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48. しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚-

ジャンル 作者
ポイントクリック & ノベル カッパ永久寺
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.00 クリア

良かった点

  • オカルトとミステリという相反する要素を上手く混ぜたシナリオでした
    • 双方とも質が高いです
  • 地道に推理を積み重ねる堅実な設計となっています
  • 奈良というロケーションを十全に活かしていました

気になった点

  • 画面遷移系の処理がやや重く感じました

レビュー

Deer you

しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚-は、ミステリとオカルトが渾然一体となった濃厚なシナリオが展開するアドベンチャーゲームです。
呪術探偵見習いの主人公マロンが、友人ヨウカや奈良で出会ったシカ娘カマコの力を借りつつ、赤い手にまつわる怪奇事件を調査していくことになります。

その軸となるシナリオは推理ものとして堅実であり、謎に対しての仮説や調査を通して真相を探っていくポピュラーなものとなっています。周囲に何一つ高所がない芝生の真ん中で、赤い手によって空から落とされた――そういった不可思議な状況に対し、蓋然性の高い推理で一つ一つの謎を紐解いていきましょう。
一見すれば赤い手というオカルトによる事件のように見える展開ですが、この世にオカルトは存在していても、不思議なことのすべてがオカルトではありません。奇妙な事件の不思議なことを紐解く鍵は、舞台となっている奈良のあちこちに遍在しています。各地を観光がてら巡り歩き、真実に辿り着くための情報を集めていきましょう。

さらに、この作品ではそうした骨太の推理パートに併せて、古代史的なオカルトが巧妙に混ぜ合わされています。不思議なことのすべてがオカルトでなかったとしても、この世に確かにオカルトは存在します。論理を武器にした推理だけでは太刀打ちできない怪奇には、そのオカルトで立ち向かうほかありません。
そうしたマロンやカマコによるオカルト的な活躍もまた、本作のシナリオにおける重要な立ち位置を占めていると言えるでしょう。

こうして、しかきたんはミステリ要素による堅実なシナリオ展開と、オカルト要素によるエンターテインメント性の高いシナリオ展開が縦横無尽に入り乱れる作品となっています。一見相反するそれらの要素を魅力的なキャラクターを軸に上手く描け合わせ、より高いレベルの物語へと昇華させている作品となっています。
その交互浴のような緩急ある展開のおかげで、最後まで飽きずに読み進められるであろうこと疑いありません。

歴史ある奈良の地を巡り、事件に対する仮説を立てては証拠を集め、古代史とミステリとオカルトが混ざり合う複雑な物語を紐解いていきましょう。

感想

オカルト要素を中心に据えつつ、ミステリそのものはきちんと論理の上で構築している良いゲームでした。相反する要素に見えるんですが、オカルトそれ自体も割と論理的というか歴史に紐づいた理屈っぽいところがあるので、意外と相似なものなのかもしれません。
オカルトノートでもそうだったんですが、現実には論理を、非現実にはオカルトを当てる構成の完成度がいずれも高く、どちらも楽しむことのできる作品となっていました。AにはAに向いた話、BにはBにふさわしい任務がありますからね。

ひとまずシナリオについて。全編を通して見ると、フックやエンタメ的な部分を除くとかなり真面目に調査、推理を行っていく推理ものの様相を呈しています。設定だけ見ると特殊設定ミステリっぽいんですが、オカルトはほぼ推理に絡まないのでかなり純粋な推理ものとして仕上がっています。
論理を基に蓋然性の高い推論を繰り返し、証拠を集めるために東奔西走し、少しずつ真相へと迫っていく構成はかなり骨太なものとなっていました。ここだけでも読み物として充実しています。恐らくこの推理パートだけを取り出してノベルゲームとして構成しても、十分ゲームとして成立するクオリティになっていると思われます。

その上で、その良質な推理ものとしての物語にオカルト要素、奈良というロケーションに基づく要素、歴史的要素を上手く肉付けし、エンターテインメントとしてより楽しめる物語へと昇華させています。登場人物についても愉快なキャラクターが多く、堅い側面のある推理ものという本筋を柔らかくしてくれていました。
全体を通して、堅実なプロットの設計に対してエンタメ的な厚みを持たせたような作品に仕上がっています。前者のおかげで物語に対するしっかりとした満足感がありますし、後者のおかげで消化しやすくそれらを摂取できるようになっていました。

このため、探索アドベンチャーもとい推理要素についてはかなりオーソドックスな設計となっています。あくまでも論理で詰め、仮説を立てては立証を進め、どこかが足りなければそれを補足しにいく、推理の道筋がきちんと立っている構成となっています。ともすれば地味とすら言えるほど堅実な設計をしているんですが、そこは他の部分でエンタメ成分を確保しているので気になりません。
トリック自体も意外性を持ちつつも無理筋ではない自然なものとなっていて、その解き方もまたシンプルなものとなっています。このため、最後の推理パートはほぼおさらいの形になりますが、最後の最後にちゃんと推測すべき対象が出てくるので、結局おさらいも大事ではあります。思考の道筋を立てさせてくれているのでしょう。
なお余談ですが、謎の落下死と言えばミステリには色々と作例があり、個人的には赤川次郎の三毛猫ホームズにおけるそれが割と好きです。この事件を見て真っ先に思い出してしまいました。

閑話休題。筆者個人としては推理小説が好きなので、全体を通した骨太な推理パートが最も好みなんですが、それはそれとしてクライマックスのドラマ性もまた違った意味で好きなパートとなっています。そういうノリの作品である以上、派手な方が読後感が良かったです。なお、筆者は祝詞を読み上げながら進めていたため、アレは一発で通せました。そういう趣味があって良かった。
また、最後の最後にDeer My Friendで終わるのもこの作品らしくて良かったです。シカへの飽くなきこだわりは何なんだろう。
ちなみに、文章を読む上での微妙に気になるどうでもいい点として、一人称がマロのキャラクターとマロンというキャラクターが共存している点が挙げられます。割とややこしい。双方とも珍しいパターンであり、完全に事故ではあります。

一方で、システム面で見ると、個人的にはUIの反応の悪さが気になりました。とりわけ、画面遷移系の処理の重さが気になっており、微妙に体感を損ねているところがあります。単なるピクチャ表示系でウディタがこれほど重くなるのはあんまり見たことがないので、多分何かしら裏処理をしているような気はしますが。
また、右クリックの文字送りがあまり上手くいかないケースが多く、基本的にスクロールで行う方が安定するという謎の現象もありました。筆者の環境問題かもしれない。

ともかく、ミステリとしてもエンタメとしてもクオリティの高いシナリオが楽しめる作品となっていました。ミステリ好きとしては非常に楽しめて良かったです。また、前作から引き続きキャラクターのいずれも魅力的なので、また次回作を見たくなる気分にさせてくれました。
なお、筆者は下手人をなぜか赤い手が見えていた観光客で回収するのかと思っていたので、その点では微妙に推理を外していました。確かに、そちらの方が次の展開が面白そうですね。

49. mudai 0

ジャンル 作者
探索ADV ぱちさん
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.43 クリア

良かった点

  • 足で稼ぐ探索アドベンチャーとして楽しめます

気になった点

  • マップが非常に広大な割に、意味のある施設は多くありませんでした
    • 主要な施設へ向かう指示もやや曖昧です
  • フラグ管理周りが怪しく、差し戻されるような不具合が見られます

レビュー

記者は足で稼ぐ

mudai 0 は、広大なマップを歩き回って取材を進めていく探索アドベンチャーです。
プレイヤーは主人公である記者を操作し、失踪事件の謎を追って様々な場所を巡って調査していくことになります。

基本的にはメニューから開くことのできる取材ノートを参考に調査を進行していき、それぞれの目的を達成していくにつれて徐々に失踪事件の真相に近づいていくことになります。
ただし、プレイヤーは安楽椅子探偵ではなく、足を動かして情報を集める記者です。家々の連なるクイン村の中を駆け巡り、様々な情報を己の手で集めていく必要があります。幸い、主要な施設は中央付近に集約されているため、まずはそれらを訪れてみるのが調査の第一歩目となっていくことでしょう。

ひたすら足で稼いで調査を進め、謎を一つ一つ解きほぐし、幾人かの仲間と協力もしていきながら、不穏な失踪事件に迫っていきましょう。

感想

極めて広いマップの中をあちこち探し回っていくという、オープンっぽい印象のある探索アドベンチャーでした。
プレイ感が比較的近いのは The Painscreek Killings あたりですが、それよりはRPG寄り、あるいはツクール系の探索アドベンチャー寄りな内容です。

