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38. ガレキノシップ

ジャンル 作者
カードゲーム Masaqq
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.02 ベーシッククリア

良かった点

  • 基本のルールはそのままに、二つの異なる遊び味のゲームが遊べます
    • それらが密接に関わり合っている点も良かったです
  • FEVERの仕組みのおかげで、カードを回す際の戦略性が生まれています
  • 先々を見据えた戦略性と、アドリブ力が求められるランダム性の塩梅がちょうど良かったです

気になった点

  • UIの遷移が分かりにくいことがありました
    • 一例として、ヘルプ表示からTIPSへ向かうと階層が一つ進んでいますが、それがUI上に反映されていないため、キャンセルを二回押さないと元に戻らず直感的ではありません

レビュー

一粒で二度美味しいカードゲーム

ガレキノシップは、カードを選択して宇宙船を建造し、完成した宇宙船で航行して帰還を目指すカードゲームです。
そのプレイ感はボードゲームに近いものもあります。

プレイヤーはまず初めに、航行するための宇宙船を建造することになります。ターン開始時に配られる5枚のカードを上手く活用してキューブを集めて建造を進めつつ、資源を集めて航行に備えることになるでしょう。
カードは原則ボイドと呼ばれるユニットと紐づいており、カードによってはボイドの行動を消費します。消費した場合はそのユニットのカードを同じターンでは使えません。このため、どの順番でカードを使っていくかによって建造効率は大きく異なります。適切なカードを選択し、効率よく建造を進めていきましょう。
なお、同一ターンで5枚以上カードを使うとFEVERに入ることができ、そのターン内での効率を著しく向上させることもできます。ただし、次のターンの効率が落ちるBURNOUT状態を招く諸刃の剣であるため、運用には注意が必要です。たくさんカードを使えそうであればFEVERを狙い、5枚を超えてもそれほど使えなさそうであれば、あえて4枚で止めるなどの戦略も必要になってくるでしょう。

こうして建造を進め、ボイドを最大5名まで新たに雇っていき、時折発生する様々なランダムイベントを乗り越えていくと、宇宙船が完成します。ここからは、作り上げた宇宙船を活用して進む航行パートに入ることになります。このパートでは99マス先にある地球に向かって、すごろくのように宇宙船を進めていく流れとなっています。
しかし、宇宙の旅路は危険で満ちています。このパート中は建造中に貯めた資源がターンごとに目減りするほか、様々なアクシデントが襲い掛かってきます。これらに柔軟に対処するには、またしてもカードの力を借りることになります。
資源の確保や壊れていく船体の修理をカードで行い、作り上げた宇宙船を使い潰しながら広大な宇宙を一歩ずつ進んでいきましょう。資源が尽きるとゲームオーバーのため、適切な状況判断がクリアの鍵となってきます。

なお、この二つのパートには共通したターンの制限があります。このため、建造にかまけていると航行時間が足りなくなりますし、建造を手早くやりすぎると航行時の資源が底を尽きやすくなってしまいます。適切なバランスで両パートをこなすこともまた重要になってくるでしょう。

二つの異なるゲームパートを擁しつつも、同じカードゲームのシステムで統一し、しかし全く異なるゲーム性として仕上げている非常に完成度の高い作品となっています。その分、独自のシステムが多くなっており、上記のゲームの説明ではややわかりにくいところがあったかと思います。しかし、ゲーム内のヘルプが充実しているため、実際にプレイすれば非常にすんなりと理解できること請け合いです。
まずはプレイして、その独特なゲーム性を確かめてみましょう。

感想

建設パートと航行パートに分かれていて、それぞれ異なった体験が得られるのが良いゲームでした。同じようなカードを選ぶというシステムにすることで学習コストは最小限にしつつ、発生するイベントや目標の変化を付けることで、綺麗に差別化して全く違うゲーム性を生み出しています。ゲーム設計が上手すぎる。

ひとまず、建設パートについて。基本的には資材を効率的に集めて、良い宇宙船を作り上げていくということが目標になっています。
あんまり時間をかけすぎると後ろに響くので、それなりに手早く建築しつつ、資源の確保も行っていくバランスが良く出来ています。建造が早すぎると資源が不足するし、資源の貯め込みをやりすぎるとターンが足りなくなります。とはいえ、筆者は大分余裕を持ってクリアできたので、ベーシック難易度ならそれなりの効率でやれば問題は無さそうでした。

個人的に好きなのはFEVERの仕組みです。こういったゲーム性の場合、基本的に大量に手札を使いまくって回せる状態にするのが強くなります。ボードゲームとかでもそうなんですが、キャントリップが正義になりがちです。
しかし、FEVERがあるおかげで、あまり使いすぎると次に響いてしまいます。このため、場合によっては行動回数が残っていてもPLAY4で止めておく、という戦略が取れます。一方で、ぶん回せる状況にあるなら、そのターンに限ってはFEVERをする方が格段にアドバンテージを得られるようになっています。
これにより、回せるときは極限まで回す、回せない時は最低限に抑えるか次への布石とする、といったメリハリのある行動選択を自発的に取るように自然となっていきました。毎回だらだらとそのターンの最適解を選ぶのではなく、次を見据えた戦略を練りながらカードの選択ができる面白い仕組みでした。

また、ランダムなイベントも良い味を出していて、それぞれのタイミングで微妙に初期条件に変化が発生することもあるため、その時々で変化した選択を取らざるを得なくなります。これはとりわけ航行パートでより顕著なんですが、それは後段に譲ります。
ともかく、各ターンごとに同じような戦略を取ってマンネリする、と言ったことが無く、常に先々のことを考えながらバランスを取っていきつつ、アクシデントにも対処していくというアドリブを利かせる面白さのあるゲーム性をしていました。

そして、航行パートについては、このアドリブ性をさらに突き詰めたようなゲーム性をしており、これもまた面白いものとなっています。
先述した通り、基本的なゲーム性にはほとんど変化はなく、そのためシームレスに移行できます。その上で、資源が尽きると負け、ランダムイベントの性質が変わる、常に船体のダメージという負のイベントと向き合う、という付加要素によって遊び味は完全に変わっています。
建築パートで溜めた貯金を使い潰して何とか航行を最後まで進めていく緊張感が良く、ボロボロになっていく船体を騙し騙し運用して最後まで駆け抜けられると達成感があります。

