計だとは思っているんですが、順列の入れ替えなどでユーザーが誤操作を起こしにくくできるようにしつつ、機能性を優先したものだと感じています。いちいち聞かれたんじゃ鬱陶しいですからね。

ともあれ、ある程度遊びやすい沼を作ったものだからずぶずぶとはまりかけていました。
これを書いている最中にも思い出すついでにVery Hardに挑んでは破れています。あとちょっとでいけそうな気配を感じるんですが、壁が厚い。ガチ脳筋の限界かもしれない。

返す返すも何度もプレイしていて思うのは、Normal という難易度の、何度かやればまあクリアできるというバランスもさることながら、Very Hard という難易度の、軌道に乗ればクリアできそうでやっぱり難しいというバランスは本当によくできているなということです。
ラストでダイスが2回腐らなければ勝ててたんです、本当です。エクストラが残せなかった筆者に不備があるのは事実。

なお、ずっとこのゲームをローグライトと呼称していますが、永久アンロック要素などの持ち越し要素がなさそうなので、ローグライクと呼んでも良いかもしれません。
ただ、ローグライクというとそれこそ本当にローグっぽいゲーム性がイメージされるので、なんとなくローグライトと呼んでおいた方が無難かなという印象です。ベルリン解釈的にも微妙に合致していなさそうでした。この辺のジャンルは難しいですね。

このゲームの中では、一応図鑑みたいな要素はありますが、結局挑む際は裸一貫で臨むことになります。
なので、ゲーム上に本来形のない情報という知恵や経験という糧を武器に、難関に挑むさまは割とローグライクっぽいなあという気持ちはあります。

52. 割烹活法・神ノ七草

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG なごみやソフト
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.02 クリア

良かった点

  • ボスごとに良いギミックバトルが楽しめます
  • 状態異常管理ベースという特殊な戦闘システムが面白かったです
  • 世界観がしっかりとありました

気になった点

  • 散策の意義が不明瞭でした
    • 用途としてはほぼ回復のためになりそうですが、ランダムイベントがあるためなかなか休憩できません
    • ある程度リスクがあれば回復できるかのギャンブルになりますが、リスクもそれほどないため、回復が引けるまで回すことも可能でした

レビュー

和服ギミックボスバトル

割烹活法・神ノ七草は、料理でボスを処理していくギミックバトルめいたノンフィールドRPGです。
ノンフィールドのステージを戦ったり散策したりして進めていき、最奥のボスに挑む形となっています。

各ステージのボスはそれぞれ専用のギミックを有しており、それを上手く対処していくことが攻略の上で重要な点となります。
そして、この専用行動への対処のカギを握るのは、料理というコマンドと、そのコマンドで与えられる状態異常です。

料理には様々な種類が存在し、それぞれの性能や対応する状態異常が異なってきます。
敵の付与してくる状態異常に対処するにも、相手に上手く状態異常を付与するにも、料理は欠かせない要素となってきます。
このゲームの特徴である、状態異常は一種類しか掛からないという性質を活かし、あえて味方に状態異常を被せるという戦略もあるでしょう。

また、ボスを攻略する上で重要なもう一つの点が、旨味と呼ばれるゲージを貯めることです。
旨味を最大限まで貯めることができれば実質的に勝利となるため、ボスごとに異なる旨味の蓄積方法を見つけ出していくことが肝要となってきます。
旨味を効率よく貯めるためには、相手の行動への理解と、やはり状態異常の取り扱いが強く影響してくるでしょう。行動を観察し、適切に対処していきましょう。

なお、料理は食材から成り立ち、食材は道中の敵から入手することができるため、道中のノンフィールドもなおざりにはできません。備えあれば患いなしなので、雑魚敵からは、ありがたく食材を頂いておきましょう。