大筋はノートの指示通りに進めていくことになるんですが、指示が曖昧なこともあるため、その場合は足で稼ぐことになります。
ただ、足で稼ぐと言っても家の数は膨大であり、かつそのほとんどにはあまり意味はありません。世界観のフレーバー的な側面と、一つの広大な世界を舞台としているという印象を与えるための要素といった側面を強く感じました。もしかしたらカルマ値を稼ぐ場合は必要なのかもしれませんが。
多くの場合は手前側にある主要施設を訪れていけば事足りるため、その点で考えれば親切とも言えます。主要施設が基本的に散らばっていないのはありがたく、探索の手間をいくらか削減してくれました。筆者はファストトラベル取得がだいぶ後半になったので、そういう意味でも助かっています。

また、マップが広い割には施設に対しての説明が薄く若干混乱しました。
奥にあると言われた施設が世界全体から見たら中央寄りの位置にあったり、南の無限ダンジョンと言われても、実際は北の無限ダンジョンと分けて表記するためにその名前であったりと、場所に対しての説明がその広さに対してかなり大雑把になっています。
ある意味ではこれも探索要素なのかもしれませんが、少なくとも序盤に立ち寄ることになる新聞社くらいはもう少し分かりやすいと取り組みやすいなと感じていました。

探索要素についてはいくつかのイベントをこなしていくタイプとなっていて、ちょくちょくギミックの攻略が求められることはあるものの、概ねは探索することに主眼が置かれているようでした。
探索において、暗証番号イベントがフラグの差し戻しでやり直しになる、時限イベントの数字が消えないなど、細かい不具合は見られるので、こまめにセーブをしておくと安心ではあります。割と理不尽なブービートラップもある。

なんとなく探索の結果知り合う人物や、それまでの行動によってマルチエンディングに分岐している気配もあるので、他のプレイヤーがどういう結末を迎えたかは若干気になるところではあります。筆者はエネと生活ルートに入りました。カルマ値を上げすぎたのか、戦いに入ると強制敗北になってしまった。
なお、マルチエンディングというか複線的なシナリオの弊害なのか、各々の情報やキャラクターの掘り下げはかなり小規模になっているため、全容を把握するのはそこそこ困難な印象があります。筆者の到達したエンディングでは、結局夢は何だったというか誰の目線だったのか、封印が解けるとどうなるのかは微妙に良く分からない結末となってしまいました。ちゃんと突き止めたいのであれば、周回を前提としているのかもしれません。

広大なマップを探索するのに骨が折れる印象はあり、エネを見つけるマップを代表として全体的に繰り返しが多い構造になっている点が探索欲に対するノイズになっているきらいはあるものの、主要施設を巡り基本的な情報を集めていくだけれあれば割とシンプルな作りとなっている作品でした。
家を全部巡ってみるみたいなことをしない方が諸々分かりやすいかもしれません。人ん家のトイレで用を足すようなことはしないでおくのが無難。

50. 蠅叩キー

ジャンル 作者
タイピング 遊句
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 + 20分 1.04 おまけもクリア

良かった点

  • タイトルの一発ネタに留めず、上手くゲーム性を拡張していました
  • 奇天烈なシナリオと奇妙なゲーム性がマッチしていました

気になった点

  • US配列のキーボードを使っていると詰みます

レビュー

極限までゲームへと昇華された駄洒落

蠅叩キーは、キーボードにたかる蠅をタイピングで叩き潰していくタイピングアクションとでも言うべきゲームです。
タイトル通りのシステムのため、ともすれば駄洒落に引っ掛けた一発ネタの作品に見えるかもしれません。しかし、そのゲーム性は非常に堅実に、かつ綺麗に拡張されたものとなっています。

基本的にプレイヤーが行うことは、キーボード上にいるムシに対しそのキーを打ち込むことで倒していくというものです。しかし、ゲームが進むにつれて、捕獲や特殊なコマンド入力が追加されていき、少しずつやることの幅が広がっていきます。
その上で、タイピングで叩くという核となるゲームシステムに変化はありません。このため、新しい仕組みで合ってもすんなりと飲み込んで進められること間違いないでしょう。

また、そのゲーム性の緩さに符合するように、展開していくシナリオもまた軽妙なものとなっています。ステージごとに差し挟まれる探索パートと共に、キーボードを叩き過ぎた後の休憩としてぴったりと言えるでしょう。
是非とも奇妙な世界観の中で物語を読み進めるべく、キーボードを壊す勢いで叩いてきましょう。

なお、クリア後にはおまけで遊べるモードが用意されており、こちらのゲーム性も非常に高いものとなっています。ローグライト的に遊べる設計となっており、歯応えのあるバランスに仕上がっているため、興味のある方はクリア後に挑戦してみてはいかがでしょうか。

感想

タイトルだけ見ると一発ネタっぽい雰囲気があるんですが、それを一発ネタで終わらせないで一つのゲームに仕上げている点が素晴らしい作品です。複雑になりすぎない範囲で一発ネタからゲーム性を拡張させています。
難易度も割とちょうど良く、雑にやるとクリアできないけれど、ある程度理解してればクリアできる温度感に仕上がっています。あんまり難しいと蠅を叩く爽快感が薄れるので、この辺りは絶妙でした。

ひとまずシナリオがある方に触れておくと、単に蠅を叩くだけでない機能を順次解放していく仕組みのおかげで、遊んだことのないゲームにもかかわらず、非常にすんなりと理解しつつ遊ぶことができました。
また、始終シュールな世界観ながらちゃんと流れのあるシナリオの完成度は高く、変なゲーム性との親和性も高くなっています。妙なゲームには妙なシナリオが合う。

続いて、フリーモードの方に触れておくと、こちらの方は歯応えが割とあって面白いです。シナリオモードはある意味ではチュートリアルなのかもしれない。その強化方針を定めつつもランダム要素にある程度対応して進めていく流れは、昨今色々なジャンルと組み合わさってみられるローグライト的な設計に感じました。
一方で、ムシコインのような救済要素もあるため、完全な高難度ローグライトにはなっていません。あくまで緩く楽しめる範囲に留まっています。この辺りの難易度調整は、ゲーム性や世界観的にはかなりマッチしていて良かったです。

なお、フリーモードの攻略については、大きい虫が狙い目であるように思っています。ある程度強化さえしていれば、bomb@を適切に撃って処理が可能なためです。一方で、ダンゴムシが意外に難しいため、個人的には割に合わない印象がありました。キャパを越えるとそのまま負けることまであり得ます。また、攻撃力が十分上がっている終盤であれば、ハチも狙い目かもしれません。
アイテムについてはキーボード打鍵時のスタミナ減を抑えるものをいくつか取っておくと、ある程度ガチャガチャ押しても耐えられるようになるのでやりやすくなります。最後に向けて耐久性向上とボム範囲が集まっているとよりベターですが、割とガチャ押しでどうにかなる場面は多いです。

ちなみに、筆者のキーボードはHHKBなのですが、USキーボードだと攻略できないゲームとなっています。このため、日本語キーボードを引っ張り出す羽目になりました。というのも、bomb@のアットマークがShit同時押しを強制されるため、ゲームの設計上打ち込めなくなるためです。bomb@はゲームを進行させるのにも必要なので、そのあたりで一度詰みました。
全体的には遊びやすいゲームなんですが、US勢には遊びやすさ1になってしまうかもしれませんね。英字キーボードを使っている方はお気を付けください。

51. みてくれというけれど

ジャンル 作者
謎解き みやの
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.11 全END

良かった点

  • シンプルながら考えさせられるゲーム性でした
    • 最後の謎解きも良いです

気になった点

  • 特にありません

レビュー

Read Me

みてくれというけれどは、規約に違反しているかどうかを判定するゲームです。
その結果いかんによってエンディングが分岐し、全部で11のエンディングに到達することができます。

そのゲーム性は非常にシンプルなもので、実況者の動画や対象のゲームの説明書、ホームページなどを閲覧していき、それらの情報を総合して規約に違反しているかどうかを判断するというものになっています。
そうしてエンディングを見ていくことで、おまけ部屋に他のエンディングを回収するヒントが増えていきます。それに基づいて選択を変えることで、新たなエンディングを見ることができるでしょう。それほど選択肢は多くないため、エンディングの回収はさほど難しくはありません。色々なパターンを試していきましょう。

ただし、全てのエンディングを回収するのであれば、もう一手間を必要とします。それが何であるかは割愛しますが、その手間をかけ、全てのエンディングを見ることで、より本作の物語を味わうことができるであろうことは保証します。
是非とも全てのエンディングを見るべく、その謎に挑んでいきましょう。