直前の建築パートで積み上げてきた船体とボイドの力をフル活用していくゲーム性のおかげで、ともすればマイナスイベントが多いという、プレイヤーにとってややストレスに感じる部分にすらなりかねないパートであるところを上手くカバーしています。これが同時に来ていたら、多分ストレスが勝っていた気がします。分離しているのが上手い。
むしろ、マイナスイベントをどう手持ちの札で乗り切り、時には目を瞑りながらも進めていくかという判断の連続へと昇華させているとすら言えるかもしれません。
ちなみに、筆者は火属性のボイドを引かなかったせいで、ずっと消火活動に追われていました。ちゃんとバランス良くボイドは選ぼう。

また、この辺のゲーム性に対するヘルプも充実していて、独自の用語が多く使われていてもあまり気にならないのも良い所です。分からないことがあればいつでもヘルプを見て確認ができます。ルールがそれなりに多く、かつまだ見ぬ航行パートに向けて設計しなくてはいけない側面もあるので、この辺りが完備されているのは非常に助かりました。

なお、コメントにもある通り全体的にはボードゲームの文脈も感じています。ドローソースが強いのはボードゲームあるあるであり、すごろくはサイコロを強化するゲームであるというのは桃鉄をやっていれば常識です。この辺を抑えておけば、ベーシック難易度ならそれほど難しくはありません。
ともかく、二つのゲーム性をまとめるべくはまとめ、変えるべくは変えて構成している完成度の高いゲームとなっていました。最初の3Dの演出やBGMなど、諸々の雰囲気が優れているのも良いところです。

ちなみに筆者はアビサルとターン0以外の実績は獲得しています。ベーシックで一度に獲得できました。ターン0も併せて取れなくもなさそうなんですが、かなり運が絡みそうなのでやめています。現状の手札だと、安定させる方法があんまり思い付いていない。

39. AI伝説消えたツイート

ジャンル 作者
コメント ブラックダナー
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1分 1.0相当 読了

良かった点

  • 特にありません

気になった点

  • 特にありません

レビュー

消えた作品

※この作品は、ウディコンのエントリーから外れています。

AI伝説消えたツイートは、ひたすら言葉が出力される作品です。
プレイヤーは特に干渉することなく、ひたすらランダムで出てくる言葉を読むことになります。
それほど数は多くないため、ある程度読めば恐らく網羅は可能でしょう。全て読むかはあなた次第です。

感想

感想が難しい作品です。何と言っても1分しかやっていないので。
恐らく全部で50個程度のパターンがあり、乱数か何かで回している気配を感じています。全部網羅できてはいなさそうな気もする。同じものが連続することも間々あるので、とはいえそれほど多いということは無いと思います。

となると、何故エントリー停止になったのかが良く分かりません。AIまわりの規約はこの時点では画像生成まわりしかないはずで、だからこそアイドルライバーのようなゲームがありました。何でだろう。
仮にAIで生成するなら、もう少しバリエーションが欲しい所ではありました。この程度の数なら人力でざっくりやれそう。この類の発言だけ学習した生成AIというのもそれはそれでなんか嫌ですが。
ともあれ、不思議な作品でした。

40. Rewot.16ーリワット イチロクー

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG 植物の灰
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 1.04 全ENDクリア

良かった点

  • 極めて優れた演出によりゲームへの没入感が高められていました
    • 高品質なグラフィックやシナリオもそれをサポートしています
  • 毒をベースとした戦略性のあるボス戦が楽しめました
  • 付加的情報を能動的に拾えるようになっています
    • シナリオだけを楽しむならシンプルに、深く知りたいなら色々と調べられるようになっています

気になった点

  • 毒を集めるための雑魚戦がやや作業的でした
    • アップデートにより緩和されている模様です

レビュー

塔の逆位置

ゲームという娯楽は、総合芸術としての側面も持っています。
総合芸術とは一つ一つの分野をめいめいに作り、それらをつぎはぎに構成すれば良いというものではありません。ある指向性をもって一つの集約点へと向かうがゆえに、総合的な芸術足りうるものへと仕上がっていくことでしょう。
そうして一つの指向性の元、グラフィック、シナリオ、演出、戦闘システム、そういった搭載し得る全てが混ざり合い、それぞれの要素が極めて高い完成度で構成されていくことで、より高度な総合芸術と言うべきものへと昇華されていきます。Rewot.16ーリワット イチロクーは、その条件を高い水準で満たしている作品と言えるでしょう。

そのゲームシステムは、オーソドックスなノンフィールドRPGの形式を取っています。進むことで戦闘が行われ、階層ごとのボスを倒すと次の階層へ進み、そうしてシナリオも進行するというベーシックなものです。
ただし、レベルや装備といった概念は存在せず、進行に応じてHPが成長していく要素は存在しますがそれほど大きなものではありません。このため、階層ごとの攻略に際してはステータスよりもボスのギミックをどう攻略するかに焦点が当たるものとなっています。

そうした攻略の上で重要となるのは、毒をベースとした独特な戦闘システムです。回復を阻害し継続ダメージを与える出血毒、行動を阻害し必中効果を付与する麻痺毒、混乱を与えダメージを増やす錯乱毒の3つを上手く使いこなし、戦いを有利に進めることが求められます。
敵の回復行動を出血毒で潰したり、相手の大技を麻痺毒を用いることでタイミングをずらしたりといったように、敵の行動を上手く制約するのが攻略のカギとなるでしょう。
また、敵味方ともにTPと呼ばれるパラメータが溜まることで使える切札も重要です。ボスごとに切札の性能は異なっているため、この特殊な技に対して上手く対応することもまた攻略の上では肝要なものとなっています。様々な毒やアイテムを活用していき、相手の行動に対応していきましょう。

なお、そうした毒を与えるアイテムは、雑魚との戦闘などで得られる素材から調合可能となっています。毒が足りなければ、雑魚との戦闘をこなすと良いでしょう。調合を繰り返すとより高位のアイテムが調合可能になっていくこともあり、積極的に調合を進めていくことを推奨します。
ただし、一度に持てるアイテムには限りがあるので、稼ぎ一辺倒で楽をすることはできません。あくまでも与えられた手数の中から、最適な行動を探していきましょう。