料理を活用して状態異常を取り回し、上手く立ち回ってボスを美味しく頂いていきましょう。

感想

全編通してギミックボスに上手く勝つゲームという感じです。
料理システムが面白くて、それをどれだけ活用できるかが勝負のカギを握ります。

ベースは状態異常ギミックボスなので、状態異常の管理が何よりも大事になります。
そして、それには食材が何よりも大事になります。道中の雑魚敵からちゃんと食材を集めておけば、ボス戦で想定外のことになっても割と何とか戦えるようになります。準備が大事。

一番ギミックっぽいのは蛇とラスボスですが、それ以外も状態異常のギミックをフル活用してきます。
状況と構造を理解し、食材を上手く使って場を管理する能力が求められるので、状態異常管理バトルシステムみたいな気持ちになれます。状態異常を制するものが戦いを制す。

とはいえ、ギミック自体は初見でもなんとかなるレベルの構造をしていて、基本的には殴るのがメインになるので難しすぎてリトライが必須というほどではありません。
片方が殴ったり守ったりしつつも、料理で持久戦していく戦闘システムという印象でした。どうしても旨味パズルにはなるので持久戦は必要ですが、ちゃんと戦えばどれも20ターンもかからないレベルです。
ニコミ火山が苦戦しましたが、これも吹きこぼれギミックを理解していればもう少し詰められそう。

料理のための素材集めについても、最初の方から連続素材入手攻撃があるので割とサクサクと集まります。また、図鑑を見ると特定の敵の出現率を上げられるので、特定素材の入手も割と容易になっています。便利。
そうして集めた食材をボス戦で惜しみなく使うことで、場を有利に展開できます。
余った素材はナマステに売って食材のバランスを取ればいいので、ガンガン取得したほうが吉です。

ああなるほどそれで旨味が上がるのね、じゃあこういう料理を使って、みたいな考えで、理解、適用、結果が割と早く返ってくるので楽しめます。
旨味ゲージという見た目で分かりやすい勝利条件があるので、料理や敵のギミックに対する理解が素早く完了するのが良い設計だなあと思っていました。

個人的には蛇とラスボスのギミックが好きでした。
蛇は結構ダイナミックな動きをしているのが良くて、ラスボスは勝手に状態異常を作って場を乱す面白さがあります。ラスボスについては最初の内は何が起きてるか分かりませんでした。

難易度で言うとニコミ火山が一番厳しくて、雪面に行ってなければクリアも覚束なかったように思います。一応できるのかな。温度操作はともかく吹きこぼれのギミックが良く分からないままごり押したので、今でも完全な解法は分かっていません。
なお、雑魚のシシヤギヘビだけはあんまり面白みがなくて、MPは削ってくる、速度上昇で回避してくるで、こちらの継戦能力を削り取ってくるのが辛めでした。ボスも含めて一番苦手かもしれない。

なお、散策の設計については、実質的に回復したいから散策しているので他のイベントの必要性をあまり感じてはいませんでした。
現状一応ダメージを負うこともありますが、回復さえ出ればチャラになるので当たりが出るまでガチャを回している気分になります。もし散策でのダメージでゲームオーバーになるならリスクではあると思うんですが、それもなんか違う気もします。
殊にラストダンジョンでは会話後に移動するイベントの確率が高く、それがそこそこ面倒でした。特に、もう戻されも進みもしない最終地点でも発生するのがやや変に感じます。

ストーリーについては、あっさり目ですがちゃんとあります。どちらかと言えば、物語より世界観がしっかりとあるイメージです。七草周りの設定とか。
物語としてはノンフィールドRPGとしてちょうどいいサイズ感だったように感じました。その短い中でも二人のやり取りが軽快で、シシクイのキャラの強さもあってさっくり楽しく読めます。

しかしクリア後部屋における和服に対するこだわりは凄いです。
和服の時間が3時である理由が全く分かっていない。おやつの時間とかそういうことでしょうか。

リザルト

53. The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~

ジャンル 作者
RPG Laplace
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間 1.02 クリア

