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29. 女神の迷宮

ジャンル 作者
ハクスラRPG Karukus
プレイ時間 プレイVer クリア状況
6時間 1.0.14 冒険者クリア

良かった点

  • 難易度を上げたメリットがあるというのが面白かったです
    • 通常難易度とみられる冒険者では歯応えがありつつも突破できる良いバランスでした
  • エンチャント装備を使いつつ、適度に装備を更新していくハクスラが楽しめました
  • 装備のバリエーションや個性が豊かで面白いです
    • 道連れのキャラクターも個性豊かでした

気になった点

  • ダンジョンが殺風景でやや広い印象を受けました
    • 一部ダンジョンはその限りではありません
    • 特に広い部屋で周囲を確認しても何もないといったことが良くあったので、ミニマップなどがあると緩和されるかもしれません
  • 料理を一気に食べさせたくなることがありました

レビュー

装備を回してダンジョンに挑もう

女神の迷宮は、装備をベースにしたハクスラ風味のRPGです。
迷宮に潜り、装備を拾い集めてパーティーを強化してその攻略に挑む流れとなっています。

迷宮はランダム性のあるダンジョンとなっており、彷徨っているとランダムエンカウントで戦闘が始まります。
この戦闘を切り抜けながら迷宮を進んでいき、最奥まで到達できればクリアとなります。最奥には強敵であるボスが待ち構えていることもあり、そのクリアは一筋縄ではいきません。
また、そこそこ火力が高いバランスのもと戦闘が進行するため、油断していると雑魚にも手痛いダメージを負うことになります。消耗を最小限に抑えるには、適度にリソースを切りつつ油断せずに戦うのが肝要となるでしょう。

こうした困難に満ちた迷宮を攻略する最大のカギとなるのは、迷宮に点在する宝箱から入手できる装備です。
グレードアップした装備が拾えることはもちろんパーティーの強化につながりますし、場合によってはエンチャント効果と呼ばれるものが付いたレアリティの高い装備を拾うこともできます。
エンチャント効果は、シンプルなステータスの向上から状態耐性までランダムで付与されるため、強力なエンチャント効果が付いた装備を手に入れることができれば、攻略は一気に楽になります。
雑魚との戦闘による消耗に耐えながら、宝箱を求めて迷宮を探し回っていきましょう。

また、攻略にはパーティー編成も重要です。近接のファイター、防御のバスティオン、補助のメイド、魔法のウィザードなど、いくつかの職種から4人までを選んでパーティーのメンバーを構成できます。
バランスよく前衛と後衛を整えた態勢であれば、道中もボスも戦いやすくなるため、これがスタンダードな攻略スタイルであると言えるかもしれません。
しかし、後衛だけや脳筋だけといった偏ったパーティーで攻略することも可能です。好みのメンバーを選んで迷宮の攻略に挑みましょう。

迷宮でたくさん拾える装備の中から、エンチャント効果も加味しつつ自分なりに取り回していき、雑魚やボスとの戦闘をより有利に進めていくというループが回るハクスラが魅力的な作品です。
また、装備を積極的に取り換えて性能の強化を図っていく中で、運良く強力な装備に出会える楽しみもあります。
装備を積極的に拾っては回していき、迷宮最奥のボスを打倒していきましょう。

感想

無心でダンジョンに潜ってハクスラするのは楽しいので、そのループに上手くハメてくれるこの作品も楽しいです。
相手の火力が高い代わりにこっちの火力も高いバランスをしているので戦闘のテンポも良く、武器の吟味を適度にしながらダンジョンを突き進めます。特にメディックが中盤くらいで習得する自動回復が入ると、戦闘後のメニュー開閉すら不要になるので凄く快適に周ることができました。

筆者は中盤まではグラップラーによる最大火力をバスティオンで補佐し、メディックが回復しつつレイダーが良い感じに立ち回るムーブで進めていました。グラップラーの連続攻撃で火力は大体担保されるので、バスティオンがちゃんと周りをケアできていれば割と問題なく動けます。
ただ、相手の火力もそこそこあるのでバスティオンに集中放火されると怪しい時もあり、冒険者でこれなので超克者だとより厳しそうな印象です。もう少し考えた立ち回りがいるかもしれない。
レイダーは強奪で採用しているところが大きかったのですが、メッセージが流れるのが早くて何を獲ったのかはよくわかっていませんでした。多分換金か固有ドロップを盗んでいるはず。雑魚戦ではむしろ巻き上げるを連打するのが、全体攻撃なのもあって強いムーブに感じました。

また、中盤以降はレイダーを葬儀屋に差し替えた攻撃に比重を置いた編成にしています。中盤あたりから雑魚が苛烈なのもあり、基本的に高い火力で相手を先に殲滅させていくのが大事だと感じました。下手に相手が残ると高火力の一斉被弾でピンチになりかねない。
バスティオンがいればデコイさせて1ターンくらいはもつので、そこを正念場とばかりに殲滅していました。
正直一体しか存在しないラスボスより、道中で大量に出る雑魚敵のほうが怖く、撃ち漏らすとあわや全滅というところまで来ます。あな恐ろしい。

拾える武器のバランスも良く、ネームド装備を拾ってはとっかえて使いつつ、適度に性能差で回っていく良いハクスラが楽しめます。
4人ぶんの5ライン装備くらいが思考のちょうどいいラインな感じがしていて、これ以上増えると大変になるギリギリのラインを突いている印象です。
実は付加効果まで加味すると考える範囲が広がるところもあるんですが、それより性能差が目に入るので上手く回転するという面がありました。感覚的には付加効果も加味して状態異常耐性なども表示されるリッチなステータス画面がある方が良さそうにも思えるんですが、プリミティブなパラメータだけが見える簡素なものだからこそ、装備をアレコレ入れ替えられるという節もありそうです。状態異常耐性が減るのが目視出来たら、装備の入れ替えにちょっと躊躇しそう。

パーティーメンバーを自由に組み替えられる都合上、ダンジョンでは割と死に武器を拾うこともあります。筆者が葬儀屋とグラップラーを入れるというピーキーな選択をしているのが悪いところもありそうですが。
グラップラーの武器ドロップは特に渋くて、最後の最後にようやっとエンチャント付きのものを拾えるレベルでした。ほぼずっとパワーフィストで通していたし、何なら左手は最後までパワーフィストです。よく戦力になったなあ。
そういう意味では一つだけ強い武器が落ちれば十分な葬儀屋は優秀でした。全体攻撃がちょっとでもかすると瀕死になるスリルはありますが。

