第17回ウディコン全作品レビュー - Desire
18. Desire
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | ゾローク |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 10時間 | 1.8.7 | クリア |
良かった点
- 全体的にBGMが良いです
気になった点
- マップが広大であり、景観の変化に乏しいです
- 敵の行動次第の運要素が強い戦闘バランスとなっています
レビュー
広大な世界の冒険
Desireは、極めて広いマップの中で探索や戦闘を経て物語を進めていくRPGです。
基本的には道などの導線を頼りにしてあちこちを歩き回り、適宜シンボルエンカウントの敵を倒していく流れとなっています。
このゲームの特徴は何と言っても広大なマップであり、家やビルが林立する街中はもちろんのこと、平原のような空間ですら広大なフィールドを抱えています。
その広大なマップの中で適切にイベントを発生させ、物語を進めていくには何かありそうなところを積極的に巡っていくことが肝要になります。とりわけマップの端にはマップ同士の接続や重要な建物があることが多いので、迷ったらとにかく端を目指していきましょう。
物語を進める上での障壁はマップだけではありません。節目で戦うことになるボスは強力な行動を持っていることが多いため、適切にレベルを上げておかなくては勝利は困難なものとなります。余裕があれば敵シンボルには積極的に触れて、レベリングをこなしておくのが肝心です。
特に終盤は対策の難しい行動も増えてくるため、速戦即決が重要となります。ジリ貧になる前に一気に片を付けるべく、味方の強化を済ませておきましょう。
そうして立ち塞がるボスを倒していく冒険の中で仲間も増えていき、それに合わせてシナリオも様々な展開を見せていきます。
広大なフィールドの探索やそれらのイベントを彩るBGMを背景に世界を駆け回り、エンディングを目指していきましょう。
感想
とにかくマップが広い作品です。第16回のパーソナル戦記 Memoriesも広いんですが、この作品は各エリアが分かれたことによって更なる広さを獲得しています。ウディタの1/8以外でマップ作成をしていないんじゃないかという広さです。こうして繰り返し言及するくらいには広い。
この広いマップで適切にイベントを起こしていくコツは、大体端っこに何かを用意しているという点を信じることです。たまに例外はありますが、おおむね端っこを目指せば何かが起きます。中盤以降ならサンドイッチを食べてひたすら斜め移動で目指すのがお勧めです。
なお、前作と比して町の景観やエリアごとの特色が多少生まれていますが、いかんせん広すぎるので景観の変化自体は変わらず乏しい印象があります。とはいえ、道があって標となっている点や、シンボルエンカウントの敵がうろついていることもあって、やや前作よりは変化を感じているような気もします。
木が途中でぶった切って配置していたり、障害オブジェクトのバリエーションが少なくコピペで量産していそうであったり、そもそも景観をあまり気にしていないゲーム設計なのかもしれません。
RPGとして戦闘にも触れておくんですが、全体的に運要素の強いバランスをしています。ただ、運があれば勝てるというタイプではなくて、実力が足りないと必ず負けて、運が悪ければ敗色濃厚というバランスでした。
このバランスは特に序盤のレベリングに顕著で、近くの雑魚を倒してちょっと町に遠出しているとチンピラに処られます。これを避けるには、まずは家の手前のゆきだるまでレベリングを進めていく必要があります。実力も大事。
ちゃんとレベリングを進めておけば中盤以降はそういったことはなくなってきますが、今度は敵の通常行動と特殊行動の火力の乖離がどんどん激しくなっていきます。このため、敵のデレ行動とツン行動の火力差が激しく、雑魚戦は全体特殊攻撃を振ってこないようにお祈りするゲームになりがちでした。全体割合石化なんかも平気で撃ってくるので。ここについても、味方の火力を上げて敵の試行回数を落とせば安定するので、結局実力が大事なところはあります。