感想

ゲーム性自体はシンプルなんですが、色々と隠し要素というか推理要素もあって、最後まで楽しめる作品でした。
以下は恐らくネタバレを含むので、やってない方は今すぐやっておいてください。

ひとまずオリジナルのゲーム性について触れておくと、これ単独でも良いゲーム性をしています。
個人的に好きなのはそのバリエーションと振れ幅の広さで、まあこれは9:1で悪いように見えるなと思うものもあれば、どっちも難しいところがあったなと感じるものもあれば、回避は難しいだろうなと思うものもあります。
ともすれば露悪的にすらなりそうな作品性をしているところ、この辺りのバランス感覚であったり、エンディングに応じたコメディ寄りの作品の雰囲気であったりによってうまく中和されている印象がありました。グラフィックの絶妙な緩さも貢献しているかもしれない。

筆者は概ねりーどみーをちゃんと読む意識を持っているつもりですが、いろんな作品の分を読みすぎてもいるのでどこかで読み飛ばしている可能性も否めません。そのあたりを踏まえて、果たしてこの長々と連ねているレビューがどこまで適合しているものなのかということを考えさせられました。
さすがにレビュー禁止の文言を見かけた記憶はないんですが、誹謗中傷は概ねNGであることは自明の理であり、その中でどこまでを誹謗中傷と見なすかには割とグラデーションがあります。筆者はそこそこ文句を言うこともあるので、その辺は気を付けたいなと感じています。個人的にという枕詞を付けるとか、代替案が無いかとか、代替案があったとて何故採用されないかとか、何か色々と考えながらやってるんですが上手くいっているのかと思いを馳せています。

とりわけ、生放送にもなるYoutuberがそのあたりをケアしつつ触れていくのは難しいんだろうなと感じていたので、そういう見方でゲームをプレイしていた側面もあります。文章は冷静になって見返したり推敲すれば社会性フィルターがかかっていくものですが、生の言葉はそうもいかないので。筆者がやったら絶対に余計なことを言いそうです。
それはそれとして、事前準備で出来るReadMeくらいは読みましょうという話ではあります。せめて同梱のものくらいはカバーしたいところ。

閑話休題。ゲームそのものとしては単なるクイズではあるんですが、おまけでそれぞれのキャラクター性が明かされる流れで、薄っすら思い込んでいたパーソナリティにある程度順じていたり、少し外していたり、意外な側面が見られるというのが良いです。これが前述のバリエーションの広さと連関し、短いながらも満足感の高いものに昇華されていました。
個人的にはこういう短く刺してくるシナリオが割と好みなので、良く印象に残る作品となったと思います。これもこげ。

続いて最後の謎解きについて。Editorが未圧縮データを優先的に読みに行く仕様を活かした謎解きです。確かにそう使えるなと膝を打ちました。
ちなみに筆者はこの段階になると本作に感化されていたので、思わずEditorの再配布に当たらないかを規約に確認しに行きました。当然ながら、「無償配布の場合」に限り、開発された作品に「Editor.exe」を添付して配布することを許可しており、その際の報告も不要です。兄を出すことが二次創作にあたるかまで確認されている作者さんなのだからさもありなん。
話を謎解きに戻すと、必要最小限度ながら、ある程度メタ的に、しかしシナリオ的な意味合いも付与して構成されたものとなっています。これはゲーム性あるいはシステム的な良さもさることながら、物語に対してのオチというか意味付けとして優れているように思います。

筆者がこのゲームにおいて最も良かった点を挙げるのであれば、最後に開示される個々人のパーソナリティを含めた多様性の描き方を挙げたいところですが、それがきっちりと印象に残るようになっているのは、この物語が最後にこの謎を解かせて、最後のテキストを読ませてくれたからのようにも思います。シナリオが綺麗に締まっているからこそ、枝葉の美しさを愛でられるのかもしれません。

余談ですが、ライツアウトで微妙にニアで被るとは思いませんでした。やはりライツアウトはフリゲの華なんだろうか。商業だとツヴァイくらいでしか見たことないけど、確かに探索アドベンチャーではよく見るような気がします。
さらに余談ですが、地味に名前入力が色々と対応しているのも面白いです。芸が細かい。ここまで細かいと色々仕込まれてそうなんですが、あんまり見つけられてはいません。

52. 金欠勇者

ジャンル 作者
RPG たこやき
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.0相当 ドラクマ撃破

良かった点

  • 金で回るコンセプトが良かったです

気になった点

  • 進行不能からフラグ管理まで、大小様々な不具合が散見されます
  • バランス調整がかなりピーキーでした

レビュー

地獄の沙汰も

※この作品は、ウディコンのエントリーから外れています。

金欠勇者は、金を稼いで攻略を進めるRPGです。
基本的には戦闘を通じてお金を獲得し、装備などを購入して強くなりつつ、ラスボスに挑むための100000Gを集めることが目標となります。

戦いで得られるお金は株式に投資することもでき、宿屋に泊まって日数を進めると株式の値段が大きく変化するようになっています。
ギャンブル的な要素ではありますが値段の乱高下はかなり激しいので、安い時には購入しておくとゲームを有利に進められるでしょう。

戦いと株式投資を組み合わせてお金を稼ぎ、ラスボスに到達することを目指していきましょう。

感想

初めこそ金欠っぽいですが、最終的に金満勇者になるのでタイトル通りかと言えば微妙なところです。
そもそもゲームタイトルがウルファールのサンプルゲームではありますが。

金ですべてが回るシステムや株式売買による金策というコンセプトはユニークだなという印象があります。
一方で、100Gの時に買った株式が90000Gで売れるようになってあっという間に崩壊するなど、バランスの調整はかなりピーキーめでした。そもそも株式売買の手数料が50%という中々な環境下で売買しているというのも気にはなっていたものの、このレベルで暴落と暴騰が起きるなら些細な問題でしかありません。
また、そもそも鳥に話しかけると金が手に入るという謎の現象もありますが、これはたぶんデバッグコマンドでしょう。些細では済まないくらいのお金が手に入りますが。

先述の件も含め、店のシステムが上手く使われていないためアイテムの追加が無制限に行われていく、助けた子供がずっと助けを求める、ラスボスの所に行けない、といったように大小さまざまな不具合が存在しており、そのあたりの調整もまたおざなりだなという印象がありました。
特にラスボス周りは事実上進行不能の不具合であり、基本的にクリアはできません。ただしDataは公開されていてるので、ウディタを使って自分で直せば戦うこと自体はできます。これもまた困難の一つではあると見なせばクリアまで到達できるでしょう。

最終的にエントリー停止になったあたりも含めて未調整あるいは未完成の作品というきらいはありますが、アイデア自体は割と良いゲームだなと感じています。

53. 犬の魔王討伐

ジャンル 作者
RPG 犬コロン
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4分 1.0相当 クリア

良かった点

  • シンプルなシステムとなっていました
  • コンパクトに遊べます

気になった点

  • 戦闘バランスがかなり大味です
  • 各種回復手段に制約があるため、詰みかねません

レビュー

あっさりとシンプル

犬の魔王討伐は、極めてシンプルなRPGとなっています。
プレイヤーは犬単体、ダンジョンは一つ、ボスは一体と、タイトルの通りのコンパクトな作りです。
ただし、短いと言えどすぐさまボスに挑みに行くのはお勧めできません。まずは適度に戦い、レベルを上げてから挑んでいきましょう。

全体のプレイ時間は5分にも満たないため、仮に詰まってもリセットしてやり直せるレベルです。気楽に遊んでみるのをお勧めします。

感想

シンプルというかあっさりめというか、そういう作品です。ここまでタイトル通りなことも中々ありません。
ゲームバランスも大味で、何も考えずに進めると戦闘一回でラスボスに突入するので大体負けますが、ざっくり戦闘してレベリングすると勝てるレベルになります。たぶん最低限二回くらいは戦闘した方が良い気がします。
ただし、レベルアップしてもSPが回復せず、加えてSPの回復手段が事実上存在しないので、ヒールを使いすぎると詰みかねないという罠があります。同じ理由で薬草を使い切るのも危ないです。とはいえ、短い上に無限にレベリングできるので、多少詰んでもなんとかなります。

また、シンプルゆえの利点として、過剰なエンカウントがなく、複雑なマップもなく、引き延ばしもありません。あっさりの極致。
オープニング一発目から誤字があったり、ゲームデータ化していなかったり、細々としたところで気になる箇所はあるものの、そういうことに気を取られる前に終わるので後腐れなく終われる作品となっています。シンプルな設計というのは確かな利点だなと感じていました。