ダンジョンについては割とだだっ広いという印象があり、結構歩き回ることになります。その割には殺風景なので、このあたりの探索の楽しみはあまりないかもしれません。アイテム回収と戦闘のための場所という感じ。
その分、研究所みたいなデザインされたランダム性があると割と印象が違うので、そういうのが間に入ってきていた点は良いメリハリに感じました。
特に広い部屋だと階段が無いか確認するために無駄な移動が挟まれてしまうことが多く感じたので、ミニマップのようなものがあれば多少印象が変わったかもしれません。探索した感じも出そう。

後は、個人的に好きな点を挙げていくと、難易度を上げるとちゃんとメリットがあるのが良いです。エンチャント入手率が上がるという玄人好みっぽいところを突いているのも良いところ。
ゆかいな仲間との共闘も結構楽しく、ユニークな能力がその時限りで使えるのが楽しいです。RTA走者はキャラクター性も相まってインパクトが強いですね。ちゃんと変な技も持っている。RTA走者を仲間にしている間は本当にRTAしてる気分になったせいか、戻ることなくダンジョンの最後まで突き抜けていました。

30. STARCHILD

ジャンル 作者
精密アクション 朝倉くもり
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.002 クリア

良かった点

  • グラフィックも相まって良い雰囲気を醸成していました
  • ステージ構成やギミックのアイデアが面白かったです

気になった点

  • ジャンプが最後まで感覚的でなかったので、ゲージなどがあると分かりやすくなるかもしれません
  • 地形判定が移動する軌跡を加味していなさそうなので、クラゲの移動時にすり抜けることがありました

レビュー

精密アクションに挑戦

STARCHILDは、独特なジャンプ挙動を上手く操って攻略する精密プラットフォーマーです。
様々なギミックから成るいくつかのステージを突破していくことで、クリアを目指します。

挑むことになるステージは、落ち着いた不思議な雰囲気を醸すグラフィックで構成されています。しかし、その穏やかな見た目に反して難易度は高めです。正確かつ素早いアクションが要求されるでしょう。
そのアクションの中でもとりわけ重要となるのは、足場を正確に渡り歩くためにジャンプのコツをつかむことです。その挙動はジャンプというよりも、次の着地までに一定時間得られる浮力が押下中だけ作用する、といったような制動を示します。このアクションを使いこなすこと無しに、上手く足場を乗り継いでいくのは難しいでしょう。
殊に最終盤の精密アクションをミスなく突破していくためには、かなり繊細な操作スキルが求められます。何度も遊んで慣れていきましょう。

ステージごとに様変わりするアートと、各ステージのギミックの特異性もあり、次に何があるのかを楽しみにしながらステージを攻略できる作品となっています。
ジャンプの挙動を熟知し、上手く動かしてラストステージをクリアできた時の達成感はひとしおです。何度も挑みクリアを目指しましょう。

感想

見た目に反してなかなかシビアなアクションでした。最終ステージをやっている時の気分は、壺をやっている時と相似です。そこそこ序盤から精密操作が要求されるタイプなので、難易度を下げて挑んでも相当難しい部類だと思っています。

グラフィックの雰囲気は良くて、トランジションと言い独特の空気感が醸成されています。効果音やBGMの音量が小さいきらいがありますが、静かな世界の印象とも相まってむしろ良い没入感が得られるかもしれません。
世界観が特殊なので最後まで解釈に惑うことはありましたが、美しい空気を感じるだけでも割と楽しめます。

各ステージの構成やギミックのアイデアも多様で、面白いクリアの仕方をしていくステージが多い印象でした。ステージの情景に合わせていることもあって、各ステージのどこも印象が被っていません。
中でもとりわけ印象が強いのは、やはり最高難度で立ちはだかる最終ステージです。ジャンプタイミングを誤って落下していって着地したあたりで、何か良い音楽が聞こえそうな気すらしてきます。あれは心を折る長さをしていました。

一方で、精密重視のアクションとしては若干操作性に厳しいところがあります。細かいところで言えばトゲの当たり判定がやたら大きい割に扉の下入力判定が狭かったり、水面の亀に代表されるような足場から足場への正解がやや不明瞭なレベルデザインは気になるところです。ラストステージにおいて、一度画面内から消えた共鳴が先行する箇所に効いてくる初見殺しはかなりしんどかった思い出。

システムの面で言えばジャンプの挙動がかなり特殊で、このとっつきにくさも操作精度を要求するゲームとしては難しいところがありました。
プレイした印象では、見えないゲージみたいなものがあって、Zを押すと消費して浮力を得るみたいなデザインをしている気がします。本当のところは分かりませんが。このジャンプ仕様がかなり曖昧なので、精密にクリアすべきプラットフォーマーとの相性はあまり良くない印象です。せめてゲージなどで可視化されていれば納得感はありそうです。
例えば、筆者は最初はデフォルトっぽいキャラを使っていましたが、溶岩の二段ジャンプで抜けるっぽい地帯を全く抜けられないので、最初に戻してゆるいジャンプのキャラに変えています。今ならジャンプの仕様が何となく分かっているので抜けられるような気もしますが、初見しばらくでの適応は相当難しいのかなと思います。

物凄く細かいシステム面で気になる所で言うと、恐らく地形判定が移動を考慮していません。具体的に言えばクラゲの移動中に乗ろうとすると抜けます。
多分プレイヤーの落下速度が速く、ちょうどAABBが抜けたのだと思っていて、移動するAABB vs 移動する球に対応していないのかなと感じました。上下にしか動かないならAABBを拡張して、球は移動を加味したカプセルにすれば抜けなさそうです。斜めは難しいので諦めても良さそう。
そもラストステージでは若干処理落ち気味ではあるので、これ以上判定を正しくすると不味いかもしれません。精密アクションと処理落ちはだいぶ相性が悪く、画面内にガスっぽい攻撃が出てきてFPSが落ちることで操作性に割とクリティカルな影響を与えていました。

このあたりのアクションのさわり心地の話はあれど、全体として見ればステージの構成や見目も変わるギミックの多様さが楽しいタイプのアクションです。ここでは何に出会うことになるんだろうと思いながらステージを進められます。
アクションの精密性が求められるので人は選びそうですが、ラストステージをクリアした時には達成感が得られる作品となっています。

31. オチル

ジャンル 作者
落下 ニモチ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3分 1.00 クリア

良かった点

  • ステージの難易度の上がり方が良かったです

気になった点

  • タイトルアニメーションはスキップできる方がありがたいです
    • せつめいが終わるとタイトルに戻るため、2度見ることになります

レビュー

シンプルに落ちよう

オチルは、落下をモチーフとしたお手軽なミニゲームです。

ゲーム性はシンプルなもので、落下中に操作して指定の場所に落ちることを目指すものとなっています。
全てのステージで目的を達成できればクリアです。特にゲームオーバーのペナルティもないので、気軽に遊びましょう。

