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27. 選択肢がなでるとなめるしかないゲェム

ジャンル 作者
ノベル かにわーるど
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.0 全END

良かった点

  • 色々なBADエンドがあります
    • 短い中で笑える作品でした

気になった点

  • BADを回収しようとすると、スキップがない点や、セーブがDay単位である点がやや厳しいです

レビュー

選択肢がなでるとなめるしかないゲーム

選択肢がなでるとなめるしかないゲェムは、選択肢がなでるとなめるしかないゲームです。有り体に言えば、ノベルやアドベンチャーといったジャンルのゲームになります。

この作品は、突如選択肢が「なでる」と「なめる」しか現れなくなった主人公が、様々な災難に対して立ち向かっていく物語となっています。
どんな奇想天外な現象が起きても、主人公が取れる選択肢は「なでる」か「なめる」のいずれかしかありません。その時々の状況をもとに、判断を下していきましょう。
ゲーム中はどんな時でも油断してはなりません。選択を誤るとバッドエンドが待ち構えています。

ただし、それぞれの選択に用意された奇妙奇天烈なバッドエンドを色々と見るのもまた一興です。
好奇心のもと、あえてバッドエンドを狙って選択肢を選んでみるのも良いかもしれません。

三日間の間に降りかかる脅威を、なでたりなめたりして乗り切っていきましょう。

感想

タイトルが全てを物語っているというか、タイトルでオチている作品というか、そんな感じです。
タイトル通りのことしか起こらないし、大きなどんでん返しもないんですが、この作品を手に取る時点でそんなものは求めてはいないのでちょうど良いです。

基本的に選択肢はBAD直行か進行かの二択であって、理性的な判断が意味を成すのは序盤くらいです。後半は裏をかかないとBAD直行は防げません。誰か、BADに一度も行かずにクリアできた人いるのかな。
筆者はできるだけBAD回収できる選択肢を選ぶ方針で進めましたが、それでもいくつか引っかかりました。そこでなめるとは思わないじゃないですか。

時にはかなり突拍子もない展開に振れることもあって、そういった選択肢からの意外性はだいぶ担保されているのが良かったです。最初は割と想像通りに事が運びつつ、終わりの方では良い感じに選択肢が裏切ってくるのが面白いです。
ずっと安全選択肢だったものが豹変したり、明らかに正しそうな選択肢が間違っていたり、短い中でもちゃんと緩急がついています。

また、短編としてはちゃんと絵もついていて、一つ一つのBADエンドがきっちりとあって、短い中で笑える作品でもありました。
一番好きなBADは事案発生演出のあるロリコン罪です。見えている地雷でも踏まずにはいられない。

なお、BADがSound of Dropを思い出すレベルでいっぱいあるにもかかわらず、スキップがしにくいゲームなので、BAD回収はしにくめでした。
お勧めはキャンセルキー連打で、選択肢までは脳死で押せます。選択肢までスキップか、そこでセーブ機能は欲しかったかもしれません。一応、Day単位ではセーブできるので、めちゃめちゃ戻されるようなことはありません。

28. ブラックレイン

ジャンル 作者
終末RPG 黒猫チルノ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間 1.003 クリア

良かった点

  • 良い世界観であり、良いキャラクターでした
  • 世界観を表現するための要素が凝られていました
  • 戦闘はやや歯応えのあるちょうど良いものでした

気になった点

  • 世界観表現のためではありますが、メニュー周りのUIは使いにくいです
  • 被ばくシステムがあまり有効に活用されていませんでした

レビュー

こだわり抜かれた世界観

ブラックレインは、第3次世界大戦で世界が滅んだポストアポカリプスめいた世界を巡るRPGです。
プレイヤーは少女二人の主人公を操作して、昭和275年の世界を舞台に探索することができます。

このゲームの白眉は、なんといっても演出からUIにまで凝られて練り上げられた世界観です。
遥か未来を舞台とし、実際にSF的な要素を盛り込みつつも、昭和275年という設定からも分かるようにどこか古式ゆかしいレトロな趣も湛えています。
メニュー周りの操作でさえ世界観に支配されており、途切れなくその独特な世界観を浴びることができるでしょう。

そういったレトロめいた世界観の中、プレイヤーは東京のあちこちを探索することになります。荒廃したかつての大都市を巡っていきましょう。
そうして、東京を巡るうちに大規模な対立と陰謀に巻き込まれていく物語が展開していきます。

その戦いの中では、消耗の激しい戦闘が待ち構えています。
攻撃するたびに武器や防具の耐久は減り、銃器を扱うなら弾薬も消耗していきます。消耗品は拾い集めたり、各所の人々と物々交換をしたりしながら補っていきましょう。雑魚との戦いで無駄に消耗しないというのも一つの手です。
その一方で、物語の要所で戦うボスは強敵となっているため、消耗を惜しまずに戦って全力で倒していきましょう。

昭和レトロフューチャーな世界観を体験しながら、少女たちの戦いの果てを見届けてみませんか。

感想

色々なものを犠牲にしてでも世界観に全振りしたゲームという印象です。メニュー一つとってみても世界観のために作られているという印象が強くあります。

世界観は核戦争後を描いていて、残された人類がギリギリの自治制でかろうじて存続しているようなものです。OZといい、とりあえず全人類の数パーセント残すには核攻撃と相場が決まってますね。
昭和275年という設定からうかがえるように、未来の世界ではあれど昭和っぽさが残る混ざった世界観が良いです。メッセージのウィンドウから、メニューを開く演出、メニューそのものの操作性まで、このゲームの世界観を表しているのは徹底しているなあと思っています。

物語もその世界観に合わせつつ、主軸はまた一つ別の概念に基づいて行われているので、結構ちゃんとした物語性があります。
中盤くらいで設定をちゃんと匂わせつつ、終盤には別の盛り上がり方でも演出してくれます。かつての敵との共闘ほど熱いものはない。あと最終盤の演出は割と好きで、やっぱりRPGなのでRPGでしかできない演出がされていると良いなあと感じてしまいます。

とにかく、システム面から、画的なところまで、細かい部分にまで世界観を徹底しようという強い意志を感じます。これだけちゃんと徹底されていると、どれだけ極端な世界観でも受け入れて楽しめるので良いですね。
昭和275年、冷静に考えると代替わりするはずの天皇が機械化でもされて不死身になったんですかね。そもそも改元は嫌なことが起きた時にも起きていたはずなので、単に改元できるほど支配的な存在がいなくなったと捉えることもできるかもしれません。