良かった点

  • 村という共同体に愛着を持てるゲームでした
    • 一人一人の名無しのモブに至るまでキャラクター付けがなされています
  • 戦闘バランスは良好でした
  • 村人という視点が一貫して保たれたストーリーでした

気になった点

  • 光と闇のギミックは見にくいだけで面白みがないかもしれません

レビュー

村人は生きる、その日が来るまで

ゲームにおける勇者とは、世界を巡り、魔王と渡り合う実力を身に着け、そして全ての人々の期待を背負って強大な悪を打ち倒す存在です。
そういった世界における勇者以外の存在とは、勇者という希望に託し、大きな趨勢にかかわることはできずとも、確かに日々を生きている人々と言えるでしょう。
The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~は、徹頭徹尾、そういった村人の視点に寄り添ったRPGとなっています。

このゲームでは、主人公たちは村というコミュニティを中心に、異変の調査をしていくことになります。そして、調査の過程で、主人公とその属する村は強大な敵のたくらみに巻き込まれてしまいます。
勇者であれば道程の一つとして立ち寄る箇所に過ぎない小さな村ではありますが、主人公たちにとってはそれが全てといってもよい拠点です。
村人という立場で出来得る限りのことをして、脅威に対して精一杯に抗うことになるでしょう。

脅威と戦う戦闘システムはRPGとしてはオーソドックスながら、毎回異なるメンバーで挑むことにより新鮮な気持ちで戦いに挑めます。
加えて戦闘バランスは良好であり、ボスは十分に強いパターンをもって行動してきます。きちんと強力な行動を捌いて、上手く倒していきましょう。

このゲームの圧巻は、村人という視点をもって村を拠点とすることで、村に愛着が湧いてくる点にあります。
名もないモブですら一人の通貫したキャラクターとして描写され、人々の共同体としての村が物語の中でつぶさに描かれることで、ただの小さな村であるにもかかわらず強く惹かれていくことになるでしょう。
その村に襲い来る魔の手に、時に無力感を覚え、時に絶望しながらも、それでも周りの人々との生活のために抗い続ける物語は、確かに村人の物語として銘記されること間違いありません。

村人という視点でRPGを遊び直してみてはいかがでしょうか。

感想

村人の視点というのを徹底的に描くことでしか得られない物語というか世界というか、そういうものを感じられる良いRPGです。
今ウディコンは良いRPGが多いので本当に助かります。楽しかった。

漫画などで村人をベースとした物語を読んでは、結局勇者めいたことやるなあという気持ちになっていたので、こういう冒険はするけどあくまで村人として戦う人々の物語というのは良かったです。
勇者に比べればあまりにも無力な村人という存在でも、その手の届く範囲の生活を守ろうと、各々が懸命に生きる様を描いています。

当然名前がついている主要キャラに思い入れが出るのはそうなんですが、それ以外のただの村にいる一モブに対してさえも村人の一人としての愛着がわくのは面白い設計だなあと感じていました。
基本的に村をベースに冒険に行く形式であり、あくまで村という拠点があるからこその愛着なのだろうと思います。勇者の物語であればただの通過する一つの村に過ぎないところですが、この物語においては何よりもフォーカスされるものとなっています。

一度村という拠点そのものは動くことになりますが、人々の生活拠点というかその集合体的な存在であるところの村は最後まで継続して存在し続けるので、最後までこの村全体に愛着を持ち続けることができました。
村というのは拠点としての地理的なものではなくて、ゲーム的には名もつけられていない村人たちも含めた一つの共同体としてのものであったということを強く覚えています。

事実、全く必要がないんですが村人一人一人にわざわざ話しかけに行ってから出発するようにしていました。ちゃんと一人一人に人生があるのを感じられる。
顔グラフィックすらついていないモブですらも、ちゃんと一貫性をもって描かれている丁寧さがあるからこその良さだと思っています。