数分もかからない、短い時間で遊べるミニゲームとなっています。息抜きにぴったりの作品です。

感想

あまりに短いので、何なら説明とフェードとタイトルアニメーションを2回見た時間の方が長いんじゃないかと錯覚しそうな作品でした。少なくともダウンロードして起動するまでの時間のほうが長い。
純然たるミニゲームとして、さっと遊べて良いですね。

ゲーム性はシンプルで、直感的に分かりやすい初回ステージから基本的にルールは体感して分かるようになっています。
イライラ棒についてだけ、空中にいるのに地上から干渉を受ける理由が分からず、唯一初回でミスを喫しましたが、それ以外は直感的に理解して即座にクリアまで持って行けるレベルです。短い時間でやるのに向いていますね。
各ステージの難易度の上がり方は段階的で良く、最後まで特別違和感なく進めることができます。

個人的にはせつめいが終わったら即ゲームでもいいかなとも思っていました。ただ、せつめい後にタイトルに戻され、もう一度アニメーションを見ることの方がクリティカルな問題っぽいので、そちらが解決されたらそこまで気にならないかもしれません。

32. アドリブ・ロール

ジャンル 作者
ロールプレイングゲーム Masaqq(マサック)
プレイ時間 プレイVer クリア状況
45分 108 ノーマルクリア

良かった点

  • 行動のログが物語を作るという体験が面白かったです
    • 対応するテキストもバリエーション豊かに用意されています
  • 攻撃択のカードがそのままHPにもなる戦闘システムは斬新で楽しかったです
    • カードを大量に消費すると強い代わりに脆くなるという、リスクとリターンの関係が成り立っていました

気になった点

  • 戦闘にかかる経費の内訳が不透明なので、経費削減の具体的方針が立てにくい印象がありました
    • ノーマルなら削減を大きく意識する必要はなかったので、些細な話ではあります

レビュー

ロールを演じよう

アドリブ・ロールは、ロールを演じてシナリオを進め、戦闘を経てクリアを目指すロールプレイングゲームです。
映画の撮影というゲーム設定に則り、プレイヤーが自ら役割を演じて進めていく斬新なゲーム体験が得られるものとなっています。

プレイヤーは映画撮影という形で各エリアで戦闘をこなしつつボスを選んで戦って攻略していき、ラスボスを打倒することを目指します。
この一連の流れは全てRPGの撮影なので、様々なイベントからボスとの熱いバトル、雑魚とのちょっとした戦闘まで、その道程は全て文章として残り、自分だけの物語となって記録されていきます。
プレイヤーの一挙手一投足がきっちりログに残る中で、思い思いのプレイをして自らの物語を紡いでいきましょう。

戦闘画面

また、このゲームは戦闘面においても斬新なシステムが搭載されています。
戦闘が始まると、攻撃や強化、回復と言ったスキルを示すカードが配られ、このカードの中から選択して行動を決めることになります。ターン消費無しのカードを除き、原則選べるカードは一枚です。
そうしてプレイヤーの行動が終わると、次にくる敵のターンでは味方に攻撃が飛んできます。この攻撃で発生するダメージは、配られたカードを減らすことで表現されます。4ダメージなら4枚のカードが奪われるわけです。全てのカードを失うと戦闘不能になります。
すなわち、カードは攻撃の選択肢であると同時に、防御の壁としても機能するという設計になっています。

この戦闘システムにおけるドローは選択肢を増やすという価値があることに加え、耐久を上げるという意味も持ちます。防御は一般にやりすごしの択に思われがちですが、このゲームでは回復のようでもあり、選択肢を増やす行動でもあるような特殊な立ち位置として、戦略の一部に組み込まれています。
また、カードの位置も重要であり、次に使いたいカードをダメージで消えない位置に上手く配置できると戦いを有利に運べます。
このように、配られたカードを中心とした戦略性の高いバトルが繰り広げられることになります。相手の行動や対象に取る条件は常に見えているので、その情報を鑑みて戦略的にカードを選んでいきましょう。

なお、配られるカードの質や、そもそものステータス性能はレベルと装備によって培われます。装備は戦闘や店などで取得可能です。レアリティの高い装備はカードの面でも性能の面でも優秀なので、見つけたら積極的に装備するのがお勧めです。

自ら役割を演じ物語を紡いでいく斬新な物語体験と、斬新な戦闘システムのゲーム体験が合わさった作品となっています。
見事撮影を無事に終え、ラスボスを倒した暁には自分だけの映画が出来上がっています。全てが終わってログを眺めるまでがアドリブ・ロールです。自分で紡いだシナリオを見てみましょう。

感想

文字通りロールプレイするゲームというのが斬新で、ゲーム体験としてずっと面白いゲームでした。行動がログとして残るのも良くて、役割を演じた後にその物語を後で追うこともできます。
雰囲気の指定やら細かいテキストの用意などで、諸々のシステム的な側面においても演じられた物語というものを表現しているので、心行くまで遊べました。イベントの選択や戦闘の状況に応じて、ちゃんと個々人の体験が特殊化されていくのも好きです。

戦闘システムもかなり斬新で、これ単独だけでもギミックとしてゲームを作れるんじゃないかという水準を余裕で越えたところにあります。
攻撃択を防御の値ともみなすシステムが面白く、ただ攻撃カードを選んでいくだけでも戦略性が生まれます。事実上はHP消費攻撃みたいな立ち位置に思えますが、カードの位置にも意味があったり、強化即攻撃のようなリスクリターンの見合った択が用意されていたりと、そのバリエーションはただ自身の耐久を削って出す技という印象に留まりません。

その上で戦闘のテンポも良く、かなり火力高めの調整がされているのかサクサクと敵を倒していくことができます。ボス戦も決して長引かず、それでいてカードによる小さなHPの削り合いであるが故の接戦している感覚も得られます。
こうしてテンポと戦略性を両立しつつ、カードの組み合わせによるコンボダメージみたいな気持ち良い要素も完備されているので隙がありません。

難易度もやや緩めで楽しみやすく、ノーマルでは適度に苦戦しつつも危なげなくクリアできる調整となっています。ノーマル専用の仲間がいて、これがべらぼうに強いので爽快感をもってクリアできました。
そこでシステムを学習して詰めたくなる人向けに高難度も用意されているので、そのあたりも至れり尽くせりとなっています。