そうして毒を集め、毒を活用してボスを倒していき、階層を進めていくことで物語は進行していきます。
物語の中心となるのは、徐々に悪化し、やがて患者皆が失踪する不治の病、悪魔病です。その治癒を目的としていた薬師アセビは、患者を名乗る謎の少女シキミとペアになって、回想という形で過去を断片的に思い出しながらも歩みを進めていくことになります。
そうした回想の中で、悪魔病にかかわる患者との交流の数々、悪魔病の研究にかかわる家族との関係、それらの追憶に向き合っていくこととなります。
今いる場所は何なのか、悪魔病とは何なのか、その治療法は存在するのか、そしてシキミは何者なのか、それらを明らかにするにはひたすら進むしかありません。様々なボスを打ち倒しつつ、苦しく暗い記憶と向き合っていきましょう。

そして、そうした暗くも美しいシナリオ展開を支えているのは、時には戦闘システムをも巻き込んだ高い演出力です。戦闘からシナリオ、フィールドからちょっとしたやり取りまで、全てが高いレベルの演出によってシームレスに接続された体験により、止め時無く最後まで没頭できること請け合いの作品となっています。
毒を活用してボスのギミックを攻略し、その暗く苦しい記憶と共に、是非とも最後の階層まで到達してください。

感想

各要素どれをとってもクオリティが高い作品でした。戦闘システム、シナリオ、演出、グラフィック、何から何まで完成度が高いです。とりわけ個人的に推したいのは演出面であり、最初から最後まで一貫して一分の隙も無い良さをしています。おかげで、ノンフィールドRPGという不純物の入りにくいゲーム構造も相まって、始終良質な雰囲気を醸成することに成功していました。ずっと良いプレイ体験という得難い経験が得られる作品です。

どれについて言及しても良いんですが、まずは戦闘システムもといゲーム性について触れておこうと思います。
まず毒をベースとした戦闘システムが面白いです。毒と言えば継続ダメージがイメージされますが、それはこのゲームにおいては出血毒としてカウントしており、それに加えて麻痺毒と錯乱毒が入っています。この状態異常を活用しない限り勝つのが難しいため、常に思考を巡らせて先々まで考える戦いが楽しめました。
それぞれの効能に追加効果があるのも面白く、回復行動を出血毒で潰したり、大ダメージ行動を錯乱で強化したりといったように、拡張的に戦略に組み込めるのが秀逸です。
さらに加えて、バフデバフが重要なデザインともなっています。筆者はらんだむダンジョンなど色々なRPGを遊んだ結果、バフデバフや異常が強い作品は良い戦闘システムが多い傾向にあるという偏見を抱いているのですが、この作品も例に漏れません。

また、難易度設計も絶妙です。雑魚であれば火力はそれなりに高いもののミスしない限りは負けないバランスとなっていて、ボスはちゃんと強いので考えないと負けるバランスになっています。さらにボスの間にも中ボスと大ボスのグラデーションがあり、階層が進むごとに難易度が上がるグラデーションもあります。この辺りの緩急もまたちょうど良い。
とりわけ、各階層ごとにボス側にユニークな行動形式があるのが面白く、それぞれに対して攻略する楽しみがあります。上述したような毒によるメタという概念はそのままに、相手の取ってくる行動に対して柔軟に対応する要素が上手く刺さることで、戦闘に奥行きが生まれているように感じました。
こちらの回復手段が限られていることもあり、闇雲に戦っているとジリ貧になりがちな設計もまた良く、早めに倒すために積極的にアプローチを仕掛けることが求められるものとなっています。そのため、待ちや耐え一辺倒で削り切る消耗戦ではなく、ここぞというところで毒を活用して最大化して倒す攻めのプレイングが必要になり、結果として同じような行動を取ることなくアドリブを効かせ続ける楽しさが生まれていました。

そうした思考を必要とする戦闘設計でありながら、難易度それ自体は決して高くはありません。筆者は逆位置で進めていましたが、ちゃんと観察を行い、戦略を立てて、毒を通すべきに通せば勝利はそれほど難しくはありませんでした。一方で、きちんとメタを取れないと一方的に攻撃されたり回復されたりして圧倒的な不利状況に陥るので、適切な攻略自体は必要になってきます。この辺の塩梅がちょうど良く、適度に達成感を味わえるデザインに感じていました。

ノンフィールドRPGというゲーム性を効果的に使ってシナリオを組み立てているのもまた特筆すべきポイントです。
マップを探索するタイプのRPGと異なり、ノンフィールドRPGはその性質上プレイヤーの進行度合いのコントロール性に長けています。有り体に言えば、一本道を叩き込みやすい構造をしているとも言えます。この性質を上手く活用し、完全にコントロールされた演出力でもって最後まで一切手抜かりの無いシナリオ展開をプレイヤーに叩き込んでいました。掌の上。
加えて、回想ベースの物語での情報開示の時期や内容もまた綺麗に制御されており、ノンフィールドRPGをプレイヤーに進めさせる牽引力ともなっていました。この辺りは相乗的に奏功している印象です。
また、小話をCキーに押し込んでいるのも嬉しいところで、こういうのが好きな人だけが回収できます。ログを活用した演出もまた同等で、より深く見たい人にはちゃんと深く見せておきつつ、そうでない人には表のシナリオだけでも十分満足できるようにデザインされていました。

そして、個人的に白眉だと感じているのは、これらのシナリオや展開をプレイヤーに効果的に刷り込んでいく演出力の高さです。再三演出が素晴らしいとは上記に書いているところですが、それではまだ書き足りないので書いていきます。
まず、全体を通して演出が首尾一貫しています。途切れの無いBGMを筆頭に、雰囲気を中断せしめることなく良質な演出が続いていきます。エンカウント、霧が深くなると出てくるボス、回想までが淀みなく繋がっていました。シナリオ自体がかなり重苦しい話であるにもかかわらず、するすると読み進められてしまうのは、このあたりの切れ目の無い雰囲気の醸成が効いているように感じました。

また、戦闘に絡めた演出も優れています。イベントを戦闘に落とし込んでいるおかげで、殊にラスボス周辺はかなりシームレスな体験ができました。その戦闘システムの中でしかできないことをも取り込んだ演出の妙は見事で、プレイヤー側の没入感を強く高めていました。
筆者はとりわけエンディング周りの演出力の高さとシナリオのまとめ方の美しさが好みで、この辺りはノンストップですべて回収していました。ここで止められる人間がいるのだろうかという気持ち。テリアカが必要なことに気付けずに別のものを調合したからというのもありますが。