それと同じくして、ややコメディ調のイベントの数々も良い味を出しています。
依頼から出るサブイベントもそうですが、逢瀬を見た後に鉄と化した後に新技を覚える流れとか、レオンの家にどんどん人が増えていくところとか、それでも彼女が寝ている時はきちんと外に出る細かい配慮とか、そういう細かいイベントの積み重ねがこのゲームのコメディとしての良さを出しています。MVSとか好き。

その上で、メインイベントとしては最ものんきな話をやった後にあのイベントを差しはさむからこそ、コメディからの緩急でより質の高い物語に仕上がっています。
その上で、ここからの物語で村人たちに勇者的活躍をさせることもできるとは思うんですが、ほとんどそういうことをせずに、脇役も含めて徹底的に勇者以外の存在の戦い方を描いていたというのが好みでした。

地上の人をさらうなどの行為をしつつも逆転の一手を模索していた王であったり、間違ったことであろうと自分の家族を守るために行っていた研究者であったり、非道の存在としてすら描けそうな人々も等しく戦った人々として描かれているのも好きです。
彼らもまた、何らかの共同体を守るために奮闘したという意味では、村人たちと立場を同じくするものかもしれません。

そろそろ戦闘の話をするんですが、戦闘バランスは割と良く、バフデバフが重要なタイプです。難度の高い戦略性は求められていませんが、ボスのギミックに上手く対応できないと負けるくらいの塩梅です。
ボスに負けるとギミック解説コーナーが始まり、それを聞いた上でリトライできるのでかなり親切だと思っています。リトライ時にはある程度のイベントスキップもあるので再戦もやりやすめです。

その時々で仲間になるキャラの性質が異なるので、ちょっとした戦い方の変化も生まれるので、大ボスのギミック性も含めて飽きることなく遊べる印象でした。

一つだけ気になる点があるとすれば、自警団の人たちは戦い抜いていた割には初期装備がしょっぱいですね。こればっかりはゲーム都合上仕方がないんですが。そもそも初期レベルが低すぎないかという話もできてしまうので、あんまりメタ的には考えないほうが良さそうです。

また、ロケーションごとに異なるマップギミックが使われるなど、とにかく見目にも遊びにも飽きないように工夫が凝らされている印象も受けます。
ただ、あの光と暗闇のギミックは正直見にくいだけではありました。

それにしても、あの雪ステージの岩に隠された道は何だったんでしょう。想定プレイ時間を見た感じでは、この先にもう一波乱あるのかと思っていました。
なお、想定プレイ時間が7時間からになっていますが、そこそこ寄り道した気もする筆者で4時間なので、長く見積もってもその辺ではなさそうな印象です。あんまり長いと敬遠されがちな気もするので、そこは4時間程度と書いておいて良かったんじゃないかなと思う次第でした。

54. ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚

ジャンル 作者
RPGめいた探索ADV テトゥルウイスキー蒸溜所
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 1.11 END1クリア

良かった点

  • とにかく要素が詰め込まれながらも、破綻なく完成されていました
  • フレーバーとしてRPGが機能していました
  • カンノーリが良いキャラクターをしていました
  • 全体的に演出が良いです

気になった点

  • 拠点マップがやや歩きにくく感じます
    • がれきに引っかかったり、導線がシンプルでなかったり、といったところが気になりました

レビュー

闇鍋ファンタジー

ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚は、カイジ風のRPGめいた探索アドベンチャーのようなゲームです。
このように一口で説明すると纏まっていないように見えるほど、ミニゲームからダンジョンのRPG、アドベンチャーのようなパートまで、様々な要素が詰め込まれている作品となっています。
それと同時に、そうした要素のごった煮もさることながら、それらが一つのゲームとしてまとめ上げられた作品でもあります。