システム面で言うと、筆者はFall〇utを少ししか知らないので、どの程度似通っているかは知らないんですが、割といろんなシステムが使われている気がします。
ハッキング、物々交換によるリソースの取得、被ばく線量あたりはFalloutっぽさを感じました。

その中の物々交換によるリソースの取得のおかげで、戦闘にも緊張感が生まれます。ある程度は節約して戦いつつ、ボスでは色々惜しみなく使っていけます。
夢の島のおかげで詰むということはなく、そういった時間さえあればどうとでもなる救済措置があるというのも良かったです。

一方で、被ばく線量はあまりゲーム性に落とし込まれていなかった印象です。
ゲーム的に意味があるのは最初の方の水を渡るかどうかの違いくらいで、後はラスボスの特殊ギミックくらいなものです。実際、中盤くらいは殆どその存在を忘れかけていました。
にもかかわらず、キャンプで水たまりに入ると何か嫌な気分にだけはなるので、嫌なパラメータが増えたなあくらいの印象だけが残りました。
被ばく線量が高い代わりに良いアイテムが拾えるとか、除染することで入れるエリアとか、そういう広がりがあると嬉しかったかもしれません。

地味なポイントだと、銃弾が結構そこかしこにおいてあるにもかかわらず、大部分が拾えないのには違和感がありました。銃火器を使うゲームであり、かつリソースを消費していくゲームでもある上で、明らかに見えているのに拾えないのは、あまりにもご都合的に感じてしまいます。
一応、頭の中では口径に合わないのかなと変換しながら進めてはいました。

後は、世界観に全部りしているので操作性はそこそこ悪いです。
マウスとキーボードを併用する設計ですが、どちらか一方で動かすにも面倒で、かといって両方扱っても面倒みたいな類でした。マウスだけだと会話でEキーがいるし、カーソル操作はさすがにマウスが有利なので。

特にメニューがらみは、ボタンでメニューを開き、カーソルで操作し、閉じる確認ありのボタンで閉じる、と操作構造が割と複雑です。
その上で、このゲームでは銃を使うと物資がどんどん目減りしていくので、適宜物資補充のためにアイテム画面を開く必要があります。ここはそこそこ使うことの多い流れなので、クイックメニューなりで緩和されていると有難かったです。

ただし、この辺の不便さはUIに絡みついたものであって、かつこのUIは世界観表現のためにはかなり有用なものでもあるので、大分トレードオフになるんだろうなという気持ちです。
なお、セーブはESCからクイックに行えるようにはなっているので、そこは便利でした。

また、装備画面の空欄とか、明らかにオーバーな弾薬(大)の存在とか、そういった色々なものを見るに、もう少し規模の大きい作品を作ろうとしていたのではないかという気がしています。
ちなみに、全体で2時間程度のことでしたが、そこそこ寄り道して4時間だったので、正直2時間で終わるボリュームには感じませんでした。大体3時間くらいかな。

しかし、どうしても東方っぽい要素を入れたいんでしょうか。アリスマーガロイドにそれ以外の意味があるかは知らないですが。
あからさまではないので、分かる人に分かればいいくらいの塩梅だとは思います。

29. フィッシュ・フックは涙しないRE

ジャンル 作者
探索ADV トウヤ イユキ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.04 全ENDクリア

良かった点

  • 全体的に探索ADVとしてのクオリティが高いです
  • 導線がかなり優しいので詰まることは無さそうです
  • シナリオのギミックが上手く作用していました

気になった点

  • 第二世界の位置取りがやや説明的っぽくはあります

レビュー

ハイクオリティADV

フィッシュ・フックは涙しないREは、あらゆる要素の品質が高い探索アドベンチャーです。
このジャンルとしてはオーソドックスで奇をてらったところのない設計ながら、演出の質からシナリオの構成、行き届いた導線の配慮まで、全てが高い水準で形成されています。

この物語は、悪魔はびこる世界に迷い込んだ人々を、ツリバリ君と呼ばれる人物が助けるお話から始まります。閉じ込められた洋館を主な舞台として、脱出のために謎解きや探索を行っていきましょう。
謎解きは導線が丁寧であるため、スムーズに進めることができるでしょう。また、迷った場合はヒントを利用して解くこともできます。

そうして洋館を探索して進むうちに迷い込んだ人々の事情が明らかとなり、物語は一つの終わりを迎えます。その後は場面を変え、物語はさらに主人公たちへフォーカスして進行していくことになります。
ツリバリ君とは何者なのか、彼らに何があったのか、物語を進めていくことでその真実に迫ってみましょう。

こうした一つ一つの物語は丁寧に描かれており、さらに適所で差し込まれる良質なグラフィックと、それを最大限に活用した演出でもって、より引き立てられています。ストーリーをより深く味わうことができるでしょう。
様々な要素を高いレベルで練り上げた、高品質なアドベンチャーとその物語を体験したいのであれば、お勧めの作品と言えます。

感想

クオリティが高いし、ちゃんと丁寧に作られていることが分かるADVです。
グラフィックとか、操作性とか、そういう一個一個の点のクオリティが高いという話ではなくて、総合的な面での品質が高いというレベル。

とりあえず世界観というかグラフィックに近い話になるんですが、各セクションで色々と印象を変えてきているのが良いです。
最初は洋館、次に白黒、最後に心象と、良い感じにロケーションが移り変わります。

その上で、やたら洋館で鮮やかに見えていた緑色の意味を白黒世界で理解したり、そこまでの流れをもってして心象に移ったりと、ちゃんと流れが継続しているのも良いです。白黒世界はやや位置取りが説明的なところもありますが、全体を通してみるとギミックを仕込む閑話という印象です。

細かいレベルで言えば、異界でメニューを開くと後ろにノイズが入る表現とかも好きです。こういう細かいところの演出が全体の丁寧な雰囲気を形作っています。

システム面でもかなり丁寧に作られていて、探索ものにもかかわらずメニュー画面を開く頻度がかなり低かったです。要するに、アイテムを確認したりする手間が極端に少ないと言えます。
大体は指示、あるいは想像した通りに動けばそのまま解決していくので、あんまり苦労することはありません。万一詰まっても、Talkが結構有用みたいなので、謎解きが苦手でもなんとかなりそうです。

QTEについては、探索ばっかりだと飽きるからくらいのフレーバー要素で、強いアクション性は要求されません。
また、序盤のCキー連打なんかは二度要求されることが無かったり、本当に細かい所にも配慮が行き届いています。