また、シナリオの面も含めてですがリフレインが効果的に使われているのも好みです。最初に諸々書かれていた言葉が、後々の階層で拾われていく伏線回収的なところもありますし、言葉として綺麗に回収するところもあります。個人的に一番好きなのは、手をモチーフとして多用していき、最後に握手で終わる所になります。そもそもが最終イベント戦が手を伸ばすところで締めることから含めて、この辺の流れはかなり綺麗でした。
システム面では手には穢れの印象があって、強化システムが自傷ベースであること、攻撃手段として掲げられるものが手であることあたりから、そういう立ち位置のものと捉えていました。これらの印象を演出面で上手く反転させてくる点は良かったです。

ついでにシナリオの面についても触れておくと、先立って触れた通りまあまあ暗い話です。しかし、演出の繋ぎ目の無さに加えて、シキミという存在がかなり読み味を爽やかなものにさせてくれているように思います。彼女という清涼剤が無かったら、もう少し読み進めるのにカロリーがいる物語になっていたでしょう。
もちろんシキミという存在そのものにもシナリオの闇はあるんですが、本心や目的はともかくとして、語り口の明るさや牽引力は明らかにプラスの方向に傾いています。センセイがややマイナス気味なのもあるので、この辺りで上手くバランスがとれている印象がありました。どっちも同じく良い性格をしてはいるんですが。

また、繰り返しになりますが読み解けば読み解くほど色々な情報が出てくる仕組みも面白いです。背景情報も拾えますし、その時々の心境も拾えます。そのことに気付けるのはだいぶ後なんですが。
なお、メインシナリオはともかく世界観やその周りの情報はやや断片的で、あまり整理できていないので考察はできていません。女神とかそのあたりは考えればいろいろ出てきそうなものですが、その辺のメモを怠りました。ゲームに夢中になっているばっかりに。
全体を通して出てくるモチーフは多分アルカナと仏教のちゃんぽんなので、どの辺に意味を見出すかはプレイヤーによりそうな気がします。塔はかなりあからさまかもしれない。テリアカについては不勉強で知らなかったんですが、そういう万能薬のようなものが中世にあったそうです。
加えて、強いストレス下に晒されることで罹患し、死を願うことで取り込まれる悪魔病のモチーフは適応障害やそのあたりだとは思います。希死念慮も出てくるので。ただ、悪魔病そのものはこのゲームの本質からは少し外れたところにある気がしていて、本質的にはその治療に向き合っていたアセビとその周辺の物語にフォーカスされているようには感じました。悪魔病はどちらかと言えばシキミの物語なのかもしれない。
そうなると主たるテーマはやはり回顧であり、回顧している対象を鑑みると悪魔病を中心にして壊れたアセビの家族の物語であるようには思います。ベラドンナはベラドンナで決して良い母であるとは言えないし、そのあたりを薄々理解していそうでありながらも、薬師のバッジは持ったままその意志を継いでいるという二面性あたりに見るべき点があるのかもしれません。ベラドンナ、名前からしてそういうことではありそうなので。これもまた毒ですか。
そういう意味では、薬師のバッジを捨て、悪魔病が消えたことも相まって特にやることもなく、シキミの復讐道中に連れ立つことになった終わりは美しくもあります。双方の楔から解放されているので。
もう少し深いところまで読み取りたい気もしますが、そのあたりを読むにはイベントを読み直さないと厳しそうなのでここまでとしておきます。後は任せた。

とにかく全体がハイクオリティ、それに尽きる作品でした。ウディコンのノンフィールドRPGはロードライト・フェイス、いばらのうみ、Megalopolisと名作が多いんですが、この作品も間違いなくそれらに名を連ねるものとなっています。
高いレベルのグラフィックとそれを効果的に使った演出から繰り出されるプレイ体験に浴したいのであればお勧めの作品です。

41. 小謎解きs

ジャンル 作者
謎解き たゐせふ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
6分 1.0 All Clear

良かった点

  • 小粒な謎がちょうど良く集まっています
  • 終盤の謎が良いです

気になった点

  • 序盤の謎はやるだけのものが多い印象があります
    • 小休止的な難易度と捉えることもできます

レビュー

ちょっと謎を解いてみる

小謎解きsは、ちょっとした謎を解いていく、パズルゲームというよりはタイトル通り謎解きに属する作品です。
いくつかある謎を解いていき、全ての謎を解くことを目指すゲーム性となっています。

謎は直感的にやれば分かりそうなものから、少し考えるもの、頭を使うものまで用意されています。
難易度はいずれも高すぎるものではないため、根を詰めることなくゆったりと解くことができるでしょう。リラックスしつつ頭を使うのにぴったりな作品となっています。

小休止に謎解きはいかがでしょうか。

感想

小休止にちょうど良い、小粒な謎が集まった作品です。タイトルに違わぬ出来。
序盤から中盤がだいぶ簡単で、特に序盤はほとんどやるだけの謎が多い印象です。適当にやれば大体うまくいく。一方で、終盤の謎解きはちょっとだけ頭を使うものとなっていて、それぞれ完成度の高いものとなっていました。
現在で感じた謎をきちんと未来で回収するといったように、色々とある違和感をきっちり回収してくれる謎も含め、この辺りの設計は好みです。

序中盤がさすがに小謎すぎるきらいはあるので、個人的には終盤くらいのレベル感の謎が序盤からいくつか散りばめられている方が好みではありますが、小休止的に遊ぶならこれくらいでも適切な気がしています。頭をほぼ使わなくても解けるので。
そもそも、終盤くらいのレベル感のものをいくつか用意するというのも大変そうではあります。

なお、筆者は最終パスワードを最初に見つけていましたが、恐らくそういう方も多いのではないでしょうか。ReadMeはちゃんと読むタイプなので。

42. あねさがし

ジャンル 作者
ADV テッコウ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.0 全ENDクリア

良かった点

  • 曖昧かつ不穏な雰囲気が上手く演出されています
  • 解釈の余白が程々にあります

気になった点

  • 文字を隠す表現が使われ過ぎている印象があります

レビュー

さがしもの

あねさがしは、一本道を進みながら道中の兎に話しかけていくアドベンチャーです。
兎に話しかけることで断片的に情報を得ることができ、その物語の輪郭が少しずつ顕わになっていきます。