このゲームでは、命をかけた賭博場に足を踏み入れてしまった主人公、カンノーリを操作して、生き残るためにサブゲームに挑んでいくことになります。
挑戦したサブゲームの成否は、フォースと呼ばれる対価に影響します。フォースは生存に不可欠となるため、可能な限りサブゲームに挑んで入手しておきましょう。

また、一日に一度、ダンジョンに潜ってRPGを楽しむこともできます。
ここで戦って得た経験は後の力となるため、戦いを経験して対策しておくことも生き残るためには重要となってくることでしょう。

さらに、生存のためには仲間との団結も必要となります。時には入手したフォースを使いながら、ストーリー進行の過程で人々と交流を深めていきましょう。
そうして、サブゲームを攻略しつつ、仲間と協力し合って生き残っていくことで、やがて迫りくる脅威に立ち向かうことになります。

こういった様々な要素をまとめ上げているのが、ギャグパートでも心を動かすシーンにおいてもいかんなく発揮されている、高い演出力になります。
その道程で色々なイベントやシステムを体験していきつつも、終局へと収束していく中でストーリーを高める演出を通ることで、終わってみれば正統派のファンタジーを遊んだような爽やかな気分を味わえるでしょう。

様々な苦難を乗り越えて、強大な敵に挑んでいきませんか。

感想

作者さんがすっぽんクエストの方とショートファンタジーの方なので、闇鍋と王道ファンタジーっぽいものが良い意味で悪魔合体した作品です。
終わってみれば正統派のファンタジー作品をやった気分になれるのに、プレイしている最中の感覚はまごうことなきごった煮の嵐です。面白い感覚が味わえますね。

このゲームを闇鍋だと思っているのでどこから話すべきか迷っているんですが、とりあえずカイジから話しておきます。
作中には色々なミニゲームやらパズルが出てきて、良いアクセントになっています。筆者はスロットやブロック崩しをやった結果ぬめぬめレースに落ち着いたんですが、赤スロットって攻略できるんですか。
ブロック崩しをしなかった理由としては、反射角が確定しているタイプっぽいのであんまり面白みがなかったからです。あくまでミニゲームという感じがする。

それはそれとして、序盤の進行はカイジADV、RPGを添えてという感じです。それぞれの人々の現在の状態が表示されつつ、少しずつ何かが進行していく様を感じられます。
選択を誤ったり、ミニゲームに失敗したりすると何か良からぬことが起きそうな気配を感じつつ、ストーリーを進めていくことになります。
そんなADVパートで急に緩い下ネタが突っ込まれる当たりもすっぽんの方っぽいなという印象です。ひどい偏見ですね。

RPG部分については基本的にはダンジョンに潜るところになります。
ダンジョンパートは限定リソースで戦闘をこなすタイプで、上手く戦えばそれほど苦戦せずに攻略可能です。実際、ダンジョンの位置に気づかずに一日スルーしましたが、無事クリアまでたどり着けました。
最終盤の難易度だけ高めではありますが、そのころになるとこちらも強いので割と何とかなります。このあたりの戦闘バランスはざっくり目な印象でした。

そうしてカイジADVパートを抜けると、本編のRPGパートっぽいものが進行するようになるんですが、それでも依然としてカイジADVパートも継続して行われていきます。
このあたりのごちゃまぜ感が闇鍋らしさをより強くしている印象です。

ADVパートの大演目みたいなところのある人間カーリングの完成度はかなり高くて、これだけでもうまく作ればウディコンに出せそうなレベルです。
その上で全員生存を目指すならこうしなくてはならない、という制約もあって、メタ的な思考でも楽しめるゲームとなっています。生かそうとした時の立ち回りはやや難しいですが、相手がそれほど強くないので理不尽ではないレベルです。上手く守りましょう。

一方で本編RPGパートの戦闘バランスもざっくり目な印象で、ダンジョンでもそうなんですが、連続攻撃技をぶんぶん振るタイプの戦いになります。
こちらの取れるスキル構成があまり豊かではないので、回復するか殴るくらいしかなく、相性を突くとか状態異常を活用するとか、そういった戦略性はあまりありません。語弊を恐れずに平たく言えば、物語のフレーバー的な要素という印象です。