シナリオも良くて、ツリバリ君のギミックを軸にうまく左右に振っている印象でした。
最初は消去法でジンか画面の前のあなたあたりかと思わせておきつつ、二つ目であっさり登場させて容姿を変えてミスリードしつつ、最後の展開でジンがツバキに見えていないことをもって最終エンドにつなげるあたりの構成が上手いです。
あとタイトル通り、最後までフィッシュフックは涙せずに笑顔でしたね。タイトル回収される作品は良い作品。

またマウス操作というシステム設計も、ある程度は傍観者的立ち位置であるツリバリ君やらツリビトにマッチしていて良かったです。この物語はツリバリ君になる物語ではありませんが、プレイヤーのメタ的な干渉に対しての理由付けとしてうまく機能しているという面で優れています。
システムと物語はマッチしている必要があるという強い思想は別にはないんですが、マッチしていたらそれはそれで良いものです。

さらに細かいところで言うと、陰口が叩かれる通路を歩くシーンが割と好きです。悪口で舗装された通路を作るというのはこの手の探索ものあるあるという趣があるんですが、このゲームではその悪口ルートが単なる悪口の列挙じゃなくて、それに反論する奴、反論する奴を嘲笑する奴、ある程度中立でいようとする奴を入れているあたりが、細かいリアリティだなあと感じていました。
現実的に全員敵というのはあんまりなくて、少数の敵とある程度の同調者と多くの無関心があるだけなんですね。

また、エンディングに応じて曲や演出が変わるのも面白いです。
やはり周回系ゲームのエンディングのエンドロールは何度も見たものになってしまうので、トゥルーにだけ入れるというパターンもあるんですが、これはちゃんと全部違うものを見せようという気持ちがあります。

キャラクターもめいめいが良いキャラをしていました。グラフィックの品質が良いことはもちろん寄与しているんですが、短い中でちゃんとどういうキャラクターなのかを描写している能力もまた寄与しています。
しかしチシヤという名前は、どうしてもチェシャを思い出してしまうし、どうしても今際の国のアリスを思い出してしまいますね。

ちなみに、どうでもいい話になるんですが、フォントの関係でセロテープのロが伏字に見えていました。商標だっけみたいな気持ちになった。

30. HOLLOW LONGING

ジャンル 作者
探索ADV 学世 初
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間30分 1.03 全実績

良かった点

  • グラフィックが美しく、世界観を余すことなく表現しています
    • キャラクター、景観ともに群を抜いた美麗さをしています
  • 美しさと残酷さの対比が良い世界観でした
  • 細かいイベントも充実しています

気になった点

  • 中盤あたりはほぼノベルゲームです
    • 世界観に入りやすいという良い点もあります

レビュー

美しき世界、残酷な世界

絵あるいは画というものは心を揺り動かし、感動させる力を持つものの一つです。
美しくあるものは美しく、惨くあるものは惨く、そう訴えかけるようなその力により、強く銘記させられることから逃れることはできません。
HOLLOW LONGINGという作品が持つ力は、間違いなくその類のものであると言えるでしょう。

このゲームのベースは探索アドベンチャーとなっていますが、物語の比重が大きい作品となっています。
いくつかの探索要素や謎解き要素もありつつ、基本的には物語を体験していくことになります。

しかし、物語を体験する上では、その探索要素は無くてはならない存在です。
精緻なグラフィックで描かれる美麗な世界を探索し、息を呑むような世界の美しさに触れることで、その世界に隠された残酷さをより強く鮮烈に感じ取ることができるでしょう。
美しいものが美しくあることに説得力のあるグラフィックで表現するからこそ、その対比構造を描く物語はより強く心に残ります。

加えて、精緻に描かれるのは世界だけではありません。登場する個性豊かなキャラクター達もまた、美しいグラフィックで描かれています。
それぞれの抱える想いや機微もまた、繊細なイラストによってより強く印象に刻み込まれていくことでしょう。
美しく、そして残酷な世界における彼らの物語は、そういった高い表現力に裏打ちされて彩られていきます。

また、探索要素は寄り道としても充実しています。アイテムを拾って、それを仲間に渡すことで様々なイベントを楽しむことができます。
キャラクター達のやり取りを眺めたければ、積極的にアイテムを探してみましょう。

この作品は、徹頭徹尾美しいものを美しく表現した作品です。
美しくあることに意味がある美麗なグラフィックと、それに調和した世界観に浸りたい人にはお勧めの作品となっています。

感想

ウディコンの早いうちから何があっても絶対やるリストの一つに入れていた作品の一つ、HOLLOW LONGING。
11回だったかのウディコンでやったPRESS STARTが良かったのでやりたいと思っていました。

筆者は基本的に物語に感動する性質なので、あんまりグラフィックで感動はしません。
ドット絵で言うと、FF6のオープニングの魔導アーマーが雪原を歩むあたりは感動した覚えがありますが、あれも名曲ありきのことかもしれないと感じています。
その経験の中でも、このゲームのグラフィックは目を瞠るレベルでした。あんまりスクショを取らないので、こういう紹介文を書いている時に必要であれば毎回撮り直しているんですが、このゲームはスクショを取りすぎていて何を載せればいいのかという感じです。

グラフィックが良いというのは大まかに分けて、マップなどの景観と人物画のような一枚絵の二つに分類可能だと思っているんですが、この作品はどっちも飛びぬけて良いです。
片手落ちということはなく、両輪ともに抜きん出て素晴らしいという強力なバランスをしています。

景観の素晴らしさは言わずもがなで、拠点となる館の各部屋の特色といった細かいレベルでもそうですし、電車で行けるエリアのシンプルな単一マップとしての美しさもあります。
特に途中にある城は景観的美しさが極致に近く、そこで発生するイベントも相まって印象に強く残っています。マップに光が落ちている表現が異常なレベルで上手い印象。

この作品は物語的な意味もあって、世界が極めて美しくあるべきなんですが、その表現を完璧に履行しています。世界はかくも美しい、ということをグラフィックで余すことなく表現できているクオリティでした。
そして、そういった美しさがあるために、対比された無機質さや不安定さの表現も際立つように感じます。

景観とはまた違うんですが、料理のグラフィックも良いです。
寄り道要素で拾ったアイテムを使って料理ができる仕様がありますが、一品一品シナリオと共に料理がお出しされます。そして、そのどれもクオリティが高いです。夜にやるとお腹が空く。なんでゲームを遊んでいて飯テロを食らうんだろう。