戦闘面で唯一分からなかったのは戦闘に使っているお金で、何をした結果発生しているのかが最後までいまいち分からないままでした。もしかしたら説明を読み飛ばしたのかもしれません。
ノーマルで遊ぶ分には経費削減をそこまで気にする必要はないので、ハード以降で詰める時に考えればいいという話ではあります。

物語というかログに話を戻すと、テキストの行き届き方がかなり印象的でした。2ターンで魔王を倒せばわずか2ターンでの決着、のようにそれっぽい文章を付けてくれます。
このあたりの定型だけど自身の体験に確かに紐づいたテキストの組み合わせというのが、まさしくロールを演じるという設定に貫徹していて、遊んでいて納得感があります。

ログの中では、連携名がちゃんと残ってくれるところとか、逃げたら逃げたログが記述されるところとか「スタッフが尺稼ぎに困っていたようだ。」みたいな設定としてのメタも組み込まれたところが好きです。細かいネタっぽいのが好きなのかもしれません。
あと、このログは最終的にhtmlファイルとして吐かれる当たりも手が込んでいて良いところですね。

周回要素も結構あり、イベントの分岐やら仲間の種別もある、割かし周回前提の作りのような作品となっています。それ相応に一回のプレイ時間はテンポの良い戦闘により短めに収まっているので、とりあえず一回遊んでみるのが良いんじゃないかなと思っています。
自分の物語を行動から紡ぐという体験も、カードを基軸にしたシンプルで遊びやすい戦闘システムも楽しめる良い作品です。

33. ロロろくプラス

ジャンル 作者
世代交代型部隊運営SLG a-e
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間 1.06 ノーマル魔将撃破

良かった点

  • 調子や寄る年波により、常に固定化されないメンバーでの戦略を考えることができて楽しいです
  • 敵の行動が明示化されているため、チーム編成と隊列のレベルで戦略を組み立てる楽しみがあります
  • 各ユニットに独特の個性があり、どのユニットも使ってみたくなります

気になった点

  • 子供が出来た上で実践投入できるまでの期間が魔将出現に比して長めに感じました
    • 子供が出来て強い部隊が作れるようになると楽しくなってくるのですが、その前に魔将とLv3魔物群に心を折られかけました

レビュー

世代を回して部隊を運営

ロロろくプラスは、世代交代しながら部隊を運営し、次々と湧く魔物を倒していくシミュレーションゲームです。
次世代を見据えた運用や新陳代謝の意識など、長期的な視座が求められる作品となっています。

大前提となるゲームのシステムは、拠点において人材を募集してユニットを雇うといった準備をし、準備が完了次第遠征に赴き、ワールドマップを歩き回って各地の魔物を討伐していき、頃合いを見て再び拠点に戻る、というループから成り立ちます。
拠点では最大14人までのユニットを雇うことができ、魔物との戦闘ではこの中から7人を選出して隊列を組んで討伐していくことになります。

戦闘画面

戦闘は半自動で行われ、味方の行動と魔物のルーチン行動が交互に繰り返されます。プレイヤーが干渉できるのは、相互の行動が終わった後に「ステイ」するか「ローテート」するかの選択だけとなっています。
ステイすれば隊列は維持され、再び双方の行動が実行されます。一方、ローテートすれば前衛は後衛、中衛は前衛と移動してから行動します。
前衛にいるユニットが近接攻撃をするように、各ユニットは隊列上の位置に応じて取る行動が変わります。各ユニットには得意な位置とその行動があるため、可能ならばそこでステイし続けたいところです。しかし、ローテートを回さないとダメージを軽減する回数が回復しなかったり、体力回復が特定列でしか行われなかったりと、ジリ貧になりやすくなっています。
敵の行動ルーチンに合わせた、適切なローテートが攻略において重要となってくるでしょう。

そうして各隊列をローテートして上手く魔物を撃破するには、隊列を機能させる7人の選出、引いてはその選出を下支えする14人のユニットの編成がカギとなります。
すなわち、拠点の人材募集で得られるユニットの厳選がそのまま戦闘力につながるというわけです。前衛に強い職種や後衛に向いた職種など、様々な職種とその性能差の中から編成のバランスも考えて採用していきましょう。
ここで重要なのが、どのユニットも戦闘を通じて成長し、年も取るということです。若い内はどんどん成長しますが、老いさらばえれば能力は劣化していきます。即戦力を割り当てていくも良し、期待の若手を採用するも良し、世代の入れ替わりを意識して部隊を運営しましょう。

そうして年月を経るほどに成長と厳選を重ねて部隊は強くなっていきますが、その一方で敵もまた強くなります。
充分時間が経つと、ある程度鍛えた程度の部隊では壊滅的被害を被るような魔物も現れるようになってきます。こういった魔物を倒すためには、長い目で見た部隊の成長プランが不可欠となるでしょう。
また、強い魔物を無視して弱い魔物だけを討伐することも可能ですが、魔物は放置すると瘴気度を上げてきます。これが一定値を超えるとゲームオーバーになるため、あまりたくさん放置もできません。場合によっては腹をくくって討伐に向かいましょう。

ゲームオーバーにならずプレイを進めるには、様々な人材から自分なりのユニットを選んで部隊を運営していく長期的な戦略と、事前に示された魔物の行動を元に選出する7名と隊列を考えて上手くローテートして倒す短期的な戦術の双方を必要とします。
加えて、前者は後者の取れる選択肢を広げ、後者は戦闘を通じた成長という形で前者と密接にかかわります。この交じり合った高度な戦略と戦術を並行して立てていき、ゲームを進行していく楽しみのある作品です。

ここで紹介したものに限らず、いざという時に使うアイテムや、リーダー格の子供を作って能力を一部継承していく仕組みなど、様々なシステムを駆使して部隊を精強にしていくことができます。
あらゆるシステムを駆使し、ユニットを鍛え上げて運用し、強力な魔物に挑める部隊へと成長させていきましょう。

感想

正直な話をすると、楽しくなるまでに時間のかかるゲームです。遅効性の面白さ。遊び方というか、動かし方が分かってこないと楽しめない部類のゲームだとは思うので、今からやるなら有識者の遊び方を参考に取り組むのが良さそうです。
類型ゲームとしてセブンとヴィーナス&ブレイブスというものがあるらしいですが、この辺履修していないがゆえに詰まったところはあるかもしれません。

何もわかっていない初見だと、Lv2の時点で相当の苦戦を強いられることになります。メンバーのバランスとか、ローテーションの組み方とか、そのあたりの方針が固まっていないと、どんどん難しくなります。
加えて中長期的な視点がかなりのウェイトを占めることもあって、場当たり的な解決をしていると真綿で首を締めるように苦しい時間が続くことになります。
ここにLv3と魔将が来て崩壊したのがファーストプレイです。