兎からアクセスできる情報は、警察の情報といった外部から見た情報から、周辺の人物の声といった雑多なもの、絵本という媒体で表現されるメタファーのような物語、あるいは完全な外野の憶測など玉石混交なものとなっています。
しかし、一本道を進んでいくにつれて増えていくそれらの情報を丁寧に拾い、少しずつ組み上げていくことで、徐々に一筋の物語が浮かび上がっていきます。二人の姉妹の身に起きたことは何だったのか、その事件の顛末はどういったものだったのか、情報を整理して推測しながら読み進めていきましょう。

エンディングによっては情報が概ね開示されるため、何もかもが分からないという状況になることはありません。最後に判明した情報を整理しさえすれば、おおよその顛末は想像できるでしょう。しかし、その中でも解釈の余白が残されている部分はあります。それらを想像で埋めてみるのも、また一興かもしれません。
様々な情報に触れ、物語を明らかにし、考察を深めていきましょう。

感想

割に曖昧な物語で展開していく作品でした。文字を隠して不穏描写をしていくあたりが曖昧さに一役買ってる印象はありますが、そこそこ濫用されているきらいもあります。ちょっと読みにくい。もっとも、おぼろげな記憶を巡るコンセプトの都合上、所々の記憶が欠落しているということを表現しているのだとは思います。
以下はネタバレ込みで記載していくので、遊んでいない方は先にプレイしてみましょう。15分くらいで終わるので。

曖昧な雰囲気を醸しているとはいえ筋立て自体には説明があり、ちょっとした真相の推測要素もあるため、何もかもが分からないという状況にはならない作品でもありました。ただし、いくつかの文章と様々な情報から得られる情報をつなぎ合わせて真相を当てにいくのは、少し難しいです。情報を追う場合、父親がぽっと出に近いのも難しさに拍車をかけています。筆者は初め教団関係者を疑っていました。
深層もとい真相フェーズは答えそのものがある程度記載されていて、ここに関しては曖昧な点はあまりありません。主観から見たほとんどすべての答えが書かれています。個人的に気になっているのは、現場にナイフがあったとはいえ、子供の膂力で大の大人を殺害せしめることが可能なのかというポイントであり、そのあたりの解釈はやや穿って見ているところはあります。とはいえ、真相フェーズでミスリードしているとも考えにくく、大人を殺害するための条件を可能な限り揃えた状況だったのではないかと解釈していました。実際、母親には抵抗されてしまっているので。

なお、あねさがしというタイトルではありますが、妹が姉を探している建付けなのかと考えるとこれも微妙です。プレイヤーが動かしているキャラクターがどちらなのかは最後まで言及が無さそうなので、そのあたりは曖昧なままな気がします。
シンプルに考えれば妹と見なすのが自然ではあり、情報としても徘徊について触れられているので状況にもリンクしています。一方で、各エンディングの状態や語りを見ると、姉だったと解釈する方が飲み込みやすくなります。その場合、あねさがしとは、あねがさがしていると解釈することもできるかもしれません。

あねがむしろ妹を探しているのであれば、諸々の解釈を通しやすいところがあります。エンディングでも探すかどうかを迷う描写があります。
その場合気になってくるのは絵本の描写と実体に恐らく食い違いが存在する部分である、母親に落ちたいのりのちからのところです。真相側のエンディングと特定の発言を考えると、これはほぼ間違いないく妹の手によるものだと解釈できます。あるいは、殺害後に刺された複数の刺し傷もまたそうなのかもしれません。
このケースでも、妹に向けた最後の言葉であろう約束、そのよすがっぽい持ち物、それに恐らく紐づいているであろう助けの声あたりは解釈に迷うところがあります。ミステリなら実際の凶器の入った何かというのが定番な気がしますが、あまりしっくりきません。いつの間にか失われたリュックの可能性もありますしね。

ともあれ、雰囲気で解釈していくタイプの物語かと思えば、ある程度はちゃんと説明が入るので本筋自体は読み解けるタイプの作品でした。この手の作品は匂わせるだけ匂わせて何も明かさないパターンも割とよく見る印象があるんですが、そのあたりは誠実というか優しい作品となっています。
一方である程度の曖昧さは残っているので、それなりに解釈を楽しむ余地もあるのが嬉しいところです。こういう余白はほどほどにあると良い。

43. 巡る時と死せる魂の仔

ジャンル 作者
探索ADV ろぜちは080
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間10分 0-03 クリア

良かった点

  • グラフィックの雰囲気が良かったです

気になった点

  • ゲームオーバー時にタイトルに戻されるためリトライ性が悪いです
    • 毎回スキップ不能の注意書きが表示されることが、これを助長しています
  • マップに繰り返し構造が多く、景色が変わり映えしないことが多かったです
  • ブービートラップの接触判定がやや直感的でなく、理不尽な印象を受けました

レビュー

薄暗い世界で痕を巡る

巡る時と死せる魂の仔は、陰惨な雰囲気のマップを巡って物語を進行していく探索アドベンチャーです。
触れるとゲームオーバーになるトラップに気を付けつつ、各地点を渡り歩いて記憶の残滓を辿っていくことになります。

基本的なゲーム性は探索と回避に終始する内容ですが、マップの構造そのものは一方通行のため、あちこちを行ったり来たりすることはそれほど多くはありません。ただし、イベントやギミックのための分岐点はいくつか用意されているため、周辺の誘導を上手く見極めることは重要になってきます。
大事なものを見落とすと広大な空間を彷徨うことになってしまうため、注意深く辺りを見渡すことを忘れないでおきましょう。

そうして各地で記憶を少しずつ思い出し、先へと進む過程でシナリオが進行していきます。
薄暗く時には陰鬱なグラフィックで表現された世界の中で、即死トラップの緊張感を覚えながら追憶を進めていきましょう。

感想

グラフィックの良さとかゲーム性がビタイチ変わっていない作品です。もはや安心感まである。個人的には竜の死骸とかのグラフィックが良かったです。
筆者の好みの都合上、以降はほぼ前作と同等の感想を記述することにはなると思いますが、それもまた感想なのでご了承ください。