54. STELLA FORMULA

ジャンル 作者
計算パズル なべのひと&北街かな
プレイ時間 プレイVer クリア状況
30分 0.92 5連最小ステップ

良かった点

  • 頭の体操にちょうど良いゲーム性をしています

気になった点

  • 解けない問題が出題される可能性があるようです

レビュー

メイクnパズル

STELLA FORMULAは、数字と演算子を使って目的の数値を作り出すパズルゲームです。

プレイヤーは提示された数字を作るべく、与えられた5つの数字と四則演算を上手く組み合わせていくことになります。
演算はかっこでくくることもできるため、その並び順序も含めて構成できる式のパターンは膨大になります。頭の中で総当たりで解くことはほぼ不可能と言えるでしょう。提示された数字を上手く分解し、与えられた数字の組み合わせを上手く考えて効率良く解いていくことが重要になります。

また、問題生成は完全にランダムで行われているようであるため、難問や解答不能な問題に出会うこともあります。どうしても解けない時は、問題のスキップを選択することも必要になってくるでしょう。あまり考え過ぎず、リラックスして取り組むことをお勧めします。
一期一会の問題を楽しみ、軽く頭の体操をしていきましょう。

感想

与えられた数字をもとに四則演算子を利用して導出するという、割と良くある数字パズルを良い感じのUIで上手く包んだゲームです。
ゲーム性自体はメイク10パズルとしては一般に膾炙してそうな汎的なものですが、綺麗なUIでさっくりと遊べるようにパッケージングされているという点が良いです。ちょっとした頭の体操になる。
また、対象の数字が5つになって組み合わせが増えている点、10ではなく合計値もランダムな点で発展性も演出しています。

特に、しっかりとかっこによる演算が用意されているのが程よく複雑性に寄与していて、ある程度考えないと答えが出ない基点となっているように感じました。
個人的な解き方としては、答えを出しやすいところから逆算する方が早い気がしており、特にパターンが少ない時は割と有効な戦略になります。ただ、ベタ問が飛んでくることも間々あるので、ひとまず型にはめてざっくり考えて詰めた後にダメだった時の次善策として使うほうが良いかもしれません。この辺は割と直感的。

なお、最初にプレイした時は一つ解無しっぽいのがあったのでスキップしてしまいました。1, 2, 2, 3, 3 から43を生成する組み合わせは果たしてあるのだろうか。多分無さそうです。
興味があったので、雑にrubyで解答を出すコードを作ってみました。

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59
60
def calc_rpn(expr)
stack = []

expr.split(' ').each do |token|
case token
when '+', '-', '*', '/'
b = stack.pop
a = stack.pop
result = case token
when '+' then a + b
when '-' then a - b
when '*' then a + b
when '/' then a / b
end
stack.push(result)
else
stack.push(token.to_f)
end
end
stack.first
end

def traverse(result, expr, array, index, opes_num, nums_num)
if index == -1 && nums_num - opes_num == 1 then
if (calc_rpn(expr.join(" ")) - result).abs <= 0.00001 then
p expr
return true
end
return false
end

"n+-*/".each_char do | op |
if op == 'n' then
if index >= 0 then
expr.push(array[index])
if traverse(result, expr, array, index - 1, opes_num, nums_num + 1) then
return true
end
expr.pop()
end
else
if nums_num - opes_num >= 2 then
expr.push(op)
if traverse(result, expr, array, index, opes_num + 1, nums_num) then
return true
end
expr.pop()
end
end
end
return false
end


input = ARGV.map(&:to_i)
result = input.pop

input.permutation do | array |
traverse(result, [], array, array.length - 1, 0, 0)
end

計算効率とかゼロ除算を考えてないんですが、恐らく全網羅しているはずです。逆ポで全列挙して、回答を許容付き誤差で比較して探す形式となっています。これで1, 2, 2, 3, 3で43になる結果を探したところありませんでした。バグってなければ解は存在しないはずです、多分。直感的にも43は素数なので作りにくそうですね。
閑話休題。解けない問題があるのはやや気になりはしますが、かなり効率良く作っても計算負荷はそれなりにありそうで、ウディタ上でソルバを実装するのが困難に感じるので仕方がないだろうなとも感じています。事前に全パターン計算して、テキストファイルか何かに吐き出しておくくらいしか思いつきません。

なお、フォーカス外に出すと時間が経過しないのでズルできますし、そもそもゲーム開始時に最初にクリックしてから計測開始なので、頭で全部計算してからやれば実質時間は使いません。筆者は後者の方法で取り組み、実測値10分、スコア1分30で全問クリアをしています。
個人的にはこのくらいの緩さで遊べるのは良かったです。慣れないプレイヤーは適当に触って数字を探し、慣れているプレイヤーは頭の中で全部完結させてから早業で解くプレイングができます。

ともかく、軽く頭の体操をするにはちょうどいい作品でした。どうしても解けなさそうであれば、スキップしましょう。

55. 光の精霊が死んだ

ジャンル 作者
RPG あたりメ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
9時間 1.07 クリア

良かった点

  • 様々な育成システムが高品質にまとまっていました
    • それぞれ快適に作られているため、稼ぎが捗ります
  • マウス操作を活かし、直感的に扱えて便利なUIとなっていました
  • 陣地を上手く使う完成度の高いオートバトルの仕組みとなっています
    • 戦略性と自動周回の利便性が共に満たされていました

気になった点

  • 素材の入手方法を調べるのがやや手間でした
    • 入手ポイントから素材を調べること自体は容易なので、逆引きが難しい印象です
  • 育成に掛かる時間コストが高いので、戦略のためにメンバーを後から組み替えるのは大変な印象があります
    • 育成の楽しさとのトレードオフではあり、どちらかと言えば育成の楽しさが勝るものではありました

レビュー

良く回る育成サイクル

光の精霊が死んだは、モンスターを育成してオートバトルで陣形を組んで戦わせるRPGです。
育成に主軸が置かれており、70種類以上のモンスターから好きなモンスターを選んで、最大8体のパーティを組んで戦うことになります。

ただし、オートバトルといってもただ野放図に戦わせるわけではありません。プレイヤーはマナを使って5x3マスの自陣にモンスターを配置していくことで、陣形を組むように戦わせることになります。モンスターによってはサイズが違ったり、配置位置でバフをかけられたりとサイズや位置に応じた様々な違いが存在します。パーティーメンバーに即した配置を心がけていきましょう。
また、マナは自陣のモンスターが行動する度に溜まっていくため、戦闘中であっても配置することが可能です。敵の猛攻でモンスターが倒れてしまっても、召喚コスト分のマナがあればすぐに配置して戦線に復帰させることもできます。しかし、召喚する度に必要な配置コストは上がっていくため、際限なく復帰させることはできません。パーティーのモンスターを満遍なくバランス良く配置し、効率良く戦っていきましょう。

また、少しずつ難しくなっていくダンジョンの攻略や、特定ダンジョンの最後に待ち構える強力なボスに勝つためには、パーティーメンバーの育成が鍵となってきます。
既に攻略したダンジョンであっても、何度も周回することで素材などのアイテムを取得できるほか、そのダンジョンで出現するモンスターのデータを獲得することもできます。データを集めることで対象のモンスターをレベルアップさせることができるため、積極的に周回して集めていきましょう。
加えて、フィールド上で採集を進めると得られる素材を活用することで装備を合成できます。パーティーメンバーに即した強力な装備もまた育成においては肝心となるでしょう。
戦闘と採集を繰り返し、育成と合成を重ねてより難しいダンジョンに挑戦していきましょう。

なお、こうしたダンジョンの周回やフィールドの採集は、良質なUIとゲームシステムにより直感的かつ効率的に行いやすくなっています。とりわけ、ダンジョンを踏破すると得られる踏破ポイントの消費で得られる周回チケットを用いれば、ほとんど放置していても勝手にサイクルを回してくれるでしょう。
お気に入りのモンスターを育成する際は、こうした様々なシステムを十全に使っていくことをお勧めします。

そうして育成が進み、ゲームが進行していくにつれて、適当にモンスターを採用して陣形を整えるだけでは厳しいダンジョンも現れ始めます。高難度のダンジョンや強力な敵を攻略するには、属性の相性やそれぞれのモンスターのシナジー、陣形の組み方など、色々な試行錯誤を行う必要があるでしょう。
気に入ったモンスターを活躍させるビルドを組むも良し、敵に合わせて柔軟にメンバーを変えるビルドで挑むも良し、それぞれのプレイスタイルで難敵を撃破していきましょう。