他方、人物のグラフィックもかなり精緻で、最初の着替えでわざわざ描きにくそうな服に着替えるあたりは凄いなと思いました。何が何でもフリフリしたものをつけようという意志を感じる。
ただの一要素である着替え要素にまで細かく描き込まれていて、このレベルで全部作り上げているのはもはや恐ろしいレベルです。

加えて、ここぞという場面で出る一枚絵の美しさはさらに突出しています。
景観でもそうなんですが、光の使い方による美しさの表現が異様に上手いので、迫力とか神々しさが自然に表現されています。思わず手がPrtScを押してしまう。
スチルのギャラリーが見つからなかったんですが、無いのは勿体ないと思いませんか。ウィンドウが消えるタイミングを狙ってスクショするの、案外難しいんですよね。

筆者個人が好きな場面は、シバが覗き込んでいるシーンとか、集合絵ともなっている歓迎会とか、セカイの初登場シーンとか、トワが決めているシーンとか、最後のシーンとか、枚挙に暇がありません。
特にセカイのシーンは、光の使い方とそれが表現する神々しさというか神秘性のレベルが高すぎて、半ば口角が上がりながらスクショしていました。

そして、精緻に描かれた美しいドット絵とこの上なく良い相性のシナリオ、というか世界観も良いです。
楽園という世界とその欺瞞はこのドット絵で描かれるからこそより良く対比されるものと思います。
圧倒的に美しい湖を前にするからこそシバの気持ちが理解できるし、そこでのヨイチの反応にも意味が出てきます。本当に美しい世界を描いているからこそに可能な演出でした。

また、その世界で生きているキャラクターが良いタイプの物語でもあって、それぞれのキャラクターが魅力的なことが、シナリオにおける良い牽引力になっています。
主人公がシバなのも良いですね。まっすぐの純粋さがまごうことなき主人公。筆者は苦労人が好きなので、なんやかんやコヨミが一番好きです。セカイも苦労人っぽいので好き。

話し方とか立ち居振る舞いの安心感はキラが一番高かったので、最後の突入時についてきてくれない時点で嫌な予感はしていました。
キラがいればと思いつつ、キラがいるとキセツの解決法しか取れないケースもあるからなあという気持ちにもなります。あれは仕方ない部分もあるんですが。

ゲーム性で言うと、薄っすら寄り道要素のある探索ゲームという感じで、中盤くらいは探索ゲームではなくてもはやノベルゲームのそれでした。
ただし、中盤のあの展開があるからこそ、色々と世界観に入り込めるところはあるので、やはりコメントにある通り物語重視の作品なのだと思います。
他方で、城についてはだいぶ探索ゲームの趣があります。案外難しい。

実績とかイベントを見るためには、それ以外でもある程度探索が必要なんですが、景観が美しかったので散歩しながら見つけられて良かったですね。
エンディングを見た後も回収可能なので、余韻に浸りながら色々と回収してイベントを見ていました。
ちゃんとダッシュ機能も付いているので、探索自体はそこまで苦ではありません。

また、エンド分岐が割と多いんですが、ハッピーエンド以外では何もかも全てが悪変する展開もあって、世界観も相まってなかなかの気分になれます。
何もかもがだめになって、何もかもが救われないからこそ、色々なものがきちんと収まったエンディングが映えますね。

なお、タイトル名はプレイする前は虚ろに憧れることを指しているのかとぼんやり考えていましたが、どうやら虚が憧れるものを指していそうです。
というか、ウロが憧れるものとしてのシバですかね。そうありたいというよりは、そうあれれば良かったのにという雰囲気がありますが。
というか、ざっくりエンドを眺めていたらEND5がそれっぽいタイトルでしたね。気づかなかった。

これが一番好き

31. プルガ猫トリウム

ジャンル 作者
弾幕回避 秋月ねこ柳
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 1.10 名古屋(14)

良かった点

  • 煉獄セレナーデという選曲が良いです
  • 難しくも、クリアだけなら何とかなりそうなバランスでした

気になった点

  • ギミックは変われど同じ構成なので、飽きやすい設計に感じました

レビュー

煉獄セレナーデ

プルガ猫トリウムは、曲に合わせて弾幕をひたすら回避し続けるゲームです。

マウスで自機を操作し、迫りくる数多の弾幕や敵本体をとにかく避けて乗り切っていくことになります。
曲に合わせて多種多様の変化を見せる弾幕のパターンを把握していくことが、攻略の糸口となるでしょう。そのためには、何度もステージに挑戦していく必要があります。
全てのステージで弾幕に合わせて流れている煉獄セレナーデというBGMは、夢に出るくらい聞くことになるかもしれません。

ただし、基本的にはステージ全体を通して練習する必要はありません。
弾幕の切れ目ごとにコンティニュー地点が定められているため、あの電柱までは頑張ろう作戦が使えます。その区間のパターンを、マウスを動かす手に覚え込ませましょう。
そうしてコンティニューを使ったクリアができれば、今度はノーコン、果てはノーミスを目指すこともできます。

また、クリアしたのであれば次のステージが解放されることもあります。
弾幕のパターンはほとんど変わりませんが、今度は各ステージに応じて変化していくギミックに対応する必要があります。これまで学習してきたパターンの経験を活かしつつも、違う動きで攻略していく楽しみがあります。
あらゆるギミックを乗り越え、目指すは全ステージ制覇です。

このゲームのもう一つの特徴として、ゲーム全体が謎の言語で占められていることがあります。
ステージを攻略していくと解放されていく物語もまた、全てが謎の言語で書かれています。これが何を意味するのかを読み解いていくというのも、また一つの楽しみでしょう。

パターンを学習してギミックを捉まえて、諦めることなくステージを攻略していきましょう。

感想

煉獄セレナーデが良い曲でしたね。
人によっては飽きるほどというか嫌になりそうなほど聞くことになると思うんですが、煉獄セレナーデが良い曲じゃなければ成し遂げられなかったと思います。寝る時ですら頭でリピートしていたので。
これほど曲が頭にこびりついたのはHellsinker.のラスボス以来です。

難易度はかなり高めで、最初のバージョンでは3時間やって津までしか行けませんでした。
その後のアップデートのアンロック条件緩和に伴い、一応最後までプレイすることができました。さらにその後も難易度緩和していたっぽいんですが、そちらは未履修です。