おおよそ一本道構成の探索アドベンチャー系統となっていつつ、適度にそれっぽい方の道を選ばないといけないこともある作品でした。いくつか誘導っぽいオブジェクトはありつつも、初見でそれらを見極めて完璧なルート取りをするのは困難なので、ある程度直感に従うのが良さそうに思います。個人的には床を見るのがお勧め。
ワープ装置系は戻れるタイプとそうでないタイプがあり、特に終盤にはかなり戻されるものが存在しているので、入る前に念のためセーブしておくことも推奨します。というか、分かれ道があったらとりあえずセーブしておくと手戻りが少ないことが多いです。

マップのデザインは概ね似たような景色の連続で構成されており、ゲーム的に意味のある場面に関してはきちんと整備されています。そもそもの建付けが迷路なことに加え、ほとんど風景が変わらないことからかなり迷いやすいので、分岐点は最低でも覚えておけるとやりやすくなります。幸い、分岐点自体はそれほど多くないので何とかなります。

全体のゲーム性はイライラ棒に近く、適切に避けないとブービートラップに引っかかってタイトル画面に戻されます。タイトル画面ではスキップ不能の注意書きが流れることもあり、この辺りのリトライ性はあまり良くありません。30秒くらい待つ。一方で、一部のゲームオーバーはロード画面に行くので、この時に関してはリトライ性はさほど悪くありません。全部これだと嬉しいですね。
また、イライラ棒に関してもマップ都合で回避が困難であったり、接触判定がかなり分かりにくかったりと、そこそこトラップが多いです。難易度自体は決して高いとは言えないんですが、理不尽さはそこそこある印象でした。

全体的にシナリオも含めた陰鬱な雰囲気についてはマップやイベントの空気感とも合っており、ホラー的な肌感覚は上手いこと醸成されているところはあります。ブービートラップについても、緊張感の演出としては割と効果的でした。一方で、リトライの利便性の悪さと、イベント間をつなぐマップの見目にさほど変化が無い味気無さがそれらの雰囲気をいくらか棄損している側面を感じてもいます。せめてロード画面を開いてくれると嬉しいんですが、ごり押しを嫌ったのでしょうか。
ちなみに、イベントによっては赤いフラッシュがかなり高頻度で使われているので、光てんかん的には割と怪しいところがあります。その辺で具合悪くなる方はやらないほうが良いかもしれません。そうでなくても目には痛いですが。

44. 土下座事典

ジャンル 作者
土下座 かに
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.0相当 全土下座完了

良かった点

  • 何一つ理解できない世界観でした
  • 土下座にバリエーションがあります

気になった点

  • 接触判定がやや明瞭ではありませんでした

レビュー

土下座とは

土下座事典は、数々の土下座が収録された作品です。
マップ内の魚のようなものに触れることでなぜか土下座の解説が始まり、オレンジ色の何かに触れるとシナリオが始まります。

全20種の土下座と全8話のシナリオから成るゲームとなっていますが、土下座の解説とシナリオに一切の連関性が無いように、ほとんど全ての要素は良い意味でのナンセンスとして構成されています。
ひとたびゲームをプレイすれば、名状しがたい土下座と、脈絡なく展開していくシナリオが生み出すシュールな雰囲気に呑まれること間違いありません。

もはや、レビューするのさえ野暮な作品とも言えます。ひとまず土下座のドに入門してみましょう。

感想

感想を抱くことさえ許されないように感じるレベルのカオスさがありました。何を見せられているのかも、何を言っているのかも分からない。ただそこにある土下座。
なお、操作方法だけはきちんと説明されるんですが、それ以外の状態は何一つ説明されないですし、そっちの方が説明して欲しくはあります。どうしてこうなってるんだろう。

土下座にバリエーションが用意されて説明が行われるというのは、ラーメンズの日本の形を彷彿とさせます。しかし、あの作品がちゃんと理解できるギャグとして作られている反面、こちらは理解されなくても良いギャグとして作られている印象があります。
ずっとフルスロットルでかっ飛ばし続けているので、オノマトペとエフェクトで数が水増しされていようともはや気になりません。そんなことは些細なことです。土下座のベースとなるモーションが変わらないのは当たり前ですしね。
なお、ちょくちょく格ゲーの文脈の話をしており、めくりとかハメ技とか、ゲージ技とか、土下座がそういう形で紹介されています。もしかしたら、この土下座はそういうキャラクターのスキルなのかもしれません。残像土下座がゲージ2本使う割に弱すぎるので、ボトムティアだとは思います。

さらに、土下座に加えてなぜかシナリオがあります。もちろん、シナリオは土下座を説明してくれるわけもなく、さらにカオスというガソリンをくべ続けるだけです。本筋なんてものはないので、単話がアイキャッチでも良いですし、エロンマスクというギリギリアウトをお出ししても良いですし、Aniの作画の方に気合を入れたって良いんです。全てから解き放たれています。
そして、解説の最中にゲーム画面に戻ったって良いですし、エンディングっぽい曲が物語を終わった後に流れっ放しになったって良い。不具合からも解き放たれている。

ノリと勢いで構成された、とすら表現しがたい何かを感じる作品でした。
唯一、魚の足元くらいにある接触判定だけ気を付けていれば、後は不自由なく良く分からない自由に触れることができます。

45. 僧侶竜の導き

ジャンル 作者
相談 あまてん海老
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.00 酒/告解コンプリート

良かった点

  • 会話にバリエーションがありました
  • お酒の知識が深められます

気になった点

  • 会話をスキップで飛ばすと、選択肢のスキップを誤爆しがちでした

レビュー

僧侶と竜と告解と酒

僧侶竜の導きは、告解に来た人々の話を聞き助言を与えるゲームです。
助言は一回きりの選択肢形式となっており、出来るだけ適切な導きができるように言葉を選んでいくという流れとなっています。

ファンタジー世界において告解に来る人々はバラエティに富んでおり、それぞれの悩みも様々です。そういった各々の相談をしっかりと聞き、正しい方向へと導けそうな選択肢を選んでいくことが大切です。
選択によって各々のリアクションは異なるものとなり、恐らくはめいめいの未来も変化するのかもしれません。話を聞き、言葉を返すだけのやり取りではありますが、そこに物語を感じ取ることができるでしょう。