ただ、ボスに関しては実力よりも試行回数の方が割と重要な印象があります。中盤から終盤にかけて、全体魔法を連続で撃ってくるケースはほぼケアできないので、負け筋を引く前に総攻撃で倒しにかかる、負け筋を引いたらリトライの方が効率が良さそうです。
特にそのバランスを体現しているのはラスボスで、こいつは全体に確率であらゆる状態異常を付与してきます。一方で、このゲームでは状態異常耐性は一部にしか付けられず、かつ完全耐性はほとんど付けることができません。ありていに言えば、対策不能の状態異常攻撃が降りかかってくるという寸法です。
その状態異常の中には即死や石化も混じっているので、運が悪ければこちらが何をしていようと負けます。ずっとちょっと弱いグランドクロスを撃ってくる永遠の闇みたいなボス。
ただ、このボスに対する負けイベントの時でも(恐らくHP以外の)ステータスの向上をしていなさそうなあたり、作者さんもこのボスは戦い続けていればいつかは負ける、というコンセプトで作っていそうな気配がありました。
続いてシナリオについては、大筋を感じていければMotherライクっぽい印象を受けられました。ただ、全体を通して説明がかなり薄く、プレイヤーとキャラクター間の情報格差のために感情描写に付いていけなくなることもしばしばありました。雰囲気を感じ取って、大筋をとらえていくのが良さそうな物語です。
ただし、キャラクターが起こす行動の整合性が取れないといったことはないので、恐らく設定上は行動原理やら何やらが完璧に定まっていそうなんですが、開示する情報量の関係で汲み取るのが難しくなっているのかなという印象があります。例えば、初め主人公が旅に出る理由もあまり説明がありませんし、集めようとしている「おと」についての言及も目標として出てくるまでありません。
もっとも、広大なダンジョンを攻略しているうちに、シナリオの細部を忘れがちという話もあるのかもしれませんが。
ただ、全体的にBGMが良いため、その力でシナリオを印象付けたり、マップ探索中の印象を良くしたりしている面はあります。ややデフォルトの音量が大きいきらいはあるんですが、それでも特に気にならない程度には良いBGMです。シナリオ展開に応じてちゃんとテンションを上げてくれます。
以下はまとめきれていない感想というか突っ込みです。
恐らく、ミニマップシステムは後から導入したのかなと思っています。最初のダンジョンの電話がミニマップに隠れて見えないので。銀行も隠れる。
主人公以外がグロウに電話をかけられるのは謎でした。なんで電話番号を知ってるんだ。
レイを助ける前にレイの家に行くと元気ですかと聞かれる、ゴーマンに会うことなく地下牢に行ける、あたりはフラグが怪しいところです。それでも致命的な不具合につながらないあたりはちゃんとしているとも言えますが。
アイテムの16個制限が厳しく、アイテムを拾う楽しみが薄れていた印象がありました。ダッシュアイテムについてもあまり持てないので移動が手間。
敵のMPが0だと味方はサイマグできないのに、敵はMP0の味方に対してサイマグを通してくるのはまあまあ理不尽な印象があります。敵の方が優秀。
ラストバトルについては上述した攻撃も大変なんですが、何よりきついのは光が点滅する演出です。光過敏性発作を持つ方だと一発アウトっぽいレベルであり、そうでなくても目に痛いです。
クリア後の世界を歩けるイベント、開始時はエモいんですが、広すぎてそのエモさが霧散していってしまいました。先にワープで家に帰れてしまったのもアレなのかもしれない。
全体を通して、マップサイズを抑えめにし、情報開示の量を調節し、敵の通常行動の強化なり特殊行動のナーフなりをしてバランスを整えれば、Motherライクな普通のRPGっぽくなるのかもしれませんが、そうなると独特な味もまた消え失せるのかもしれません。そういう意味では、今のゲーム性はゲーム性で意味を持っているとも言えます。
とはいえ3時間の内容をマップの広さなどで10時間くらいに引き伸ばしている印象は否めないので、その辺は惜しい印象のある作品でした。