ただ、このRPGの戦闘があったからこそ活きる物語もあったので、フレーバーとしてはうまく活用されていた印象です。機械人形の下りとかラストダンジョンの表現としては、これ以上なかったように思います。
戦闘を楽しむためのRPGではなくて、物語を演出し、体験するためのRPGという印象でした。

その物語の話をすると、この作品は今ウディコンの熱いですわ担当だと思っています。コメディ担当でもあるかもしれないけれど。関西弁のほうはいったんおいてください。
やはりカンノーリが良いキャラをしていて、このキャラクターが主人公であるが故に面白い物語であるという風に感じました。

また、カンノーリがああいった明るいキャラクターだからこそ、エクレールのことを少しだけ好意的に見れるという側面があると思います。控えめに言ってもエクレール、自己中心的なクズみたいなところがあるので。この辺もすっぽんの方という感じがしますね。シュンリほどではないと思いますが。

全体的に演出能力が高いのも効いていて、見せの場面で魅せてくる能力の高さが光っています。
そしてそれと同じくらいに、ギャグパートでもその演出能力をいかんなく発揮しています。それをやりだしたらもうカイジなんですよ。

そういった展開を随所に挟みつつも、終盤の展開はまごうことなき王道ファンタジー然としたもので、主人公の精神的な強さも描かれるものとなっています。
誰一人失わせしめなかったという自信がカンノーリに力を与えたんでしょうか。やはり熱いですわだと感じています。

なお筆者は初手でTrueまで行ったので、残りのENDを回収できていないのですが、Normal回収はストンダを見捨てるのが一番楽そうで、Badはちょっとだけ面倒だなあと感じています。そもそも見捨てるのが忍びない。筆者はUndertaleも結局Gルートをやってないメンタルをしているので。

ちなみにどうでもいいんですが、ストンダについて、ドット絵の関係なのかずっと肌色の悪いおばあちゃんに見えていました。何となくそう見えませんか。

書きそびれていた話として、拠点マップがやや歩きにくいことだけ若干気になっていました。
全体を歩き回ろうとすると円形闘技場が直進を邪魔するところとか、がれきが落ちていて引っかかるところとか、そういう細かいところです。
なんとなく闘技場以南のイベントは限られているから毎回行く必要が無いんじゃないかなと思いつつ、律儀にも念のため足を運んでいたせいではあるんですが。
RiME なんかもそうだったんですが、リアリティというか雰囲気のあるマップ作りと移動の平易さは割にトレードオフになりがちな気がしています。

55. 悪魔の本を捲りて

ジャンル 作者
RPG ケイ素
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.4 クリア+

良かった点

  • 完全情報戦闘バトルの趣がありました
  • きちんとメタれば戦闘バランスは良かったです
  • 短編として良く落とし込まれている物語でした

気になった点

  • 素材値で一括管理されたため、構成の自由度が下がった印象があります
    • 半ば必須の耐性などに振るとスキルがあまり自由に使えません

レビュー

ひたすら戦い抜け

悪魔の本を捲りては、戦闘をメインとしたRPGです。
悪魔の本を巡るストーリーが展開されながら、基本的には戦闘を繰り広げていくことになります。

このゲームでは、戦いに挑む前に敵の性質や弱点があらかじめ予告されます。
そのため、その情報を活用して、その敵に特化したメタ的な戦略を立てて戦っていくことが重要になります。使用してくる状態異常への対策、弱点を突けるような技構成など、事前の準備をしていくことになるでしょう。

このメタ戦略的なシステムを支えているのは、シンプルかつ何度でも振り直せる素材値をベースとした成長システムです。
敵を倒すと得られる素材値を用いることで、スキルの習得、耐性の獲得、持ち込むアイテムの入手、パラメータの強化など、様々な方面での強化を行うことができます。
敵の情報をもとに、適切に素材値を割り振っていくことで、戦闘を有利に進めていきましょう。