とにもかくにも那覇以降の難易度が高くて、ノーコンがめちゃめちゃ厳しいです。
しかし、大体全部ノーコンするくらいしないとアンロックしない構造なので、さすがにそのあたりは諦めました。ノーコン、大分デレ行動が引けるかどうかに終始する気がしています。
なお、ノーミスは松山でさえきつかった印象です。

松山に関しては、最初のステージでありながらめちゃめちゃ長く、最初にしてだいぶ心を折ってきます。
長い理由はスローにして難易度緩和しているからなんですが、そもそも楽章を途中で分断して短くするとかで緩和されていないと初見としてはしんどい気がします。
さらに、単純なスローだとステージ時間が長くなってしまうので、クリアまでにかかる時間も自然と長くなってしまうという影響もありました。もっとも、どこかで切るとゲーム性が変わりそうではありますが。

また、変化の加え方が自機向けなので、弾幕とかパターンの構成自体に変化がないのもあって、割と飽きやすく感じました。良くも悪くも練習が活きては来るんですが、同じものをやっている感はどうしても拭えません。
これで煉獄セレナーデがあんまり良い曲じゃなければ、1時間で投げる自信があります。

ただ、変化そのものはバリエーションに富んでいるので、十分に見目は変化していきます。そういうパターンの切り替え方があるのか、というアイデアの博覧会みたいなイメージです。ここからどう難易度上げるんだろうという、わくわく感みたいなものがあります。

なお個人的には、全部やった印象では名古屋の方が那覇より簡単に思えました。
結局自機の当たり判定が小さいほうが性に合っているので、ノーコンもなんとか行けます。弾の量じゃなくて、それ自機のサイズじゃ避けられなくない?みたいな弾が来ちゃうことのほうが辛いです。

ゲーム全体を通した印象としては、弾幕回避ゲーの皮をかぶった電流イライラ棒ゲームといった印象です。
弾幕シューティング系のゲームのような美しい弾幕じゃなくて、そこそこランダム性もある軌道というか方向が良く分からない弾の嵐なので。感覚的には弾幕を避けるというよりは障害物を避ける、パターン構築よりはアドリブ寄りな印象でした。

ちなみにグレイズでスコアを競えるはずなんですが、スコアまでチャレンジした猛者はいるんでしょうか。筆者はスコアにまで意識を回せるほど余裕はなかったです。

一応、幽霊文字については解読はできたんですが、あんまりやっている人はいなさそうなのでネタバレにならないように念のために隠しておきます。

32. 影忘師

ジャンル 作者
謎解き探索ホラー eichi
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 2.01 ふつうでGOODエンド

良かった点

  • 謎解きが本格的で、頭を使うので楽しかったです

気になった点

  • メニュー周りも含めて操作性があまりよくありません
  • 最後の迷路の動機付けがありませんでした

レビュー

追い回されながらも謎を解け

影忘師は、追いかけられながらも謎を解いていく探索ホラーゲームです。

閉じ込められた学校から脱出するために、主人公は校舎の中をさまようことになります。
校舎にある特定の教室には謎解き要素が置かれており、これを解くことができると、攻略に有用なアイテムなどが手に入ります。
謎解きは本格的で、頭や知識を使うものとなっています。そうした謎を、どんどんと解いてきましょう。

一方で、後者を脱出するためには謎解きの問題となる写真を集める必要があります。
写真を入手するには、ある決められた箇所でカメラを使わなくてはなりません。写真の取れるポイントを探して、隅々まで歩き回ってみましょう。手に入れたアイテムが役立つこともあるかもしれません。

そうした謎解きや探索を妨害してくるのが、散在している黒い存在です。彼らに追いかけられ、触れられてしまうと体力が減るため、きちんと逃げていく必要があります。
彼らから逃れつつも、謎を解いて校舎からの脱出を目指していきましょう。

感想

謎が割と本格的なゲームです。いきなりノーヒントで元素周期表ベースの問題出されたり、なぞなぞよりは知識を要求されるレベルな印象でした。学校が舞台なので、そういう謎が多いんでしょうか。

謎解き自体は脳みそを使うので結構楽しく、頭をひねりながら考えることができました。
少なくとも謎解き中であれば大体は停止した画面の中で考えることができるので、ある程度集中できます。一部謎解きは移動ベースなところもあって、そこでは影が邪魔で思考が散ります。

謎解きの難易度自体はピンキリで、直感的に理解できるのもあれば、沼に入ると抜け出せないものもあります。
ヒントめいたものが無いので直感に頼る必要があって、そこそこのエスパーも要求されがちですが、理不尽というほどではありません。題意をくみ取れば何とでもなります。

影に関してはいわゆる鬼ごっこなんですが、各所にいるので障害物みたいな扱いにも感じます。接触ダメージが一撃アウトでない以上、ある程度ごり押せるよねという配置っぽい印象です。
謎解きのために影を誘導して動かさないといけないのはそこそこストレスで、アクションと謎解きがあんまり良い混じり方をしていない感じでした。謎解きさせたいのか追いかけっこさせたいのかが良く分からない。

あと、操作性がやや悪くて、Xでメニューを開けるのにマウスでしか閉じられません。
また、中クリックで写真を撮れるんですが、これが撮れない位置なのか単純に撮れないのかが判然としません。写真が撮れないなら何らかのリアクションがないと、操作キーが間違っているのか、操作手順が間違っているのか、そのあたりが不明瞭になります。中クリックは基本誤爆しないと思うので、そういうリアクションがあっても良いのかなという風に思います。

他方で、そうして謎解きをアイテム取得のためのものと学校中を探し回って取得していくものに分けているのは結構面白くて、そこそこ見逃しても最後の謎さえ解けていればクリアはできます。
謎解きできない場合でも、鬼ごっこに勝てればほとんどの謎を解く必要がありません。

なお、個人的に最も気になっているのは、最後の迷路です。
ノーヒント、暗がり、時限、誘導無し、超広大迷路はかなりやる気をそぎました。感覚的には、縦80x横50以上ある感じがします。
The Pillar というゲームでも最後の最後に明滅する中迷路をやらされたんですが、不自由な広大迷路のゲーム性が本当によく理解できていません。
一見して把握できるサイズならそれを解く、RPGならエンカウントに耐え凌いで通路の結果に一喜一憂する、狭いけれどマッピング必要、迷路ではあるが見目が異なるので飽きない、みたいな動機付けがあればいいんですが、ただシンプルに広い変わり映えしない迷路を歩いて解く楽しさはどこにあるのでしょう。