そこで立ち回りをある程度学習し、必要な要素を朧気に理解した状態から始めることでようやくクリアに漕ぎつけました。必要なものに対する逆算力が問われます。後はユニットガチャ運。
そうして強いユニットを引き、上手く運用し、子供に引き継いだ30年目あたりからようやっと楽しさが見えてきます。子供の強さを利用して他のユニットの引き上げを図り、それをまた他の子供へと還元していくことで、ようやく安定して強いユニットを供給することができるようになりました。
その状態ですらLv4は結構ギリギリで、神宝を使ったうえでなお薄氷の勝利でした。何なら一度は敗北しています。
隊長をデコイにしつつ、うまいこと負荷分散していくのが肝要でしたが、70%の集中を見越した構成であり戦略でもあったので、かなり運に左右される展開ではあったと思います。

ここまでの流れは、端的に言うとローグライクのようなものとはまた違った意味合いで喪失のデザインをしているので、モチベーションが続きにくい部類ではあると感じました。
次々に湧いてくる敵を、ちゃんと部隊運営した上で倒す必要がある一方、こちらの仲間はガチャ運に左右され、ある程度戦略性を保っていても時間経過とともにどんどんしんどくなっていきます。
加えて、特に引き継げる分かりやすく強い要素もないので、ずっと喪失を味わっている気分になってきます。
引き継げる要素として強い子供や神宝についても、前者は活用できるまでに時間がかかり、後者は使い切りなのでここぞという場面でしか使えません。自分が強くなっているか弱くなっているかもわからないまま、ひたすら世界をうろつき回るのは中々しんどいものがあります。
ここを乗り越え、部隊運営の面白さに目覚め、子供への引継ぎによる強化を実感するまでには恐らく30年以上のプレイが必要になってきます。山を越えるまでが長い。山の上で面白いですよと叫んでる人を見かけないと、なかなかチャレンジしにくそうな感じがしますね。

また、マップの巡回要素も少し難しいところがあります。魔物はポンポン湧いてくるので、ちゃんと上手いこと回って潰していくのは結構骨が折れます。動くのにも時間を使うので、効率よく回れないと一気に瘴気の進行が進むことになるからです。
ただ、魔物の対応にだけ追われていると結局ジリ貧なので、どこかでアドを取ったり損切りしたりといった判断が必要になります。漫然と回るだけでは安定は覚束ず、Lv3を諦めたり、遠くのルートを採択しなかったりといったことも重要になってきます。

続いて、戦闘の戦略性についても話します。パーティーをラインに分割し、回して戦わせるのが面白く、操作は簡単なのに高度な戦略性を伴っています。
まず第一の戦略として、戦闘前に位置関係によって発生するスキルの有効性を事前に見定めて隊列を組むというものがあります。
高い攻撃力と自己回復を兼ね備えるが支援能力がない暗殺者や、列回復という強みがあるが癖のある占星術師、などなど、各ユニットごとに特色があるのが面白いところになってきます。
色々とシナジーもありそうなんですが、シナジーを考えられる程潤沢にユニットを雇うのは割と難しいです。雇える人数の制限もあるので、何なら戦いを始める前のユニットを雇う段階で勝負は始まっているとも言えます。

このあたり、与えられた豊富なカードから組み合わせを見つけるタイプのゲームでなくて、厳選したカードを使って戦うタイプのゲームかもしれません。筆者は厳選が苦手なので、与えられた手札で戦いがちではありましたが。
7人という採用人数も絶妙で、ローテを組もうとすると大体一人浮きがちになってきます。そこを浮いても戦える強い人材で埋めるのか、浮かさせずに全体をやや薄めるかという判断が必要になってきます。

そして第二の戦略として、戦闘中のライン交換のタイミングを見極めるところがあります。
相手の火力は意外と高いので、ローテの仕方をミスると普通に負けます。隊長しか狙わない、などの狙い判定もちゃんと見て適宜運用していく必要が出てきます。
そして、ここで何よりも大事なのは相手の行動を見ることです。敵の動きのローテは決まっているので、その中の一部分でもいいから防ぎきるビジョンを持っておくのが大事になってきます。
可能であればローテを完封できる構成が用意できるのが理想ですが、そんなにうまくはいきません。ちゃんとビジョンを持った厳選をしていないとユニットが揃わないので。
完封できない場合は、対応方法を頭に入れつつ、咄嗟のアドリブで攻略する場面も多くなってきます。このあたり、3秒という思考時間が良い味を出していて、常にちゃんと思考を回して戦うことになり、こういった戦闘に緊張感が生まれます。

改めて、最初のプレイでLv3に囲まれて老兵しかいないパーティーが蹂躙されていく様を見た時は軽く絶望していましたが、その経験を糧にして楽しくなったゲームです。
こういうゲームに慣れた脳みそが無い場合は、事前に攻略法などに目を通しておくと楽しみやすいかもしれません。自分で色々試してみるのも楽しいので、それも良いとは思います。

34. BerriesWitch

ジャンル 作者
果実育成SLG たう
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.08 クリア

良かった点

  • 素晴らしく、またゲームらしい遊び心のあるUIでした
  • 引継ぎ要素の塩梅がちょうどよく、気軽にリトライして進められます
  • 交配を繰り返して自分なりの最強果実を作っていくのが楽しいです

気になった点

  • ゲームオーバー時、全ての果実は売る以外にないので、次の周回を始めるタイミングで自動売却してほしい気持ちになりました
    • ロックを外して一括売却するコマンドがある、というのでも良いかもしれません

レビュー

交配を繰り返して自分だけの果実を作ろう

BerriesWitchは、種をまき果実を育てては交配して、美味しい果実を作り上げていくシミュレーションゲームです。
シナリオ進行の壁として立ちふさがる品評会を勝ち抜くためにも、よりおいしい果実を作るという目標を目指すことになります。

ゲーム画面

まずは農地に種を植え、成長させることで果実を収穫することができます。そうして収穫した果実を組み合わせて植えることで、その親の性質をある程度引き継いだ果実が作れるようになります。この交配を繰り返していき、より良い性質の果実を作っていきましょう。
ただし、果実の性質を飛躍的に上昇させるには、交配だけでは足りません。品質の更なる向上には魔法が不可欠です。
植えた農地にんは二つまでの魔法をかけることができ、これが収穫できる果実の性質に強い影響を与えます。果実の伸ばしたい方向が決まっていたら、積極的に使うのがお勧めです。
魔法は魔法石を消費することでランダムに手に入り、魔法石は果実の売却によって得られます。交配に使わない余った果実は売却し、より良い果実を作る魔法のための基盤としましょう。