各ストーリーの終わりに待ち構えているボスともなると、事前の情報があっても強力な性能を持っています。
情報をもとにした対策と共に、大技に対する立ち回りといった戦術面でも気を付けて戦って、脅威を打ち払っていきましょう。

感想

戦略ゲーというか、最初に与えられた条件をもとにメタって勝つゲームです。
最終盤くらいはそれだけだと勝ちにくいんですが、少なくとも中盤くらいはメタっていれば負けることは無さそうです。

その結果、あまりにも快勝しすぎていて、セーブを忘れて二度進行を消し飛ばしています。
一度目はシンプルにミスって、二度目はなぜかセーブできずに消し飛ばしました。後のバージョンで修正されたんですが、恐らくタイトルでロードを一度でも選んでからゲームを開始するとセーブできなくなる不具合だったようです。レアなバグを踏んだ。

話を戻して戦闘バランスについてですが、メタれば勝てるし、そうでなければ泥仕合か敗北する良いバランスです。
きちんと対策を踏んでさえいれば、クリティカルなどの運要素が多少絡んでもリカバリーが効く範囲の被害で収まります。逆に、対策をしていないと少しのミスで総崩れになります。
殊に状態異常は半ば対策必須で、異常をそのままにしておくと高確率で戦線が維持できなくなります。一応かばうや、全体状態無効でも対策可能な雰囲気を感じますが、パッシブに突っ込むのが安定だと感じていました。

全体のバランスとしては、おまけボスというか強敵に類する敵とラスボスを除けばそれほど強いわけでもなく、ボスがやや強い程度のバランスなので、詰まらずに進めることができました。
強敵はちゃんと強く、対策を踏んで戦い方を工夫すれば対処可能なレベルです。ラスボスもそれくらい。
ラスボスが抜けて強いのは恒例ですが、今作は準備できていれば対応可能なレベルの強さだと感じています。個人的にはちょうどいい。

なお裏ボスは結構強くて、最初に挑んだ時は大技一発で沈みました。必中+防御無視+クリティカルを耐えるのは無謀だったようです。エンジェルグレイスに頼りすぎた。
ただ、それ以外ではエンジェルグレイスはめちゃくちゃ優秀で、ラスボスから裏ボスまで頼りになる最強の回復手段でした。多段攻撃相手だと相性が良いです。

そもそも、それ以外のスキルを活用しようとすると素材値の壁に阻まれるというのがあります。
素材値自体は能力上昇や属性、異常耐性に割り振っていたのであんまりスキルは活用できませんでした。
一つのリソースに集約されているシンプルさはありますが、組み合わせを色々試す上での障害にもなっていた印象です。そもそも耐性系がほぼ必須のように感じていたのが問題かもしれません。

個人的なケースですが、まず異常耐性をつけて、次に属性耐性に割り振って、とすると残るのはわずかで、それを能力上昇に割り振るとあんまり残りません。アイテムとの食い合いですが、スキル自体相手の弱点を攻撃できるものが一つあれば事足りる場合が多く、アイテムにリソースを優先するケースも間々ありました。
もしかしたら有用なスキルもあったかもしれませんが、どうしても耐性と能力値という分かりやすい方にリソースを振ってしまいがちな印象を受けます。

物語については毎回うまく短編に落とし込まれている方なので、今回も綺麗に短編としてオチがついていました。掌編の連なりみたいな構成もしているので、個人的には好みです。
ちゃんと最後までやったほうが楽しいので、割と強力な裏ボスは倒すのがお勧めです。

しかし、ラペオーが活発化したのはプレイヤーのせいと見て良いんでしょうか。我々がこの物語を始めたばっかりに。ただ、観測する前から悪魔の本が悪さをしていたっぽい描写もあるので、この辺は何とも言えません。