しかし、シューベルト、今はショーベルトって呼ばれてるんですね。知りませんでした。

33. Proto story

ジャンル 作者
RPG みず
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 2.1.5 クリア

良かった点

  • オーソドックスながら色々な要素が入っています
  • 尖った戦闘バランスをしていました

気になった点

  • 武具の重複アイテムを一つずつしか売れないのが解せないシステムをしています
  • ドロップ率がだいぶ渋いです
    • 特に序盤が顕著でした

レビュー

シンプルながら要素はいろいろ

Proto storyは、オーソドックスなRPGです。
全体としてはシンプルな設計でありながらも、要素が盛り込まれている作品となっています。

ゲームとしては雑魚敵が強めの、戦闘に重きが置かれたRPGです。そうした強い雑魚敵を処理しつつ、強大なボスへと挑むには、様々なシステムを活用していく必要があるでしょう。

まず装備を強化するには、敵が落としたり、ダンジョンで拾ったアイテムを活かして合成を行いましょう。強い装備は基礎的な戦闘能力を向上させます。

また、効果的でバランスの良い戦略を立てるには、メンバー編成が肝要です。各地でメンバーを勧誘しつつ、それぞれの特徴を考えて組んでいきましょう。
控えのメンバーにもある程度経験値が入るため、比較的気軽に入れ替えが可能です。

そして、安定した戦闘のためにスキル構成を変えたいのであれば、スキルボックスが有用です。
一人につき二つまでランダムなスキルを付与できるので、足りない部分を補うにせよ、尖った部分をより先鋭化するにせよ役に立ちます。

これらのシステムはそれぞれ味付けがシンプルなため、肩ひじ張ることなくサクサクと進めることができます。
メンバーを整え、合成で装備を充実させ、スキルを上手く活用して、強力な敵を打ち倒していきましょう。

感想

シンプルと言いながらも、色々と要素の入ったRPGです。
要素要素の味付けはシンプルですし、物語とかはかなりシンプルな印象ではあります。

オーソドックスめなRPGではありますが、合成、メンバー編成、そのための仲間集め、スキルボックスなど、意外といろんな要素はあります。
各地を回るといろんなメンバーが集められ、各メンバーは戦闘時にメンバーに入れていなくてもある程度成長するようなので、色々構成を後から変えることもできます。この辺で自由度が高いのは嬉しくて、詰まった場合でも気軽にメンバーを誰にするかという単位で戦略を練れます。

戦闘バランス自体は大味な印象で、めちゃめちゃ強いかそうでもないかの二択という感じです。
しばらくは雑魚も強くて、途中からは雑魚が強いけどボスは弱いバランスで、最後のラスボスだけはやたらと強くなっています。
全体を通してはかなり尖った印象を受けていて、雑魚戦はシビアで楽しめです。中盤のダークマウスの乱数依存攻撃で壊滅的被害を被るのも乙なもの。
ボスは中盤以降弱い印象があるんですが、雑魚が強すぎるからそう感じているかもしれません。ただそれでも、個人的にはボスより雑魚のほうがきついシチュエーションが多い気がしています。

そうした弱いボスの一方で、ラスボスに関してはいまだに想定解法が良く分かっていません。
バフデバフをつけなきゃ瞬殺されるんですけど、そもそも速度も速いので初手で全体攻撃されると詰みます。ここは運かもしれない。
なんとかバフデバフを付けたとしても、クリティカルを食らってしまうと詰みかねません。ここは運かもしれない。
ここまできたら、その状態で可及的速やかに殴りつつ、バフデバフ、挑発を切らさないように立ち回ればいけます。筆者は最後にクリティカルで壊滅したけれど、生き残った二人でかろうじて倒しました。なかなかの激戦。

そういう経験と実際に戦ってみた印象をもとに、クリア後の強敵については倒せるビジョンが浮かんでいません。これはもう、全パーティの能力を研究しつくさないと無理なのでは。

続いてシステム面について言及すると、この形式の売り買いで武具系の重複アイテムを一つずつしか売れないのは解せないなあと思っていました。
あとは、町移動については移動の鈴前提の配置している印象です。移動の鈴が大変便利なので買いこんでおきましょう。

個人的には、ドロップ率が渋いなあとも思いました。
ドロップ率1%、通常プレイでは落ちないって意味だと思っています。MMOのドロップ率みたいな数値というイメージ。
この数値は期待値に届くまでに69回の戦闘がいるので、まっとうにやっているとなかなかお目にかかれません。ドロップ率向上アビリティがあるとはいえ、さすがに渋すぎるような気がします。
実際、ドロップ率2桁クラス以外からドロップした印象はほとんどないので、序盤の合成はあんまりできませんでした。

細かい点で言うと、取得SEが無いのが寂しいです。毒消し草を2個手に入れたはずなのにあんまり喜びがなかったり、仲間がせっかく増えてもいやにあっさりしています。
そこはシンプルとはいえど削ると、獲得感とか達成感が消え失せるんだなあという気持ちになりました。

全体的には割と遊びやすく、色々とメンバー構成やスキルの使い方を工夫して戦うことができるので楽しかったです。
ラスボスは強いんですが、何ともならないでもないと感じたので挑戦できたところがあります。こちらも強いスキルを色々持つことができたので。
正直、こちらも強いスキルを選べている、という自覚が無ければ倒し切れなかったかもしれません。

ラスボスとの激戦

34. 騎士と魔法使い

ジャンル 作者
RPG テツロ―
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.0.2 クリア

良かった点

  • ハクスラ的に装備やスキルを拾い集める楽しさがあります
  • ルート選定で、ある程度嫌な敵を回避することができました

気になった点

  • 敵の戦闘スタイルに癖がある割にこちらのSPが少なく感じます
    • SPが少ないので、スキルで対処するという選択肢が取りにくかったです

レビュー

少しずつ強くなり奥地を目指す

騎士と魔法使いは、戦いながら森を周回しつつ最奥を目指すRPGです。

この森というダンジョンには様々なルートが存在しており、それぞれ待ち構える敵や、落ちているスキルなどが異なってきます。
進行すべきルートを選んで道中の敵を倒しながら進めると、エリアの最終点ではボスとの戦闘が待ち構えています。道中の戦闘による消耗を抑えつつ、このボスを全力で倒していきましょう。