これらの行動を一定回数繰り返した後、育てた果実のうち四つを持ち込んで品評会に挑むことになります。
品評会は、審査員の欲しい性質の果実を推測し、それを料理して提出するQTEとして表現されています。その中で、使った果実の品質の良さや好み、そしてQTEの結果も加味して加算されていくスコアを競うことになります。周りの誰よりも高いスコアを取ることが目標なので、良い果実をセレクトし、QTEを成功させて突破を目指していきましょう。
なお、負けても三度まではリトライできるので、下振れてしまっても安心です。それでも勝てないなら果実の力不足を意味するので、大人しく一から出直しましょう。一から出直す場合は魔法と魔法石を引き継げるので、二週目はより良い果実を作りやすくなっています。

適切に交配し、魔法を適度に使っていけば、高いレベルの果実が作れるようになってきます。原則、子は親より良い性質を持つため、これを繰り返せばよりハイレベルな果実を作るのも夢ではありません。
品評会という制限時間もある中で上手く交配を繰り返していき、品評会で勝てるような自慢の果実を育てましょう。

感想

個人的今ウディコンUI大賞受賞作品です。それくらいにUIが良い。
UIの良さは主に使いやすさにあるとは思っているんですが、そこを当然のように担保しつつ、ゲームとして遊び心のある演出が仕込んであるというのが良いポイントです。右上に出現するUIがちゃんと戻る時にアニメーションするような、細かいところまで配慮の行き届いた動きをします。
ゲーム性もUIと強く紐づいた操作から成るものとなっているため、この動かしていて気持ちの良いUIはかなり強い効果を発揮していました。良いタイプのソシャゲみたいな感じ。

ゲームとしても交配を繰り返して果実を作っていくのは楽しく、適度に品評会という目標が設定されるのもあって目的意識を持ちつつ進めるこがもできます。
品評会までの日数は割と短く、そういう意味でもリプレイ性は高いので、ミスっても1時間かからずに最終品評会までは辿り着けそうなのも良いところです。

リプレイ性については、魔法石の持ち越ししかないというのが良い塩梅の引継ぎ要素となっています。
魔法は極めて重要なので、これを引き継げると確かに強力な助けとなります。その一方で、ゲームの本質はあくまで果実なので、そこは最初から育てていく必要があります。
本質を補佐する要素を引き継ぐことで、確かに便利になった実感を得つつも、遊びとしては初めから楽しむことができるようになっています。成長の頭打ちもケアした、良いリセットでした。

個人的な攻略の印象としては、二種程度に絞ったうえでガンガン新しいのに差し替えていくのが効率良さそうに感じました。クリア時のプレイでは味を多種類揃えて挑みましたが、持ち込みが四種に限定されることもあってあまり効果的ではありません。結局は、自分の考えた最強の果実を叩きつけるのが一番強いです。
Lv4くらいの果実ができたら品評会で勝てるラインに乗っていそうなので、あとは頑張ってQTEをこなせば勝てます。エクセレントは絶妙に難しい。
三回リトライさせてくれるのも嬉しいところで、下振れをキャンセルしつつ上振れを狙える良いチャレンジ回数となっていました。三回挑んで負けた場合、果実の力不足であるという諦めをちゃんとつけることができるのが良いですね。

ストーリーについても、シンプルなゲーム性を妨げることなく、テンポを損なわない範囲で役割を振られたキャラが明快に動く、気持ちの良い成長物語となっていました。
その上で周回前提で配慮されているところもあり、徹底してゲームに付加価値のみを提供するものとしての役目を果たしています。短編としてちょうどいい。

最後の最後に果実撮影会のための時間が用意されていて、ここで各プレイヤーごとの果実を拡散できるようになっているのも良いんですが、その時間で手動で売却していくのは少し面倒でした。
自動で売り切ってくれるのでもいいですし、一括売却コマンドでもいいんですが、何らかの方法は欲しいなと感じていました。翌週ボタンで自動売却が一番プレイヤーの手間は無さそうですが、分かりにくくはあります。一括売却も普段は邪魔というのもあって難しいかもしれません。

とにかくゲームに集中できるUIと、それを阻害することなく補佐していく要素の整い方が良く、必要な要素が整頓されたゲームという印象を受けました。ゲームとして綺麗にまとまっています。
尖った要素を享受して楽しむゲームもあれば、安定した楽しさに浴するゲームもあり、こういった様々なゲームがあるのがフリゲの良いところだなとつくづく感じ入っています。

35. 睡蓮

ジャンル 作者
ノベル リュース
プレイ時間 プレイVer クリア状況
12分 1.23 読了

良かった点

  • 良いボーイミーツガールでした

気になった点

  • タイトルが睡蓮である理由が気になりました

レビュー

掌編ボーイミーツガール

睡蓮は、掌編のノベルゲームです。
ある少年とある少女の出会いと交流が、率直な筆致で描かれている作品となっています。

作中の舞台とも言える夏という季節に相応しく、夏、浴衣、花火という黄金比でもって構成されており、その空気を感じることができるでしょう。
また、ごくごく短く後味の良い物語でもあるため、掌編として気軽に読むこともできます。
ぜひ手に取ってみて下さい。

感想

ごくごく短いボーイミーツガールでした。夏、浴衣、花火、ボーイミーツガールは、黄金比ですね。
短編として、そしてその短い物語として良く心に残る作品でした。

個人的には、主人公の生気の落とし方が割とリアリティあるのが良いなと思っています。明らかに気落ちしているし気力はないけれど、外食のためにちょっと出かけるのに躊躇はないし、おいしいと評判のうどん屋は知っている、それくらいの感覚です。
気分が底に落ち続けているというよりは、常に逃げ続けてる方に近いというメンタルに対してかなり正鵠を射た描写なんじゃないかなと思っています。それなりに生活はしているけど、生活そのものの充実性はなく、友達がいるかは不明だけど、評判のうどん屋の話を聞くないし耳に入れて覚えておく程度の余地はあります。
こういう極端な人間の話ではないという表現が良かったです。真白はあまりにも救いとして極端な光ではあったかもしれませんが。

主人公の行動様式については、最悪を想像しているというのもあるかもしれませんが、それ以上に己の罪悪感があまりに救われたくすらなさそうな状況であり、そのあたりを曲げて仮託して逃げるというのは心の防御行動なのかもしれません。
向こうから連絡してこなかったあたり、向こうは向こうで主人公のこの辺の心理はよく理解していそうではあります。主人公側から連絡させないと、この心の影はずっと落とすという判断なんですかね。正しそうですが、このミーツガールが無ければ成立しなさそう。もっとも、最悪ケースでも来年会うことで帳尻を合わせようとしていた可能性はあります。