56. wisdom of history

ジャンル 作者
RPG 町野悠人
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.0相当 クリア

良かった点

  • 勉強にもなるRPGというコンセプトが良かったです
  • グラフィックの雰囲気が良いです

気になった点

  • いくつか嘘や謎解きの不具合らしきものが散見されます
    • それ以外にも不具合がいくつかあります
  • 中盤以降はNPCもいないダンジョンを淡々と進むだけになってしまいます

レビュー

ちょっと学べるRPG

wisdom of historyは、学習要素があるRPGです。

序盤の内は、RPGを遊びつつ、学びの要素がある選択肢のもと洞窟を抜けていくことになります。
ここの選択肢で正解するためには、道中の町で見かけた本の知識が重要となります。本には選択肢の答えとなる学習要素があるためです。主に暗記系統になりますが、覚えておきましょう。

中盤以降は、ダークファンタジーめいたRPGを遊んでいくことになります。
NPCになかなか遭遇できず、回復ができなくなり、割とシビアな戦いになるかもしれません。

ややお勉強をしつつRPGを遊んではみませんか。

感想

お勉強RPGというコンセプトは良くて、実際にそこそこ勉強ができます。性質上、計算よりは暗記偏重にはなりますが。
ただ、中盤くらいからはお勉強は鳴りをひそめて、シンプルなRPGが続きます。

勉強面で言うと、古文攻撃はあんまり意味をなしていなくて、殴って毒を与えるゲームになっています。
割と早いうちからボス以外からはダメージをもらわなくなるので、こちらとしては毒だけが怖くなります。ボスについては毒を通せば楽になります。
そもそも、魔法の消費MPが高いので、いかな弱点とはいってもあんまり打つものではなく、ボスに至っては弱点不明なので毒を通すのが丸くなります。
このコンセプトなら、パズルみたいにその攻撃しか通らない+消費MP無しみたいなバランスでもいいような気もします。ボス戦のギミックが難しそうですが。

また、謎解きは実質本を覚えておく暗記です。加えて、本には嘘が書かれています。
ここは学習ゲームとしては本当に致命的だと感じていて、他のどこでバグっても良いからここだけはちゃんとしていてほしかったです。間違った知識を与えてしまうことになるので。
とりあえず江戸幕府が開かれたのは1603年です。関ヶ原の三年後なので覚えやすいですね。
それ以外にも、謎解きパートでも日中戦争周りの引き算とか、日米修好通商条約まわりの計算とか、明らかに変なものもあります。100銭払っている理由、分からないからじゃなくて答えが正解と違うからなんですよね。

ストーリーについては、反抗期を急に迎えた娘みたいな印象です。いきなり姉を臆病者呼ばわりしだすとは思わなかった。
また、世界観の関係上、中盤以降人がいなくなるのは寂しく、ろくなNPCがいない無機質なダンジョンを抜けることになります。さらに終盤は宿屋が無いのでジリ貧の戦いにもなります。結構辛い。
また、途中の洞窟でのイベントのように、急に繋がりの良く分からないイベントが発生することもあります。最後もぽっと出のボスに蹂躙されるので、始終謎の物語が展開されていた印象です。ペプシマンかな。
軸となっている疑似的な姉妹の物語は良かったと感じている一方で、周辺要素が不明瞭すぎてぼやけているのが若干気になりました。

そもそもファンタジーっぽい世界観と古文というミスマッチ感が最後までぬぐえなかったところもあります。通貨単位が銭なのは地味に引っかかってしまいました。

その他、マップチップの上下関係が怪しかったり、左の家に入って右から出てきたり、城の二階から戻ると石の中にいる状態で詰んだりと、あんまりテストプレイしていなさそうな気配を感じています。

そういったゲーム性が詰め切れていなかったり、バグが取り切れていない所はありますが、グラフィックの雰囲気とかコンセプトは良かったと思います。