全てのボスを倒し、このゲームを攻略するには、何度もこの森に挑む必要があるでしょう。
何度も入っては新しいルートを探索してスキルを集めたり、戦闘に勝利することで装備を集めていったりして、少しずつ強くなって、より奥地へと足を踏み入れられるようになるからです。

特に、ルートの選定は効率よく攻略していく上では欠かせません。
前の周回で拾えなかったアイテムを回収するのはもちろん、踏破を目指す場合でも嫌な敵をなるべく避けたルートが構築できると、少ない消耗で進行することができます。

装備やスキルを集めて強化しつつ、自分なりのルートを模索して、森の奥地へと辿り着きましょう。

感想

ローグライトっぽいなと思いつつ、その類よりも周回前提の色が濃いRPGでした。
スキルを拾い集めて、装備も拾い集めて、強くなって、森を突っ切るゲームです。

弱いハクスラ要素も入っていて、敵が落とす装備を使うことで色々と強化ができます。特に強いエネミーが落とすアイテムはそこそこ強めなので、周回時に狙って倒しておくと良いです。
このあたり、強ボスを倒して良い装備が手に入った時は楽しいですね。

マップも周回前提の作りをしていて、とにかくいろんなルートがあります。
どれかのルートを選んでは敗れて、またどこかのルートを選んでは敗れて、を繰り返すことで強くなりながら進めることができます。
最終盤以外はマッピングしていたんですが、マッピングしていても接続面がたまに分からなくなったりして混乱しました。アイテム取得ポイントくらいは形跡を残しておいてくれると、ランドマークになって助かったなあと感じています。

戦闘バランスは状態異常が厳しく、回避が高い相手も厳しく、それ以外は何とかなるバランスです。
まず状態異常については、毒耐性を3つ重ねても通される時は通されます。内部実装を知らないので適当なことを言うんですが、多分耐性値30で、3つ重ねても90ということだと思います。
それでも一撃で全滅させられない以上、最大のダメージソース足りうる毒は耐性をつけておきたいので、しばらくこの編成でした。

また、一部敵は回避率が高い一方で、こちらの命中率を上げる攻撃もありはするんですが、リソース管理的には使いたくない気持ちもあって難しいです。SPが28しかないのに、必中じゃない命中率が高いだけの攻撃で3も使いたくないという気持ちが強い。実際、霞切りでも避けられたのを境に一切使わなくなりました。高回避に対応するこちらの行動は、高命中よりは必中のほうが嬉しいですね。
なお、理想形は雑魚が固定されているので装備を専用にして挑むことかもしれませんが、毒ばら撒きと高回避がセットなこともあるので何とも言えないです。

そういったこともあり、全体のイメージは、敵が嫌がらせしてくる戦闘バランスという印象です。
毒麻痺暗闇全部使う植物、毒麻痺使う硬い魚、回避率高くてクリティカルで削る運の死神、あたりは筆頭でした。
それ以外も割と癖の強い性能をしていて、封じるにはSPがいるんですが、前述の通りあんまり余裕がないので無駄遣いはできません。効率よくスキルで処するというよりは、我慢して抜けていく戦闘が多い気持ち。

一応ほとんどのルートを制覇しているはずで、できていないのは最終盤の分かれ道くらいのはずなんですが、もう少し有効なスキルがあったんでしょうか。あっても最終盤ならそんなに使えないかもしれませんが。

ただ、それでもルートを選定すれば、ある程度嫌な敵との遭遇を減らすことができるのが救いです。自分の力で楽な道を切り拓いていくのは面白い。
不可避の嫌な敵はどうしても出てきますが、少なくとも選んだ結果としては受け入れられるものが多いです。

グラフィックは手を入れるべき所に手が入っている印象で、必要な場面ではちゃんと使われています。
主にリコリスに力が入っていて、ギルランダは実質一つしか描かれていません。鎧、ある意味では表情差分をすっ飛ばせるので効率的ですね。
エンディングも含めてすっきり終われる作品でした。

35. 民家で一晩過ごすだけの高時給バイト

ジャンル 作者
探索ホラー 餓鬼郎党
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.00 クリア

良かった点

  • 短編としてまとまっていました

気になった点

  • 赤背景に白文字のメッセージは若干読みにくいです

レビュー

裏バイト?

民家で一晩過ごすだけの高時給バイトは、民家で過ごした一晩を描いた探索ホラーめいたゲームです。

このゲームでは、明らかに怪しいバイトにつられた主人公の一晩を体験することになります。
主人公を操作して、郊外の民家で一晩過ごしてみましょう。

概要の警告に再三にわたって不快であることが明記されているホラー、という作品となっています。
オチまで話すと面白くないので、短い作品ですから、とりあえず気になったら遊んでみるのが良いかもしれません。

感想

裏バイト:逃亡禁止 という漫画があって、冒頭はそれを思い出していました。もちろんのこと、結果的には全然違うんですが。ある意味では裏切られています。この意味は、恐らく良い意味だと思っています。

ゲームとしてはホラーが強いというわけではなく、驚かしがあるという程度です。そして、物語はホラーと言えなくもなくて、ある意味ホラーという感じがします。
恐怖というより不快、意味が分かった時は確かになあという気持ちになりました。言うほど不快かと言われると、どれに対しての不快感を指しているかによって変わるかもしれないという感じです。

もしも不快という感情が出てくるのであれば、作中の行為そのものか、行為を期待したもののやり方か、そのやり方が作中では一切罰されていないことに対するものか、といったあたりに分類できそうです。
2番目と3番目が多そうな印象で、個人的には3番目が最も嫌悪感を抱きそうな気がします。後味が良いか悪いか聞かれたら悪い方に返すしかなさそうなので。

なお、最後に横切ったアイツだけ説明がなされないので、それが実は本物だったみたいなオチもあるのかもしれません。ただ物語の性質上、単純にあの狭さの部屋には収まらなかったのだと思っています。

ゲームとしてマップ構成的な話をすると、リビングが真ん中にあるので割とアクセスは良いです。導線は案外ちゃんとしています。
その上で、廊下のサイズ感は演出上の理由もあって当然リアルじゃないんですが、部屋のサイズ感は割とリアルです。ありていに言えば狭い。しかし必要でないからこそ、この狭さをしているとも言えます。

なので、この規模感の物語を作り、表現を行い、オチまでつけるという一連の流れにおいて必要な要素はそろっています。とにかく演出上必要なレベル以上には作り込まれていなくて、最低限の設計という感じがして良いです。