こういった、どこまでも悪人がいないストーリーなのは個人的には好きなのでプレイできて良かったです。
そして、これは本当にどうでもいい感想ですが、かき氷のシロップはおおよそ味が一緒なことでお馴染みですが、夏味はちゃんと味変わってるんでしょうか。

36. ヒーローの冒険

ジャンル 作者
RPG OZ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1-0-2 クリア

良かった点

  • 装備を作って階段状に強くなっていく楽しさがあります

気になった点

  • 装備合成はかなりの稼ぎが前提となっていますが、ランダムエンカウントと確率ドロップで収集がやや辛めです
    • せめて序盤のひたすらコウモリを倒す稼ぎは緩くして良い気もします

レビュー

素材を集めて強い装備を作ろう

ヒーローの冒険は、アイテムを合成して装備を作り戦闘を優位に進めていくRPGです。
シナリオはほとんどなく、戦闘メインで進行していくことになります。

戦闘バランスはかなり尖っており、序盤の内は、開始エリアから少し進んだ場所に入ってエンカウントするだけでも負けかねない難易度です。
奥へと進んでエリアを越えるとますます強くなっていく、そういった敵に対しても勝利を得るためには、装備が重要となります。アイテムを集めて合成することで装備を用意できれば、一気に強くなることができるでしょう。アイテムはおおよそ敵がドロップするものから構成されるので、雑魚をたくさん倒して集めていく必要があります。ひたすら雑魚を屠り、強敵への糧としましょう。
なお、ついでにクエストで討伐の任務を受けておくと、合成に必要なお金も集まって一石二鳥です。

そうして戦闘を続け、エリアを進んでいくにつれ、装備だけでなくパーティーのメンバーも増えていきます。
メンバーが増えると戦いが楽になる一方で、各メンバーの装備を揃えていく必要も出てきます。よりアイテム集めに血道を上げる必要があるかもしれません。装備の過渡期においては、上手く使い回していくのも大事です。

全体的に戦闘をメインとし、戦闘回数の多いRPGとなっています。
戦い抜いて、装備を作り上げ、より強い敵に挑んでいきましょう。

感想

稼ぎ前提のバランスのゲームでした。とにかくひたすらアイテムを揃えて、装備を作ってしまいさえすれば一気に強くなれます。
この辺の強くなった感覚の分かりやすさは良かったです。強い装備を作る、仲間を増やす、といった一つの達成項目ごとに階段状に強くなっていく構成で、グラデーション的でない強化要素となっています。この感触が、連戦する唯一のモチベーションとして機能していました。

一方で、この稼ぎ前提バランスは序盤から徹底されているので、序盤からだいぶ厳しくなっています。優に100は超える戦闘が序の口です。
難易度的にはずっとコウモリを倒す必要のある序盤が一番辛い可能性すらあって、最初にちょっと強くなったかなと思って進んでみたら、キャタピラーに一瞬で蹂躙されるようなレベルです。ある意味では乙なもの。
序盤から合成難度が高いことも相まって、このレベルデザインはプレイヤーがいきなり壁にぶつかることを意味しています。さすがにもう少し手加減しても良いのではと感じました。

ある程度遊び方が分かってきて、装備が整ってくれば、永久強化要素もある上に装備が強いのでほぼ負けることはなくなってきます。アイテムを揃えていくと図鑑コンプ報酬で良いものがもらえるので、意外と合成しなくてもアイテムは手に入ってくれました。
とはいえ、クエストの達成のための敵がランダムエンカウントなので会えない時は本当に会えず、ある程度稼ぎのための周回は必須です。

そうして辿り着いた筆者の最終構成は、ヒーローがタゲをとって戦士が会心二連続攻撃でひたすら殴るところに落ち着きました。 会心装備を作って殴るのが一番強く、引き付けるで着ぐるみがタゲをとればさらに安定します。
ここで魔術師が常にヒーローにヒールを投げ、盗賊はピコハンの防御減少やパワーアップ、アイテムによる回復などをやればより安全です。
この方針は敵がグレートドラゴンでも安定しますが、回避も完全対策も不能の睡眠があるので、これはお祈りするしかありません。とはいえ、即死性能がある技を持っていたという点を加味すれば、リリスのほうがグレートドラゴンより強いまであったかもしれません。

37. エド王子の冒険 大地の精霊と邪悪な神

ジャンル 作者
RPG せーのすけ。
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間 8/4 クリア

良かった点

  • 展開に応じたNPCの言動の変化が細かく用意されていました
  • 雑魚も十分に強い戦闘バランスでした

気になった点

  • 階段の接触判定が狭いため壁を擦るように動くと降りられず、毎回位置調整が発生するのがややストレスでした
  • ダンジョンを脱出するとき、リバックしてワープするのが二度手間なのでワープに統一しても良い気がします

レビュー

王道RPG

エド王子の冒険 大地の精霊と邪悪な神は、王道を征くRPGです。
ゲームシステム、世界観、シナリオの運びなど、あらゆる面で王道を攻めた作品となっています。

まずもって、魔王を倒すために勇者が旅をするというシナリオそのものからして王道の雰囲気が漂っています。そして、その雰囲気を裏切ることなく、あらゆる面で丁寧にオーソドックスな作りをしています。
ワールドマップで町を渡り歩き進めていくゲーム進行、そうして辿り着いた町で発生するイベント、その全てが堅実かつ王道的に作られており、RPGに慣れていればよりサクサクと進めることができるでしょう。

戦闘システムもまた、分かりやすいシンプルなターン制で構築されています。ただし、難易度はやや高めのものとなっており、雑魚を相手取っていたとしても、スキルをケチると場合によっては全滅まで見えるバランスとなっています。敗北を避けるには、惜しまず戦うのが重要です。
いわんや、シナリオの壁となるボスもまた強敵です。特にこちらの様々な耐性を低下させる行動が脅威であり、事前に対応した耐性を上げておかないと圧倒的に不利な状況となってしまいます。一度戦って敗北したら、その情報をもとに装備の組み合わせを考えてから再戦していきましょう。

最後まで一貫したオーソドックスなデザインで構成されたRPGです。このため、奇をてらうことのないRPG体験を得られます。
戦闘で強力なボスを打倒し、シナリオを進行し、ゆくゆくは魔王を倒す王道的な体験をしていきましょう。

感想

かなりオーソドックスめなRPGです。展開とか戦闘の設計とか、諸々が基本に則り作られたRPGという感じ。尖った特別な要素はありませんが、尖った要素がないことそれ自体がアイデンティティとなっています。