育成をメインに据えた上で、可能な限り快適に幅広くその育成を楽しめるようにデザインされたゲーム性が特徴的な作品です。
そうした育成の対象となる、オリジナルの緩いグラフィックで彩られた70種類以上のモンスターの中には、きっと気に入るモンスターがいることでしょう。様々なモンスターに会うためにも、立ちはだかる強敵を育成したモンスターたちで撃破していき、次なるダンジョンへと足を進めていきましょう。

感想

印象としては作業が多いように感じているんですが、それによってだれたり飽きるということが無いデザインになっているのが良い作品です。やりたいことのために目的をもって作業に取り組めるし、その作業は特別苦ではないし、同じことばかり続くわけでもないという設計が良かったです。
RPGには色々と楽しめる要素が詰まっているんですが、この作品はその中でも成長あるいは育成の面白さにフォーカスした作品のように感じています。それが前述の良質な作業性にも繋がっていて、焦点を当てて突き詰めているおかげでクオリティの高い設計に仕上がっているのだと思います。コンセプトが良い。

かく言う筆者も攻略の度に色々な作業をしており、合成のために素材を集めてみたり、モンスターのレベル上げのために周回してみたり、そもそも金稼ぎのために周回したりと、色んな観点で育成を進めています。
そのために必要なダンジョンの単純な周回それ自体は手間に見えるものの、これに対してもチケットで一気に回すなどのシステムが整備されているので意外と苦になりません。たとえチケットが無くても割と放置で行けるのも良いところです。なんなら周回が適度な休憩にすらなっていたかもしれない。

システム面についても作業のサポートが十全になされていて、マウス操作であることを存分に活かした設計になっています。マップの探索ですらマウス操作で行われている徹底振りで、これが案外操作しやすくなっています。とりわけボタン一つでフィールドに戻れるのがかなり便利で、町で色々探索してすぐに戻るという行為がやりやすくなっていました。
クリックによって発生する遷移もかなり自然で直感的であり、違和感なく作業に没頭できる環境が整っている印象があります。
欲を言えば、素材が増えてくると管理の手間が増えてくるのは気になっていて、特にどこで手に入るかを知るのが難しい印象はありました。モンスタードロップのデータはちゃんと用意されていますし、現地に行けば採集の情報も出るんですが、それに対する逆引きができないのがちょっと手間になります。終盤までくると素材数が膨大になってくるので、頭の中で照合しておくにも限度がありました。

続いて戦闘面について、オートバトルとして完成度の高い設計になっています。特に、充分準備が整えば周回可能、そうでないうちは少し干渉が必要、難易度の高いステージではバリバリに干渉が必要、という塩梅が良いです。少しずつ成長し、自動周回できるようになってくると育成の手ごたえを感じることもできました。
前回の履歴というシステムも痒い所に手が届くシステムとなっていて、いちいち周回で置く手間が無くなります。これ無しでは周回のストレスは相当高かったことでしょう。このシステムがあるおかげで、周回に対するハードルはかなり低くなっています。

戦闘デザインの面では連続召喚にコストがかかるという設計が秀逸です。これのおかげで、一人だけ強いやつを作るだけではコストの割が合わなくなるため、満遍なく成長させるためのモチベーションを上げることに貢献していました。これがなければ、適当な最強の精霊を作るだけで済ませていたかもしれません。

また、難易度のバランスも絶妙で、概ね地の精霊あたりからぐっと難易度が上がってきます。ここまでは色々と編成を作ったり、様々なシステムに慣れるためのチュートリアルなのかもしれません。筆者は奪い取ったタイミングで戦う相手が強すぎて、初見ではすわ負けイベントかと思っていました。冷静に考えれば勝てる相手ではある。
大体この辺りからアイテムの活用が視野に入ってきていて、アイテムや編成をちゃんと考えてボスを倒そうという戦略性が生まれてきたように思います。これがあと2手くらい早く訪れていたら、取れる手段が少なくて苦しいことになりそうです。しかし、十分やれることが増えたタイミングで来るので、どう対応しようかと考える余白があって楽しめました。
ゲーム性が育成に寄る以上、ちゃんと強い敵が配置されるというのは明確にメリットであり、メンバー編成の再考であったり、きちんと前準備のために周回を重ねたりと、強敵に出会うたびに育成にフォーカスしていく良いループが生まれているように思いました。

個人的に一番強く感じたのはフェニックスで、卵の対処に苦労しました。まずもって先行して潰すのが難しく、色々考えた後にウォーターをひたすらぶち当てていく戦略を取ることにしました。これで割と安定するんですが、相手を倒しかけるタイミングで召喚する敵によってはこれでも苦戦することが多く、連続で卵を召喚され続けた時はそのまま敗北を喫してしまいました。
卵を召喚されないお祈りか、もしくはMP管理が重要そうなんですが、MPの増減の規則性があまり見いだせなかったので、結局ごり押しで突破することになりました。正しい攻略法は何だったんだろう。

なお、筆者の最終メンバーは精霊オールスターズにプルを添えたものになりました。魔法はキュアが残っています。
プルは序盤からずっと前線を張ってくれている頼もしい相棒であり、最後まで愛着の湧く存在になってくれました。レベルも一人だけ27と抜けて高い。さらにメタルプルストーンも併せることで高性能の壁として終盤まで活躍してくれました。感謝。
精霊ズは基本スペックが高いのでそのまま増えるごとに運用していて、高火力で周回においても役に立ってくれました。特に最序盤のイフリートは高い耐久性も相まって壁として機能してくれることもあり、火力耐久双方の面でパーティーを支えてくれました。感謝。
一方で、精霊メインパーティーは柔軟性に欠ける面は否めません。破壊力を重視した型だと思います。単純に、ラストダンジョンは精霊全員で挑みたかったという気持ちもあってのチョイスではありましたが。

また、メンバーが揃ってない内はホムラグモやネグラによる前線カバーであったり、テルテルによる配置バフであったり、スポットで活躍してくれているユニットも多数いました。それぞれのボス攻略のために用意したユニットも色々あり、この辺りを組んでいくのは楽しかったです。
ただ、メンバー以外に経験値が入らないのでユニットを運用するにもまず成長が必要なのは個人的にはやや手間の印象が強く、このため気軽に戦略を試せないもどかしさはありました。他方で、その分パーティーに入れ続けていたプルへの愛着などは確かにあるので、この辺りはトレードオフな気もします。育成メインなら後者を取るのは妥当っぽいですね。

ちなみに、恐らくちゃんと攻略を進めていくのであれば、各属性に応じたメンバーを構成するのが良さそうで、実際に最終メンバーでは裏ダンジョンの聖域ではあまり活躍できませんでした。ここを攻略するのであれば、さらに専用に属性を揃えた運用が求められるのだと思います。

話を少し戻して愛着という面で見ると、各ユニットにオリジナルのグラフィックが割り当てられているというのも良いところです。それぞれ属性に基づいたユニークなデザインとなっています。このおかげで記号的あるいは役割ベースだけでなく、それぞれのユニットの個性を感じることができました。

最後にシナリオについて軽く触れておくと、個人的にはフレーバー的な要素に感じています。そもそもゲームの設計上シナリオに触れるのが断続的であり、あまり長いシナリオを組み込むのも相応でない印象があります。その中で、主人公がやりたいこと、世界観、その世界の中で起こっていることと目的との相関、あたりをコンパクトにまとめてゲームの流れを止めない形で表現しているように感じました。
このため、生まれ変わりという設定をスピーディーに回収してあまり言及しないところもあって、個人的にはいくつか謎が残っているところもあります。シルフが主人公を知っている理由についても、良く分からないまま終わりました。生まれ変わり経由なんだろうか。育成に夢中になりすぎて読み落としている可能性はありますが。

とにかく、様々な育成要素がない交ぜになりつつも、それらすべてが高いクオリティで設計、融合されているおかげで満遍なく育成を楽しめる作品でした。

57. Go Down, B-Girl!

ジャンル 作者
デッキ構築ブレイキンダンスバトル なす太郎
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間+α 4.00 ノーマル/ハードクリア

良かった点

  • ブレイキンダンスというモチーフを、上手くデッキ構築ローグライトに落とし込んでいました
    • チェインを繋げるムーブを踊りと見立てる設計はユニークなものとなっています
  • 使用カードとパッシブスキルが相互に関わり合う良いゲームデザインでした
    • それぞれのシナジーを考えて組んでいく楽しさがあります
  • ゲームループがシンプルでテンポも良かったです
  • 直感的に操作でき、必要な情報が一見して分かる良いUIでした
    • 各アイコンの意味をいつでも右クリックで確認できるのも助かります