あとは、赤背景に白文字のメッセージは若干読みにくかったです。特にフリガナレベルに小さいと結構きつい。もしかしたら読みにくいというよりは、目が疲れるのほうが正確かもしれません。

しかし、 落ちまで15分、END分岐もなく、オチを話すと面白くないゲームです。
ネタバレしないように書くのが難しいですね。

36. 数で押し切れ。

ジャンル 作者
自動戦闘 Qbit
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.02 クリア

良かった点

  • 軽いハクスラができます
  • 程よい戦略性もあり、自動戦闘で敵を溶かしてくのが楽しいです

気になった点

  • ステージの難易度バランスが偏っていました
  • 一部UIにあまり説明のない不便さがあります

レビュー

数で戦い自動で倒す

数で押し切れ。は多人数の自動戦闘とハクスラで押し切る戦闘メインのゲームです。
ダンジョンに潜ってひたすら戦闘していくことで進行していきます。

ユニットを20人まで雇うことができ、戦闘中はこれらのユニットが自動的に敵を攻撃していきます。
このゲームにおいては戦いの全てが自動化されているゆえに、事前にユニットに対して行う準備が戦闘の趨勢を決定づけることになります。

まず基本として、隊列が重要となります。それぞれのユニットを自由に配置することができるので、上手く機能するようにそれぞれ位置を定めていきましょう。

次に、良く使う行動の選択や、スキルの選別、行動制御の仕組みを上手く使えるとより効率が良くなります。それぞれの役割を考えてスキルなどを選択していくことで、効果的な戦略をとることができるでしょう。

加えて、ダンジョンを攻略して得られる装備もまた重要となります。詰まった場合は一つ前のダンジョンを攻略し、メンバーの装備を揃えつつレベルを上げるというのも一つの手です。

こうした戦闘以外の面でも、ダンジョン攻略中は危険と隣り合わせになっています。
マス形式で表現されるダンジョンの中では、隣接するマスだけが視認できます。クリアのためにはこのマスを一つずつ移動し、階段を見つけて進む必要があります。

ダンジョン内では一歩進むごとに人数に応じた食料が消費されるため、適宜食糧マスで補給する必要があります。そのほか、敵の出現マスやイベントのマスなどもあるため、要不要や効率を考えてルートを決定していきましょう。
ダンジョンの最奥には強力なボスが待ち構えているため、消耗を抑えて最善の布陣で挑んでいくことが求められます。

目的に応じてダンジョンを効率よく回りつつ、自動戦闘でわちゃわちゃ敵を倒していきましょう。

感想

数で押し切れという割には中盤くらいは装備などで押し切るゲームです。
自動戦闘しつつユニット数で圧倒するのかと思いきや、割と真面目にハクスラしてちゃんと装備を集めて成長させて突破しないと先には進めません。

自動戦闘システムながら、程よく戦略性はあります。
メンバー編成とか、最初の隊列によっては結構戦略が変わってきます。ちゃんとしたメンバーとスキルを組まないと、狩人が囲まれてあっさりとやられるなどが良く起きるので。
リーチとか性質を考えておくといい感じになります。ただ、全員猪突猛進の癖はあるので、固まって戦うとかそういうのは苦手な印象です。

加えて、なんとなくガンビットっぽい仕組みがありそうなんですが、使わずに終わってしまいました。
カスタマイズの仕組みがエンチャントと気づくのに時間がかかったのもそうなんですが、そもそも一般依頼に気づいたのがだいぶ後でした。やたら増えたクエストが見つからないことから発覚したので、確かステージ最終盤くらいです。

ゲーム内容としては、とにかくハクスラを意識してひたすらダンジョン潜るのが結構楽しいです。
自動戦闘なので見ないでもある程度やれますし、アップデートで非アクティブでも動く素晴らしい対応が入ったので、何かしながら適当に眺められます。

システム面で言えば、大量自動戦闘+ハクスラは良い面も悪い面もあるなあという印象でした。
しばらく装備が腐らないというのは良くて、装備を捨てる必要が出てくるまでには大分時間がかかります。加えて、このゲームだと、Cキーで一気に装備ができるので構成に悩む必要もなく、手軽で良いなと感じています。

一方で、結局のところ装備の強さが分かりにくいというところがあります。自分で動かしていないので、微差のパラメータの違いがバタフライエフェクトして結果に結びついていることしかわからず、イマイチどう効いたのかがつかめません。一気に装備していることもあって、装備と結果のつながりはさらに希薄になってきます。
このあたり、第12回ウディコンのわちゃわちゃダンジョンズなどでも感じているんですが、解決しにくそうな問題です。

メニューやUI面については、好きな面もあり、ちょっと使いにくい面もあり、といった感じです。
最初のメニュー画面がマス目状になっていて、ダンジョンもその系譜である統一感は割と好きです。また、取得アイテムが左上に出るテンポの良さとか、スキル構成で範囲などまで見れるあたりとか、そういった細かい面も良かったです。
特に画面に統一感があるおかげで、ゲーム中にUIのせいで世界観や遊んでいる意識が途切れることが無かったのが個人的には好きです。

他方で、前述のように重要依頼から一般依頼の切り替えが左右キーである導線が無いことや、鍛冶場が装備中のものを使えないこと、エンチャントのかけらが今何個あって、何個必要なのか分からないこと、といった細かいあたりは気になります。
どちらかというと説明的なUIが不足している印象です。多分慣れれば使えます。

レベルデザインというかステージ難易度の調整もかなり大雑把で、ステージ3までで1時間、ステージ4までで2時間30分で、最終8ステージまでで3時間です。
終盤ステージの難易度の上がり幅が、3→4の幅と4→8の幅で同じかそれ未満程度な印象を受けました。
加えて、その難易度配分上、クエストに潜ったり周回しがちなステージ2のデザインが、マス目ごとに選択肢を出してくるタイプなのもあって、序盤の導線としては割と冗長な感じがします。

あとは、これだけずっと戦闘を遊ぶなら戦闘開始のカットインすらスキップしたくなりました。
連続してダンジョンのマスで戦っていると、あの程度のラグでもサクサク感が少しだけ阻害されてしまいます。

全体的にハクスラしつつ自動戦闘を眺めていつの間にか強くなっていくのは結構楽しく、育て上げた部隊で強敵を蹂躙していく様は見ていて愉快でもあります。
育ちきっていると、あらゆるボスが一瞬で溶けていく部隊が作れて楽しかったです。