なお、選択によるペナルティは基本的にありませんが、良い導きができると高い導きポイントが得られます。
そうして導きポイントを貯めることでお酒ガチャを回すことができ、引き当てたお酒の説明を見ることができます。一息ついてガチャを回し、お酒の知識を深めるのも一興です。

様々な人々の様々な悩みを聞きながら、それぞれの悩みに助言を与え、出来るだけ正しく導いてあげましょう。

感想

告解がメインなのかお酒がメインなのか、果たしてどちらがメインなのかというゲームです。文章量は割と近そうですが、前口上や分岐も含めると、おそらく告解がメインだと思います。
その告解については、一度NICE導きを見てしまえば、ポイント的には他の選択肢を見る旨味が無いように見えます。しかし、実際にはポイントがかなり余るので、気にせずそれぞれの分岐を見ていくのが丸いと思います。全パターンを見ようとした筆者のデータでは19600Ptほど余りました。
なお、全20通りある会話をコンプリートしたい場合、これはクーポンコレクター問題と見なすことができるので、期待値として約72回の試行が必要になります。プレイ回数に換算すると10周超、割とたくさん見る必要がある。

上記の性質上、どうしても聞いたことのある会話を繰り返し見ることになります。筆者の場合は、泥棒の懺悔、デーモン、年寄りと若者にはそれぞれ1回しかエンカウントしませんでしたが、ロボットにはめちゃくちゃエンカウントしました。
このため、会話をスキップするためにZキーを連打することになるんですが、そうすると次の告解の選択肢を誤って選んでしまう恐れがあり、やや手間です。このような場合、ウディタ製のゲームではXキーを連打すれば選択肢の前で止められるというTipsがあるのですが、このゲームではXキーで選択肢ごとスキップされてしまうため使えません。
上述のようにポイントが大きく余るあたり、見たことのある会話はいちいち読まずにXキーでスキップすることを想定した設計な気がしていますが、定かではありません。

もう一つのメイン、お酒の説明については、バラエティ豊かでオマケとして読むのに丁度良いボリュームでした。お酒をあんまり飲まないので、単純に勉強になります。
ただ、ガチャをやり終わったら連続で読み進めたかったので、せめて選択肢カーソルの位置が保存される仕様であれば、より快適に読めたかなと感じます。もっとも、バリエーションが多いとはいえ、現在の仕組みでも十分見て回れる範囲には収まっているので、さしたる問題ではありませんが。

タイトル通りの外伝的な作品なんだろうな、という規模感でさっと遊べる作品でした。
最後に余談ですが、会話中に表示されるドラゴンピジョットのイラストがやや横に引き伸ばされているように見えたのが、プレイ中にやや気に掛かっていました。良いイラストにもかかわらず違和感が拭えません。タイトル画面のイラストのアス比が本来のものっぽい気がします。

46. メカトモ2

ジャンル 作者
RPG KAZUTO
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.4 クリア

良かった点

  • 王道のストーリー展開となっています
  • 独特なグラフィックで世界が表現されていました

気になった点

  • 仲間の加入レベルが低く、編成を変えるモチベーションが弱い印象があります
  • サブキーにイベントスキップが割り当てられているため、ダッシュで誤爆しがちでした

レビュー

王道的展開

メカトモ2は、メカトモと共にいくつかのエリアを探索しつつ戦闘して進めるRPGです。
ゲーム性はRPGの形を取っているものの、基本的にはシナリオがメインであり、攻略が進むごとに王道的なストーリーが展開されていく作品となっています。

物語を読み進めるためには、エリアごとの雑魚敵との戦闘を行いつつ、中間ごとに用意されたボス戦に勝利を収めねばなりません。
ボスに勝つには、メカトモ二人のスキルを有効活用し、戦況を有利に進めていくのが肝要です。それぞれの特性を捉まえて、上手く運用していきましょう。物語が進むと仲間を切り替えることもできるため、違う戦い方を試してみたくなったら変えてみるのも良いかもしれません。
加えて、強くなるためには戦闘のみならず、エリア内にある採掘ポイントを利用して素材を集めることも重要になります。採掘で得られた素材で装備を作り、メンバーを強化していきましょう。

さらに、特徴的なグラフィックもまた見逃せない要素となっています。ややリアリスティックで独特な背景とは反対に、ポップな見た目の様々なキャラクターが描かれています。特にシナリオを進めるごとに増えていく、仲間の切り替え先のグラフィックは凝っているので一見の価値ありでしょう。
また、シナリオの要所要所では動く一枚絵の演出が入ることで、物語の熱い展開を彩っています。

グラフィック的な見目こそ独特ながら、中身は王道的な展開を示すRPGとなっています。
メカトモの力を借り、様々な敵を打ち倒していき、物語のラストを見届けていきましょう。

感想

ストーリーがメインというコメントの通り、シナリオが重視されていたRPGでした。前作をやったことはありませんが物語の筋は飲み込めたので、確かに前作を知らなくても遊べる作品です。
シナリオは短編から中編程度のボリューム感で、かなり王道に進行していく内容となっています。直球ストレートという感じ。オーカが唐突に良い人になりすぎなきらいはあるものの、まあ周りが悪かったということなのでしょうか。心酔しすぎていただけで、根はまともだったのかもしれない。

建付けの上ではメカの仲間を色々と合体させるところに面白みがありそうなのですが、各変形がそれぞれ別個体扱いでレベルが引き継がれないのは若干気になっていました。初期のレベルがある程度担保されることはあるものの、多くのケースではその時点のレベルにはついてこれないことが多いので、気軽に試すことはできません。まずは成長させるフェーズを挟む必要があります。
個人的にはキャドとキャムがそれぞれレベルを持ち、各個体がそれを引き継いでいく形の方が合体のシステムとの親和性というか、分かりやすさにも繋げられるのではないかと感じていました。最初に仲間を入れ替えようとしたときに、元のキャムなどが消えたのはちょっと混乱したので。