中でもシナリオはかなり王道というか往年のRPGっぽく、長ったらしい話もなくサクサクと進みます。この辺は巨人の肩に乗っかったシナリオとでも言いますか、かなりお約束に準じることでテンポを上げているように感じました。
RPGに慣れていれば何となくここに行けばいいのは分かるし、誰に話しかければいいのかも分かる、そういった暗黙の了解のような決まりごとにかなり則っているので、RPGに慣れているとサクサク進められます。

その分、次にやるべきことの話でも結構あっさりとした感じで話してしまうので、読み流しているとたまにやること分からなくなりがちではあります。
説明がないことで厳しい場面もちょこちょこあり、パセポの村をずっと探していたら崩壊した村のことを指していたというのが順繰りに巡回し続けてようやく発覚するということもありました。どこに説明あったんだろう。
とはいえ、おおよそのイベントはなんとなく発生しそうな場所に空気を読んで行けば発生するので、己の直感に従えば大体うまくいきます。

また、そんな王道かつともすれば淡泊でもある物語運びではありますが、シナリオ自体はちゃんと王道に良いものとなっています。
展開に応じたNPCの会話変化も細かく、ちゃんと闇に覆われたら不安になりますし、 襲撃中でも店は開きますし、助かれば感謝も言い、光が晴れたエンディング後にも専用の会話がありました。このあたりの微に入り細を穿つ作り込みは好きです。

戦闘面については、割と尖ったバランスな印象を受けますが、何とか乗りこなせるレベルに制御されてもいます。
とにかく強力な攻撃を作って提出するのが強く、クリティカル必中3連などを押し付けていくのが理想になるタイプです。
くじ引きで引いた武器は割と最後の方まで頼りにはなりますが、終盤になるとさすがに一筋縄ではいかなくなることもありました。とはいえ、運用次第ではお世話になりますし、雑魚戦では普通に強いです。

また、終盤の雑魚はかなり強いので、スキルを使いまくるつもりで戦わないと普通に負けることもあります。物理反射は面倒なので戦わないという選択肢もありかもしれません。
なお、終盤にまで辿り着いていると戦闘開始前フェーズでのパッシブスキルがそこそこの数あるため、その影響で少しゲームスピードに影響が出るのは気がかりでした。逃げるつもりでも結構待つことになります。

ボスも十分に強く、こちらが戦略を練って耐性をつけていても容赦なく耐性を落としてきます。耐性装備は戦闘を優位に進めるために運用するもののことが多いですが、このゲームではそれがスタートラインです。マイナスをゼロにする作業。
なお、ボス戦も含めて割かしS調整が重要なゲームバランスをしている印象ですが、肝心の素早さによる順序が見えにくいゲーム性となっています。たまに、素早さをどれだけ上げても上を取られることがあるのはいまだに良く分かっていません。乱数入ってるのかな。

細かいところの遊びにくさがないわけではありませんが、諸々王道に仕上げることで良いテンポ感と割と難しめの戦闘バランスを楽しめる作品でした。

38. ~罠~狙われた仔共たち・・

ジャンル 作者
RPG 零八識
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.00相当 全ENDクリア

良かった点

  • 特にボスのグラフィックが美しいです

気になった点

  • 水のようなもので誘導がありますが、フレーバーとしても配置されているため誤誘導が発生している印象があります
  • 別ENDになるまでの道が一番きついですが、目に悪そうな画面全体の明滅がありました

レビュー

ダイナミックなグラフィック

~罠~狙われた仔共たち・・は、荘厳で迫力のある敵グラフィックと、それに引けを取らない巨大な数字が特徴のRPGです。
圧倒的な迫力を持つボスを前にして、圧倒的な数字のダメージで殴り合うことになります。

その圧倒的な数字に打ち勝つには、こちらも圧倒的な数字を用意することが重要です。マップを探索し、超強力な補正を持つ装備を手に入れることで、初めて五分の勝負に持ち込めます。
なお、戦闘は巨大な数字の応酬とはいえ、そのベースはオーソドックスなシステムです。適度に回復し、隙を見つけたら攻撃していくことで相手を削っていくことになります。敵のHPは膨大ですが、こちらの攻撃力もまた甚大です。強力な火力でもって殴り続ければ倒すことができるでしょう。

タガの外れたような数値の殴り合いができるゲームとなっています。
次々に立ちふさがる絢爛なボスを撃破し、シナリオを進めていきましょう。

感想

ひらすらダイナミックなグラフィックを浴びつつ、とにかく巨大な数字を見ることになるゲームです。もはやそこにある数字に意味はないんじゃないか、というレベルで大きな数字で削り合いをすることになります。

戦闘バランスはかなり大味で、特にボスは全強化を先にやってあとは防御の石と大回復で耐久していくゲームとなります。
強い技を連打するだけでは勝てないので、決定ボタンを連打するゲームではなく、固定ルーチンをひたすら回すことになりました。脳みそは動いていないけれど手は動いています。
また、どれだけ防御力を上げても恐らく防御貫通攻撃で通されてる気がするので、HPと鬼のように高い攻撃力以外のパラメータに意味はないかもしれません。回避と命中に関しては完全に死にパラメータかも。

難易度の面で言うと、最初のボスが一番の鬼門で、2番目のボスの初撃だけ厳しいという印象です。
最初のボスは色々揃ってないのもあって普通にしんどく、回復アイテムを拾ってからは攻撃と回復を繰り返し、適宜魔法吸収するだけなので割と簡単です。
ラスボスはそれほど難しくはありませんが、HPは恐ろしいほど高いので耐久力を試されます。

シナリオ面では演出が長めで、OPの演出のテンポ感が最後まで通貫しています。退出するためにゆっくり下がり、そこから間を空けて、別のキャラクターが来るあたり、決定キーを押さないと進まないイベントかと思いました。せっかちには辛い。
エレベーター演出についても、最初に見た時はどうして入力が効かないのかも分かっていませんでした。

また、ダンジョンには迷いの森や滑る床、ワープゾーンと言ったギミックがあって戦闘以外でも遊べるようになっています。
ただ、迷いの森のヒントは言及がなく、滑り床のロジックは今でも謎に包まれています。いつの間にかクリアできたので、宝箱を一つ回収し損ねました。ワープも最初に遭遇したのが入り口に戻すものだったのでそういうものかと思っていましたが、どこかと繋がっているワームホールでした。
とにかく手当たり次第に色々試すのが攻略の糸口っぽいです。

そしてこの作品、ある意味オチが祟女と相似かもしれません。一番怖いのは人間なんですかね。最後にスクロールして絵が映し出されるのはインパクトがあって良かったです。
それにしてもあのドラゴン、手加減していた割に強すぎませんか。