気になった点

  • 育成パートについて、初見のタイミングに限っては何をすべきか分かりにくいところはありました
    • 一周が短いので、とりあえず遊べば理解はできる範囲です

レビュー

フロアを湧かすダンスバトル

学問には、学際という概念があります。端的に言えば、複数の学問分野を複合的に、横断的にかけ合わせることで未知のイノベーションを生み出すものです。
全く新しいシステムとは、思いもしないものの融合の中に現れるものです。Go Down, B-Girl! はブレイキンダンスとデッキ構築ローグライトを掛け合わせることで、これを実現している作品であると言えるでしょう。
加えて、この作品は単に二つのモチーフを混ぜただけに留まるものではありません。それぞれのモチーフを高いレベルで解体し、再解釈し、再構築し、ない交ぜにすることで、未知でありつつも、それそのものはシンプルかつ高品質に仕上げたゲームとなっています。

このゲームの基本的なシステムはデッキ構築型ローグライトとなっていますが、戦闘と育成がニコイチになりやすい類例とは異なり、育成パートとダンスバトルパートに明確に分かれるものとなっています。
ゲーム内の順序としては育成パートを経てダンスバトルに挑むものとなっていますが、ここでは説明の都合上、まずはダンスバトルパートについて先に触れたいと思います。

ダンスバトルパートでは、習得しているダンスをカードに見立て、これらを使用してダンスをプレイしていくというゲーム性となっています。
プレイヤーはそのカードをデッキから規定枚数ドローした後、好きな順序で選択してダンスを繰り出していくことになります。

ブレイキンを行う上で重要なのはCHAINを繋げることです。すなわち、踊りが滑らかに繋がることが重要となってきます。そして、滑らかに踊りを繋げるには姿勢が肝心となります。
この作品におけるダンスの姿勢は、立と床の二種類に分類されています。その上で、ブレイキンにおける基本要素であるトップロック、ゴーダウン、フットワーク、パワームーブという踊りは事前と事後の姿勢を定めたものとして分類されています。例えば、トップロックは立から立へ、ゴーダウンは立から床へ、フットワークは床から床へ、といった具合です。
CHAINを繋げて滑らかに踊っていくには、立と床を上手く繋げていくことになります。トップロックからトップロック、トップロックからゴーダウン、フットワークからフットワークなどは繋がりますが、フットワークからトップロックは繋がりません。トップロックは床から立へのダンスではないためです。

これだけであれば、手元にあるカードからCHAINを繋げられるものを順序良く選択していけば良いのですが、そうは問屋が卸しません。ダンスをプレイするには、そのカードごとに設定されたコストに応じたスタミナを支払う必要があるためです。スタミナには限界があるため、たくさんカードを引いているからといっても全てを踊りつくせるとは限りません。姿勢をベースに適切に繋ぎつつ、コストも見てどの順序で踊るかを決めていく必要があります。
なお、スタミナが不足している場合でも、ガッツと呼ばれるパラメータを消費することでプレイすることができます。ただし、スタミナはターン開始ごとに回復する一方で、ガッツはそうではないため、その使い所が大事となるでしょう。あと一手、踊りたい時にお勧めです。

そうして様々な要素を勘案して踊りの流れを決めてCHAINを一定以上繋げることで、フリーズと呼ばれるスキルでダンスを終えることができます。これは必殺技のようなものであり、ノーコストで強力な効果を得られる代わりに一定以上のCHAINを繋げるという条件が付随しているものです。
フリーズに目がけてCHAINを繋げてブレイキンしていくことが基本的な戦略となるでしょう。

ここで忘れてはならないのは、これがブレイキンダンスバトルであることです。ただ踊るのではなく、オーディエンスと審査員という二つの対象をそれぞれ湧かせて、その勝敗を決する必要があります。
オーディエンスは全部で5x10の50人が存在し、ダンスに応じた人数が応援してくれることで得点となります。一方で、3名の審査員はそれぞれ入ったポイントが高い方に一方的に10点を与える設計となっています。オーディエンスは味方に付ければ付けるほど良いですが、審査員はそうではありません。バランスが大事となるでしょう。
なお、プレイするダンスがオーディエンスに作用するか、審査員に作用するか、あるいは両方か、どの程度の人数やポイントになるか、といったものはカードに応じて様々です。このため、カードの選択の際は、オーディエンスや審査員の状況も見ていく必要があるでしょう。

そして、全3ターンのカード選択によるブレイキンを終え、その時点でオーディエンスと審査員の合計点が高い方が勝者となります。
勝利において重要なのは、CHAINを繋げつつ様々なダンスを披露し、効果的にオーディエンスや審査員を湧かしていくことです。すなわち、使えるダンスの種別を増やしたり、その効果を高めたり、あるいはスタミナやガッツ、ドローを増やして1ターンに踊れる数を増やしたりといったことが必要になってきます。これらを用意していくのが、育成パートとなります。

育成パートはダンスバトルまでの14日間で構成されており、毎日4つのトレーニングから好きなものを選んで過ごすことになります。その選択肢に応じて、ダンスの習得、ステータスの強化、パッシブスキルの獲得などが可能となっています。
ここで重要となってくるのは、パッシブスキルの存在です。パッシブスキルはスタミナやガッツなどのステータスの強化の他に、特定ダンスの強化であったり、CHAINを繋げた際に特殊効果を付与したりと、様々な性能を持つものが多数存在しています。そのいずれもがハマれば強力なものとなっており、シナジーが取れるとデッキが一気に強化されることも少なくありません。よりフロアを湧かすためにも、積極的に取得していきましょう。

ただし、パッシブスキルは闇雲に取ればいいというものでもありません。各パッシブスキルをバトル中に使えるようにするためには、フィジカルとテクニックという二つのパラメータを指定数必要とするためです。パラメータが不足している場合は、習得していたとしてもバトル中には有効になりません。
それぞれのパラメータはトレーニングによって獲得できるため、得られるパラメータも加味してトレーニング内容を選んでいくことが重要となってくるでしょう。

こうしてトレーニングを重ね、パッシブスキルとダンスによるデッキ構築を完成させ、先述したダンスバトルパートに挑んでいくことになります。
トレーニング内容や獲得スキルは基本的にランダムなので、機に応じて柔軟に方針を変化させて自分なりのデッキをビルドしていきましょう。

上述の通り、非常にユニークなシステムとなっているため、ともすれば覚えることが多いように感じるかもしれません。レビューの文字も多くなってしまいました。
しかし、実際はシンプルかつ直感的なUIと親切なチュートリアルにより、スムーズにゲームに入れること請け合いの作品となっています。加えて、右クリックを行うことでいつでも説明が見られるようになっているため、分からないことは随時確認していくこともできるでしょう。

ブレイキンダンスというモチーフを、極めて高い完成度とシステムの納得感とでデッキ構築ローグライトに落とし込んだ、意欲的かつ高レベルな作品となっています。独創性の高いシステムでありながらも、基本的なシステムやルールが分かりやすくまとまっているため、見たこともないが遊びやすいという矛盾を見事に解決していると言えるでしょう。
加えて、極めて良いゲームテンポと良質なUIのおかげで、気付くと夢中になってプレイしてしまう中毒性も秘めた作品です。
これだけ書いておいてなんですが、文字で読むより直接遊ぶ方がはるかに分かりやすいゲームです。是非とも手に取って、その沼にはまっていきましょう。

感想

毎回お馴染みではありますが、気付くと最後までプレイしてしまっている中毒性のあるゲームです。この感想を書く際に確認がてらハードを遊んでいたら、クリアまで一気に遊んでしまいました。この流れ前回もやったな。
選択肢から得られるそれなりの自由度、その自由度の中からビルドしていくことで得られる知識と経験、それを応用してどんどん進められてしまうテンポ感の良さ、その全てがあります。デッキ構築型ローグライトにあって欲しい要素が全部入っていると言っても過言ではないでしょう。

まずはゲームデザインの面について。ブレイキンダンスバトルというモチーフを解体して調理し、ローグライトデッキ構築に組み込む手腕は素晴らしいの一言に尽きます。
まずもって、単にスキルのモチーフとしてだけ使っているわけではないという点が凄いです。トップロック、ゴーダウン、フットワーク、パワームーブ、フリーズと締める一連の流れをカードのコンボというゲームデザインに落とし込んでいます。このため、連続でカードを使いチェインを繋げていく一連の流れがそのままダンスそのものとなっていて、そのモチーフを十全に活かしたものとなっていました。
さらに、モチーフを活用したことで独特かつ斬新なカードバトルの設計を構築しているという点でも見事です。立と床という二つの状態からコンボを上手く接続していく形式は、モチーフから自然に理解できる上で、コンボシステムとしては様々な奥行きを作り出していました。カードの使用順序の意味合い、デッキバランスを整えることの価値、最後の動きまで見据えたコンボパターンの事前構築、あるいはアドリブ的なつなぎ、それらすべてはこのベースシステムに依拠しています。