戦闘パートについては、基本的にステータス向上魔法をかけてダブルアタックしていくゲームに収束するのではないかと思います。上記のため、筆者は基本的にキャドとキャムしか仲間に入れずに進めていたので、それ以外のバリエーションもあるのかもしれませんが。オーカとかホイールくらいは試しても良かったかもしれませんが、レベルが半分以下なんですよね。
ダブルアタックについてはかなり強く、通常こういった連撃は威力を抑えて調整されるんですが、何ならこちらは威力が上がっています。無法。最初から最後までお世話になりました。

探索パートは立体のマップを探索する形を取っており、マップのグラフィックが特徴的です。PS1あたりの時代によくあった、FF7とかFF8あたりに代表されるようなプリレンダの背景の中を進むタイプです。当たり判定が分かりにくいところはありますが、独特なグラフィックの印象を強めることには成功しています。
移動するとちょくちょく引っかかるので、もう少し判定を甘めに取ってくれると嬉しいところではありますが。

個人的に探索パートで気になったのは採掘のシステムで、これがHPを消費します。そして、HPが切れると唐突にゲームオーバーになります。予告もありません。連打してるとたまにゲームオーバーになっていました。
これを避けるには適宜回復を挟む必要があるため、ダンジョン内でのリソース管理の一環なのかなと捉えていました。しかし、すぐそこに回復ポイントがあるケースが多いのもあり、このあたりの設計の必要性があるのかは微妙なところです。際限なく掘り尽くす作業になるのを嫌ったのかもしれない。

ともあれ、シナリオ的には王道で、内容としてもまっすぐにRPGとなっている作品でした。ちょくちょくシステム面で気になる事はあれど、メンバーを固定化して進めていれば大体のことはカバーできます。難易度もそこまで高くはありません。エンドロールが遅いというか曲の尺と合っていない気がするのだけは気になるかもしれない。

47. 月を生む話

ジャンル 作者
ノベルADV クリムS
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.06 Aエンド+α

良かった点

  • 王道と倒錯の明暗がはっきり分かれた良いシナリオでした
    • 筋立てがベーシック故に、異常性が際立っています

気になった点

  • 特にありません

レビュー

倒錯した王道

月を生む話は、現代を舞台にした異能もの風の物語が展開されるアドベンチャーです。
二重人格の主人公の行動を操作し、期日以内に事件の真相を突き止めていくことになります。

基本的な流れとして、プレイヤーは調査、交流、休息の三つの選択肢の中から1日にやることを決めていきます。
調査が進むとシナリオが展開するため、基本的には調査を軸とすることになりますが、これには体力やストレスの消費が伴っています。そうして消費した体力やストレスの解消や、調査に必要な社会性や戦闘力を向上させるために、ある程度は交流や休息を行っていく必要があります。
あまりに調査にばかりかまけて休むことを怠ると、主人公はちょっとおかしくなってしまいます。適度にみんなと交流したり、兄に甘えたりして元気になっておきましょう。

そうして調査を進めるごとに展開してくシナリオは、原則オーソドックスで熱いものとなっています。しかしその一方で、日常パートはどこかおかしく、疲れすぎればさらに倒錯していってしまいます。その反復で構成される物語の温度差により、読んでいるこちらまでも変な気分になってくることでしょう。
期日までの行動や選択によって、そうした闇に呑まれそうになるものから、救いのあるものまで7つのエンディングが用意されています。事件解決に奔走し、彼らにとって良い結末へと向けて死に物狂いで頑張っていきましょう。

感想

エンタメへの味付けがいつもよりやや強めな気もしますが、根っこはずっと倒錯している雰囲気がある作品でした。後半ずっと闇が深いのは、選択肢経由のエンディングの関係なのかそういうものなのか。
コメントにもあるんですが、日常パートの方が定期的に狂っていて、非日常パートの方が王道っぽい展開を見せてくれます。この辺もまた倒錯している。

いったんシステムの話をすると、ファジーに選択肢を決めていくアドベンチャーとして設計されています。とはいえ、ざっくり数値が分かれば何となく進められるので、最初の何回かは数値を観察して後はフィーリングで割とどうにかなるバランスでした。最終的に65日で到達できたあたり、難易度もそこまで高くはなさそうです。確定成功もありますしね。
ステータスを見るというのも、体力消費1で良いので気軽にできます。それ以外の消費の方が大きいので、あくまでオマケくらいにとらえて全部見ても多分問題はなさそうです。

その設計上運ゲーは避けられないんですが、パラメータの上昇やら犠牲を払った確定成功があるおかげで、それほど運要素を感じることはありませんでした。2倍のコストを払ったところで、割と回収は難しくありません。
とりわけ終盤は一人で寝たり兄に甘えることなく、交流を続けていれば自然に回復していきます。もっと皆と交流する方が、心身ともに安定するよねということなのかもしれない。このおかげで、冴子と交流できなくなる中盤に諸々が不安定になっていくことで、システムとしてシナリオ上の意味を付加しているように感じました。依存度が高まる。
戦闘パートについては、その存在自体少なめですが、ある程度成長していればブロックして殴っていれば倒せるのであんまり考えることはありません。体力が少ない状態で交戦すると大体負けるので、それに気を付けていれば良さそうです。ほぼフレーバーですね。

シナリオ面について。節々の演出から香るほの暗さであったり、そもそも主人公の発言内容であったりと、諸々が不穏になっています。全体的に裏人格、あるいはヤマダが良心として機能している印象があり、残りは全部倒錯しています。裏人格はある程度真っ当ですが。兄が不当に辱められていることに奮起して組織を抜けた裏人格、主人格が兄を辱めているのは良いのかという気持ちがあります。双方合意の上だから良いのかな。
シナリオの筋立ては異能ものとしてかなり正当に作られていて、真実の開示まわりとか、そのあたりの演出とかはベーシックなものとなっています。そして、それだけに倒錯した日常の異質さが際立ってきます。メインシナリオでも最後の召喚方法とかはまあまあ薄暗いんですが。

ともかく、メインの異能シナリオ部分を王道に仕上げた結果、それと対するように影がより暗く印象付くような作品となっていました。ここまで感情移入できない主人公に対し、ここまでちゃんと物語を読ませている手腕は見事というほかありません。理解はできないけど何をしたいかは分かる。
ちなみに、筆者はAルート後にA+ルートを見ようと思ったんですが、条件が良く分からなかったので結局未達となっています、連続イベントってどれのことだろう。なので、残りをとりあえず見ただけの印象で感想を書いていることをご了承ください。