そして、個人的にとりわけ優れていると感じる点の一つとして、下手をすればデッキと同程度かそれ以上抱えることになるパッシブスキルの多さが挙げられます。
このゲームシステムの都合上、ダンスのカードそのものにはあまりシナジーが用意されていません。流れを繋げて上手くチェインを取ることや、そのためにデッキ内に組み込むバランスの方が重視されている印象があります。
その分、シナジーはパッシブスキルとダンスの方に上手くまとまっています。チェインを繋げて強力な効果を得るという基本的なものから、ダンスの種別に応じてつくパッシブスキルを参考にして特定のカードを増やすなど、パッシブスキルがもう一つの戦略の軸を生み出していました。
チェインを繋げつつバランス良くデッキを構築しつつ、パッシブスキルでそれを補強する、あるいはパッシブスキルに基づいてデッキバランスに少し手を加える、といったように相互が関係しつつデッキ構築を進めていくことができます。役割がそれぞれ分かれているおかげで、シナジーや方針を立てやすいところがありました。

加えて、こうして得られたパッシブスキルをポイントで割り振るというシステムも秀逸です。いっぱいパッシブスキルを取ればいいというものでは無く、そのための原資をきちんと稼ぐ必要はありますし、その中から何を採用していくかを吟味する必要もあります。この設計は、デッキの取捨選択要素がここに入っているとも言えますし、ステータス要素が内包されているとも言えるかもしれません。
これは成長方針にも上手く影響を与えていて、このパッシブスキル同士を組み合わせたいから練習はこっちを採用しよう、みたいな選択にも影響を与えてくれます。そうして育成のちょっとした選択肢に対する付加的なモチベーションとして機能しているおかげで、どの選択を選ぶかという行為に奥行きが生まれています。

また、全体のゲームループがシンプルであるという点も良いです。育成フェーズでカードを集め、戦闘フェーズでカードをちゃんと使って戦うという一連のルーチンが明確に構築されているため、それぞれのフェーズでやることが明確になっています。これがゲームテンポの良さを生み出しているように感じました。
加えて、上述の通りシナジーを取るシステムの分離であったり、フェーズの分離であったり、複雑にできる部分をあえて分離することで全体的に分かりやすいシステムに落とし込んでいる印象があります。ダンス側のカード同士にシナジーを作ったって良いですし、練習中に突然ミニバトルが始まったって良いんですが、そういうことはありません。おかげで脳のスイッチングコストが安いので、気付くと遊んでる中毒性が生み出されている気がします。

また、戦闘パートについても独自のシステムが採用されていて面白いです。デッキ構築ローグライトおなじみの攻撃と防御によるRPG的なバトルではなく、ダンスバトルという性質をこちらも上手く取り込んでいます。
個人的に好きなのは、オセロというか盤面制圧系のオーディエンスシステムです。設計はかなりシンプルながら、色々と考えるべきことがあります。
たとえば、前半であれば染められていない観客が多いので、ノーサイドを拾いやすいスキルが有利です。一方で、終盤はノーサイドがいないことも多いので、分捕れるスキルを使うべき状況になる事もあります。一方で、ノーサイドが少ないことを活用して、あえてノーサイドのスキルで狙ったところを取りに行く、みたいな戦略も取れます。
加えて、狙い撃ちできるスキルはそうポンポン撃てるものでもないので、プレイヤーが操作すべきタイミングはかなり限定されているというのも良いところです。これで毎回オーディエンスを選択していればテンポが悪かったと思うんですが、ピンポイントで強力な技の時だけ選ばせることでテンポ感と戦略性の両立を実現しています。

細かいポイントとしては、複数使用したカードの効果が半減するというシステムも秀逸でした。この手のゲームは大体デッキ圧縮が正義になりがちなんですが、それを明確に否定するシステムとなっています。
カードを捨てるイベントなどを入れると複雑になりすぎるためか、このゲームでは基本的にカードはずっと手に入り続けます。こうなると中盤くらいの方が安定していたというようになりがちなんですが、このシステムのおかげでそうはなりません。むしろ、カードの種類が多い方が終盤まで失速せずに戦えて有利になります。とはいえ、集めすぎると上手く踊れない可能性もあるので程々のバランスに留めておく必要もあります。このあたりの駆け引きが、半減システムによって実現されていました。

UIの面についても、直感的に操作できて良いものとなっています。
育成パートでは必要な情報がすべてそろっていて、一見してほぼすべての情報が拾えます。パッシブコストの余力が表示されているのも良く、これを見てトレーニングの選択を決めやすくなっていました。いちいちパッシブスキルを身に行かなくてもある程度把握できるという点が優れています。
戦闘パートについても同様で、一見して全ての情報が拾えるようになっています。これを徹底しているおかげで画面遷移がほぼなく、それによってストレス無くかつテンポ良くゲームが進行できているように感じていました。
また、右クリックで常にそれぞれの効果や意味が取れるのも良いポイントです。一見して分かる方に振るとどうしてもアイコンが増えてきて、意味が取れなかったり忘れていると大変なんですが、それがすぐに解消されます。初めの一歩目がちゃんとケアされているおかげで、スムーズにゲームに入ることができると言えるでしょう。

グラフィックの面についても軽く触れておくと、ダンスごとにイラストがアニメーションしていくのが良いです。ちゃんと敵キャラもダンスしてくれます。芸が細かいというか、手間暇かけているというか。何なら隙間なく連続実行する分、敵の方がダンスが繋がっているようにすら見えます。
後は、タイトル画面も良いです。毎作雰囲気に合っていて、かつテンポ良く始められるものに仕上がっているように感じます。

最後にシナリオについても軽く触れておくと、オマケの要素としてちょうどいい塩梅でした。テンポを阻害しないものの、きちんと起承転結は用意されています。短いとは言え手を抜いているわけでもなく、会話演出による表現で緩い雰囲気を上手く表現しています。倒れ込むのに合わせて傾くメッセージ演出が好きでした。こだわりを感じる。

続いて、個人的に攻略面で感じたことも雑多に書いておこうかと思います。
ダンスについては、基本的にチェインを繋ぐのが強いように感じました。パッシブスキルがそれ前提になっているものがそこそこあるのと、何より強力なフリーズにつなぐ条件であるためです。ムーブは3回までやれるとは言え、連続実行で強いカードがあることも含めて、出来るだけ踊り切る方がお得感があります。
このため、キャントリップが確実に強いんですが、そういうのはあまりありません。バックステップツイストをエントリーで使えば可能ではありますが。筆者は次善策として、スタミナ減のトップロックとフットワークを駆使してチェインを稼ぐようにしていました。
また、ゴーダウンというカード種別が絶妙なところで、基本的には1度しか使わないので多く持ちたくないものの、これが無いとチェインがちゃんと繋がりません。多くても少なくても難しい、割と要のカードに感じました。

また、オーディエンスについては、最初のターンはひたすら数を稼ぎ、2ターン目以降はガチ推しを狙って選択形式も併せて行うようにしていました。
加えて、染められていない観客は進行とともに少なくなるので、個人的には序盤にガッツを切るのが有効に感じています。ただし、やりすぎると後半に打てる手が少なくなり、審査員票が届かなくなることもあるので難しい所でもあります。この辺のバランス感覚も面白い。
そういう意味では最終ターンにガッツを増やすラストダンスは割と好きなスキルでした。最後の追い込みにこのガッツが効きます。

その辺を理解した上でやると、ノーマルのクリアはそこまで難しくない印象があります。筆者は一度目はチェインを繋げるのをミスって敗北し、二度目で通すことができました。そのせいでフリーズが出なかった。
なお、個人的にはデッキのシナジーをある程度把握できて強化済みである終盤はそれほど苦戦せず、まだ方向性が固まり切っていない2回戦あたりが鬼門なように感じています。実際、ノーマルでは33vs47、ハードでは35vs35の激戦でした。

ノーマルをクリアしたデッキは、トップロックを繋げつつドローソースをある程度用意してチェインを繋げる方針となりました。チェインを繋げることで恩恵の得られるスキルを確保した上で、
トランジションを一つまみ加えることで更なるチェインを目指しています。
トランジションまで絡んだ破壊力はかなり高く、準決勝以降のスコアが2vs78、0vs80という圧倒的なスコアを叩き出してはいたんですが、中盤までは苦しい展開が続く印象がありました。準備に時間のかかる戦略なのかもしれない。
インスピレーションフロー、ミューズタッチ、ローテーションプラスの乗ったAトラックスはとりわけ強力で、一気にガチ推しを量産できます。再利用デバフを考えて、2ターン目に打てるように諸々調整するようにしていました。

ハードをクリアしたデッキは、ノーマルのコンセプトを踏襲しつつ、トランジションのような過剰破壊力までは持たないように調節するコンセプトで行きました。
基本スタンスは変わらず、インスピレーションフローとフロースタッシュにより、5チェイン以降の効果を最大化することを目指しています。本当はメイクも欲しかったんですが、これは引けませんでした。
原則としてベースのステータスであるドローやスタミナを強化し、ビクトリースキルでもロングブレスとディープポケットを採用しています。これにより安定的にチェインを繋げやすくしていました。おかげで、トップロックを数回と6歩、3歩、1歩、シャッフルといった低コストフットワークで上手くチェインを繋げ、パワームーブに安定して繋げられるようになっています。トップロックとしては、ブロンクスキックが優秀でした。ガッツが取れる上、ノーサイドを3つも取れます。
肝心のパワームーブについても、パワーサージの取得を行うことでよりオーディエンスを確保しやすくしており、トーマスとAトラックスで狙い撃ちを積極的に狙いに行く形を取りました。それが上手くいくとガチ推しが増えるので、最後にベイビーウィンドミルで審査員票も拾いやすくなっています。
ステータスが完成し、5チェインコンボが完成した準決勝以降は13vs67、6vx74と安定していたんですが、2回戦は先述の通り35vs35と割とシビアな戦いとなっています。チェイン型の宿命なのかもしれない。

このように、色々と考えながら、けれど直感的かつある程度は大雑把にテンポ良く進められる作品として楽しめました。どこまで行ってもランダム要素があるおかげで極端に詰めてパズル的に考える必要が無いのはむしろ良く、コンセプトだけ決めて柔軟に動けるのが良かったのかもしれません。
それじゃあ感想はもう書き終わったので、ベリハに挑戦してきますね。

なお余談ですが、レビュー上では説明の都合上、トップロックを立から立へのものと定義していますが、実際はアップロックがあるので微妙に嘘です。また、ただでさえ長いので説明の都合上ガチ推しなど諸々のシステムの話も端折っています。例外パターンの説明をするとややこしくなるので割愛しがちです、ご了承ください。

58_夕五千兆

ジャンル 作者
放置 秋月ねこ柳
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 +110時間 1.60a クリア / 15

良かった点

  • 手動干渉と自動放置のバランスが良かったです
    • 難易度曲線もちょうど良かったです
  • ウィンドウが非アクティブになると音がフェードするシステムは放置と相性が良かったです

気になった点

  • 装備の入れ替え時の操作がやや直感的ではありませんでした

レビュー

五千兆を目指して

夕五千兆は、自動で戦う夕一に緩く干渉しつつ基本的には放置して進めるRPGです。
徐々に難易度の上がっていくダンジョンに対し、様々な強化を放置で獲得しつつクリアを目指していくことになります。

最大3体の夕一を編成して挑むダンジョンは、戦闘、回復あるいはショップ、宝箱といったイベントがランダムで発生していくノンフィールド形式のものとなっています。
戦闘はシンプルなもので、通常攻撃と攻撃ごとに溜まるTPを使った2つのスキルを使うことができます。体力が減ってきた場合は傷薬を使って回復することもできますが、こちらは一回のダンジョン攻略内での使用制限があるため、ここぞという時に使いましょう。
こうしたコマンドを活用して敵を倒していくと階層が進み、最終階層のボスを倒すことでダンジョンのクリアとなり、ストーリーの開放と共に次のダンジョンが現れる、といった流れとなっています。

そして、このゲームにおいて特筆すべきは、これら一連の流れが実質的に自動で行えることにあります。
雑魚戦にはTPが溜まったらこの技を使い、傷薬はこの割合でHPが減った時に使い、宝箱はこの確率で開封し、といったような設定を付けて、自動で夕一をダンジョンに突入させて周回させることが可能となっています。
ダンジョンのレベルが上がって太刀打ちできなくなってきたら、この仕組みを使って過去のダンジョンに挑み、レベリングやリソースの確保を行うことをお勧めします。

また、夕一をレベルアップさせる以外にも、戦闘で得られたお金やある方法で取得できる夕一コイズを利用することで強化するという方法もあります。
商店でお金を使えば獲得経験値の倍化などのパッシブスキルが、夕一コイズを使えば装備のガチャがそれぞれ行えます。特に前者は飛躍的に様々な効率が向上するため、お金を稼いだら積極的に利用しましょう。

文字通り桁違いに強力になっていくダンジョンを攻略するには、自動で稼ぎ、手動で制御する成長システムを上手く活用することが肝心です。こちらも桁違いに強化を重ね、時には転生で更なる強さを獲得し、装備でそれらをさらに倍化させ、とにかく最強の夕一に育て上げていきましょう。
そのためにも、デスクトップの隅っこにでも置きつつ、適度に目をやりながら進めることをお勧めします。きっと頭の半分がニワトリに支配されること請け合いです。

感想

ありそうでなかったと思しき、完全放置がほぼ推奨されるウディタ製のゲームです。
放置ゲーっぽい作品としては第12回のわちゃわちゃダンジョンズが思い起こされますし、クリッカー系統なら第15回の一画面で成し遂げる地獄再興が挙げられるんですが、クリア後ひたすら放置で進めることが前提の設計になっているケースとなると初めて見たかもしれません。

個人的には手動システムと自動システムの塩梅が絶妙な印象があり、適度に手を加えつつ、適度に放置しておきたくなるような設計をしています。この手のゲームは、放置しつつもついつい意識にのぼって目をやってしまうくらいの塩梅が良いと思っているんですが、まさにそういったバランスで巧みに作られている作品となっていました。
ゲーム内に、放置しながらちょっと遊べるミニゲームが完備されているのも良く、ゲーム単体で見ても暇つぶしができるようになっています。ちゃんと嬉しいアイテムももらえる。

ゲーム全体のボリューム感というか難易度曲線もちょうど良く、クリアだけを目指すなら適度に干渉した方が伸びが良く、2時間もかからない程度でしっかり収束するバランスとなっています。その一方で、クリア後は放置前提の長さのダンジョンと、放置前提の成長曲線と向き合うことになります。
クリアだけなら転生すら必要ありませんが、クリア後のダンジョンを突き進むならほぼ必須となります。要求が指数関数的に増えていくアイテムやら合成に放置で辿り着き、より高効率にしてまた稼いでいく、拡大再生産の楽しみを長期スパンで感じることができました。
筆者はクッキークリッカーを手焼きで恒河沙までやった程度の経験しかないのであまり確かなことは言えませんが、こういった放置ゲーとしてのバランス感覚が優れているゲームだなという印象があります。

UI面では、サイクルを回す分にはおおむね快適に動作するため、プレイ中のおおよその時間は問題ありません。ただ、装備のUIに限っては地味な使いにくさを感じました。特に装備を入れ替えたい時の操作があまり直感的でないので、インベントリを整理したい時に若干複雑な操作をすることになります。例えば、ある装備を売却した後に続けて別の装備を売却しようとすると、売却済みのスロットとの入れ替えが実行されてしまいます。これを避けるには、いったん売却したスロットを再選択する必要があります。若干手間。

個人的に好きなシステムにも触れておくと、ウィンドウが非アクティブ状態になってゲームが裏側に回るとSEやBGMが小さくフェードアウトしていく仕組みが良いです。プレイヤーがよくやることに対して、求めることが先回りして用意されています。いちいちミキサーを触る必要が無くて楽ですね。
さらに細かい点としては、夕一コイズのネーミングが好きです。最初のうちは何の疑いも持たずにターコイズと読んでいました。

シナリオについては最小限ながらもちゃんと用意されていて、しれっと昔の作品への言及も含まれています。元にしている題材からある種明らかではあるんですが、明確にウディコンという場の内輪ネタに最適化されているような印象があります。作中でも言ってますが。
コックに恨みが向かうかと思いきや、さらに根幹に近い部分まで下っていく展開は個人的に好みでした。

総じて、適度に放置して適度に干渉する塩梅が良い放置ゲーでした。